これはゾンビですか?~純白の翼は飛翔する~《完結》   作:nightマンサー

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第6話 戦闘

 

 

 

 

どうも、飛翔です。

あれから結局ハルナ〔あの時のチェーンソウ少女の名前〕は相川家に居候することになった。

歩はこの世の終わりみたいな顔してたな。

相変わらずクラスのみんなは先生の話に耳を傾けてる。

〔…あっ、そうそう忘れるところだった〕

そう思い俺はカーテンに手をかける。そしてそのままカーテンを後ろの奴にバトンパス。

その後ろの奴とは、

 

「すまん、飛翔」

 

「かまわないよ」

 

そう、先日ゾンビになった歩だ。前にも言ったが、

歩……正確にはゾンビは日光にとてつもなく弱い。

日の光に当たり続ければ干乾びてしまう。

前回の席替えでたまたま歩の前の席になったから、

こうやってカーテンを取ってやるのが俺の仕事になってる。

…今日もいい天気だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キーンコーーン、カーーン、コーーーン

 

とりあえず、考えに耽っていると午前の最後の授業が終わった。

お昼時だ。いつもならコンビニで買ったおにぎりやパンなのだが、

今日は違う。なぜかと言うとそれは今朝の話だ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あたし、卵焼きには自信があるんだ!!」

 

歩に指をさしながらハルナはそう宣言。

今朝は台所にこもって何やら熱心に作っているようだったが………

そういうことだったのか。

いかにもお花見に持っていくような大き目の箱をハルナは歩に渡す。

 

「べっ別に、アンタのために作ったわけじゃないかんな!」

 

………そんなセリフ言われながら渡されて、それ信じる奴が何人いると思ってるんだ?

 

「あっそうだ。アンタの分もあっからな!」

 

そう言ってハルナは俺にも弁当を渡してきた。

正直、ちょっと嬉しい。女性の手料理なんて母親の以外食ったためしないから………

 

「あぁ、ありがと」

 

そう言って俺は弁当を受け取る。

 

ジーーーーーー

 

「?どうしたユー?」

 

何かの視線を感じてそちらを向くとユーが俺のほうを向いていた。

だがいつも俺に対して向けている瞳ではなく、

なんかこう…………とげとげしい感じ?の視線。

 

「どうかしたの?」

 

『なんでもない』

 

そう言ってユーはテレビに視線を戻した。

でもその表情はちょっと怒っているように俺には見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何か俺、ユーの機嫌損ねることしちゃったのかな?」

 

いつもは玄関まで来て『いってらっしゃい』ってやってくれるのに………

帰ったら謝ろうかな。

 

「おーい、飛翔!一緒に食おうぜ!」

 

「あぁ」

 

織戸に呼ばれ俺は机を反転させる。

歩はなんだかうかれてる…。そこまでハルナの手料理が楽しみなのか?

それで歩は弁当のふたを開ける…って!?

 

「相川に井之上が弁当持参なんてめずら…うぉ!?」

 

織戸も絶句してる。そりゃそうだ、弁当の中身が卵焼き一色だとそりゃびびるわな…。

〔…って!?歩の弁当がそうならまさか!!?〕

そう思い俺は弁当の中身を確認して…

 

「マジかよ…」

 

唖然とした。俺の渡された弁当も歩の弁当と寸分の狂いも無く卵焼き一色だった。

 

「って、井之上もかよ。

お前らこのボケは体張りすぎだろ…」

 

織戸が哀れな目で俺らを見てくる。

まぁ、作ってもらった身だから文句いえないよな。

 

「俺、卵焼きが好きなんだ」

 

歩ぅ。それは無理があるって…。

そう言いつつ歩は卵焼きを一つ取って食べる。

 

「むぅはぁ!!!?」

 

「どっ、どうした!?歩!?」

 

「なんだこの卵焼き!?めっちゃうめぇ!!」

 

おいおいマジか?卵焼きでそこまでって…

そう思いつつ俺も卵焼きを食べる。

 

「ぬォォ!!?何このうまさ!!ここまですごいなんて!」

 

ガチだ、このうまさはガチでやばい。

 

「おいおい2人共、たかが卵焼きでそこまで…」

 

そう言って織戸は歩の卵焼きを一つつかみ食べる。

まもなく…

 

「うおぉ!!?何だこの卵焼きは!?おーいみんな来てくれ!!

相川と井之上の弁当が大変だぁ!!!!」

 

織戸のその一言により、俺と歩の卵焼きは瞬く間にパンやらジュースやらに早代わり。

皆卵焼きのおいしさに当てられたらしい…。

昼休みはこの話題で持ちきりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午後の授業も終わりもう放課後。

夕日が差し込む教室には俺と歩、それから織戸しか残っていない。

 

「なぁ、最近遅くまで残ってるよな。何してんだ?」

 

織戸がそんなこと聞いてきた。

 

「寝てる」

 

「授業中あれだけ寝てるのにか?」

 

と言うか、歩は帰るに帰れないんだよな。

…………日が落ちないと。

 

「まぁ、いいけどさ。最近近所で殺人事件起きてるだろ?

家が近いからいいけど、気をつけろよ」

 

珍しく織戸が心配してくる。

こういうところ表に出せば織戸もモテルだろうに…

 

「あ、俺ちょっとトイレ行って来るわ」

 

「おうわかった」

 

そう言って俺は教室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうそう相川、お前に会いたいっていう子がいるんだ」

 

飛翔が教室から出て行ってから織戸が話し出した。

 

「俺に?いったい誰だ?」

 

「俺の妹の友達で京子っていうんだが、知ってるか?」

 

「いや、知らない名前だが?」

 

そんな名前の友達いなかったと思うが…

 

「例の殺人事件に遭遇したんだ、京子は」

 

「なんだって…」

 

あの連続殺人事件には生き残りはいないんじゃなかったのか?

 

「歳は妹と同じだから14だな。金髪の超美少女だ」

 

「…おまえ、手ェ出したりしてねえよな?」

 

もし出してたら、即行で警察に突き出さないと。

 

「バカ言え、俺は大人な女性が好みだ」

 

「お前の好みとかどうでもいいがな」

 

「で、どうだ。会ってくれるか?」

 

…………もしかしたら、何か情報が手に入るかもしれないな。

じっとしてるよりは全然ましだ。

 

「あぁ、俺は全然OKだ」

 

すると織戸は安心したような顔をした。

 

「そうか、よかった。じゃあ明日の夕方でいいか?」

 

「あぁ、大丈夫だ」

 

それに早いほうがいいしな………

 

「あぁ、それから井之上も誘って明後日ボーリング行こうぜ。

たまたま福引で当てたんだよ」

 

そう言って織戸はボーリングのチケットを見せる。

 

「あぁ、戻ってきたら伝えるよ」

 

「おう、じゃな」

 

そう言って織戸は教室から出て行った。

ふと外を見てみるとグラウンドで部活に勤しんでいる生徒の姿があった。

……ホントよくこの日差しのなか走れるよな。

そんなこと思ってると、

 

ゴシャァァ!!!

 

いきなり窓を突き破って教室に何かが侵入してきた。

ふむふむ、両手がハサミみたいで体の色は赤、

学ランを着てて………って!?

 

「ザリガニぃ!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔ふぅ、すっきりしたぁ~〕

差し込む夕日で照らされた廊下を歩く。

この時間校内に残っている者はおらず、辺りは静まり返っていた。

 

「さて、これだけ日が落ちれば傘差せば歩も帰れるかな」

 

そう思い歩のいる教室に向かう。

〔早く帰って、ユーに「ゴシャァァ!!」…!!〕

 

そう思っていると、教室のほうからものすごい音がした。

俺はすぐさま音がした方へダッシュする。

 

しばらくすると歩のいる教室が見えてきた。

見ると、遠目からでもわかるくらい無残な姿になっている机が、

教室の廊下の前に散らばっていた。

俺はすぐさま教室のドアを開ける。

 

 

「歩!!無事か!!?」

 

「飛翔!?」

 

教室に入ってみると、人よりも一回り巨大な学ランを着たザリガニ〔?〕が、

歩と対峙していた。

歩は格好からしてハルナを庇ったのか、背中を切り裂かれている。

その後ろには地面に突き刺さったミストルティン〔チェーンソウの名前〕

と………

 

〔ハルナさん、裸が趣味なのですか?〕

 

これまた裸のハルナさんであった。

 

「ふぉふぉふぉふぉ!!もう一つ魔力がこちらに近づいていることはわかっていたが…

まさかそれも男だったとはなぁ!!」

 

ザリガニはそう言って俺を見てくる。

〔俺に魔力がある?どういうことだ?

もしかしてこいつ〔天翼〕のことを…〕

そう思って俺は身構える。

 

「すまん飛翔!ハルナを頼む!!」

 

そう言って歩はザリガニと向き合った。

 

「ふぉっふぉっふぉ!!3人まとめて殺してやるよぉ!!」

 

そう宣言したザリガニは自分の左腕を構えて

 

ドンッ!!

 

…って腕が飛んだぁ!!?何処のマジOガーだよ!!?

普通こんなの食らったら、死んじまう。

普通なら……な。

 

ガシィ!!

 

歩は飛んできた腕を片手で受け止めた。

 

「な!!何ィ!!!!?人間にこんな力あるわけ……!!?」

 

ザリガニは困惑してる。そりゃそうだ、

自分の攻撃がよもやただの、人間に止められるなんて想像してなかっただろう。

歩は腕を受け止めつつ話す。

 

「教えてやるよザリガニ野郎!!人間ってのはなァ、

肉体が勝手にセーブしちまうから、100パーセントの力を出せないんだと!!

だがなぁ俺は………ゾンビだ!!そんな限界お構いなしだ!!」

 

そう言って歩は受け止めていた腕を放り投げる。

 

「ゲババァ!!?」

 

さすがにこれにはザリガニも驚いてのけぞる。

歩はその隙を見逃さず、奴の懐へ潜り込む。

 

「100%!!」

 

ドガァ!!

 

歩はザリガニに殴りかかる。人間が出せる、最大限のパワー。

 

「ゲババババ!」

 

「120%!!」

 

ドガッ、ドガッ、ドガッ、ドガッ、!!

 

歩は人間の限界を超える力でザリガニにラッシュをかける。

 

「140%!!」

 

とどめ!と言わんばかりに両手を握って、ザリガニの腹にキツイ一撃をいれる。

 

「ゲバァ!!!!!」

 

ザリガニは歩の一撃を受けて黒板に激突する。

…………これ誰が直すんだろ?

 

「アイツ………ホントいったい何なんだ!?」

 

俺の横にいるハルナが叫ぶ。

ハルナは今さっき教室のカーテンを引っぺがして、それをまとっている。

………まぁ、ゾンビだからな。

 

「硬すぎんだろ………ってうぉ!?腕が変な方向に!?」

 

見ると、歩の腕は真ん中からポッキリ折れてしまってる。

そりゃ人間の限界値を超えた攻撃したんだ。当たり前といったら当たり前だろう。

 

「ゲバババ!!所詮は人間かぁ!!」

 

見るとザリガニは立ち上がっていた。

歩があれだけ殴ったのにあまり効いていないようだ。

 

「ゲババ!!お前の相手は後回しだ!まずはそこの奴を仕留める!!」

 

そう言ってザリガニは俺に目を向けてきた。

 

「ばっバカ!!アンタ早く逃げろよな!!」

 

隣でカーテンに包まったハルナが叫ぶ。

 

「ゲババ!!もう遅いわ!!」

 

そう言ってザリガニは俺との距離を一気に詰め、

残った右腕を振るってくる。

 

「飛翔!!」

 

歩も俺に向かって叫ぶ………が

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、ザリガニ。お前まさか自分が俺より強いなんて…」

 

思ってるのか-----

 

ブワッ!!!

 

「ヌオオオオ!!?」

 

次の瞬間、ザリガニは吹き飛ばされ、再び黒板に激突する。

だが、さっき歩が飛ばして出来た傷よりも壁に深くめり込んでいる。

 

「ちょっ…」

 

「いっ、いったい何したんだ!?アンタ!?」

 

歩はしゃべれず、ハルナは質問してくる。

 

「説明は後でするよ。とりあえず、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こいつをどうにかしなくちゃ」

 

そう言って俺は〔天翼〕を広げた。

 

 

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