これはゾンビですか?~純白の翼は飛翔する~《完結》 作:nightマンサー
どうも、飛翔です。
今俺は絶賛驚き中です。皆で楽しく食事してたんですが、
〔トラブルもありましたが……〕
そこにいきなりの侵入者!
髪型はポニーテールで髪の色は黒、
瞳は綺麗なヒスイ色〔緑っぽい色〕をしており、モデルのような体つきと言った所。
まぁ、とりあえず………
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
俺はついできた味噌汁を美女〔?〕に手渡す。
まぁ、なんだ………これが俺の性格だから。
食事が一区切りしたところで、
「でさ、アユム。こいつ誰?」
ハルナが歩に聞いていた。
〔ハルナの知り合いじゃない、という事は……〕
そう思い俺はユーに視線を移す。
ユーは美女〔?〕に気にすることなく食事を続けていた。
〔ユーの知り合いでもないか………。
となると冥界人でも魔装少女でもないな………。
前にユーから聞いたユーを狙う奴は大体聞いてる。
残りはメガロか吸血忍者だが、メガロは動物がモデルだからそれは無い。
となると………〕
そこまで考えていた所で歩が美女〔?〕に話しかけた。
「えっと………とりあえず自己紹介とかしてくれないか?」
恐る恐る歩が尋ねる。
「わかりました。私の名はセラフィムです」
凛とした声でセラフィムさん〔?〕は答えた。
「……………」
ズズズッ。
セラフィムさんが味噌汁をすする。
「…………」
……………………沈黙。
〔え!今ので自己紹介終わり!?〕
歩も面食らっているのか固まっていた。
そんな自己紹介に不審に思ったのは俺らだけではなかった様で、
「それだけ?好きなものとか特技とか、趣味とかあるじゃん」
ハルナが俺らの思っていた事を代弁してくれた。
「好きなものは秘剣、燕返し」
それが好きなものなの?
「特技は秘剣、燕返し」
それはまぁ、わかるけど………
「趣味は秘剣、燕返しです」
………………。
「全部秘剣、燕返しなんですね」
歩は少しあきれたようにセラフィムさんに言う。
「それで、セラフィムさん?は何者なんですか」
歩は再びセラフィムさんに問いかける。
「はい、私は吸血忍者です」
セラフィムさんは淡々と答える。
〔やはり吸血忍者か。となると目的は………〕
「セラフィムさんはユーに何か御用ですか?」
俺は少し威圧しながらセラフィムさんに問いかける。
セラフィムさんは少し驚くような顔をしたが、すぐに表情を戻す。
「なるほど、貴方が一時期噂されてたナイトウィング〔夜の翼〕ですか」
「ナイト……ウィング?」
歩とハルナは頭にクエスチョンマークを浮かべていた。
「あぁ、歩、俺前にユーと一緒にいた時期があるって話したよな」
「ん?確か中3の秋から冬にかけてだっけ?」
「そうそう。その時からユーにちょっかいかけてくる奴等がいてさ、
そういう連中捻ってたら、いつの間にかそんな風に呼ばれるようになってたってわけ」
ホント何処の厨2病野郎のネーミングセンスだよ。
「噂では藍色の髪に、天使も嫉妬するような純白の翼を纏っている、
と聞いていますが………」
「翼は常時出してるわけではないから。
…………で、セラフィムさんはユーに何の用?」
「安心してください。私は争いに来たのではありません」
するとセラフィムさんはユーに向き直った。
「ユークリウッド・ヘルサイズ殿、お力をお借りしたい」
セラフィムさんは続ける。
「私の任務はヘルサイズ殿へ同行を求めることと、その命を守る事にあります。
我等の中には、強引にヘルサイズ殿を連れて行こうとする輩もいるようです。
ですが私たちはヘルサイズ殿のお力に敬意を払っております。
出来るだけ、ご本人の意思でお越し願いたい」
するとユーはメモを見せてくる。
『歩、かまわない、追い返せ』
まぁ、そうなるわな。
すると歩はちょっと迷っているのかユーに尋ねる。
「ユー?何もそこまで、話ぐらい聞いても……」
トントン、
ユーはメモをペンで叩く。
『歩、かまわない、いいから追い返せ』
………あの一瞬で書き足したのか。
そこまで速いとは俺も知らなかった。
するとセラフィムさんが会話に入ってきた。
「さっきから、あなたはヘルサイズ殿のなんなのですか」
歩を見ながらセラフィムさんは話しかける。
「いや、俺はなんというか」
歩が言いよどんでいるとユーがメモを突き出す。
『下僕』
そのメモを見ると歩はうな垂れた。
まさかお兄ちゃんとか言ってほしかったのか?
「ならば私も下僕となりましょう。私のことはセラとお呼びください」
セラフィムさんはそう言う………が
『下僕は1人でいい』
ユーのメモにはこう書かれていた。
それでもセラフィムさんは諦めないようだ。
「でしたら、あなたはいりませんね?どう見ても頭が悪そうですし」
「なんだと……」
………………
「でしたら、あなたはいりませんね?どう見ても頭が悪そうですし」
セラフィムさんは俺にそういうとこっちを睨みつけてくる。
おいおい、いきなり人の悪口言うのかこの吸血忍者様は………。
ゾンビだって怒る時は怒るんだぜ、
そしてしばらく睨み合った後、
「どこか、人のいない所へ参りましょう」
セラフィムさんから申し出てきた。
あぁ、やってやる、ゾンビだって言われっぱなしは趣味じゃないんだよ
「ああ、のぞ「待て、歩」……!」
そう言って飛翔が立ち上がる。
でもいつもと雰囲気が違う、なんか触れるものすべてをピリピリさせるようなそんな感覚。
「セラフィムさんとは俺がやろう」
「私は別にどちらでもかまいません」
飛翔の急な提案だがセラフィムさんは受け入れるようだ。
「じゃあ、場所を移動するか」
飛翔は居間を後にしようとした……が
クイッ、クイッ、
ユーに服を引っ張られたようだ。
『飛翔、危ない事しないで』
ユーの瞳は俺から見ても少し悲しそうに見える。
そんなユーに飛翔は優しく頭を撫でた。
「心配ないよ、ユー。怪我なんかしないから。
ちょっと待っててくれ〔ニコッ」
『………………』
それでもユーは迷っているようだ。
するとユーは何か思いついたのか、メモを突き出す。
『帰ってきたら、一緒にお茶』
そうメモには書いてあった。
飛翔は少し驚いた顔をしてから笑顔になった。
「わかったよ、ユー。約束だな、
帰ってきたら一緒にお茶を飲もう」
コクッ、
ユーは約束したからか、今度は俺にもわかるような嬉しそうな顔を見せていた。
まぁ、承諾は得ることができたようだ。ユーは飛翔の服から手を離した。
「さぁ、早く済まそう。この後俺は約束もあるしな」
「…………参りましょうか」
きっとあの約束は、必ず帰ってきてというユーの本心なのだろう。
セラフィムさんは飛翔の即KO宣言に少々お怒りのようだ。
そんなピリピリした雰囲気で飛翔とセラフィムさん、俺と何故かついてきたハルナの4人で家を出た。
ところ変わって墓地。
こんな真夜中の墓地に人が来る事なんて有り得ないからここを選んだ。
この間、ハルナ落下事件があったところだが、
今では壊れた墓石も、抉れた地面も元通りになっている。
10メートルぐらい離れたところで俺とセラフィムさんは対峙する。
少し離れたところには観客なのか、歩と何故かハルナもいる。
「飛翔!油断すんなよ!」
「羽の人~!またあれ見せてくれ!」
歩は応援してくれているが、ハルナはどうやら俺の〔天翼〕を見に来たようだ。
ちなみに羽の人っていうのは、ハルナが俺に付けたあだ名だ。
それにしてもまんまだろハルナ…………。
そう思っているとセラフィムさんが話しかけてきた。
「噂の〔夜の翼〕の力、見定めさせてもらいます」
「なぁ、セラフィムさん、一つ聞いていいか」
「別にかまいませんが……何か?」
「さっき歩に言ったこと………本気か?」
「当たり前です。あんな頭が悪そうな者、ヘルサイズ殿の下僕に相応しくないかと………。
なぜあんな者がヘルサイズ殿の近くにいるのかさえ理解できません」
「そうか………わかった、これで俺も吹っ切れた。
あとなセラフィムさん、俺は大ッ嫌いな事が1つある」
「はい?こんなときに何を………」
「それはな………
人のことを知らずにィ!その人のことをわかったように話す奴だ!!」
ブワッ!!
俺は〔天翼〕を出現させる。
これにはセラフィムさんも驚いているようだ。
この〔天翼〕の力を感じているからか、セラフィムさんも戦闘態勢に入ったようだ。
さっきのヒスイ色の瞳が赤い色に変色している。
しかも手には近くの葉っぱが集まり、剣のような形を取っている。
だが今の俺には関係ない………
「俺の親友を貶した罪!そっくりそのまま返してやるぜ!!」
そう言って俺は〔天翼〕を展開し、空中へ浮上。
真夜中の空を背景に俺の〔天翼〕は神々しさを増していた。
俺は相手の出方を伺いながら〔天翼〕の温度変化を開始する。
〔今見ている限り、セラフィムさんの武器はあの葉っぱ……。なら〕
「空中に浮上して逃げたつもりですか!」
そういうと辺りの葉っぱがセラフィムさんの元へ集まり、
大きな緑色の翼を作り上げた。
「へぇ~、そういう使い方があるんだ」
「行きます!」
その掛け声を合図にセラフィムさんがこちらへ飛んでくる。
スピードはかなり速い。
「秘剣、燕返し!」
セラフィムさんが剣を振るう。
と自分で思ったときには既に〔天翼〕にセラフィムさんの剣がぶつかっていた。
〔咄嗟に〔天翼〕でガードしたから良かったが……。いったいどれだけ速い攻撃なんだ〕
今の攻撃は辛うじて防げたが、結構危なかった。
「ほう、今の攻撃を防ぎますか………。
どうやら噂はあながち間違いでもなかったようですね」
「それはどうも。でもそんな悠長にしていて良いのか?」
「何を………!!?」
やっと自分の剣が溶かされている事に気づいたようだ。
ザリガニの時みたいに一枚一枚変化させず、〔天翼〕全体の温度を変化させているから、
集中力をそこまで使わずに済む。
そして今回は温度を可能な限り上昇させた。
当然、葉っぱで作り出した剣はあっさり溶けていた。
セラフィムさんは一旦離れ距離をとった。
「いったいどの様な術を………」
半分溶けた剣を修復させながらセラフィムさんは呟く。
「戦いで敵に情報を与えるほど、俺は優しくないんでね」
「減らず口を…」
そういうとセラフィムさんは再び辺りの葉っぱを集め始めた。
「秘儀、百鬼漸殺!!」
するとセラフィムさんの辺りに集まっていた葉っぱが無数の刃と化した。
「いきます!でりゃぁぁぁ!!」
その葉っぱはセラフィムさんの号令によって俺へと放たれる。
「飛翔!」
「羽の人!」
歩とハルナが叫ぶ……が
「無駄だ」
そう言って俺は〔天翼〕をおもいっきり振るう。
今の〔天翼〕はフレアモード〔温度が高い状態の天翼〕であり、
当然この状態で振るえば空気に熱が伝わり、
ゴシュゥゥゥ!!
「なっ!!!?」
大きな熱の風が生まれる。
それはセラフィムさんが放った葉っぱを全て焼き尽くし………
「ぐっ!!」
セラフィムさんの元へ到達した。
セラフィムさんは咄嗟に葉っぱの盾を作ってダメージを軽減したようだ。
「先ほどから私の攻撃が全く通用しない!?」
セラフィムさんは吸血忍者でも上位の実力者かもしれない。
そんな自分の攻撃が、いとも簡単に受け止められているのだ。
もう既に俺との実力差を感じているかもしれない。…………だが
「参ります!」
セラフィムさんは再び剣を生成し、距離をつめてくる。
〔まだくるのか………〕
「秘剣、燕返し!!」
おそらくセラフィムさんの渾身の一撃だろう………しかし、
「こっちも、約束があるんでねぇ!!」
俺は6枚の〔天翼〕を一斉に操作した。
ガキィィィィィーーーーン
「私の………負けですね」
セラフィムさんは負けを認めた。
セラフィムさんの剣は俺に届くことなく〔天翼〕によって溶かされていた。
それに対して俺の〔天翼〕は剣を防いでいる以外の5枚の翼は、
それぞれがセラフィムさんの急所の一歩手前で止まっている。
完全に俺の勝ちだ。
「まさかここまでの実力とは………」
セラフィムさんは剣を消しながら言う。
「セラフィムさんも十分強いよ。最初の一撃は危なかったから」
俺の言葉にセラフィムさんは首をふる。
「いえ、それでもあなたの方が随分と上手だ」
それからセラフィムさんは俺に頭を下げる。
「先ほどの事、謝らせて貰います。
あなたの友人に失礼な事を言ってしまい、申し訳ありませんでした」
どうやらこの人は真っ直ぐな人らしい。
その瞳は既に綺麗なヒスイ色に戻っていた。
「わかってもらえたならそれでいいよ、セラフィムさん」
「私のことはセラと呼んでくれて結構ですよ」
「じゃあ俺も飛翔で構わないよ」
「では、良い試合をありがとう、飛翔」
「こちらこそ、セラ」
「おーい。二人とも!怪我ないか?」
セラと友好が深まったところで歩とハルナがよって来た。
「あっ、そうだ。歩、セラと試合しろよ」
俺は近づいてきた歩に言う
「はぁ!?なんで!?」
「だって元々ユーの下僕を決める戦いだろ?俺ユーの下僕じゃないし」
うな垂れる歩にセラが口を開く。
「そうでした、ではあなた、早々に構えなさい」
「はぁ、わかったよ」
そう言って対峙する二人。んで俺はというと………
「じゃ、俺は先帰るから」
「はぁ!?なんで……って聞くまでもないか。わかったよ、また後でな」
「おう、じゃあな」
そう言って俺は”約束”のために一足先に家に帰った。
「ただい・・・」
俺が玄関を開けるとそこには・・・
『おかえり』
ユーが直立不動で立って待っていた。
「ユー、もしかしてずっとこの状態で待ってたの?」
するとユーは少し俯きながらメモを突き出す。
『飛翔と一緒にお茶飲みたかったから』
ユーにしてはめずらしく長い文章。
それほど楽しみにしてくれていたのか、ユー……
「あぁ、約束だ。一緒にお茶飲も〔ニコッ」
『〔コクッコクッ』
俺はユーと一緒に居間に入った。
しばらくユーと一緒にお茶を楽しんでいるとセラが現れた。
「えっと………何しに来たの?」
俺は理由がわからなかったのでセラに尋ねる。
「歩との勝負は負けました。
ですが、任務は遂行しなければなりません」
あぁ、なるほど、俺は勘違いしてた。セラって全部が全部真っ直ぐなんだ………。
「って!?何でここにいるんだよ」
その後帰ってきた歩と1悶着あったがセラが歩の下僕になる事で話はまとまった。
その事で歩が調子に乗ったので
「うるさいですよ、このクソ虫」
と罵倒されてた。
ん?助けないのかって?当たり前だろ、100%歩が悪いもん。
余談
「あ、ユーちょっとこっち向いて」
ユーが飲んでいたお茶が唇の端から零れていたので、
ハンカチで拭いてあげた。
「よし、もういいよユー」
『ありがとう』
ユーの顔は少し赤くなっており、
その顔にとてもキュンときたのは内緒だ。