NARUTO~木の葉の九尾・逆行伝   作:宮柴 舟

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第五話

 その日は里が活気づいていた。

 それもその筈、この日をもって漸くいがみ合いを続けていた火の国・木の葉の里と雷の国・雲隠れの里との和平条約が締結しようとしていたからだった。

 里の顔岩広場に特設で作られた会場には屋台が並びちょっとしたお祭りのようであるが、実のところこれは波風ミナトの作戦でもあった。

 本来の歴史であれば粛々と調印式を済ませ、使者達は早々に自国へ帰る手筈となっていたところ空区に赴いたときに商人連中に根回しをしてこんな形にしたのだ。

 

 

 またこの作戦を行うにあたってミナトは助力を得るためにとある忍と密談を行っていた。それは日向と邂逅した翌日に遡る。

 

 

 ~~

 

 

「ようやく雲と条約を結ぶ事ができるのぅ、あまり気乗りはせんがとりあえず一段落じゃわい」

 

 火影の執務室でパイプを片手にそう呟いたのは猿飛ヒルゼン、木の葉の里現三代目火影である。そして忌々しく裏の火影ともいわれる志村ダンゾウが相槌をうつ。

 

「ふん。珍しく意見の一致だ。納得できんのは儂もだが、大名の言もたまには聞かねば今度はそちらに亀裂が出来るだろう。今回は折れてやる」

 

「まぁそういうな、こうして形だけでも呈を整えねば進むものも進むまいて…」

 

「里との条約などあって無いも同じであろう。裏では当事者である雷の国と雲隠の里が繋がっているのではないのか?その裏ではどのような陰謀策略が巡らされているか…いやはや」

 

 恐らくはそうであろうなとヒルゼンも考えていた。

 砂の国との同盟も表向きはお互いを支えあい共に発展していこうと結ばれた条約であるが、裏を返せば他里へのけん制、そしてこの停戦中に少しでも里の力を増強しようという意思が汲み取れる。

 そんな愚痴話をしている最中、閃光と共に火影の執務室に何者かが突然現れる。

 ふたりは年は取っても流石は忍、敵襲かと即座に身構えながら現れた人物を一瞥しそこで改めて驚愕する。その姿には見覚えがあったからだ、金色の髪に蒼眼、童顔にもみえるが容姿端麗の青年。波風ミナトであった。

 

「お、おぬしはミナト!」

 

「なに波風ミナトか!」

 

「どうも、お久しぶりですヒルゼン様にダンゾウ様」

 

 驚愕する二人に対してどこまでもマイペースに話すミナト、しかし火影こと猿飛ヒルゼンおよび志村ダンゾウは警戒を解くことなく怪訝な顔をしつつミナトを見極めようと努める。

 

「おぬし、本物か・・・生きておったのか・・・だがあの時たしかに・・・」

 

 確かに封印術を使って命と引き換えに死んだはずでは?と言葉を続けようとしたヒルゼンより早くミナトが先に口を開く。

 

「ええ、たしかにあの時は自分を犠牲にしてでも…と術を発動させたのですが、どうやらその気持ちは妻のクシナも同様のようでしてね、二人の術が多重に発動した結果事故というか、結果的に息子の中に九尾共々三年間も封印されてしまいました」

 

 あははとごまかしながら警戒を解かない二人に今までの経緯をミナトはかいつまんで話しだした。

 当初納得していなかった二人であったが、「なら私が知ってるヒルゼン様の”秘密”の小話もお教えします。」とヒルゼンとミナトしか知らない秘密を暴露すると。

 

「ほぅ、また1つつまらぬ秘密を知ってしまった。まったくお主も変わっておらんな…ヒルゼンこれは貸一つとさせていただくぞ(艶本の保管場所など、まだ枯れておらんのか)」

 

 とダンゾウに弱みを握らせる結果となったが、証明することが出来た。ちなみにヒルゼンの秘密とは大人の本の隠し場所および好みの傾向についてであるが特筆することではないため省く。

 

「・・・自分を証明するのに儂の秘密をダンゾウに聞かせるとは、恨むぞミナトよ。ゴホンッ。しかしおぬしが生きていたとなると四代目として再就任するという事でよいのか?」

 

「そのことですが、雲隠れの里との和平条約調印式でというのはどうでしょうか?今からならばぎりぎり調整がつくと思うのですが」

 

「急じゃな…だが丁度いいかもしれん。明日には火の国の大名連や木の葉の上役が集まる手筈となっておる、そこで今一度おぬしの再就任について話せばよかろう・・・してどうその方向にもっていくかじゃが」

 

「ふむ、儂としてもお前が火影に再就任することに異存はない。協力してやろう。お前の事だなにか策があるのだろう…ただ経緯が経緯だ、昔の様にはいかぬやもしれんそこは留意しろ。まずはこれまでの空白期間に何があったのかを詳しく聞く必要がある、話してもらうぞ(ミナトが火影のほうが儂としては動きやすいだろうしな)」

 

「スムーズにいきそうで良かった。では面倒ですがなるべく内々に調整を頼みます。私はこの後協力者に挨拶をしたいと思ってますので一旦これで」

 

 その話を聞いてホッとしたのもつかの間、ミナトが話早々に出て行こうとしたが問屋が卸さなかった。

 本当にミナトなのかということを証明するためにミナトは数刻拘束される羽目になったのである。

 

「まぁまてミナトよ、”儂は”信じるがそれでも周りが信じないこともあり得るでのぅ、情報部らと協力してチャクラ照合をさせてもらうぞ(ミナトよ暴露の恨みは少しでも晴らさせてもらう)」

 

「情報は弱点にもなるんですが・・・この場合は仕方がないですね。結果は後日全て消去させていただきますよ(むしろ経緯の説明をするほうが面倒かな)」

 

 その後ヒルゼンは相談役である水戸門ホムラ、うたたねコハルを呼び出し極秘で検査を行うこととした。

 クシナもミナトに呼び出され共に検査することなったが、検査よりも今までの経緯を話す方に気疲れを起こしたのは言うまでもなかった。

 

 

 ~~~~

 

 

 ようやく検査を終えたミナトとクシナはその足でとある一族が住む地区へと足を運んでいた。その一族の姓は”うちは”。

 二代目の政策以降この一族はある区画に押し込まれ24時間の監視を行われている。また先の九尾事件以降、里の警戒がより強くなっているという。だがそんなことは気にもせず二人は適当な変装をして通りを歩いていた。

 

「ひゃー懐かしいってばね。ここってミコトの住んでる区だってばね」

 

「クシナはミコトさんと仲が良いんだったね。でも今日の目的はフガクさんに会うことだよ」

 

「私はミコトやイタチ君、サスケちゃんと会って遊びたいってばね」

 

 別に遊んでもいいけどサスケちゃんって…あぁそっか、クシナは青年のサスケ君とは会ってなかったねと思だしミナトは敢えて今後の策について話さず自然体で対応してほしいとクシナに話す。そしてフガクが住んでいる家につくと

 

「すいません、フガク殿はおられますか」

 

 と玄関の扉越しに声をかける。とすぐにガラガラと扉が開き一人の少年が出てきた。

 

「どちら様でしょうか?(…変装?…どこかで見たような)」

 

 でてきた少年の名前はうちはイタチであった。

 

「ん!イタチ君か、久しぶりだね。フガク殿はいるかな。今日お会いすることになっているんだ。(たしかアカデミーを卒業しているんだったかな、今考えるとほんと凄い子だね)」

 

「え?えっとすいません。今父を呼んできますので少々お待ちください。(久しぶり…?以前どこかで…?)」

 

 そういって奥に消えるイタチ。

 

「変装してるし、死んだことになってる私たちを初見で見破れるわけないってばね」

 

「そうかなぁ、彼はキーパーソンの一人、もしかしたら見破るかもしれないよ」

 

 そんな話をしているとイタチと共にフガクとミコトが出迎えるために出てきた。しかしここで天然クシナがさっきの話も忘れたのかミコトたちに声を掛けた。

 

「あー!ミコト久しぶりだってばね。フガクさんも相変わらずダンディーでかっこいいってばね」

 

「「………」」

 

「あ、ついミコトに会えたのが嬉しくて地が出たってばね…」

 

 うーん、流石クシナ。僕が出来ないようなことをやってくれるねさすが僕の奥さんだよ、とはいえこれで手間が省けた。

 とミナトは思った。

 

「…えっと。その妙な口癖、もしかしてクシナ…でもクシナは…」

 

 ミコトはクシナに対して訝しみつつも質問する。それに対してフガクは咄嗟に写輪眼を使用して二人を確認していた。

 

「そのチャクラ…あり得ん…すまんがばれることを前提とした適当な変装を解いて説明してもらいたい」

 

「ん!もちろんですよフガク殿。とりあえずいろいろお話したいこともありますし中に入ってもよろしいですか?」

 

「あ、ああ。イタチよお茶を頼む。そちらの”奥方”もどうぞ」

 

「お邪魔します(流石フガクさん気が付いてくれましたか。まだ怪しんでるみたいですが)」

 

 フガクに居間へと案内されたミナトとクシナはイタチが持ってきたお茶を疑うことなく一杯飲みそれから変装を解いた。

 

「改めてお久しぶりですフガク殿、ミコトさん」

 

「「………」」

 

「フガクさんもミコトも久しぶりだってばね。イタチ君も大きくなって」

 

 ごくごく普通に挨拶をしたクシナを見てミコトは

 

「ほ、本当にクシナなの?化けて出てきたとか…まさか私にお迎えが…(私も短い人生だったわね…イタチ、サスケ。母がいなくてもしっかり生きていくのよ…)」

 

「おい、大丈夫かミコト(なに馬鹿なことを言ってるんだ。お前も写輪眼を使って二人を観察しろ)」

 

「・・・は、はい貴方(そ、そうね…写輪眼…写輪眼…ってどうやって発動するんだったかしら)」

 

 フガクがミコトに声を掛ける。ミコトもうちはの一族であり元上忍のくノ一であるが、忍を辞めて数年経っているため咄嗟に写輪眼を出す事が出来ず混乱していた。

 漸くうちは夫婦がそろって写輪眼を発動してミナト達を確認することができた頃、すっかり退室を忘れていたイタチは母も写輪眼を使うことができる事実に驚愕していた。

 

「(まさか母さんも写輪眼を開眼していたなんて…)」

 

「確認して頂けたみたいですし、話を聞いてもらってもいいでしょうか(イタチ君も驚いているみたいだけど気が付いたのかな?)」

 

 フガクは内心は驚愕しつつもそれを表に出すことなく声を出した。

 

「再度確認するが、貴殿は四代目火影・波風ミナト本人…で間違いないのか?」

 

「貴女もお馬鹿でお転婆で、お馬鹿な天然おしゃべり、負けず嫌いの”赤い血潮のハバネロ”クシナで合ってる…のよね?」

 

「な!なんでお馬鹿って二度もいうってばね」「あ、この反応本物だわっ」

 

「(まさか、四代目火影・波風ミナト様とその奥方であるクシナ様が生きてたんて…というかこれが母さん??)」

 

「この確認のされかた・・・何故かなっとくいかないってばね…」

 

 必死に驚きを隠しているイタチ。

 そして落ち込んでいるクシナをよそにミナトはこんな会話で本物確認されるクシナって面白いなぁと、再々度にわたって天然具合を笑っていた。

 クシナもミコトとの間に漫才のようなやり取りを何度か挟んだ後、ようやくミナトは今まで自分たちに何があったのかを話し始め、そして今後の事を話し始めた。

 

「…その話が本当ならば協力は惜しまない。しかし良いのか…お主の息子であるナルトも危険ではないのか?」

 

【だ、だから言ってるってばね、三年間ナルトの中に居たから歳をとらなかったってばね】

 

「確かな情報ですよ。危険は承知の上ですし、日向宗家であるヒアシさんにも既に伝えてあります。それにうちはの一族を一段上に置く為にも必要と考えてます(後ろで二人はなに話してるんだろうか…)」

 

【でも未だ24ってことはないでしょう、私なんてもう(三十路)…お、おかしいわよ最近白髪だって・・・羨ましい】

 

「判った、手練れを数人配置しておくように声をかけておこう(ミコトが声をあげて会話してる処をみるのは初めてだが・・・あいつも可愛いところがあるのだな…)」

 

【い・い・えっ。貴女は私と同じでもう”おばさん”よ、そうよイタチに確認してもらうわッ】

 

【なーっ、おばさん!!!まだ私は”お姉さん”で通用する若さだってばね。そこまで言うならサスケちゃんも呼ぶってばね!イタチ君。そうよね?】

 

【え?あの…(急に振られても困る…どうすればここから切り抜けられるんだ…A級任務より難しいよ父さん…助けてくれサスケ…)】

 

「ありがとうございます。フガク殿。…あ!一応当日までは僕たちのことは内緒ということで…」

 

 そういえば忘れてたとばかりにミナトはハニカミながらフガクに付け足した。

 

「なに?今更か…いや。うむ判った。まったく散々かき回しておいて最後に秘密とは…いやこの辺もミナトの性格だったな」

 

 といって笑いだすフガクだった。

 

「時にフガク殿…僕はミコトさんとあまり話したことが無くて知らなかったのですが。とても面白い方だったのですね(クシナは相変わらずお馬鹿だな)」

 

「う、うむ…いや私もあそこまで子供っぽい口喧嘩をする家内もそうだが、あんなに狼狽するイタチ見るのも初めてでな…少し困惑しているところだ(可愛い一面を見れて嬉しいが恥ずかしくもあるな)」

 

 そう会話を終えるミナトとフガクであったが、裏ではいまだにクシナとミコトの不毛な戦いが繰り広げられていた。

 

 

 ~~~~

 

 

「疲れたー、流石に今日は動きたくないってばね…」

 

「僕も、ともあれこれで最初の準備は整ったわけだし良しとしようよ。今後のことも話せたわけだしね」

 

 と二人は見つめあって微笑む。が邪魔するものが居た。

 

「ゴホンッ。ピンク色の空気を醸し出すのもよいが、なぜお前たちは当たり前のように儂の家にいるのだ」

 

 日向家当主のヒアシが、さも自分の家で寛ぐかのようにいつの間にか用意されていた炬燵に入ってぬくぬくしている二人をみて呆れたように声をかけた。

 

「いやーヒアシさん。実は僕たちまだ住む家がないんですよ。三年間放置されていた家を改装中でして」

 

「今住んでる処は三代目様の火影邸の離れで肩身も狭いってばね。ナルトと三人で暮らすにはすこし狭いし…その点ここなら広いし・・・あ、ちゃんと夫婦の(夜の)プライバシーは守るってばね」

 

 それに、息子の実家に成る予定でもあるし問題ないってばねと含み笑いをしながらクシナが続ける。

 

「わ、儂はまだ認めんぞ、一人娘を嫁に出すなどと・・・(しかし、あの九尾ナルトのモフモフ尻尾だけは認めてやらんでもない)」

 

「そういわないでくださいな、ミナト様の新しい家が完成するまでここに居候することを提案したのは私なんですよ貴方。それにクシナも料理の修業が出来るって喜んでますし」

 

「ぐぬぬ」

 

 それから直ぐに「ただいまー」と元気な声二つ聞こえてきた。

 

「あ、父ちゃん、母ちゃんお帰りだってばよ」

「父上、母上それからお父義様とお義母様お帰りなさい」

 

「へへっ、両親が二人づついるのってものすごくうれしいってばよ」

 

「うん、皆がいるだけで明るい気持ちになるね」

 

 と無邪気に笑いあう。さりげなくミナトとクシナを父義様とお義母様と呼んでいるあたり強かになってるヒナタである。

 

「(ナイスアシストだってばねナルト)」

「(流石息子、空気すら読めるようになっていたとは)」

 

「ぐぬぬ・・・」

 

「あなたもぐぬぬ、ぐぬぬ言ってないでちゃぶ台でも拭いておとなしく待っていてください。もうすぐ夕飯にしますから」

 

 こうしていつのまにか波風一家は住む家が完成するまで日向家に御厄介になることとなっていた。

 

 

 

 

 …そして12月27日を迎える。

 




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