NARUTO~木の葉の九尾・逆行伝   作:宮柴 舟

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第六話

 調印式当日

 

 木ノ葉の里の広場で大げさなセレモニーが開かれている中、ナルトはヒナタの部屋で待機していた。

 日向宗家の広間では調印式に参加していない一族一同が集まりヒナタのお披露目会を行なっている。耳を澄まして聞いていると笑い声に混じってヒナタ達の明るい声が聞こえてくる。

 

「ニシシ(どうやらあっちは今んとこうまくいってるようだってばよ)」

 

『そろそろ出番だ、こちらも準備しておけナルト』

 

 了解だってばよ九喇嘛と印を組み影分身で二人に別れると一人はヒナタ変化し、もう一人の分身の方はマフラーに姿を変える。それをヒナタに変化したナルトが首にしっかりと巻き付けた。

 

「(いよっし、変化も完璧。ちょっとやそっと殴られても変化は解けないってばよ)」

 

『流石は十八番忍術ってとこだが万が一ってこともある。気を引き締めておけよ』

 

「(大丈夫!任せておけってばよ)」

 

 前世の歴史では和平条約を結ぶ為に雷の国の使者が木ノ葉を訪れるが、裏では木ノ葉の秘密を探るため忍が暗躍していた。その際ヒナタの誘拐を試みるが失敗、実行犯は日向ヒアシに殺される結果となった。しかし計画失敗で自国の忍が殺されたことをいいことに木ノ葉に対し条約違反として理不尽な条件を突きつけたのだ。

 

「(それが血継限界を持つ日向家、つまり一族が持つ”白眼”が狙いだったってばよ)」

 

『木ノ葉との戦争を避ける為、また宗家を守る為に犠牲になったのが、分家ヒアシの双子の弟日向ヒザシか。たしかあのころのネジはこの事件がきっかけでひねくれていたんだったな』

 

「(うん、でも今度はそんなことさせないまま終わらせてやるってばよ)」

 

 とその時コンコンとドアをノックする音が聞こえると綺麗に着飾ったヒナタがやってきた。

 

「ナルトそろそろ交代。準備はできてる?」

 

「おう、問題ないってば『おいナルト、口癖も出ないようにしておけ。変に疑われるぞ』問題ないよ」

 

「ふふ、大丈夫そうね。とりあえず私の記憶通りならこのあと私は外に抜け出して・・・たしか裏の林で攫われたの」

 

 ヒナタは昔を思い出しナルトに伝える。ナルトは悪戯顔でヒナタを見ると

 

「解った、外に出てその場所までいってみる。ヒナタも作戦通りよろしく」

 

「ナルトも気を付けてね」

 

「心配ないって、”お守り”をヒナタが持っててくれる限り必ず帰ってこれるってばよ」

 

 そういってナルトは「じゃぁちょっと誘拐されにいってくる」とすこしおかしいセリフを残してヒナタと入れ替わりに外へと出ていった。

 ヒナタはもう一度「気をつけてね」と呟きナルトを見送るとそのまま部屋に残り白眼を発動させてナルトの様子をうかがうのだった。

 

 部屋の外に出たナルトは広間に集まる日向のみんなに「少しそこの空気を吸ってきます」と声をかけ門を出る。

 それを見たヒアシも「あぁ、暗くなる前に帰ってこい」と一言声をかけると目配せをする。

 

 門を出たヒナタ(変化ナルト)は少しうつむき加減にぽてぽて歩き目的の場所へと歩を進める。

 

「(さて、この辺がヒナタの言ってた場所なんだけど・・・ってさっそく気配を消し切れてねぇのが二人いるな・・・)」

 

『気付いてないフリしとけナルト』

 

 そして気配が真後ろまで近づいてくると

 

「悪いな・・・」

 

 と声が聞こえたと思うと首に手刀を下しナルトを気絶させる(ことはできなかったが気絶したフリ)をした。

 

「(いってー、もっと丁寧に気絶させろってばよ、ただいてーだけだってばよこの下手くそ)」

 

 気絶(のフリ)をしたヒナタ(ナルト)の手足に縄をかけ、手ぬぐいで猿轡をするとそのまま肩に担がれ里の外れまでそのまま運ばれていく。外れでは待ち合わせのためか忍が一人待機していた。

 

「首尾はどうだ?」

 

「こっちはうまくいった誰にも見られていない。それにこいつはどうやら日向家の嫡子のようだ」

 

「ほう。こちらは”予定外”があって私一人だけになったが問題ない。むしろ”予定外”が起こったことでここまで人が少ないようだ木ノ葉の警備も大したことないな」

 

「予定外とは?」

 

「なーに、接待を受けていてな、どうやら後重大発表とやらがあるそうで使者様が足止めを食っているだけだ。作戦自体はこのまま続行とのことだ我々だけで国まで帰るぞ」

 

「「了解」」

 

「(重大発表・・・向こうも上手く事が運んでるようだってばよ、しかしこの担いでる奴臭ぇし微妙に尻をさすってる気がして気持ち悪いってばよ・・・まさかロの付く変態さんじゃないだろうな・・・)」

 

『(幼少のヒナタを攫った時点でそれは確定かもしれんな…攫った後に確認してたぞこやつ)』

 

 気絶したフリをしているナルトはおしゃべりな忍の言葉を聞きつつそんなことを考えていた。

 それから一時間ほどして三人の忍は小さな湊町へ到着。そのまま一艘の帆船へと乗船した。ナルトはそこで初めて顔を起して周囲を確認する。

 

「(雷の国の御旗。この船ってば特使船?もしかしなくても国絡みの工作だったってばよ・・・)」

 

 すると陣羽織を着ている忍の一人がヒナタ(ナルト)に気が付いて話しかけてくる。

 

「おや気が付いたかお嬢ちゃん。下手な気は起こすなよ」

 

 コクン……「『(忍は見えるだけで4人…残りは多分この船員だろうな)』」

 

 とりあえず頷いておく。その間九喇嘛に言われた人員を確認する。

 

「ふっ、物わかりはいいようだな、それとも怖くて動けないか、ぐふふ・・・まぁいい連れて行け」

 

 そう一瞥して部下に指示を出す、どうやらこいつが忍頭のようだ。ナルトはそのまま船内の一室に連れてこられるとそこに閉じ込められ外からカギを掛けられた。

 

『どうやら倉庫のようだな…』

 

「(好都合だってばよ後は今日の主役に任せるってばよ)」

 

 そういって図太くも仮眠をとるナルトだった。

 

 

 ~~

 

 

 時は少し遡り、木の葉の広場では重大発表が行われようとしていた。

 使者達は早々に帰国したかったのだろうが、三代目火影より重大発表があると呼び止められ調印の後も木の葉式の接待を受けざるを得ない状況に陥っていた。

 そして締めくくりとばかりに三代目が壇上に現れると挨拶を始めた。

 

「さて皆の衆。このたび雲隠れの里と木ノ葉の里とで和平の条約が終結した。この嬉しい日にもう一つ嬉しい報告があるのじゃ…」

 

 と前置きをし続ける。

 

「儂こと三代目火影・猿飛ヒルゼンは今日をもって三代目火影の座を再辞職し、次火影に職を譲ることを宣言する」

 

 と公言した。

 その声を聴いて広場に集まる忍はもちろんのこと、広場に集まっていた一般人すらも声をなくし静かになるが、段々とざわめきが広がっていく。

 

「俺の聞き間違いか?火影を譲る?」

「いいえ確かに再辞職するっていってたわね」

「それはわかったが・・・次の火影とは誰ですかね・・・」ゴホゴホッ

「五代目ではなく次の火影といったぞ…まさか…」

「ええ、確かに次火影と三代目様はおっしゃっておりましたぞ」

「ま。まさか次の火影は俺様かーーうぉぉぉ」

「「「いやいやそれはない」」」

 

 と様々な声が上がる。

 

「様々な論議が広がっているようだが、すでに火影は三年前から決まっておる。安心しろ身元は儂が保証するわい。後は頼んだぞ…」

 

 やれやれとヒルゼンは壇上から降りて行った。するとドンドドンと広場から花火があがり黄色い閃光と共に檀上に一人の青年が現れる。

 金髪蒼眼、容姿端麗の青年その姿を見てある者は驚き、ある者は嬉し涙を流し、ある者はあいつならやりかねんと呆れた。

 

「皆、三年間待たせてしまったね。四代目火影波風ミナト、只今木ノ葉に帰還しました」

 

 と言葉少なに何とも火影らしくないがミナトらしい言葉で〆た。

 

「今のは飛雷神の術…まさか、…生きていたのか!」

「間違いない…ミナト先生…よかった生てたんだ…」

「きゃーっ、旦那様ーー。かっこいいってばねーーー愛してるってばねーーー♥」

「くっそーー。やっぱり火影は俺では無かったか…」

「「イルカお前はちょっと身の程をわきまえろよ(のですぞ)」」

「卒業したての下忍じゃ到底無理な話だな」ゴホッゴホッ

 

 様々な声が再びあったが、「偽物じゃないのか」などの多くの声に三代目の「正真正銘本物の波風ミナトじゃよ。なんならたしかめてみるとええわい」との鶴の一声があがると再び歓喜が里中からあがり再度四代目の座として迎えられていた。

 

 

 ~~

 

 

 その頃ヒナタに変化したナルトが船倉に閉じ込められてから数時間。船は洋上にあった。

 ナルトは船内にいる人数を把握するため仙術チャクラを練りはじめる。

 

「(やっぱり全部で11人…チャクラの量からみて其の内4人が忍…残りは普通の船員のようだってばよ…)」

 

『作戦開始だな。しかしミナトの奴も息子を囮にして…結構腹黒いところあるな』

 

「(なはは、提案したのは半分俺だけどな。まぁ信頼されてるってことだってばよ)っと…」

 

 ナルトは身をよじって器用に首元のマフラーを外すとそれが合図とばかりにマフラーが影分身のナルトにもどる。

 

「っとと、作戦開始だってば?…ずっとマフラーに変化してたからなんか体が変な感じだってばよ」

 

 身体の状況確認のため屈伸運動をしたのち影ナルトはオリジナルの猿轡と手足の縄を解放する。

 

「あー苦しかった。とりあえずこっちはここで様子見ながら待機しておくから、そっちは報告宜しくだってばよ」

 

「了解!早速頼むってばよ」

 

 ヒナタに変化したオリジナルのナルトは影分身のナルトにチャクラを送り込む。影ナルトはそのチャクラを利用してヒナタの持つ”お守り”目指して飛雷神の術で姿を消した。

 

「よし、これでオッケー。あとは待つだけだってばよ」

 

『(しかしナルト一人でも解決できる事件に、後々のことを考えて証人を作る作戦てのも案外面倒だな…)』

 

 九喇嘛はさもめんどくさそうにナルトの中で一人欠伸をしていた。

 ナルトは暇そうにしている九喇嘛を感じて運動不足なのかな?苦笑いをしつつもうしばらくじっとしているのだった。

 

 

 ~~

 

 

 木ノ葉の里では四代目の生存、再就任の報を聞いた里中が歓喜に沸いていた。

 本人確認のためミナトの周辺に集まり質問攻めなどにしていたが、それのどれもに正しく答え、本人であることを証明していた。また相談役の二人も本人であることを証言したことが決め手となり広場は興奮の坩堝と化していた。

 

 そんな広場の片隅でヒナタはその時が来るのをじっと待っていた。

 ヒナタに変化したナルトが誘拐されてからもうすぐ半日。とヒナタの後ろに突然気配を感じて振り向く。

 

「よっ、ヒナタ。お待たせだってばよ」

 

 とナルトが立っていた。

 

「お帰り、大丈夫だった怪我とかしてない?」

 

「おうっ、お蔭でこうしてすぐ戻ってこれたってばよ。っても影分身の方だから父ちゃんへの報告は宜しくだってばよ」

 

 誘拐されている本人が出ていくわけにも行かずヒナタに報告をまかせる。それもまた作戦の一部なのだ。

 

「うん、じゃ行ってくる。すぐに助けが行くから待ってて」

 

 ヒナタはそういうと四代目火影となった波風ミナトのいる壇上の方へ駆けていった。

 壇上付近ではホントにミナトなのか?といまだに大勢の忍が集まっていたが、その人混みの中を技術の無駄遣いとばかりに柔拳の体捌きですり抜け先頭まで行くと焦った感を表現しつつミナトに報告した。

 

「火影様、おっt…友達のナルト君が他国の忍と思われる人たちに連れていかれました。助けてください!」

 

 その声を聞いたミナトは、今までの温和な雰囲気からピンと張りつめるような雰囲気に切換、報告したヒナタを見つめ返す。それを見た周りの忍達もなにごとかと静まり返り二人に視線が集中する。

 

「ん!それは本当かい?(ごめんよーヒナタちゃん。怖い目つきで睨むようなことして)」

 

「…はい、待ち合わせの場所に行ったら何者かに担がれて行くナルト君の姿が見えました。額当てにはそこに飾ってある印と同じものがありました(部屋から白眼で見たんだけど)」

 

「雷の国の印が…」と呟くと雲の使者を警備していたうちは一族に向かってこう告げる。

 

「警務部隊!使者たちを”保護”してください。丁重にね、詳しく事情を聞かせてもらう」

 

 その声に警備の忍達が使者たちを瞬く間に拘束すると、三代目が殺気を押し殺しながら使者へと質問する。

 

「雷の使者よどういうことじゃ、舌の根の乾かぬうちにとはよくいったものよ…む、ナルトじゃと…(ミナトの情報通り事が動いたようじゃの…)」

 

 その言葉にピンときた木の葉の上層部やナルトの”事情”を知っている者たちはおそらく"九尾"目当てかと勘違いしただろう。使者たちは四方八方からくる殺気のこもった視線に耐えれなくなりつい話してしまう。

 

「ナルト?ち、違う。目的はそんなことで…あっ」

 

「いまなんと言った。目的だと…視線の先は日向の娘…まさか…」

 

 その声を聴いて再び周囲がざわつき始める。

 日向家といえば透視能力や動体視力、体内の経絡系を透視することができる血継限界”白眼”を持つ一族だ。

 

「より丁寧なご案内が必要のようですね。警務部隊、使者を特別室にお連れしてください。それと三代目様、申し訳ありませんが暫しこの場をお任せしてもよろしいでしょうか?」

 

「うむ、してミナトよどうする気じゃ」

 

「もちろん救出に向かわせてもらいます。ナルトは僕の"息子"ですから!」

 

 その言葉に集まっていた里の皆が再びざわつきはじめた。

 

「おいナルトとは誰だ?四代目様に息子なんていたのか?」

「ほら三年前から三代目様が保護してた九b…とにかくあの金髪の子供だよ」

「はぁ??あの子供が…えっ!そのナルトってのが四代目様の息子?ちょ、ちょっとまて、だってあいつは…」

「あの餓鬼…いやナルトに"アレ"を封印したのは四代目様?」

「本気か…あの時、里を救うために…自分の息子にあんなものを!?」

「じゃぁ四代目様は孤児じゃなく…自分の息子に…その…命懸けで封印したってことなのかよ…」

 

 里の皆はナルトことを三年前に木ノ葉の里で暴れた天災、九尾の妖狐を封印されただけの孤児と思っているものが殆どであった。

 

 前世では三代目が正しく事を伝えなかったが為に数年掛けてこの忌話が里に少しずつ広まり『化け物』、『化け狐』、『忌み子』など言われ里中から毛嫌いされるようになっていく。またこの時代のナルトも四代目火影であった父のことや元人柱力であったクシナのことは伏せられており、両親が命を掛けて里を守りナルトに九尾を封印したことも上層部や一部の者以外には三代目より伏せられていた。

 

 しかし、正しく話が皆に伝わったこのとき、初めて里の皆が気づいた。

 四代目様こそが、ナルトこそがあの時、木の葉の里を救った英雄だったと…

 

 ざわつく周囲をよそにミナトは少し作戦を練るふりをしつつ周りを見渡す、そして作戦の協力者であるうちはフガクを見つけると声を掛けた。

 

「そこにいるのはうちはフガク殿ですね。私と一緒ナルトの救出に協力してください」

 

 突然名前を呼ばれたフガクに見えたが、事前に打ち合わせを行っていたフガクは臆することなくミナトの傍にくる。

 

「貴方が近くにいてくれてよかった。フガク殿がいればスムーズに救出が行えそうです」

 

「いったいどうするつもりだミナト…いや四代目よ(出番のようだな)」

 

 フガクはミナトに対し言葉を改めて尋ねる。

 

「これからナルトの元へ私の術で一緒に飛んでもらいます」

 

「ふむ、飛雷神の術だな」

 

「ええ、フガク殿ならば実力を知っています、実行犯も生きたままとらえることも容易い。何より信頼できます」

 

「わかった、しかし二人では些か少なすぎる。実行犯の数も分からん、他にも協力者を…」

 

 とフガクが回りを見渡す。

 

「私にも手伝わせてくれ、ミナトよ」

 

 そこにはしっかりと忍び装束を身につけた日向の者がいた。

 

「ヒアシさん…」

 

「事は日向の一族より報告を受けた、聞けばヒナタ様の代わりに四代目の子が攫われたと」

 

「しかし貴方も日向の一族、万が一の時は・・・」

 

「覚悟はできている。それに日向が欲しいならくれてやる。私の”拳”をな」

 

 それを見たミナトは決断。

 

「三代目様すぐ戻ります。フガク殿、ヒアシさん、よろしくお願いします」

 

 そう口にし二人の肩に手をおいた瞬間飛雷神の術が発動。一瞬、黄色い閃光が残像として消えていった。

 

「木の葉の黄色い閃光…間違いなく本物の波風ミナト…じゃな」

 

 その三代目の声が再び木の葉に”木の葉の黄色い閃光”を認識づけた瞬間であった。




長らくお待たせしました。

文章とかグダグダですが生ぬるい目で気長に…くれぐれも気長にお待ちください。
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