「隊長!」
銃声が響く。倒れる敵兵、燃え盛る敵車両。味方が一発撃つたびに自分よりも遥かに背の低い敵兵が倒れていく。
人工島『エデン』
が、未だに無人の区画も多いためか、犯罪組織の隠れ家が多く、現在もある犯罪組織が隠れ家にしていた場所をエデン治安維持軍が強襲し、戦闘状態に陥った。
「隊長!相手はまだ子供です!」
「だったらどうした?」
新人と思わしき女性兵士と老年の兵士が言い争っている。
内容は犯罪組織によって誘拐された子供達が洗脳され、少年兵に仕立て上げられた。そんな子供たちを殺すのか。というものだ。
「いいか?入隊するときに言われただろう。『君たちこそ正義の味方だ』だと」
「だからこそ・・・・・・」
「けどな、俺たちが守っているのは『楽園政府』の正義だ」
「・・・・・・!」
「わかったか?だったら正義の味方は正義の味方らしく敵を殺せ。それができないんならやめてもいいぞ?」
そう言いながら
「・・・・・・私に、どうしろって言うんですか」
少女はただひとり、立ち尽くすのみだった。
~~~
「・・・・・・撃破」
B物質製対戦車ミサイルが発車された。
狙った先はチャンバー。大きめの戦車を人型ロボットにしたような陸上戦闘兵器のセンサーに勘付かれることなく、ミサイルは着弾。装甲を融解しながら爆発する。
第一世代機【ギャラハット】前方にある大型シールドと対人軽装機関砲を装備しているそれは、前方に防御が集中しているため背後の装甲が薄くなった技術的な欠陥機だ。そのため、真横からミサイルを打ち込まれただけで姿勢維持装置が破壊されて身動きがとれなくなる。
(
特異物質による神経無線通信式遠隔操作技術は発達しすぎて、痛覚までも伝えすぎてしまうことがある。
一切感情のない目をした少年は、その近くにいた敵兵を拳銃で撃ち殺す。黒いコートに様々な機能のついたゴーグルと対ガス用のフェイスマスク。
手には対戦車用携帯ミサイルランチャーと50口径の拳銃で武装していた。
『夕、どう?そっちにはチャンバーいたけど・・・・・・』
「うん、潰したよ。でも強い奴が来るからまだ合流できない」
無線機越しに柔らかい声が聞こえた瞬間、先ほどとは打って変わって人懐っこい笑みを浮かべる少年・・・・・・夕死狼。
―――――――あれから五年。
成り行きでやっていた殺し屋兼エレオノーラの護衛の仕事は相にあっていたのか今でも続いている。
その間に触れたエレオノーラの優しさは替えがたいものになっており、信頼以上の仕事をこなし、恩返しをしたいと思ってもいた。
『援軍は?』
「大丈夫」
『絶対帰ってきてね?』
「うん」
心配気味の声に短く答える夕死狼。連絡を終えた瞬間、右に飛ぶ。
ガガガガガガガ!
軽機関銃の弾丸が先程までいた地点を穿っていた。
ヘルメットに黒い軍服を着た老齢の軍人、メガル分隊長がそこにいた。
ガガガガガガガ!
相手が少年だろうと迷わず攻撃するメガル。しかし、夕死狼は避けることなく立ち尽くす。
(随分ちょろいな)
そう思った矢先に夕死狼の正面、何もない中空が揺らいだ。
瞬間、夕死狼に降り注ぐはずだった銃弾の雨は夕死狼の目の前で停止する。
「これは・・・・・・空間操作能力者!」
表情を驚愕に染めながらリロードする。
そのまま、能力の抜け穴がないか確認するために再度攻撃する。
すると今度は空間操作による防御を行わずに回避する。
「どうやら、そんなに連発できないみたいだな」
「・・・・・・排除」
質問に答えるつもりもなく、それだけ言うと何もない空間からナイフを取り出し、投擲する。
「うぉっと!」
アンカーガンを廃ビルに打ち込み、上へと飛んで回避するが、ナイフが刺さったのか軽機関銃は破壊されていた。
「・・・・・・ちっ」
渋々腰にある高周波ブレードを引き抜き、構える。
構えた先には空間操作で移動してきたのか夕死狼の姿があった。牽制用にアンカーガンで攻撃する。
すると空間操作を使って防御する。
ボロボロと崩れるアンカーを目尻にメガルは肉薄する。
このまま高周波ブレードを薙げば、夕死狼は首を切り落とされて絶命するだろう。
勝利を確信して笑みを浮かべる。
・・・・・・横に薙いだ高周波ブレードは、黒い波紋に削り取られて夕死狼に当たることはなかった。
「しまっ―――――――!」
「排除完了」
メガルは自らが振った高周波ブレードによって切り裂かれ、絶命した。
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【犯罪組織『カリュオス』壊滅。
四大組織との抗争によって致命傷を与えられた後に、軍の襲撃に合った模様】
【なお、エデン平和維持軍に死傷者多数。
それ以外にも5ヶ月に渡って行われた児童誘拐事件被害者が戦闘に加担、児童129名の死亡を確認】