第2話 望まぬ転校
ジョエルが目を覚ますと、学校の保健室のようなところだったジョエルはまず喉元を触り確認するとあるものがないとわかる
焦り辺りを見ると、机の上に置いてあることが分かりホッとした
それは指輪だった、指輪に紐を通してネックレスのように首に掛けれるようにしたものだった
ジョエル「良かった、無事か…」
ジョエルは指輪のネックレスを首にかけると今度は自分の体の確認をする、右腕にはギプスがされていて、左胸には何も違和感がなかった
ジョエル「おかしいな、肺は潰れているはずだが…」
「あら、目覚めたみたいね、具合はどお?」
そこにいたのは紫色の長髪に眼鏡をかけ、青い制服にセーターを着た少女が歩きよってくる
ジョエルはその青い制服を見ると、急に顔が険しくなる
そう、ジョエルが嫌う私立グリモワール学園の生徒だった
ジョエル「ということはここは…」
「ええ、ここは私立グリモワール学園よ、あなたが運ばれてきたときには驚いたわ、かなりひどい状態だったから」
ジョエルは痛みを我慢しながら立ち上がると出口まで早歩きで出ようとする
「ちょっとどこ行くの!?、まだ治ってないんだから動いちゃ…」
ジョエルは少女の声を無視して保健室を出る
それから校舎を出て、校門まで歩いたとき
「あの!、待ってください!」
ジョエル「・・・」
ジョエルは無視しながら歩くと、その真後ろで何度も声をかけられる
ジョエルはひたすら無視を続ける、どうせこの学園の生徒だ、関わりたくないと、そう歩き続けると
「空条さん!、生徒会長が呼んでいるんですよ?」
そう言うと少女はジョエルの左手を掴み止めようとする
ジョエルは魔法使いに触れられたことで怒る
ジョエル「触るな!、…お前は…」
ジョエルが振りほどくと手を掴んだ少女は驚き、すみませんと謝る
その少女は茶髪で頭にオレンジのリボンを着けた青い制服の生徒だった
ジョエルは昨日、魔物から助けられた少女だと思い出す
ジョエル「昨日の魔法使いか」
智花「はい、先日は早く助けにいけなくてすみませんでした!
私、南智花といいます。よろしくお願いします、空条さん」
ジョエル「何がよろしくだ、俺はもう二度とあんたとは会わねえよ…」
そういって立ち去ろうとすると智花が引き留める
智花「待ってください、どこへ行くんですか!?」
ジョエル「構うな、帰るんだよ」
智花「ですから、生徒会長が呼んでいるんですよ!
だから生徒会室に来てください!」
ジョエル「…胸糞悪くなる」
智花「え?」
ジョエル「いいか、4つだけ伝える
まず1つ目に俺は魔法使いが宇宙一嫌いだ
2つ目にこの学校には一秒でも長く居たくない
3つ目、生徒会長には絶対会わないと伝えろ
そして最後にもう二度と、俺に話し掛けるな、それだけだ」
そう言うとジョエルは歩き去ろうとする、智花は困り果てた顔でジョエルを見つめる
その時、また一人の少女がジョエルに話し掛ける
「おいまて、そこの男子」
ジョエル「・・・ちっ、今度は誰だよ」
声をかけたのは黒髪のロングヘアに刀を帯刀した青い制服の少女だった
ジョエルはまたかと、舌打ちをしたあと
ジョエル「話し掛けるな、俺はもう帰るんだよ」
「そうは行かない、智花を怖がらせるなそれに生徒会室に来てもらうからな」
智花「れ、怜ちゃん、私は大丈夫だから…」
怜「いや、これは友人として見過ごすわけには行かない、風紀委員としてもだ」
ジョエル「やれるもんならやってみろ、その刀で俺を斬るか?」
怜「・・・」
ジョエル「・・・」
その後二人はにらみ合いを続ける、智花は二人を止めようとするが話を聞かず、この状態が周囲を硬直させた
だが一人の少女が突然二人のにらみ合いを両手にもったカメラで写真に納める
「スクープスクープ!、電撃的激突!?、転校生と風紀委員の戦い!、これは大スクープだわ!」
智花「あ、夏海ちゃん・・・」
それから夏海と呼ばれる少女は二人の周り、間、横顔等を様々な角度でシャッターを切っていく
うっとおしく感じたジョエルは夏海を睨み付ける
ジョエル「うるせえな!、さっきからなんなんだてめえは!」
夏海「私?私は岸田夏海、ジャーナリストのタマゴよ!
そんなことよりインタビューさせて、今ね、転校生の特集を書いてるの、だからこれにあなたのを入れたいのよ」
ジョエル「なにいってんだ?、転校生?、俺は転校した覚えは1つもねえぞ?
第一どこに転校すんだよ」
夏海「どこってここによ?」
ジョエル「ふざけてんのか?ここは魔法学園、魔法使いに覚醒した奴だけが入れんだろうが
俺は覚醒なんて・・・」
智花「あの、してますよ?」
ジョエル「・・・は?」
ジョエルは突然の言葉に動揺を隠しきれなかった、急に自分が憎んでいる魔法使いにあなたは魔法使いになったと突然言われたからだ
ジョエルは智花を睨み付ける
ジョエル「てめえ、冗談も程ほどにしろ、俺は魔法使いが宇宙一嫌いだってな
俺にとってはそれは喧嘩売ってるのと同・・・」
その瞬間カシャリと音がして左手首に何かが巻かれた
金属製の手錠だった
手錠をかけた本人を睨み付けると怜がロープを手錠に結び付け
怜「お前を拘束した、来てもらうぞ、転校生」
っと、ククイと引っ張り、誘導する
ジョエルは頭に血を上らせながら誘導にしたがった
生徒会室前につくと怜はノックをし、ジョエルは部屋に入れられる
そこには、金髪のロングヘアに白い制服姿の少女と藍色の髪を束ねた白い制服姿の少女が待っていた
怜「転校生を連れてきました、では失礼します。」
怜が手錠を外して部屋から出るとジョエルは大きく溜め息をついた
ジョエル「何の用だ、俺はここに居るつもりは全くないぞ」
金髪の少女は前に出て、自己紹介を始めた
虎千代「まずは自己紹介をしよう、アタシは武田虎千代、私立グリモワール学園の生徒会長だ」
薫子「私が副会長を勤めております、水瀬薫子ですわ、以後お見知りおきを」
ジョエル「見知りたくない、とっとと学園から出させろ」
虎千代「それは出来ない、これはお前のためでもある」
ジョエル「・・・ためだと?、本当に俺のためになりたいんならこっから出せ
俺はここにいたくはないからな」
薫子「良いですか?これから学園から出せない理由を2つ申し上げます。
まず1つ目にあなたは魔法使いに覚醒した」
ジョエル「してねえよ、したくもねえし」
薫子「きちんと反応が出ましたわ、観念なさったらいかが?」
ジョエル「・・・」
虎千代「それにな、もう1つの理由が重要なんだ、それはお前が今までにない能力を持っているからだ
お前は普通の魔法使いの何倍、いや何百倍の魔力量を秘めている
そしてその魔力を他人に分け与えることができる」
ジョエル「他人に?」
虎千代「そうだ、膨大な魔力を他人に渡せる
これは戦いを有利に進められるだろう、だがそれと同時にお前の能力を利用しようとする者も現れる
そういった輩から守ろうと思っている」
ジョエル「どっちにしろ俺を利用する気だろうが、とにかく俺はここに通うつもりはない」
ジョエルはそう言うと部屋を出ていった
外に出ると、聞き耳をたてていた夏海と心配そうに立っていた智花がいた
怜は腕を組み、ジョエルをみていた
智花「もう大丈夫なんですか?」
ジョエルは無視をしてそのまま帰ろうとすると智花が前に出てくる
智花「あの、これから学園を案内しますので、ついてきてくれませんか?」
ジョエル「・・・さっき言ったよな、もう二度と話し掛けるなと・・・」
夏海「ちょっとあんたね!、いい加減にしてよ!、女の子に対して酷いとは思わないの!?」
ジョエル「魔法使いは魔法使いだろうが、知ったことじゃ・・・」
智花「いいの、夏海ちゃん…気にしてないから…」
智花の手は微かに震え、少し声が震えていた、それを見たジョエルは舌打ちをしたあと頭を掻いた
ジョエル「はあぁ…どこに行くんだよ?」
智花「え?」
ジョエル「案内すんだろ、ついてってやるが学園に入る気はないからな」
智花「あ、ありがとうございます!」
怜「智花、私もついていた方がいいか?」
智花「大丈夫だよ、では行きましょうか、空条さん
あ・・・話しちゃ・・・」
ジョエル「・・・今日だけだ」
智花「は、はい、こっちです」
ジョエルは不満そうだが、智花についていった
夏海はジョエルの後ろ姿を見ながら
夏海「さてと、どんな記事にしようかな
さっきのスクープもいいけど…」
智花とジョエルがしばらく歩いていると、後ろから誰かが走ってくる
ジョエルは足音が気になり、振り返ってみると
「早く行かないと遅刻しちゃ…ん?」
ジョエル「・・・ん?」
「あんた…もしかして」
智花「月詠ちゃん、この人は空条ジョエルさん、この学園に・・・」
ジョエル「拉致られただけだ、転校は一切しない」
月詠「ふーん、転校はしてないのにここに入れるわけないじゃん、覚醒したんでしょ」
ジョエル「・・・」
月詠「見たところフツーね、ひ弱そうじゃない!」
智花「月詠ちゃん、弱くないよ、この人は・・・」
月詠「だったら試してみようじゃない、ツクより強いわけないんだから!」
智花「え、でも・・・」
ジョエル「めんどくせー・・・」
月詠「こっちよ、ついてきなさい!」
移動後、訓練所にて
そこには様々な魔法で的に攻撃を繰り返す人たちで集まっていた
そのなかで指導を行っていたのは、赤髪に白とグレーを基調にしたコート、赤のブーツを履いた少女だった
月詠「ついたついた、みんなー」
「遅い!10分も遅刻だぞ、守谷!」
「言っただろう、私が着任したからにはだらけることは許さんぞ!」
月詠「わ、わかってるわよ、エレン・・・でも聞いて、転校生、連れてきたわよ!」
ジョエル「俺は転校生じゃねえ」
エレン「転校生…?、それがどうした、貴様の遅刻になんの関係もない」
エレン「私が転校生を連れてこいと言ったか?」
月詠「うぅ・・・」
「よーよー、まあいいじゃねえか」
すると横から金髪に茶色のジャケット、ベルトには八丁の拳銃をしまっている少女が歩いてくる
「さっさと始めちまおーぜ、遅刻の罪は体でわからせてやるよ」
智花「あ、あの・・・訓練を始めるならわたしたちは・・・」
「いいや?アタイはそいつに興味があるぜ?」
智花「そんなぁ…メアリーさん…」
エレン「メアリー、やめろ…精鋭部隊のエレン・アメディックだ」
エレン「守谷が勝手に連れてきて悪かった、こちらの都合で悪いが、今は貸切だ」
メアリー「みずくせぇーこと言うなよなぁ、エレン」
メアリーはジョエルを見ながら言った
メアリー「せっかく来てもらったんだ、見せてもらおうじゃねーか」
メアリー「『紅雪の恨み子』様の実力をよぉ…」
ジョエル「・・・!!!」
その時ジョエルの血相は一変し、拳を握り締める
智花はジョエルに声を掛けるがジョエルには聞こえていなかった
月詠「紅雪の恨み子?、なによそれ」
メアリー「紅雪の恨み子ッツーのはな…」
ジョエル「黙れ!!」
ジョエルの怒鳴り声は訓練所中に響き渡り、周囲から注目させる、ジョエルは腕の痛みで我に返り、深呼吸し落ち着かせる
エレン「メアリー、それくらいにしておけ」
智花「あの、大丈夫ですか?」
ジョエル「言っとくが魔法の才能はゼロだ、学園にいなくてもいいくらいにな…」
エレン「…今日は訓練時間を延ばすか…」
智花「えっと、じゃあやってみましょう
今から簡単な魔法をお伝えしますので」
そう言うと智花は丁寧に魔法の使い方を教える
智花「どうですか?、これが命令式です、これに魔力をドンッと放つだけです」
そこに息を切らしながら走ってくる少女がエレンに駆け寄る
「はぁ…はぁ…走ってきたぞ」
エレン「来栖、ちょうどいい新しい転校生の実力を見るところだ
お前も見ておくといい」
焔「時間の無駄だ、一人で訓練してる…」
エレン「…来栖焔…」
焔「…ちっ、わかったよ」
メアリー「おーし、準備出来たな、やってみろや」
月詠「ふん、ツクより才能あるわけないでしょ!」
智花「ではあの的に向かって…どうぞ!」
ジョエルは左手を的に向け魔法を発動させる、が、反応はなかった、何度も試すが一向に魔法は発動しない
ジョエル「…出ないな」
智花「えっと、多分属性の相性が悪いんですね、他の魔法を試してみましょう」
そして他の属性を試すが何一つ発動しなかった
智花「……」
エレン「……」
メアリー「……」
焔「…だから、時間の無駄じゃねえか」
月詠「あははは!、ぜんっぜん魔法が出ないじゃん、何回やってんのよ!」
月詠「どの属性試しても出来ないなんて才能ないんじゃないの!?」
ジョエル「…なら決まりだな、才能がゼロならいくらやっても無駄
だったらこの学園にはいなくていい存在だ」
メアリー「なんだよ、ふてくされてんのか?」
ジョエル「ふてくさる?、願ってもないことだ、これで正当な理由が出来た、魔法が一切使えないから学園にいる意味はない
ということだ、だから俺はこれで出ていかせてもらう」
エレン「待て、そんなことで諦める気か?」
ジョエル「諦める?俺はここに居るつもりは微塵もない、魔法使いのいるここにはな」
エレン「…逃げてどうするつもりだ?」
ジョエル「……どうもしない、ただ生きるだけだ、普通に生を終えるそれだけだ」
焔「…ほっとけよ、そんな腰抜けは」
ジョエル「…腰ぬけでも臆病者でもなんと呼んでくれても構わない、俺はただ、魔法使いと顔を合わせたくないだけだ」
そう言うとジョエルは訓練所を後にする智花はジョエルを追いかけていった
月詠「なによ、あの弱虫…」
エレン「メアリー、さっき言っていた『紅雪の恨み子』とはなんだ?」
メアリー「アタイも聞いただけでしらねーけど、9年前の大規模侵攻のある地区のたった一人の生き残りらしいぜ?」
エレン「9年前…北海道か?」
メアリー「ああ、その生き残りはまだ7歳のガキで帰ってくるなり魔法使いに怒鳴り散らし石を投げつけたらしいぜ」
月詠「何でそんなことしたのよ?」
メアリー「んなもん知るわけねーだろ、それよりもてめーは遅刻を償ってもらうからな」
月詠「ひ、ひぃ…」
そう言うとメアリーは月詠を引きずっていった
ジョエルは校門の前まで行くと、智花が声を掛ける
智花「空条さん、待ってください。」
ジョエル「案内は終わりだ、俺は帰る」
智花「メアリーさんたちの言うことは気にしないでください
私の教え方が下手なだけで」
ジョエル「いや、お前の教え方はかなり丁寧だ、俺でも十分理解できた、それでも出来ないのは才能がないからだ」
智花「だからって出ていかないでください!、才能がなくても頑張れば…」
ジョエル「……俺はな、別に才能ないからとかそういうのを言ってんじゃねえんだ
いたくないんだ、この学園に、魔法使いに会うのが嫌なんだよ」
ジョエル「…お前ら魔法使いを見ちまったら、あの夢が…」
智花「…夢?」
ジョエル「とにかく、あの生徒会長には諦めろと伝えろ」
そう言うとジョエルは校門を抜けて歩き出した
ジョエルは歩きながら思った、また見るんだろうな、あの夢を…と