2016年最後の投稿です。
来年から受験だよぉ……嫌だなあ……
皿洗いが終わり、松本さんが妹たちの部屋に戻ると、五十嵐の想像とは違い、普通に寝ていたらしい。
一方五十嵐は風呂掃除をしていた。
「妹たちは今日は風呂入らないかな?となると俺が久しぶりに一番風呂か…」
五十嵐家では妹たちが3人同時に入るので、それらを一番に風呂に入れ、次に母が入ってから最後に五十嵐なのだが、明日は日曜で休みなので順番が変わり、五十嵐が二番目になる。
しかし、妹たちは爆睡中なので自然と五十嵐が一番風呂になる。
「とはいえ、今日は松本さんがいるんだ。俺が先に風呂に入るわけにはいかないか…」
「光希」
「母さん!?今日はやけに元気だな…」
「そりゃそうよ。光希が初めて知り合い以外の女の子連れてきたんだもの。元気にならないわけないじゃ……ない……の」
「最後は死にかけてるが……まぁいいか。母さん。今なら挨拶に行ってもいいんじゃないか?松本さんもまだ起きてるだろうし」
「わかったわ…。頑張って……くるね」
なんだろう。この不安な気持ち。たかたが挨拶しに行くだけなのに死を覚悟する人のような姿が見えた。
母が二階に上がるのを見届けると、五十嵐は風呂掃除を再開した。
「母さんは松本さんに何を言いに行くんだ?これからも息子をよろしくお願いします的なものかな?」
五十嵐は少し考えるが、大して問題はないだろう。と風呂掃除に専念した。
一方、五十嵐母はなんとか妹たちの部屋にいる松本さんに会うことに成功していた。
「こんばん……は」
「えっ?こ、こんばんは…」
「光希の母、深雪です…いつもお世話になってます…。その、迷惑とか、かけてないですかね…?」
突然の挨拶に戸惑う松本さんだが、いつものように、お客様に何か言われた時のように普通に対応する。
「あっ…はい!全然迷惑とかかけてないですよ!真面目で、ちゃんと仕事してますよ!」
「そうですか……なら…よかっ………た」
もう、後悔はない。と言わんばかりに倒れると、さすがの松本さんも戸惑いを隠せなかった。
「え!?どどどうしたんですか!?」
「……いつも以上に動いたから……疲れたの」
「え……で、あの……お母様の部屋はどこですか?私が連れて行きますから……」
松本さんは母を背負って一階に降りて、リビング近くの部屋に連れて行った。
リビングではすでに風呂掃除を終わらせていた五十嵐が本を読んでいた。
「松本さん?母と話したんですか?」
「ええ…そうだけど…!五十嵐くんのお母さん、ものすごく怖かった…」
「そうですかね?高圧的な態度で話しかけてこれるような体力はないし、普通だ思いますよ」
「いや……なんかこう、死を覚悟してるような感じが……」
「あー、それはあるかもしれないですね」
「……え?」
◇◆◇◆◇
リビングでは本を読んでいる五十嵐と、黙ってテレビを見ている松本さんがいた。
その姿は皿洗いの時とは違い、仕方なく一緒にいる関係の人たちのような感じだった。
「松本さん。あと五分で風呂が沸くので、妹たちを起こしに行ってくれませんか?風呂になったら多分あいつら起きるので」
「え?いいけど…妹さんは私と一緒に入るの?」
「まぁ、そういうことになりますよね」
先ほどまで別に妹たちは風呂に入らなくていいか。と思った五十嵐だが、風呂には入れておこう。そしたら松本さんがきっとなんとかしてくれるだろう。と思い、風呂に入れることにした。
「はぁ…今日はいつもより自由な時間があるぞ…。松本さんが色々やってくれてるからな…明日ちゃんとお礼しないとな。って、あいつら服持ってってないな…!散々言ったのに!俺が持ってくと変な事態になるから嫌なんだよ」
この歳ですでに忘れっぽい妹たちの服を風呂場まで持ってくのは、もう五十嵐の日常になっている。忘れっぽいというより、兄の言うことに聞く耳を持たないという方が正しいが。
「おい妹共。お前らの服ここに置いとくからな!」
風呂場ではバシャバシャという音が聞こえ、キャッキャ楽しんでいるような声も聞こえる。
『まやおねーちゃんおむね大きーい!』
『ほんとだー!おっきーい!!』
「おい…。せめて俺がいないところで言えよ…」
『え!?いいい五十嵐くんいたの!?』
「べべ……別に松本さんのことは気にしてないですよ!?うちの妹たちはそういうことを平気で言うヤツらなんで!全然気にしてはないです!」
『まやおねーちゃん顔赤ーい!どうしたのー?』
「お前らはこれ以上松本さんをいじめるな!マジで!!」
このあと、妹たちをちゃんと叱った五十嵐であった。
◇◆◇◆◇
「ま、松本さん…アレは事故です。普通の事故なんです。俺はもう知らないです。松本さんの胸が大きいことなんか知らないです」
「知ってるじゃない!大きいかは知らないけど!」
「もうほんとすいません…妹が無神経で…」
「まぁ……五十嵐くんなら誰にも言わないでしょ。別にいいわよ」
「言う人がいませんよ。周りも気にしないでしょう」
なんとか許してもらえたが、五十嵐は気にしていた。もしかして松本さん、若干嫌いになってないか?と。
確かに異性に胸が大きいことを知られたらそりゃ変な目で見られると思うのも無理はない。さらに大きいものが好きな五十嵐。これはもうダメかもしれない。
だが、ある程度の常識を備えている五十嵐。ワグナリア内のまともヒエラルキーの上位層にいることは否めない。
「あの……松本さんは普通に俺の先輩……ですよね?」
「え?当たり前じゃない。どんな人であれ、五十嵐くんは私の後輩……よ?」
これは本当に嫌っているのだろうか。もしかすると松本さんは純粋だったりするのか?たとえ胸が大きいことを知られても、五十嵐を信じてくれるのか?
「松本さん……いい人ですね…」
「……ありがとう?」
このあと、何事もなく夜を迎え、朝になる。
妹たちは日曜なので昼頃に起きる。そのため朝は母と松本さんと五十嵐の3人がリビングで朝食を食べている。
「昨日は、あんなに仲よさそうにしていたのに……どうしたのかしら?」
母は昨日の出来事を知らないため、どストレートに言う。
「「何でもないです」」
2人が同時に言うと、2人は顔をそらす。
(やっぱり仲がいいのかしら)
母の中では2人は仲が良いと結論付けた。
「松本さん。そろそろバイト行きましょうか」
「え、ええ。行きましょう」
昼頃になると、バイトの準備をする五十嵐と松本さん。着替え終わるとカバンを持って2人はワグナリアへと向かう。
「お腹空いたら昨日のヤツ食べていいよ。また夜は作るから」
「わかった……わ」
昨日とは違い死にかけた声で返事をする母。
「ありがとうございました…。お邪魔しました」
「いいのよ……また来てね」
「まやおねーちゃん帰っちゃうの?」
「また来てねー!」
「またあそぼーねー!!」
妹たちが玄関で手を振ると、松本さんも手を振る。
「んじゃ、行って来まーす」
◇◆◇◆◇
「随分懐いてましたね。俺には暴力しかしないのに」
「山田さんみたいに怒鳴ったりしてるからじゃない?優しく接すれば妹さんたちも何もしないわよ」
「今更優しくしても、山田みたいに気持ち悪がられるのがオチですね」
「何となく……私もそう思ったわ」
「あ、昨日色々なことが起こった五十嵐くんと松本さんだ。おはよー」
後ろから軽快な声が聞こえた。昨日起こったことを知っていて、かつこの声は相馬さんだ。
「何で知ってるんですか!」
「男女屋根の下、何をしたの〜?ねぇねぇ、何をしたの〜?」
「…………」
「お疲れ様でーす」
ワグナリアに着くと、種島さんと小鳥遊がすでに働いていた。
「あ、五十嵐くんに松本さん、おはよー」
「おはようございます……って、相馬さん。何で五十嵐さんに引きずられてるんですか」
「五十嵐くん……ひどいよ」
「前の伊波さんとの件も兼ねてですよ!何で教えてくれなかったんですか!!」
「だから、面白そうだからって……痛い痛い痛い!蹴らないで!!」
「とにかく……働こうよ……五十嵐くん、相馬さん」
この惨事に巻き込まれたくなかったのか、松本さんは一足先に着替え終わっていた。
「あ、いがらしさん。遅かったですね。この通り、山田は今日もお皿を割りましたよ」
破損報告書を自分から見せてきた山田。破損報告書を見ると全て名前が山田になっている。
五十嵐がいない時は小鳥遊が面倒を見てくれているようだが、それでも割りまくっているらしい。
「……やーまーだー!!!」
「何ですか!?」
「割ったことを自慢してる暇があったら、割らないような努力をしろ!!!!」
「痛いです!!暴力反対!!」
「だから小さい奴は好きになれないんだよ!!!!」
今日も五十嵐は世話のかかる人に振り回されるのである……。
年末、いかがお過ごしでしょうか。僕は少しずつお勉強してます。
来年からはただでさえ更新ペースが遅いのにさらに遅くなるかもしれません。申し訳ない。
2週間に1話投稿できればいいかなと思います。
次回は五十嵐くんと松本さん以外のメンバーのお話が書ければなぁ…と思います。
またのご来店、お待ちしております!!!
来年もよろしくお願いします!