Let's WORKING!?   作:invisible

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時系列をぶち壊していくスタイル。

本編ですけど、番外編のようなノリです。


14品目 お誕生日

 

 

3月3日、その日はひな祭りで、女性の日となっているらしい。

女系家族の五十嵐と小鳥遊は、今日が相当きつい日だと言うことを物心ついた時から知っていた。

「やれやれ……今日はひな祭りか……」

「ええ、そうらしいですね」

「そうです。ひな祭りです!!!」

「……はぁ」

 

 

2人が悲しそうな目で山田を見る。そしてそのキラキラとした眼はなんだ。

「なんですかそのかわいそうな目は!今日はなんの日だか知ってますか?」

「ひな祭り」

「合ってますけど、違います!!」

 

合っているのに違うとはなんなのだろうか。それ以外なんの日があるのか。耳の日?もしくは金魚の日か?

「やまだの誕生日です!」

「………あー、そう」

 

「なんでそんな軽いんですか!?やまだの誕生日ですよ!祝ってください!!!」

「だったら、祝われるようなことをしろ。そんな簡単にプレゼントがもらえると思ったら大間違いだぞ」

「な、なんでやまだは説教を受けてるんですか…?」

 

それもそのはず。山田に構ってる暇がないからだ。

2人は今日の夕食や、家事、その他についていつも以上に気を使わなければならないと考えていた。

特には五十嵐は年下の女子を3人も抱えているので、駄々をこねる量が異常なので、その日だけ家出したいなど現実逃避をしている。

小鳥遊家は静かそうに見えるが、姉3人が必要以上に構ってくるので、困っていた。

梢姉さんは酒酒酒とうるさいし、泉姉さんは掃除してくれと言うし、一枝姉さんは六法全書で叩いてくるし。しかも角で。

 

そんなことを考えていると、山田は2人の服を引っ張る。

「やまだ、2人がなんかしてくれないとここを離れませんよ!がんとして動きません!」

「いや、働けよ。あと離せ」

「離せ」

「何かしてくれるまで離しません!」

 

 

五十嵐は何かいいことを思いついたようで、小鳥遊の方を見ると、ニヤリと笑みを浮かべる。

「……ハハッ。ヤマダハキョウモカワイイナウンソウダソウニチガイナイアトオタンジョウビオメデトウヤマダサイコウ」

「ソウダナヤマダサイコウダナオレモソウオモウヨ」

五十嵐が言った後に小鳥遊がすぐに付け加え、謎のコンビネーションが炸裂した。

「なんでそんなかたごとなんですか!?そんなの嬉しくないですよ!」

「まぁまぁ山田さん。2人は今日特に忙しい日なんだから、そっとしておいてあげなよ」

 

3人のやり取りを知っていたかのように素晴らしいタイミングで相馬さんが割って入ってくる。

2人の家庭環境をバラされなかったのは良かったが、山田は2人に構うのをやめ、相馬さんに抱きつく。

「って、ええ!?山田さんどうしたの!?」

「2人には期待しないのでいいですが、相馬さん!相馬さんならやまだに何かプレゼントはありますよね!」

「今日が山田さんの誕生日なのは知ってたけど、別にプレゼントとかは持ってきて……ないかな?」

((相馬さん、山田の誕生日知ってたのかよ……))

 

普通にサラーっと今日誕生日だということを知ってると言ったが、山田がワグナリアに来てから誕生日のことは一切口にしていない。さすが相馬さんネットワーク。知らないことはないということか。

 

「じゃあ相馬さん!やまだを甘やかしてください!!」

「え……えぇ…」

笑顔のまま相馬さんはキッチンへ向かう。が、山田がそれを阻止する。

「相馬さん。山田と納豆を食べてください!!!」

「そんなのでいいの!?」

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

仕方なく相馬さんは山田についていき、休憩室に座った。

そこで待っててくださいね!と山田が山田ッシュしてどこかへいなくなると、相馬さんは腕を組み、考える。

(山田さん、確か納豆に普通入れないものを入れるんだよなぁ。まぁ俺も多少は入れるけど……)

 

「やまだ、たくさん持って来ましたよ!今日はひな祭りでやまだの誕生日、さらに金魚の日なので、納豆を食べましょう!!」

「何一つとして意味がわからないね」

 

そう言って山田は納豆2パックと納豆に入れるであろう材料を大量に持って来た。

「楽しみすぎてやまだ、相馬さんの分を開けちゃいました!!」

「全くもー…」

「さらにいっぱいトッピングできますよ!砂糖、お醤油、ケチャップ、お酢、マヨネーズ、その他もろもろを」

 

ありえない物まで入っているが、相馬さんは砂糖が入った箱を取り、スプーンいっぱいに砂糖を盛り、納豆にかける。

その量はよくアニメで見るようなご飯大盛りのように、山のような状態になっていた。

それを見た山田は逃げ出してしまう。

 

 

逃げた先はキッチンで、佐藤さんにぶつかると、山田は涙目で佐藤さんに話しかける。

「納豆に砂糖は山田も入れるけどあの量は流石の山田もレッドカードです…山田は相馬さんのことが好きですけど味の壁が邪魔をしてきそうで………ううっ!」

 

佐藤さんは特に考える様子もなく、一言バッサリと言う。

「両方バカ舌だから、心配すんなよ山田」

「佐藤さんひどい!!!!」

 

そう言うと山田はまた逃げてしまう。

逃げた先はまた休憩室で、ゴリゴリと砂糖を噛み砕く音が聞こえる。

 

「相馬さん……いつもあんな量の砂糖を入れるんですか?」

「今日はなんか甘いもの食べたいと思ったからと、砂糖を入れると粘り気が増すって聞いたから…」

「そうなんですか!?やまだ単に甘さを求めて入れてましたよ!!知らなかったです!!」

「え、そうなの?」

「やまだの知らない納豆ワールドを知ってるなんて、相馬さん納豆博士!納豆王!納豆愛!納豆マニア!どんだけ納豆好きなんですか!!!」

「え……えぇ…」

 

 

 

「なんか休憩室騒がしいですけど、山田は相馬さんに何をしてるんですか?」

「さぁな。大方納豆トークで盛り上がってんだろ。相馬さんが変な知識を言って、やまだそれ知りませんでした!相馬さんすごい!的な感じで」

「なんとなくそんな感じがしますね」

「あら?葵ちゃん、今日が誕生日なの?」

 

小鳥遊と五十嵐が皿洗いをしていると、八千代さんがフロアからこちらに戻ってきていた。

「なんかそうらしいですよ。相馬さんが言ってるから多分本当です」

「あら……私知らなかったわ。教えてくれたらプレゼントとかを渡してあげられたのに…」

「でも、今なんかめちゃくちゃ楽しそうだからいいんじゃないですか?」

「そうなの?」

「相馬さんと楽しくお話してるようですし、山田はアレがプレゼントだと思ってるでしょう」

 

「ええー!葵ちゃん、今日誕生日なの!?」

「え?山田さん、誕生日だったの?」

種島さんと伊波さんも今初めて山田が今日誕生日だと言うことを知ったらしい。

「葵ちゃんに悪いなぁ…プレゼントあげられなくて…」

「そういうもんですか?」

「そうだよ!1年に一度しかない誕生日だよ?ちゃんとお祝いしてあげないと。しかも葵ちゃん、お家が無くなっちゃったし、祝ってあげようよ!」

 

「うっ、そういえばそう(いう設定)だったな……」

「かたなしくん、五十嵐くん、私たち葵ちゃんのためにケーキ買ってくるから、代わりに働いてくれる?」

「私も行くの!?」

「そうだよ伊波ちゃん!さっ、行こっ!!」

 

 

種島さんと伊波さんは上に軽めの上着を羽織ると、従業員用ドアから出て行ってしまった。

「はぁ……先輩が言うなら仕方ないですね…」

「俺は別に良いとは言ってないんだけどなぁ」

「それにしても先輩は優しいな……」

「種島さんのやることならなんでも可愛いっていうもんな、小鳥遊は」

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

数時間後、山田がやっとホールに出ると、五十嵐が待ち構えていた。

「おう山田。今日は俺の仕事風景を見ておけ。今後皿を割らないようにな」

「なんで今更そんなことを?」

「誕生日記念だ」

「誕生日って言えばなんでも良いってものじゃないですよ!?やまだそこまでおバカちゃんではないです!!」

「まぁいいから、ほら見とけ」

 

この後1時間ほど五十嵐とともに行動していた山田は、疲れた様子で休憩室で向かう。

 

「全く……やまだ今日は誕生日なんですよ?なんで働かなきゃいけないんですか…」

 

ブツブツ言いながら休憩室のドアを開けると、

 

パーン!パパパーーーン!!!

と、クラッカーの音が聞こえた。

 

「え?」

「お誕生日おめでとう!葵ちゃん!」

 

クラッカーを使って出た煙の匂いと、先ほど相馬さんと食べていた納豆の匂いと、甘いケーキの匂いが混ぜ合わさった休憩室では、女性陣が山田の誕生日を祝っていた。

 

「やまっ……!」

「葵ちゃん!?泣かないで!まだお楽しみはあるよ!!」

突然の出来事に、山田は嬉しさのあまり涙が出てきてしまう。

「これ、私たちからのプレゼントだよ!」

 

種島さんと伊波さんが多きな袋を山田に渡すと、山田は中に入っているものを見る。

「これは……!」

「お洋服だよ!葵ちゃん、あんま持ってなかったよね?外に出るとき、これを使ってね!」

「ありがとうございます……種島さん、伊波さん、八千代さん、店長!」

「あらあら……私はほとんど何もしてないのよ…?ただケーキをカットしただけで……」

「ああっ!店長!ケーキほとんど食べないでください!やまだも食べます!!」

 

 

 

 

「山田さん、嬉しそうだね」

「まぁ家出してるし、寂しかったんじゃないですか?」

「明日からちゃんと仕事するかが唯一の心配ですね」

「………だな」

 

 

男性陣はドアの前で山田の様子を見ていた。

それは祝う気が無かったのではなく、山田のために色々していた女性陣の代わりに仕事をしているからである。

 

「……フーッ。とりあえず戻るか」

佐藤さんが一足先にキッチンへ向かうと、それに続いて相馬さんと小鳥遊もついて行く。

 

 

「はぁ……。ほんと仕方ないやつだな。山田は」

 

 

 

 

ポツリと呟くと、五十嵐もホールへと走っていったのである。

 

 

 





誕生日の話書いてて、山田以外にも誕生日がわかる人いないかなって漫画を読みましたけど店長しかいないんですよね。
RE:オーダーも見ましたけど店長以外誰も載ってませんでしたね。
本当に今日まで山田の誕生日知らなくて、twitterでとある山田の絵を描いてる人の画像見てた時にタグに山田葵生誕祭2017って書かれてたのを見つけて急いで書いたんですよ。

これを機にWORKING!!を見てさらに山田好きになってもらえれば嬉しいですね(笑)


またのご来店、お待ちしております!
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