Let's WORKING!?   作:invisible

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話コロコロ変わります。すいません。






6品目 恋は影で応援するもの

「……朝か」

日曜日、小鳥遊が唯一遅く起きていていい日である。

遅く起きてもいいと言っても、起きるのは朝の6時。小鳥遊は朝から勉強や運動をするわけではなく、朝食作りをしなければならないのである。

母がとある事情でおらず、父は他界したので、男は小鳥遊たった1人。さらに3人いる姉達は食事を作ることがないので、小鳥遊は男だがお母さんのような存在なのである。

 

「……おはよう宗太。頭痛い」

頭を抑え、渋い顔をしているのは小鳥遊家の三女、小鳥遊 梢である。

彼女は女性用の護身術を教えているらしいが、いつどこで働いているのかは不明、さらにものすごい量の酒を飲むのでこうしてほぼ毎日酔っている。

 

「宗太ー、頭いたいよ〜」

「いつものことだろ……。シャワーでも浴びてアルコール抜いてこい!」

「宗太ー、背中流してぇ〜」

「うるせぇ!!」

 

「宗ちゃん……」

疲れたような声でゆっくりドアを開けて来たのは小鳥遊の次女、小鳥遊 泉だ。

彼女は一部では有名な恋愛小説家で、だいたい徹夜で小説を書いている人だ。ただパソコンを使っての執筆が出来ないらしく、1文字1文字書いているのでボツが多いとその紙で部屋を汚してしまい、自分で掃除する体力もないのでお母さん兼弟の宗太にやってもらっている。

 

「掃除?後でやるからそろそろ朝ごはん作るからリビングで待ってな」

「わ…わたしもう……無…理」

「相変わらずだな……!ほれ!引きずられながらなら大丈夫だろ……!」

宗太はリュックを背負うように泉を背負い、ズルズルを足を引きずらせながらリビングに向かう。

ドアを開け直進していると、六法全書を持っている小鳥遊家の長女、小鳥遊 一枝がいた。

 

「おはよう、宗太」

「おっ……おはよう、ございます。一枝姉さん」

「なぜ後ずさりする。何もしてないだろ」

「なんで朝っぱらから六法全書持ってるんだよ」

「わたしが六法全書を持っててはいけないのか?権利を侵害するのか!?」

「いやぁ…一枝姉さんは何かと理由をつけて俺にその六法全書で殴りつけてくるから…」

 

ついに堪忍袋の緒が切れたのか、一枝は六法全書を宗太に投げつける。

「今の言葉に公然性が加わったら名誉毀損罪又は侮辱罪に当たって告訴されるぞ!六法全書はわたしの武器だからな。いろんな意味で」

「理屈と暴力の意味で、だろ!」

「なんだと!?」

「一枝お姉ちゃん。ケータイ鳴ってたよ?」

「え?ああ、そうか。ありがとう」

そう言って一枝は自分の部屋へと戻っていった。

一枝に助言をしたのは小鳥遊の四女、小鳥遊家四姉妹の中では一番下の小鳥遊 なずなだ。

小学生にしては大きすぎる身長に、時々吐く毒がエグい為、今後姉達を超える存在になるだろうと宗太は危惧している。

 

 

 

 

「これは……もう一生姉達に勝てる気がしないな……バイト行こう」

朝食を作り終えると、早々と準備してワグナリアへと向かった。

 

 

 

 

 

小鳥遊にとってバイト先は家よりも居心地のいい空間らしい。理由はたった1つ、種島さんがいるからだ。

小鳥遊は種島さんを見るだけで日頃のストレスをほとんど忘れることができると言っていた。何を言っているんだ。

 

「小鳥遊は相変わらずロリコンだな」

「何言ってるんですか。俺は小さいものが好きなんですよ。五十嵐さんは大きいもの好きとか言ってる割にはそこまで好きそうに見えないじゃないですか」

「ばっか、自分のタイプが先生の中にいたら、ちゃんとそのテストを満点取ることで、『あなたのことが好きなんだ』っていう意思表示をしてるんだよ。お前はわかってないな」

「五十嵐さん、それって結構ヤバい部類のような……」

「小さいものだったらなんでも愛でるお前にヤバいとは言われたくない」

 

「何やってるお前ら、仕事しろ」

相変わらず店長は八千代さんが作ってくれたパフェを食べている。毎日食べていて飽きないのだろうか。あと太らないのか。

 

「俺、バイト始めて結構経ちますけど、店長が働いてるところを未だにみたことないと思うんですよ。なんで働かないんですか?」

店長は、手を止めることなくパフェを食べている。どれだけこの話に無関心なのだろうか。

「……五十嵐、よく考えろ。店長が使えないから、自分達でちゃんとやろう、となるだろ?つまり仕事をしないことが仕事。敢えて働かない」

「そんな自分を卑下することないだろ……と思うんですが。実際どのくらい使えないんですか?」

「皿は拭いてる途中で割れるから洗わない。飯はあったら食べるから作らない。客はめんどくさいから接客しない。このくらいか」

「店長はなんでワグナリアの店長になれたんですかね。脅し?」

「そんなことはいい。仕事しろ」

 

ゴンッ!とげんこつを食らうと、五十嵐は渋々ホールへ向かった。

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

時間は午後になり、だんだんとお客さんが増えてきた。増えたといっても数席埋まっているだけだが。

「あ、松本さん。こんにちは」

「あら五十嵐くん。今日は早いのね」

「家にいるよりここにいた方が気が楽ですし」

「家で何をしてるのよ……」

「主に家事と三体のお邪魔虫と戯れ、母の介護ですかね」

「凄まじい家庭ね……普通じゃないわ」

「そういう松本さんはどうなんですか」

「私はフツーよ。両親がいておばあちゃんもいて、特にこれといったこともないわ」

「なるほど。微笑ましい家庭ですね」

「でも兄弟は欲しかったわね。妹か弟が」

 

是非ともうちの妹達をいかが?と言いたかったがこれ以上話しているとまた店長に叩かれると思い、五十嵐は話を完結させようとした。

「俺は、姉か兄が欲しかったです…」

そう言ってホールに行ってしまった。

 

「五十嵐くんが、姉が欲しかった、か……。小鳥遊くんと違って五十嵐くんは大きいものか好きとか言ってたし、年上は好きなのね……普通なのかしら、それって」

 

後輩として心配してるのか、それとも五十嵐という人間として心配しているのか、それがわかるのは近くでこっそり聞いていた相馬さんだけだった……。

 

◇◆◇◆◇

 

 

「さとーくん。きょーこさんがね……きょーこさんできょーこさんなのよ。だからきょーこさんはきょーこさんで…………」

 

今日も佐藤くんは八千代さんのノロケ話を何時間も聞き続けている。完全に右耳から入って左耳に抜けているわけではなく、所々で「そうか」や「そうなのか」といった反応は見せており、慣れているのか、料理をしながら聞いている。

 

「佐藤さん。オーダー入りました」

「おう。ちょっと待ってな」

 

佐藤さんは八千代さんの話を飽きることなくずっと聞いている。八千代さんも佐藤さんにだけああやって何時間も話していられる。もうこれは、アレなのだろうか。

 

 

思い切って話してみようとした。当然2人しかいない環境で。

しかし、その計画は意味のなかったものになる。

 

 

「さとーさんって、ずっと八千代さんの話を聞いてるよねー」

今日も種島さんは元気に佐藤さんに話しかけている。

「……そうだな」

「それに、八千代さんには優しいよねー」

「……それは知らん」

 

 

 

「もしかして八千代さんの事が、好きだったりしてー。なんてね」

 

あっ………。

 

佐藤さんは種島さんの頭をそっと撫でる。

「そんなわけねーだろ……」

「あっははは。だよねー」

これはもう決定だ。佐藤さんは八千代さんの事が好きだ。しかもめっさ片思い。

 

同じ場に居合わせた小鳥遊もさすがに気づいたらしく、これは2人の秘密としてしばらく封印することにした。

 

 

 

「佐藤さん……いい人だなぁ」

「ええ、誰よりもいい人です」

時刻は9時を回り、バイトのメンバーはそろそろ帰る時間になりそうな時に、2人は男子更衣室で話していた。

 

「まぁそれもあるが、伊波さんはどうなんだ?今日も3発殴られていたが」

「正確には4発ですけど、相変わらず変わってないです。出会うたびに殴られて…殴られて…そろそろ骨も悲鳴をあげてると思うんですよ」

「小鳥遊は忙しいな…さらに家では姉達に囲まれていて……羨ましい」

「五十嵐さんこそ、家では妹達に囲まれて……羨ましい」

「人間、欲しいものはなかなか手に入らないもんだな…」

「ごもっともです」

 

夢のない会話をしている2人であった。

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、とある駅前にて…。

 

「……どうしましょう。家を出たはいいものの、泊まる場所がないです。誰か人当たりのよくて騙されやすい人いないですかね……。名前もどうしましょう。本名はアレだし…簡単な名前を使ったほうがいいような………。

あ、そうだ。

 

 

 

 

 

山田、にしよう」

 

 

 

 

自称、山田は星空を眺めながら1人で呟いたのである……。

 

 

 




やはり作品を書いていく中で呼んでくれる方の声というのはとても大切なもので、僕の場合それがモチベーションになってるんですよ。
ということで、感想ください(直球)


次回は山田降臨ですかね。
地味に山田は五十嵐くんor小鳥遊くんでどっちに面倒見させるか迷ってます。

それではまたのご来店、お待ちしております
(最後の挨拶として定着してきた)
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