Let's WORKING!?   作:invisible

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メリークリスマスの人はメリークリスマス。そうでない人はこんばんは。前後編になってしまいましたがよろしくお願いします。

クリスマスだから何か書こうと思ったけどできませんでした


9品目 Let's GO 五十嵐家

 

 

「割ったら乱暴……割ったら乱暴……」

山田はいつも以上に真剣に皿を洗っている。本来真剣に皿を洗うようなことはないのだが、山田にとってはこの皿洗いで今日の1日が決まってしまうのである。

 

「山田のヤツ、呪文みたいに唱えてるが大丈夫なのか?」

「お皿を割ったら家に来させられて五十嵐くんの妹さんたちにいじめられるんだってよ。山田さんにとっては好都合だけど不都合なんだってさ」

「五十嵐のやつ、頭いいな。こうやってダメ人間を更生させるのか」

 

「やまだはダメ人間なんかじゃないですよ!!!」

 

パリーン!

と持っていた皿を盛大に割ると、五十嵐が駆けつける。

 

「山田!まーた割ったな!?」

「もういがらしさんの家はイヤです!いがらしさんの家に行くなら屋根裏に住んでたほうがマシです!」

「そうか、ならいいぞ。せっかくご飯付きで暖かいところで眠れる最高の場所だったのにな。それを自ら捨てるとは」

「うぐっ……!やまだももう16歳なんですから、一人暮らしの一つや二つ、ちょろいもんですよ」

 

「(自称)16歳だろーが!こんな小さい16歳がいるわけ………あっ」

五十嵐は見てしまった。山田よりも小さく、さらに17歳の種島さんを。

五十嵐は申し訳なさそうな顔で種島さんに一礼すると流石の種島さんも何が起こったか理解したようで、腕をぐるぐると回しながら怒った。

 

「五十嵐くん!無言の方が傷つくんだよ!どうせ私のこと小さいとか思ったんでしょ!私はちっちゃくないよ!!!!」

「ププー。いがらしさん、怒られてます」

「お、ま、え、は……!人の揚げ足を取ることしかできねぇのかああああ!!!」

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「五十嵐くん、大変そうね……」

 

まだ1時間しか経っていないのに、もうすでに3時間分働いたような状態になっていた五十嵐の元に、五十嵐の教育係の松本さんがやって来た。

「松本さん…俺は山田という子が妹並みに扱いに困るんですけど、どうすればいいですか?先輩として、何かアドバイスをください」

「……そうね。押してダメなら引いてみる、的な感じのことが必要なんじゃないかしら?怒ってばかりじゃお互いにイライラしちゃうし」

「皿を1日で何十枚も割る人に優しくするのは至難の技ですよ……。けどありがとうございます。一応試してみます」

 

松本さんのアドバイスを受け、五十嵐は山田の元へ笑顔で向かう。

事情を知らない山田は、ただただ怯えている。何かされると思っている。

 

「ななななんですかいがらしさん!やまだはお皿割ってないですよ!」

「ッハハハ。次からは気をつけろよ」

と、五十嵐は山田の頭を撫でた後、キッチンに料理を取りに行ってしまった。

 

(いがらしさん………怖いです!)

山田にはあまり効果が無かった。むしろ怖さが倍増したらしい。

 

 

 

 

「一体どうしたんでしょうか。いがらしさんが唐突に優しくなるなんて……ハッ!もしかして、やまだの可愛さを知って優しくなったとか「ではないよ」

「そうまさん!?」

 

その場にいなくても事情を知っている相馬さんは山田の会話をぶった切る。

山田にとって相馬さんはよくわからない存在で、誰にも言ってないのにオーダーミスを知ってたり、五十嵐にバレてない割れた皿を隠している場所も相馬さんにはバレていたりなど、一体どこで情報を手に入れたのか不思議に思う謎の人だ。

 

「五十嵐くんも五十嵐なりに怒らない理由があるんだよ。よーく考えてごらん」

 

「今までやまだに怒ってばっかりで……だけど突然怒らなくなった…。ハッ!もしかして「違う」

「え!?」

残念ながら、山田の頭はあまり良くなかった。そのせいで五十嵐の気持ちを理解することができなかった。

 

 

「あの……いがらしさん。やまだの可愛さに目覚めたからって、やまだ、いがらしさんとはお付き合い出来ない……ですよ?」

頭があまり良くないなりに考えた結果なのだろうが、逆に今度は五十嵐が山田の気持ちを理解できていない。

「……何を言ってるんだ山田。熱でもあるのか?」

素で心配する五十嵐を見て、山田は思う。

 

(いがらしさん、ああ見えてちゃんとやまだのことを思ってるんでしょうか…?まぁでも、しばらくいがらしさんに甘えておきましょう!)

「ああっ……ちょっと熱があるかもしれないです…」

「…嘘つくなよ」

バレていた。

 

「チッ」

「はぁ……嘘はつかない方がいいぞ。家が全焼とか、家族散り散り、とかな」

「うううう嘘じゃななななないですよぉ……?」

「まぁいいか。明日からちゃんと働けよ。5枚割ったら家に招待してやる。覚悟しろ」

 

「いがらしさん……やっぱり優しくないです!!」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

バイトが終わり、山田は屋根裏に籠ってしまったので、今日は松本さんと帰ることになった。

 

「松本さん。今日って空いてます?ちょっと家に来て欲しくて…」

「……え?」

「明日って日曜じゃないですか。シフトは午後からだし、ちょっとやってもらいたいことがあるんですよ」

「え?まだ高校生でそういうのは早いというか……一つ屋根の下で男女が一緒にいるのはフツーじゃないというか………えええ!?」

 

松本さんは何か大きな勘違いをしている。五十嵐は山田がいなくなったので松本さんに妹達の子守を頼んでいるのだが、松本さんはわかっていない。

 

「松本さん、妹達の子守ですよ。別に保健体育的なことはしないです。ダメなら来なくてもいいんですけど、良いですか?」

「(後輩の頼みだし、ここは先輩としてOKって言わなきゃいけないのかしら?でも男女が同じ家で子守をするって夫婦じゃない!?フツーじゃないわ!でも後輩の頼みだし…うーん……)い、いいわよ」

 

「なんか、ものすごく間がありましたけど…。忙しいなら本当に断ってもいいんですよ?そこまですることでもないですし、俺はただお礼をしたくて…さっきのことで」

「いいわよ。家に帰ってもすることないもの」

「ありがとうございます…」

 

 

 

こうして、松本さんは五十嵐の家に行くことになった。

服などの用意をするために一旦家に帰った松本さんを待つために五十嵐は早めに夕食の準備を始めた。

 

「おにーちゃん。今日はやまだいないの?」

山田は年下の妹にすらやまだと言われるくらい格下なのか。

「今日は違うおねーちゃんが来るよ。バイトの先輩だ」

 

「もしかして……光希と同じ学校の…松本さんって人?」

「母さん…そうだよ。とりあえずソファー(という名のベッド)で寝てたら?」

「毎度悪いわね……」

「今更何だよ……俺も好きでやってるんだから、あんま気にしなくていいよ」

 

 

五十嵐が母の代わりに料理を作っていると、家のインターホンが鳴る。

普通なら「はい。どなたでしょうか」のような会話から始まるが、五十嵐家の妹達はその過程をすっ飛ばして玄関を開ける。

本当はいけないことだが、言っても聞かないのでもうこのままでいいやと投げやりになってしまっている。

 

「うわー、おねーちゃんだ!」

「やまだとはちがうよ!」

「背もおっきい!メガネ!メガネ!!」

 

見ただけでわかる情報を連呼していると、松本さんは目を輝かせる。

「五十嵐くん、この子たち妹さん?可愛いわね!」

「見た目は悪くないですけど、本性知ったらドン引きですよ」

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

「これ、全部五十嵐くんが作ったの?」

「そうだよ!おにいちゃん料理【だけ】は上手いんだよ!」

「こら葉月、お前らの世話だって上手いだろーが!」

「えー、最近マンネリ化が進んでるよ!」

「お前はどこでそんな単語を覚えた!」

長女の葉月は時々使い方を知らないのにとんでもない単語をブッ込んで来るので油断できない。

「まやおねーちゃん!メガネ!メガネ!」

次女の那月は残念ながら頭が五十嵐家で一番悪い。

0点のテストをいつも見つけて母の代わりに怒ることもしばしばある。

 

「まやおねーちゃん……あーんして」

三女の明希は一番の甘えん坊で、一番世話のかかる妹だ。

三姉妹の中で一番落ち着いているが、暴れ出した時に一番の止めにくい妹で、五十嵐が一番好きになれない妹だ。

 

「五十嵐くん……そこで寝てる人は、お母さん?」

「ええ、母です。いつもこんな感じですよ」

「なんか、バイトでも山田さんに、家では妹さんにと…大変ね」

「だから松本さんに頼んだ次第ですよ」

「でも1つ言えることは、フツーじゃないわね」

「おっしゃる通りです」

「とはいえ、後輩がこんなに苦労してるとは…」

 

フツーではない環境をあまり好まない松本さんが、五十嵐のために考えてくれている。根は優しい先輩なのか。

それとも妹が可愛いと思っているのか。

「た…たまになら家に、行ってあげてもいいわよ。妹さんたちかわいいし」

「やっぱり妹目的ですか…。でも助かります。ありがとうございます」

 

 

食事が終わり、五十嵐が皿洗いをしていると二階では笑い声が聞こえる。

山田がいた時は山田の叫び声と嬉しい時に笑う声ではない声が聞こえたりと、色々カオスだが松本さんがいる時は全く違う。

どれだけ妹たちが松本さんに懐いているがよくわかる。

 

「光希……あれ、が…松本さん?」

1人、椅子に座り母が遅い食事をとっていると、細い声で囁かれた。

「そうだよ。母さんの思ってる以上にいい人でしょ?」

「ほんと、いい子ねぇ……是非挨拶したいわ…」

「後で、な」

 

 

「五十嵐くん…子供って元気、よね…」

「松本さん!?」

「今、妹さんたちは全員寝てるわよ。疲れて」

まだ8時だというのに、どれだけはしゃいでいたんだよ。と言いたいが、松本さんはいつも以上に疲れている。

 

「とはいえ、家事を全部任せるわけにもいかないわ…手伝うよ?」

「いえ、妹たちの世話をしてもらっただけで大丈夫ですよ?多分そろそろ妹たちは松本さんロスで色々ありそうな気がするんで」

「そ、それは申し訳ないわよ。1人に任せっきりは私が嫌なの。だから手伝わせて」

 

松本さんが本気で言うもんなので、五十嵐がダメですと言う権限もないし、言う気もなかった。

「は……はい」

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

「はい。どうぞ」

「ありがとう」

 

 

五十嵐が皿を洗い、松本さんが洗った皿を拭くという光景を見ながら、母は思う。

(なんかあの2人、夫婦みたいね)

 

そして、母に見られているので見返す五十嵐は思う。

(これ、なんか夫婦みたいだな)

 

さらに、母に見られているので見返している五十嵐を見ている松本さんは思う。

(なんかこう……夫婦みたいなやりとりのような気がするわ……)

 

 

誰がどう見ても、夫婦のようなやりとりであった。

 

 





クリスマスだから、なんか書こうと思って何を書くかの候補はいくつかありました。
①店長がクリスマスだからといっていつもよりいっぱい食べる話
②ワグナリアメンバーの幼少期のクリスマスのお話
③リア充だらけのワグナリアの話

全部書いててよくわからなかったからボツにしました。
いつか裏メニュー(番外編)として書きますよ。多分。

また、しばらくしたらオリジナルキャラクターの説明とか、その他諸々のことを書く予定です。このオリキャラはどんな人なん?とかの質問がありましたら感想で言ってくだされば出来る限りは答えます。

では、またのご来店、お待ちしております。
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