Before the scarlet   作:a matchless sword

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東方二次創作者です。pixivにも投稿中

良き物が書けるように日々、改善してくのでアドバイス、感想等お待ちしてます。


prelude

静かな夜である。

無数の星々が各々の違いを理解し、それでもなお、半ば諦めながらも自己を顕示する。よく耳を澄ますことで初めて聞こえるような夜風に擦れる木々の葉の音よりも小さく、もはや無音で散ってゆく。

「儚いものね。」

紅茶の注がれたティーカップ越しに空を見た。今は1時を回った辺りである。上品さを持つクスクスと言う笑い声で視線を上げると我が主、レミリア=スカーレットが微笑みながら、

「どうしたの、咲夜?今日はやけにセンチメンタルなのね」と言う。

自覚が無かったもので私は恥ずかしく思いながらも冷静にこう答えた。

「お嬢様に出会ってから、私の日々は大きくそして鮮やかな色を持つようになりました。だから私はずっとこの日々が続くことを願っています。しかし、我々人間は老いすぐに死んでいく。お嬢様や妹様のような吸血鬼でもパチュリー様のような魔女でも美鈴のような妖怪でもないからです。ただそのようなことをこの静かな夜と瞬く星に考えさせらていたのです。」

お嬢様は私の珍しい弱音に少し驚きの表情を見せた後に包み込むような優しい表情で私を、私の目の奥を見た。そして

「静かな夜もいいものよ。普段聞こえない音が聞こえるもの。でも厳密に言えば静かではないわね。だってあなたがとても面白そうな話題を提供してくれたじゃない。」

「それに星も儚いだけではないわ。星座と言うものがあるわ。星と星、とても離れていても線で結んで形にするわ。現に知り合うはずのない私達は今、こうして優雅にお茶をしてるのよ。」

「紅魔の星座は崩れないわ。もしあなたが遠い何処へ流れて行っても、例え地獄でも、必ず捕まえて見せるもの。この私が!」と言った。とても勝ち誇ったような子供のような笑みを見せた。実際問題、私にはその愛らしい顔には勝てないのである。

ふと思い出し、少し険しい表情となったお嬢様は

「私と出会う前と言ったわね?でも私もあなたと出会うまでは今より全然輝いてはいなったわ。こんなに星の輝くよるではなかったわ。」と言い、これもいい機会だわと呟き、より真剣な顔に成って言ったのである

「明日は仕事はいいわ。皆を集めてちょうだい。これからの紅魔の為に、いや幻想郷の為に話さなければならないことがあるわ」

私は確信した。お嬢様は分かっている、私の一言の本当の出所を。皆がその事で悩んでいる、あの美鈴が一度も寝ることもなく門の前に立ち続け、パチュリー様が本に集中できないくらいに。

 

 

 

 

 

 

○○の死。

 

 

 

 

 

 

 

○○が死んだのである。二週間程前に。幻想郷の楔である彼女が。それは理想郷であった幻想郷に大きな黒ずみを打ち込んだのである。呑気な妖精でさえも顔をひきつり、きのうの友までも明日の脅威となる。各勢力が各々で警戒体制をはり一触即発の火薬庫状態が続いている。勇猛果敢なお嬢様でさえ、慎重になるほどに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてお嬢様はこう言った。

「明日、話さなければならないわ!私達自身を、歴史を。」

お嬢様の目が私の深くまで訴えかけるようにこちらを見つめてきた。

私の目は当惑し、およいでいただろう。お嬢様の過去。お嬢様は一度も語ったことはなかった。むしろ語りたがらなかったそれを明日....何故?その狙いは?分からない。

されど、事の重大さは理解できる。これからの命運を決めてしまうようなそんな重要さが分かる。だがそれ以上にお嬢様を知りたいと言う気持ちがあった。純粋で猪のような血気盛んな彼女が時おり見せる虚ろな瞳を理解したい。世界をくれた彼女に恩返しをしたいと。お嬢様はそれ以上は続けず「明日のことは明日考えればいいじゃない」と微笑んだ。微笑みを返すと他愛もない話をし、朝を迎えた。お嬢様の瞳には湖のものよりも濃い霧が見え隠れしていた。

 

 

お嬢様が眠られ、静かになったこの紅魔館で私はただぼんやりと優しい太陽の日差しを受け怠さに足を拐われたような感覚を持ちながらも今宵の会場作りに精を出していた。お嬢様と出会って逆転したのは考え方や世界観だけではなく、昼夜も例外なくその一つなのだ。太陽の熱さよりも、夜の包容力を好むように成っていた。日に日に夜を求めるように成っていたが今日はまだ日が沈んで欲しくはなかった。思いと共に恐怖も存在していたのだ。それは自身がお嬢様を受け止められる人間ではない可能性である。

円卓に椅子を均等に並べる

心なしか今日は椅子がやけに音をたてる。

 

 

 

 

たまに行われる食事会では無いので円卓には

テーブルクロスもナイフもフォークも無い。

つまり、マジなのである。紅美鈴は戦慄していた。ここ数十年はこう言うことは無かった。咲夜と同じ不安を育てている身からしてみれば主が幻想郷を遂に本気で攻め滅ぼすなど言うのではないか?と考えてしまうほどに。彼女は時間は守る方であり、誰よりも早くから人を待つタイプであった。だから今日も30以上前に席につき咲夜と話すか、窓の外でも見ていようかと思った。だが目の前には既に紅茶を注いでいる咲夜と眼鏡をかけ厚い本に目を通す女がいた。美鈴は目を丸くさせ

「お、お早いですね、パチュリー様、 珍しく。」と言うと間髪入れずに

「最後の言葉が気にくわないわ。」と美鈴を軽く睨む。

「いつもマイペースで遅れてばっかりじゃありませんか」

「今回はレミィのいつも下らないパーティーとは違うのよ当然じゃない。」

一端の沈黙の後、二人は笑いあった。笑うべき空間ではなかったから。

「あなたは一応従者よ。得意の気をつかって私の言葉を訂正するべきだったのでは?」

「美鈴はもう招待しなくていいのね。」

「これは失敗しましたねぇ。咲夜さんも冗談ですって」美鈴はふと後ろに気配を感じた。

「下らなかったそうね、聡明な貴女たちにとっては。では代わり映えのしない日常を楽しんで」レミリアが美鈴を蹴飛ばし言った。

また、笑いが起きた。些細なことでも笑って居たかったのだ。余談だが皆、パーティーを欠席したことはない。

そして今は小悪魔として呼ばれている悪魔が次に、最後にフランドール=スカーレットが入ってきた。咲夜が全員にもう一度紅茶を注ぎお菓子を配り、座り終えたとき、

「私は思った。例えこれが失敗だとしても互いの全てを知るべきであると」

「私は覚悟した。例えここがユートピアであろうと戦わなくてはならないと。ついさっきの平和を守るために。あいつが守った本当の幻想郷を守るために。」

「この戦で確実に誰かは死ぬ。10数年前の時とは全く違う、お遊びなしの大勝負だ。だから今私達は全ての過去の絡まりをほどき、より強い一本の糸でなくてはならないのだ。」

「お姉様、本気なの?」

「本気だよ、フラン。」

「いやだね、私は。そんなのただ都合のいいことを言ってただ武勇伝を語るものよ。それに過去なんて英雄でも、神様でも後ろめたいものがあるものよ。それを正直に言えなんて」

「そう怖い顔をしないでくれ。そうすることが運命を好転できるし、より皆を愛せる。」

「運命だなんてお姉様は何を言っているの?幻想郷に来てただの一回でさえも能力をつかってないじゃない!」

咲夜は驚いた顔をしたが、残りの三人は表情を変えないままレミリアの方に顔を向けた。

「実は昨日使ったのだ。未来を変え」

レミリアが答えるのを遮りパチュリーが席を立ち、言った。

「もう使ってはいけないって言ったわよね。貴女死ぬことになるのよ。」

「それでもかまわない。そう思うほどこの世界のデウスエクスマキナは巧妙なトリックで私達を殺しに来たのだ。もう100回以上は逃している幻想郷を救うチャンスなんだ。」パチュリーはなにも分からなかったが友の真剣さゆえに黙った。フランも渋々賛同した。この場にいるレミリア以外は理解できないと言う幸先の悪さではあったが、レミリアはこう始めた。

「今でも忘れることの無い丁度200年前・・・」レミリアは覚悟した、真実の残酷さを。フランドールは覚悟した、自分には何も残らないことを。パチュリーは覚悟した、絆の脆さを。小悪魔は覚悟した、全ての無意味さを。美鈴は覚悟した、過去の空虚さを。そして咲夜は覚悟した、己の無知と全ての揺らぎを。

 

 

To be continued

 

 

 




次回から本編ですので乞うご期待!
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