Before the scarlet 作:a matchless sword
注意事項はこれはレミリアが過去を話すという設定ですが彼女の過去をより鮮明に描く為に幻想郷にいる時点との比較は極力控えさせいただきます。故に今との違いが伏線と言うことになります。
PS僕はAFIは初期の方が好きです
そこには月も太陽もない、燃え盛る業火が触れられず、熱くもなくただ、光を放っている。世界の境界線は日々、外の者の想像に創造されてきた。寄せては返す波のよう、まさにそんな言葉がしっくり来る世界であった。
変わる世界と変わらぬ景色のとある日に運命の歯車は急速に音を立て回り始めた。
女にとってその男は関係だけは有るものの関わりなどは一切無かった。その男には女が有り余る程いて自分はその女の娘ただそれだけであった。だから彼女は別に悲しくなどはない。むしろ彼女が感じたのは果てしない希望と一抹の面倒くささだけであった。大広間の中央に走る巨大なレットカーペットのその先でそんなことを考えていた。
一人の執事、則ち一人のバトラーは女に近づき言う。
「お嬢様そろそろお時間です。お父様の城に行く準備を。」
正装をしている彼女に何を言っているのか不思議に思ったが気を遣ってくれているのだと悟った。
「心配することはない、悲しみなんてない、有るのはこれからのことだけだ」そう答え席を立つと一人の側近がもう片方には妹が付いた。その三人を先導するように執事は歩いた。そしてドアの近くにいた、乳母兄弟である、エレミア=スウィートハートは言った。
「我々の赤き月、レミリア=スカーレット様どうかご無事で。」
馬は疾走する。文字通り肉もなく骨だけの馬は一行を連れて、一番先に口を開いたのは白のシャツに黒いズボン、ベストとベルトと靴は赤に揃えた若い側近であった。
「私の愛すべきレミリア嬢、例えカーマインやクリムゾンの一族であろうと貴女には指一本触れさせやしねぇ。」 その言葉には一切の嘘はなく想像出来る限り全ての意味合いを持っていた。
「そうね、本当に出来たら何処へでも貴方に着いていってあげるわ。」とレミリアがからかうと嬉しそうに
「このスチュワート=トリアドール命を懸けてお守りします。」
「死んでしまったらもともこも無いわ。そうしたら、私はブレントと出かけるわ」馬車の中の妙な張りつめた空気が幾らかの弛緩を覚えた。
スチュワート=トリアドールとブレント=アガットはレミリアの最大の側近であり、友人であった。二人は幼い頃から側近としての教育を受けていた身寄りのない吸血鬼であった。貴族であったが活発であったレミリアは彼らとよく遊ぶことを好んでいた。そして二人はレミリアの分け隔てのない性格と豊かに成長を遂げたボディに惚れ込んでいったのであった。そのせいなのか、二人は切磋琢磨し二人ともレミリアに相応しい側近となったのだ。
「ちぇっ、あいつは一生留守番でもしてりゃいい。」とスチュワートとがふてくされると皆、やっと笑うことができた。
つかの間の平和の後、四人は近づいてくる蹄の音を聞き逃さなかった。
馬車がほぼ隣まで近寄ってくると四人は下品な笑い声を聞かされた。中にのっているのは
レミリアの義兄であり、ピュース家の当主であるヘルキューロ=ピュースとその一行であった。彼らは馬車をレミリア達に寄せ、ヘルキューロは「親父を継ぐのは俺だよ、てめえ見てーな三下が調子のってするもんじゃねーよ。」「精々、優遇されるように俺に媚びでも売ってるんだな」と笑っていた。レミリアは「それは光栄ですわ。」と返した。相手が乗って来ないのでつまらなく感じた彼は唾を吐いてさっさといってしまった。
静まり返り、辺りと一体化したような黒の館は巨大な要塞に似て、圧倒的プレッシャーと威圧感を与えてきた。何度来てもそう感じるのである。門をくぐり一本道を進んだ。レミリアは横にいた妹と執事の顔を見た。そこには様々な思考が絡み合った独特の表情があった。妹の方は緊張感を隠しきれない強ばったもので執事は余裕さを装いつつもこれからやって来る逃れられない争いに頭を悩ませているようなものだった。そして先導をしたスチュワートの手によって力強く館のドアが開かれた。目の前には前当主の第一執事がいて軽く挨拶を交わした後、一行を奥へと導いた。前当主の執事が荘厳なドアを開けるとそこには円卓があり、5人の義兄弟達がそれぞれ一定の間隔をおいて座っていた。
「遅いな、スカーレットのお嬢ちゃん」とヘルキューロが嫌味をいい、全員がこちらを見た。レミリアは自分の席につき、妹と従者は後ろに立った。何人の執事がやって来て飲み物を置くと先程の第一執事が円卓の前の台に立ち話を始めた。
「皆様がご理解をしている通り、前当主は今朝亡くなりました。300年に渡る統治を無事終えられたということです。この300年威厳ある我ら吸血鬼一族がこの地を治めてこれたのは彼の見事な手腕とカリスマ性のお陰です。彼の遺言では、皆様も知っているとは思いますが時期当主はこの6人の中の最も優れた者がなると言うこととなっております。」
「そうでありますので、皆様に一応話し合って貰おうと思いましてお呼びしました次第です」
彼は涙ながらに話を終えると彼らには沈黙が訪れた。今までの当主決定の際に話し合いなどで決まったことはなく、いつも争いしか無かったからだ。
まず口火を切ったのは円卓に足を乗せふんぞり返っている。ヘルキューロ=ピュースであった。
「どうしますよ?皆様、話し合いで決めますか?そんなんで決まるなんて思ってるわけ有りませんよね?」と小馬鹿にした笑いをしながら言った。
「まぁ怖いですわ、争いをしろと?私は今日はお父様とお別れをしにきただけですよ」と驚いたように技とらしく言った。この女はクリムゾン家の当主にして、この世界きっての魔法使いでもある、アンセット=クリムゾンである。彼女は美しく、レミリアよりも少し年の上の義姉である。彼女の言葉はいつも裏があり、レミリアが苦手とする人物の一人だった。お別れをしにきたというが後ろには口にチャックをつけ、文字通り黙りこくっている、不気味な男と腰に二本の剣を下げた、今にも襲いかからんとしている筋骨隆々の双子が控えている。そんなところがである。
思っても無いことを言いやがってとレミリアが思っていると、双子よりも数倍はがたいの良い、男が口を開いた。「わしはいつでも受けてたってやる。そうする他あるまい。わしにお前らが当主を譲ると言うなら別だか。」とジョーク調で言った。この男はバルトルス=ガーネット。兄弟の中でも一番の武闘派で彼自身も中々の強者でありながら彼の率いる軍隊は一流であった。それを証明するのは後ろの全身ストライプでとても長い銃を背負った男とカウボーイのような姿をしたガンマンを見れば一目瞭然であることだ。どちらともレミリアが名前を知っている程腕利きだ。さらにバルトルスは見てくれとは反対に頭もきれレミリアも敵に回したくはない人物であった。
「でっ出来れば僕は争いなどはしたくない。ぼ、僕は降りるよ。」とおどおどした様子で答えた、スーツをしっかりきこんだこの男はエルストファー=カプティックであり、兄弟の中では一番小さな領地をもつカプティック家の当主でる。とても気弱な為いつもヘルキューロやアンセットに言い負かされていた。「あ?何てめえは何もせずただ死にたいってのか?勝手にやってろよ」
「これは嬉しいですわ、敵が少なくなるのはいいことですわ。」とこんな具合である。
そしてレミリアの向かい側に座り何処かつまらなそうで何も言わない女こそがこの争いの最有力候補である、メレイニ=カーマインである。現時点で先程、悲しみの涙を浮かべていた、前当主の第一執事、アルサー=ポムグラニットも彼女の下に着いていると言う。もはやこの場に信頼などできるものなど一人もいないのだ。すでに戦いは始まっておりエルストファー以外は皆根回しと戦力補充を開始していた、つまりもう戦いへと運命は回りはじめているのである。
「こんなことは時間の無駄よ、早く帰りましょう。」メレイニはつまらなそうに言った。もうアルサーの目には前当主などは写ってはいない。
「もうちょっと私は皆さんと話したかったわ。」と言いながらも一番最初に席を立ちながらもアンセットが言うと、
「ばかいってんじゃねーよ、姉貴、知ってるんだぜ俺はあんたが巧妙に兵士を集めてるってな。」ヘルキューロが食って掛かり、
「まぁ怖い、そんなことしてまんわ。貴方が用意してる罪人達に殺されてしまいますもの、そんなことしたら。」としてやったと言う顔をして返した。「ガッハッハ、仲良くやりな。こうして会うのも最後なんだからよ」とバルトルスも参加すると、いよいよ収集はつかなくなり、レミリアはそそくさと帰り始めるとメレイニが近寄ってこういった。
「気を付けてね、貴方が死ぬと退屈だわ。」とレミリアはその言葉は何処までを意味しているのかは皆目検討は着かなかったが、プロットを読んでいるような作り込まれている感じがした。その頃、
エルストファーは下を向き立ち上がろうとはしなかった。
口論をする三人の声は部屋を出ても聞こえ、レミリアはうんざりした。舌打ちをして
「あんな連中は一緒にはいられないわ」
と言い壁を叩いた。
「安心してください、指揮は任せてください。彼らの情報収集は既にしております。負けることなど断じてありません。私、レットにお任せあれ。我々にはスチュワートやブレントもいます。」
「いいこと言うぜ、レットの兄貴!そうっすよ俺がガンガン守っていきますから。」
と生き生きとした顔で言った。
「可愛いやつめ」とレミリアは髪の毛をくしゃくしゃにしてやった。スチュワートは顔を真っ赤にしたままガッツポーズをした。可愛いやつである。しかし、レミリアの視線の先にあったのはレットの顔だった。「お姉さまっ」と意味ありげな視線を向けて遮って来たフランが微笑んだ。「これなら安心ね」と言った。レミリアは恥ずかしくてフランを小突いた。
レミリアとメレイニその後にとぼとぼエルストファーが帰ると部屋の中の三人は真面目な顔をして意見の一致を図った。
狙うはレミリア=スカーレットただ一人だ、と
その理由はただひとつレミリアの出自にあった。
彼女の母を生まれながらの貴族ではない。
実力と美貌その二つで今の地位にまで登り詰めたのであった。ヘルキューロやアンセットは親戚を彼女手で葬られてきたし、そんなポッと出を許すわけには行かないのだ。
「その点は安心してください。お三方。私が既に手をうっておきました。」そう言ったのはヘルキューロのメイドであり、百戦錬磨策士である、アイステロットである。彼女は心理戦や軍略には敵なしと言われてるのである。
「羨ましいですわ、貴方のその賢いメイドさんには。ぜひうちに欲しいですわ。」また、心にもないことをアンセットは言ったが
ヘルキューロは得意になって
「精々俺に媚でも売ってるんだな、時期当主の俺に。」といって部屋を出た。アイステロットだけはアンセットとバルトルスに最後まで警戒して、一礼をして去った。
「この戦、最初に手を出した奴が最初が一番の貧乏くじを引かされるな」とバルトルスは意味深に呟いて最後に部屋を出た。
赤く不気味に光る空、それは鮮血の赤なのか全ては完全に進んでいく。レミリアの目にはその赤は自分をスカーレットを全てを飲み込んでしまうように見えた。
To be continued
もう誰にも止めることは出来ない。
指摘があったように次回から読みやすくさせていただきます!
キャラの名前は僕の好きな小説、人物、歌、響と語感の関係で付けています!