片桐提督と艦娘   作:大石蔵良 ショタ 提督

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第35話 おびえる子犬

医務室ーーー

 

あれから2日提督は目を覚まさずにいた。

 

明け方ーーー

 

提督「ん…」

 

榛名「!?司令!司令!」

 

提督「は、るな?」

 

榛名「はい!気がつきましたか!?」

 

提督「ケホッケホッ…あれから…どのくらいだった?」

 

榛名「丸2日です」

 

提督「榛名が看病をしてくれていたのか…?」

 

榛名「いえ、皆さんで交代で」

 

提督「すまない…面倒をかけた」

 

榛名「そんなことありません!あ、とりあえずなにか軽いものを」

 

提督「すまないな」

 

すると慣れた手つきでリンゴを取り出し、するすると皮をむき、一口サイズに切ってくれた。

 

榛名「どうぞ」

 

爪楊枝にリンゴを刺し、口に運んでくれる。

こういう面では鳳翔に次いで母性は強いといえるな。

 

提督「はむっ…モグモグ…ングッ!?」

 

榛名「ど、どうしました!?」

 

提督「ブッ!ケホッケホッ!」

 

なぜか喉を通さず、リンゴを吐き出してしまう。

 

榛名「だ、大丈夫ですか!?」

 

提督「あ、ああ…すまない。せっかく切ってくれたというのに」

 

榛名「…ここは!榛名!全力で参ります!」

 

何をする気だ?

 

ぐっと拳を握りしめ、自らリンゴを口に含み噛み始めた。

そして飲み込むかと思えばそのまま暖かく、柔らかい唇が重なり合い、そのまま砕かれたリンゴが流れてくる。

 

提督「ん…!?ゴクッ…」

 

榛名「プハッ!飲み込めましたね!」

 

提督「お、おい…いくらなんでもこんな方法でなくとも」

 

榛名「ううっ…だって、なにか食べないとって…」

 

提督「すまない。無神経だったな」

 

なんというべきだろう。

ここはやはり榛名に甘えるべきなのか?

 

提督「なあ、榛名」

 

榛名「は、はい」

 

提督「すまない…暫く自分で飲み込めそうにない…。悪いが暫くは榛名が今のように強引に押し込んでもらえないか?」

 

我ながら恥ずかしいが、これも榛名が俺のことを思ってしてくれたことなのだろう。

 

榛名「榛名!全力で頑張ります!」ニコッ

 

それからなんとかリンゴ一つ分食べることができた。

 

提督「ありがとう。暫く休んでもいいか?」

 

榛名「あ、はい!では榛名は」

 

キュッ

 

嗚呼、俺は柄にも合わず何をやっているのだろう。

何故だろう…榛名、いや、この温もりをまだそばに置いておきたい。それ以上にこの優しさを、榛名という1人の優しい女性にいて欲しいのだろうか。

 

提督「榛名…お前の時間が許す限りでいい。暫くそばにいてくれないか」

 

榛名「!?」司令が、怯えてる?

 

そう、震えていた。

それも本人の自覚がなく、手がプルプルと産まれたての小鹿の足のように、小さい子供が母に恐怖を訴えるように震えていた。

加えてその恐怖から来るのか、提督の瞳はウルウルと溢れかけの涙が溜まっていた。

 

榛名「わかりました。榛名は今日はお休みですから、ずっとお側にいます♪」

 

提督「ありがとう…」

 

 

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