夜ーー
コンコンッ
加賀「提督、お加減…は?」
そこには昼よりさらに顔色が悪く、目が開けられないほどの疲労の溜まった姿の提督の姿があった。
確実に病はものすごい速さで提督の体を蝕んでいる。
提督「その…こ、えは、加賀…か」
加賀「はい」
提督「今…なん、じ、だ?」
加賀「午後9時です。みなさんお疲れのようでしたから、私が代わりに参りました」
提督「皆、よく頑張って、くれて…いるの、だな。お、まえは、やすまな、くても、だいじょ、うぶ、なの、か?」
加賀「!?は、はい。私は休みでしたから」
なぜ!?
自分がこのような状況なのに…!
私達のことをずっと気遣ってくれて…
提督「体が、丈夫なのは、良く、知っているが、くれ、ぐれも無理の、ない、ように、な?」
加賀「ありがとう…ございます」
いけない、まだ、流してはダメ。
提督「か、が」
加賀「は、はい」
提督「たの、みが、ある」
加賀「なんですか?」
提督「膝枕を、してほしい、それで、そっと、頭をなで、てくれないか…?」
加賀「…わかりました」
感覚だけでわかった。
そっと提督の枕元に登り、枕を避け、そっと加賀の暖かく、柔らかい膝に頭を埋める。
さらにフニフニとした柔らかい手が頭を優しく撫でてくるのを。
提督「加賀…あたた、かい…」
加賀「!?」提督の体…冷たい?
提督「加賀…すまない…」
加賀「提督?」
提督「俺は…うそ、つきだ…。お前たちを、1人に、してしまう、な…」
加賀「提督、しっかりしてください!」
提督「ありがとう、加賀…最後に甘えて、みたかったのだ…母性を知らぬ俺にとって、かけがえの…ない、おもい、で…」
その瞬間全体重が加賀の膝にかかり、握っていた手も緩み、そのまま眠るように息の音が消えた。
加賀「提督!?提督!しっかりして!まだ!鳳翔さんと約束したんでしょ!?しっかりして!提督!起きて!」
その時、ものすごい足音で医務室の扉が開けられる。
大淀「できました!新薬…で、す…?」
加賀「うっ…グスッ…」
大淀「加賀さん?」
加賀「提督は…もう…」
大淀「そ、そんな…うそ、ですよね?」
加賀はそっと大淀を手招きし、大淀に提督の胸を触れさせる。
大淀「…そんな…」
加賀「眠るように、穏やかに眠っていったわ…」
大淀「ま、まだ!間に合うかもしれません!」
大淀が蘇生をしようとてを伸ばす。
しかし、加賀とてバカではない。
もう、息は吹き返さない。
加賀「やめて!もう、眠らせてあげて…」
大淀「だ…だって…グスッ…」
20××年1月3日午後9時15分
片桐和樹 13歳 死亡
後に提督の死は鎮守府内に伝えられ、皆が涙を流し、提督の死を嘆き、悲しんだ。
葬式は軍ではなく、室蘭鎮守府の艦娘たちの手で厳かに行われ、遺骨は各々小瓶に詰め、お守りとして持ち歩くことにした。