元攘夷志士の六つ子は今!!   作:堕落人生

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第二訓 いくつになってもバカはバカ 下

新八は今、焦っていた。ひょんなところから最近巷を騒がせる連続爆破テロの犯人扱いを受け、命からがら助けられた先がまさかのテロリストであり、自分たちが巻き込まれたこと全てがそのテロリスト、桂小太郎の作戦であったことを知ったからだ。

「えっ!じゃあ、桂さんたちが最近巷を騒がせるテロリストだったってことですか!?」

「まーそーなんじゃねー」

焦る新八をよそに銀時やおそ松はどーでもよさそーに鼻をほじったりしている。

「俺はテロリストではない攘夷志士だ。」

「攘夷志士だって!?」

攘夷志士とは二十年前の天人襲来の時に高圧的に開国を迫ってきた天人たちを追い払おうと一斉蜂起して戦った侍たちのことである。しかし幕府が勝手に天人たちと不平等な条約を締結した後、主だった攘夷志士は大量に粛清されたとなっていたが

「まだ残っていたなんて・・・」

新八が呆然としているのを横目に銀時が桂に話しかける。

「お前がこんなことするなんてなぁ、ヅラ。」

「ヅラじゃない桂だ。たとえ汚い手を使おうとも手に入れたいものがあったのさ。」

桂は何かを耐えるように目をつむり刀を手に取ると銀時に目を向け告げた。

「坂田銀時、我等とともに再び天人と戦おうではないか。白夜叉と恐れられたお前の力再び貸してくれ。」

 

 

その男 銀色の髪に 血を浴び 戦場を駆る姿は まさしく夜叉

 

 

「天人との戦いにおいて鬼神の如く働きをやってのけ、敵はおろか見方からも恐れられた武神。」

「銀さんアンタ、攘夷戦争に参加していたんですか・・・」

「・・・」

新八が驚きを隠さずに聞いているが銀時は相変わらず何を考えているか読めない顔で耳を掻いている。しかし僅かばかりかその表情が険しくなっているのは見間違いではないだろう。

「俺たちの戦はもう終わったんだよ。それをいつまで経ってもネチネチネチネチ、京都の女かてめーは!」

「バカか貴様は!京女だけではなく女子はみんなネチネチしている。そういうのを包み込む度量がないからお前はモテないのだ。」

「えー、でも包み込む度量も必要だけどさ時には突き放す優しさもなきゃダメだろー」

「何の話してんの アンタら!!」

攘夷戦争の話から何故か女のネチネチさの話になっていた三人に新八は突っ込んだ。

桂は気を取り直すかのように咳を一つつくとおそ松のほうを向き言った。

「銀時だけではない、おまえにも言っているのだ松野おそ松。」

「!(おそ松さんも攘夷戦争の参加者だというのだろうか)」

「悪いが調べさしてもらったぞ、松野おそ松、いや六鬼の一人『紅椿』」

 

 

六つの顔を持つ鬼 その一つである 紅椿

深紅の衣を羽織り 一つ一つと首を落としていく

 

「まるで椿が枯れ落ちるかのように首が落ちるところから付いた名が紅椿。お前にも少なからずは仲間がいたはずだ、そいつらの無念晴らそうと思わないのか。」

桂の言葉におそ松は 仲間、ねぇとつぶやくといつもの読めない表情で、でもどこか覚悟したような顔で言い切った。

「悪いが、俺の仲間はあいつ等だけだし、あいつ等は絶対に生きているしそう信じている。俺はその生きている仲間を探している最中なんでね、テロなんてめんどくさいことする気なんてねーよ。」

「あいつ等とは?」

「俺の大事な弟たちの事、俺と一緒でクズばっかだけど大切なかわいい俺の弟なんでね。」

「・・・そうか。ならば仕方あるまい、と言いたいところだがお前等はすでに我々に加担した、断る道はないぞ。」

「・・・」

「銀さん、おそ松さん・・・」

新八と神楽は不安そうに二人を見た。銀時とおそ松は黙ったまま口を開かない。そんな空気を壊したのは部屋にいる誰でもなかった

『バン!!!』

「御用改めである!神妙にしろテロリストども!」

「しっ真選組だぁあ!」

「イカン逃げろォ!!」

桂の一声でみんな散り散りとなり逃げる中おそ松だけがある一点を見たまま固まっていた。

「おい!おそ松行くぞ!」

銀時が急いでおそ松の手を引き連れて行こうとした瞬間

「おい」

『ヒュン』

「ぬを!」

銀時の頭があったであろう位置に刀が刺さった。銀時が殺気に気づき咄嗟にしゃがまなければ今頃串刺しであっただろう。

銀時の頭に刀を刺したのは黒髪の男、土方だった。

「逃げるこたぁないだろう、せっかくの喧嘩だ楽しもうや。」

「オイオイ、おめーホントに役人か。よく面接通ったな瞳孔が開いてんぞ。」

「んだとー!」

土方と銀時が訳のわからない言い争いをする中おそ松は未だ一点を見つめ呟いた。

「・・ちょ・・ろ松・・・?」

「・・・・・おそ松にいさん・・!?」

視線の先にいたのは真選組一番隊副隊長松野チョロ松だった。おそ松同様チョロ松も驚きのあまり声が震えている。

「お前・・・チョロ松だよな・・・」

「・・・うん。」

おそ松が一歩二歩とチョロ松に近づいていく中、隣の銀時たちのほうで一つの爆音がなった。

『ドゴン!』

「!ちょっこっち来い!!」

「えッ!!」

おそ松はチョロ松の手を掴むと一つの部屋に引っ込んだ。

一方、先ほどの爆音の正体は沖田だった。

「生きてやすか、土方さん。」

「バカヤロー!おっ死ぬとこだったぜ!!」

「チッしくじったか」

沖田の爆音に紛れ銀時は逃げていた。

「副長、ここです。」

「そうか。」

「ついでに松野副隊長が先ほどの爆音に紛れてここに連れられました。」

「はぁっ!?」

「あり」

「あり、じゃねーよ!お前のせいじゃねーか!!」

「まあ、墓は立ててやりまさぁ。」

「そーゆー問題じゃねーだろ!!」

ぎゃいぎゃいと真選組が騒ぐ中銀時らはまた別の騒ぎになっていた。

「お前真選組!貴様なぜここに!」

チョロ松は桂一派全員に刀を向けられ囲まれていた。

「コノくそ長男!あって早々バカなことしやがってぇ!」

「ごめんってチョロ松。俺も焦ってて」

「バカじゃねーの!敵のたまり場に突っ込むとか!」

「許せってシコ松ー。」

「シコ松言うんじゃねー!!」

さっきまでの感動の再会はどこに行ったのか仕事前の冷静さは一気に消え失せたチョロ松がひたすらおそ松の肩を揺さぶり振り回した。万事屋一行はそんな様子を見ながら

「あれがおそ松さんの弟さん?」

「ごっさ顔そっくりネ。」

「流石六つ子だよなー。」

「銀ちゃんその頭どうしたアル 髪増えてるヨ」

「・・・」

など話していた。

「(あれ?でもおそ松さんの弟なら攘夷戦争参加者なんじゃ・・・?)」

新八が不思議に思い尋ねてみようと口を開く前に桂がチョロ松に刀を向けながら訊ねた

「お前は六鬼の一人『御衣黄』、なぜ貴様が真選組などという幕府側にいるのだ。」

 

 

六つの顔を持つ鬼 その一つである 御衣黄

散らす様は桜 最期に染まるのは翠か紅か

 

チョロ松はおそ松を揺さぶっていた手を止めると先ほどまでの表情を消し冷たい視線を桂に向けた。。

「御衣黄、なぜ貴様は忌むべき幕府についている。」

「忌むべき?僕はもともと幕府を恨んだことなんてない、しかも真選組には恩義がある。ただそれだけだ。」

それと、とチョロ松は刀を構えた

『キン!』

「貴様!桂さんに何をするかぁ!」

桂は自分の部下を片手で制し呟く。

「待て!・・・抜刀術か。」

チョロ松はさっきの姿勢を変えずに立っている。変わったといえば桂の姿勢だ。まるで何かを防ぐように刀を構えている。

「流石六鬼の一人御衣黄だな。」

「僕は御衣黄じゃない、真選組一番隊副隊長松野チョロ松だ。」

桂とチョロ松はしばらくの間睨み合っていたが、ふと桂は視線をずらすと刀を収め懐からあるものを取り出した。

「?なんの真似だ。」

銀時が桂の手元を覗き見るとそこには一つに時限爆弾があった。

「「「!!」」」

桂は奴らから逃げるにはこれしかあるまい、と言うと爆弾を持つ手に力を入れた。そんな桂の胸ぐらをつかみ銀時が言う。

「桂ァ、もう終いにしようや。これ以上薄汚れんな。」

「薄汚れたのは貴様だ銀時。武士たるもの己の信じた一念を貫き通すものだ。」

「俺ァ大事な仲間を失うのはごめんだ。どうせ命を張るなら俺は俺の武士道を貫く 」

「俺の美しいと思った生き方をし俺の護りてえもんを護る。」

銀時と桂の言い合いを誰もが黙って聞いていた。そんな時

「銀ちゃん」

神楽の声が響いた。手にはあの時限爆弾を持っている。

「これいじくってたら・・・スイッチ押しちゃったヨ。」

「「え"っ」」

 

一方真選組はそろそろしびれをきらしていた。特にリーダーの副長と一番隊隊長がドラマの予約をしていなかったということで副隊長を見捨て突っ込もうとしている。その時

『ドゴォォォン!!』

時限爆弾を持った万事屋一戸とチョロ松が激しい破壊音と共に出てきた。

「「!」」

「誰か!コノ爆弾とめてくれぇ!」

銀時は驚き焦る真選組を無視して爆弾を突き出しながら叫ぶ。何故か追うものと追われるものの立場が逆転している、秒数は残り十秒をきっていた。

「げっ!!」

「銀さん!窓!窓!」

目の前に窓が見えるがまだほど遠い。その時

「銀ちゃん、歯ぁ食いしばるネ。」

「!?」

「ほわっちゃぁぁああ!」

神楽が銀時をすごい勢いで投げ飛ばした。銀時はそのまま窓を突き破り落下、その落下途中に銀時は手元に会った残り一秒の爆弾を上空で投げた。

『ドッガァアン!!』

「銀さーん」

「銀ちゃーん、サヨーナラー。」

「銀時ー骨は拾ってやるよー。」

銀時が突き破った窓から下をのぞくおそ松等を見てチョロ松は言う

「おそ松兄さん、」

「ん?」

「 」

とても小さな声だった、風にかき消されてもおかしくないくらいで、しかしおそ松には通じたようで

「おう。」

と言うと得意そうに鼻をこすった。

「だって俺長男だしな!」

こうして連続爆破テロは幕を閉じたのだった・・・

 

 

「・・・」

桂は屋上に立っていた。銀時たちのおかげで無事逃げることのできた彼らは逃走の準備をしている。桂は必死にビルの垂れ幕にしがみつくかつての同志を見て思い出す。銀時が言ったあの言葉を

「美しい生き方だと?アレのどこが美しいんだか。」

「桂さん、準備ができました。」

一人の男が桂を呼びに来た。青い着物に紺の袴を穿いた20ぐらいの男だ。桂は男に返事をしてもう一度下を見る

「・・・だが昔の友人が変わらずにいるというものも悪くないものだな。」

桂はフッと笑うとその場に背を向け去っていった。

「・・・」

桂が去った後も男はその場にいた。下を見ている目は桂と違い銀時ではなく彼を引っ張り上げているおそ松を見ている。

「・・・おそ松・・・」

彼の声は風と共に消えて無くなった。

 

 

 

 

 

 




ここまでお読みいただきありがとうございます。ギャグのつもりがギャグになりませんでした。すみません。

御衣黄ーサクラの栽培品種である。緑色の花を咲かす。開花時には目立たないが、次第に中心部から赤みが増してきて(紅変)、散る頃にはかなり赤くなる。
〈wikipedia参照〉
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