コインの表と裏   作:ラーカー

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ウサギ書いてたはずなのになんで先にこっちができんだろうか?


高2の始まりの日~情報収集はするべきだ~

 ・・・・・・最悪だ。

 結局出れなかった始業式の後、教務科に事件の報告を済ませてから配属された二年A組の教室で自己嫌悪で死にたくなっていた。

 ヒステリア・サヴァン・シンドローム。

 俺とギンは『変態モード』と、って違う!?ヒステリアモード!茶々入れるなギン!?

 ともかくこの特性を持つ人間は、一定量以上の恋愛時脳内物質βエンドルフェンが分泌されると、常人の約30倍の神経伝達物質を媒介し、大脳・小脳・脊髄といった中枢神経系の活動を劇的に亢進させる。思考力・視力・反射神経ect...が人間が発揮できる最高レベルの動きを可能にするのである。

 

『簡単に言えばエロいこと興奮して一時的に脳のリミッターが外れたスーパーマンになるって事だろ』

 

 確かにそれで合ってるが言い方考えろよ・・・・・・。

 で、さっきの俺は・・・・・・アリア、すなわち女子の前でヒステリアモードになってしまった事に激しく落ち込んでいた。

 

『女の子を口説きながら7発の弾丸でUZIを7台ぶっ壊したアホに言われたくねえ』

 

 言うな。

 

『そしてあの子のスカートが壊れたからって自分のベルトをプレゼントしておいてよく言うよ』

 

 それはヒステリアモードのせいでキザになってたんだよ!

 

『それで小学生扱いしてキレさせて逃げたんだよなあ』

 

 あんな140cmくらいの小さな女の子が高校生だって思わねえだろ・・・・・・。

 

『しかも俺らとタメだと思わんかったなあ。で、100人のFBI捜査官からも逃げれるとか偉そうな事言ってたくせになに落ち込んでるんだか』

 

 マジで言うな!?ていうか俺の事誰よりも知ってるくせに弄るなよ・・・・・・。

 

『俺らは文字通り一心同体というか表裏一体?』

 

 別人格だからなお前。

 解離性同一性障害。多重人格と呼ばれる人間は世の中に何人いるのだろうか?少なくともいないわけでもないが多くはいないだろう。いても数十万人に一人レベルとか思われがちだが程度にもよるが数百人に一人はいるらしい。有名どころだとイマジナリーフレンドとか幻聴のたぐいもそれらしい。

 

 ギンはいつの間にかいた別人格だ。記憶を頼りにすると小学生ぐらいの時にはすでにいた。

 発生した理由も行程もなくいつの間にかいたため、最初は憑りつかれたのかと思って焦ったくらいだ。

 

『今も昔も俺はお前だしお前は俺だろうに』

 

 そうだな。で、当然のようにいる存在だと認識してからは過剰に気にすることもしなくなった。ニュアンス的には一人二役を演じているように、根っこは同じだからだ。

 

『どうでもいいけどな』

 

 本当にな・・・・・・。

 下手すればキチガイとか言われるからな。

 

『常人から見たら間違ってない気がするけどな。あ、HR始まるぞ』

 

 ああ。流石に今日はもう問題は起きないだろうし。

 

『それ何てフラグ?』

 

 五月蠅い。

 

     ☆    ★    ☆

 

「先生。あいつの隣に座りたい」

 

 同じ2年A組だったあのピンクツインテール・アリアがいきなり俺を指してそんなことを言いやがった。

 

『10分も経たないうちに高速のフラグ回収流石だな。神にでも呪われてるんじゃない?』

 

 それを仕組んだ神がいるんだったら次あった時にでも殴ってやるよ。

 いやそれよりも嫌な予感はしてたんだよ。担任の「3月から転入してきた可愛い子から自己紹介してもらいますよー」とか言いだした時に。

 

『これがあれか、運命の出会いか?でもヒロインはあんなチビは嫌だな』

 

 ヒロイン言うな。

 多かれ少なかれバカ騒ぎが好きな武偵高校の連中はその一言でお祭り状態で、俺は頭を抱えながらギンとの会話に現実逃避しているといつの間にか友人の武藤が無駄に気を利かしてアリアと籍を交換するとか言いだし、なぜか交換することになったらしい。こいつ後で〆る。

 

『アホ言ってないで頭上げろ。すぐ傍まで来てんぞ』

 

 え?

 

「なに頭抱えてるのよ?」

「・・・・・・世界の理不尽さを身にしみて感じてたんだ」

「ふ~ん?」

 

 どうも俺の言いたいことは理解できなかったらしい。

 

『女は自己中だからな。理解できるはずがない』

 

 お前は当然のように世間を敵に回すこと言うなよ・・・・・・。

 

『渡る世間は敵ばかりっていうじゃん』

 

 それを言うなら鬼ばかりな。というか何する気だ。

 

『向こうがなにもしなければなにもしねえよ?』

 

 お前は敵対者には容赦ねえからな。それ聞いて少し安心したわ。

 

「キンジこれさっきのベルト」

「? ・・・・・・ああ」

 

 そういえばさっき体育倉庫でスカートのホックが壊れたのを察して渡したんだっけ。大したことじゃなかったから頭から抜けてたな。スカートは直したか新しいのだろう。

 

『こいつ空気読めない類だなあ』

 

 ? どういうことだ?

 

『周り見ろよ?』

 

 ・・・・・・恐る恐る周りを見回すと。

 

「わかっちゃったリコリンわかっちゃったよ!キーくんベルトしてない!そのベルトは転校生ちゃんがしていた不思議だね?でもリコリンはわかっちゃったよ!」「その心は?」「二人は熱い恋愛の真っ最中なんだよ!」

 

 こういう事に燃料を投下する探偵科のおバカキャラ理子が火にガソリンを振り撒いていた。

 

「キンジが?「嘘だろ!?「キンジって白雪さんみたいなのがタイプなんじゃ!?「可愛い子だからな仕方ない「不知火×キンジじゃないの!?フケツ!「お前の頭の中がフケツだわ

 

 武偵校ではクラス別けにそれぞれの専門科目で部活のように学年や組超えて学び、実戦では他の専攻者と組んで依頼に臨むことも多く顔見知り率は異様に高いのだ。ちなみに人づきあいが苦手な俺でさえこのクラスの4割が何らかの形で絡んだことのある人物であるといえばわかりやすいだろうか?

 というわけで即座にお祭り騒ぎになるこの現状もあまりおかしくはない。

 

「お前らなあ・・・・・・」

『もう諦めて全員ぶっ殺そうぜ?』

 

 頭を抱える俺に対し、ケラケラと物騒な事を言うギン。そもそも面倒くさいことになったからって殺すことを選択肢に入れるな!武偵3倍刑で死刑は免れないだろ!

 

『そん時は世界を股にかけるダークヒーローの誕生だな。名前はジキルなんてどうだ?』

 

 いや、やらねえよ?それ国際指名手配待ったなしの予感がするんだけど?

 

『残念w』

 

 絶対面白がってやがる。

 

―――ダンダダン!

 

 突然の銃撃に驚いて顔を上げると

 

「れ、恋愛なんてく、くっだらない!」

 

 顔を真っ赤にしたピンクツインテールが抜いたガバメントで周りに威嚇射撃したようだ。

 

「全員覚えておきなさい!そういうバカなこと言う奴は――――――風穴開けるわよ!」

 

 クラスメイトへと犬歯を剥いて威嚇するのだった。

 

『つーか、恥ずかしいから追求すんなって言ってるように聞こえるな。子供の癇癪かよ』

 

 お前はマイペースすぎるんだよギン。

 

 

       ☆     ★     ☆

 

休み時間になる度に質問責めしてくるバカ共を適当にあしらっていたが流石に昼休みまで潰されては敵わないので、理科棟の屋上まで逃げた昼休み。

 

『腹減ったんだけど?』

 

 購買による暇もなかったんだから我慢しろよ。

 

『後で何か食わせろ。甘いものがいい』

 

 お前の要求大概甘いものだな。ん?誰か来たか?

 

『あれは強襲科の女どもだな』

 

 見つからないようにコソコソと犯罪者のように物陰に隠れる。

 

『ゴ〇ブリみたいだな』

 

 ゴ〇言うな。いやなんか否定しにくい隠れかたしたけどよ。

 

「————そういえばさー。教務科からの周知メールのボムケースってキンジじゃない?」

「あ。やっぱり?始業式出てなかったもんね」

「うわー。キンジってば不幸。チャリ爆破されて、しかもアリア?」

 

『噂されてるぞ?出て行かないのか?』

 

 こういう時に女子にからむと碌なことはない。盗み聞きされたと思われたら最悪だしな。

 

『情報収集は基本だしな。盗み聞きしますか』

 

 だから盗み聞き言うな。

 

「さっきのキンジ不幸だったねー」

「ねー。しかもアリアが朝から探り回ってたし」

「教務科にも行ってたらしいよ?」

「キンジの事探ってるのかな?」

「うわー、キンジにラブなんだー」

 

『よかったな。モテモテだぞ(笑)』

 

 その煽り方うっぜえ。

 

「でもさー、アリアって外国育ちだからか空気読めてないよねー」

「でも男どもには人気あるみたいだよ?」

「チアとかスケートの写真は万単位だって」

 

『武偵校バカしかいないのか?あんなガキの写真に万単位出すとか』

 

 というかなんだチアとかスケートとかなんでそんな授業あるんだよ?要らんだろうに。

 

『ここが頭おかしいのは昔からだろ』

 

 それもそうだな。しかし、どうもアリアは変人奇人ぞろいの武偵校でも目立つくらい浮いてるらしい。

 

『もう少し情報収集しとくか?狙われてるみたいだし』

 

 ・・・・・・何する気だ?

 

『あいつらに聞き込み。お前がする?』

 

 ・・・・・・・・・・・・ギンに任せる

 

『んじゃ、出るぜ」

 

 軽く伸びをしてから

 

「オレを呼んだか?」

 

 表に出てきたオレはさも今起きたかのような顔をしながら給水塔から飛び降りる。

 

「うわ!「キンジ!?「聞いてたの!?

 

「いーや?腹減ってるところにいい匂いがしたから起きたんだよ――っと」

 

 適当なことを言いながら勝手に女子の弁当からおかずを失敬する

 

『・・・・・・お前そういう事やめろよ』

 

「ゴメンな。旨いなこれ。腹減ってたからかな?」

「勝手に食べないでよ~」

「じゃあくれ。これならいいか?」

「あはは!少しだけ分けたげる」

「私もあげるね~」

 

『お前の謎のコミュ力の高さ何なの?』

 

 好き勝手してるだけだが?

 

『・・・・・・そうか。俺には無理だな』

 

 おすそ分けされたおかずをパクつきながらさっきの事を聞く。

 

「そういやなんかピンクチビがオレを嗅ぎまわってるらしいけどマジ?」

「マジマジ!」

「さっき、キンジの事聞かれたから『昔は強襲科ですごかったんだけどねー』って答えちゃった。ごめんね?」

 

 あらかた喰い尽くしてから適当な場所に座りつつ答える。

 

「別にかまわねえよ。事実だし。しかし、なんでオレのことなんか調べてんのかねえ?」

「なんかしたんじゃないの~?」

「ちょっと助けつつ、軽口叩いたくらいしか心当たりねえな」

「それじゃないの~?「むしろそれしかないよ「キンジって口説くのうまいからねえ

「口説いたっけ?記憶にないな」

「それだからタラシとか言われるんだよ~」

 

『・・・・・・タラシって』

 

 自業自得だろ。女と見りゃすぐ口説くし。

 

「それはどうでもいいとして、あのピンクの事なんか知ってる?襲われるにしても少しくらいは知っときたい」

「どうでもよくないと思うけどな~。えっと、確か強襲科のSランクで二つ名は『双剣双銃』。両利きで二丁拳銃と二刀で戦うんだって」

「あのチビがS?」

「そうだよ!それで~

 

 その後も毒にも薬にもならないうわさ話をある程度聞いてから時間が来たのでお開きとなった。

 

『あ~、やっぱ久々に表出た気がする』

 

 お前、やっぱすげえよ。役に立たない情報が圧倒的だったけど女子から情報を得るとか俺には無理だし。

 

『それお前の努力不足だろ。聞き込みは探偵の基本だろ』

 

 ・・・・・・うるさい。

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