武偵及び武装職と呼ばれる職業の者は、警察や自衛隊などと言う国から武器や弾薬を全支給される国家公務員を除き、銃器・刀剣と言った銃刀法に触れるような代物を公安委員会に登録することが義務付けられている。仕事として武器を使う武装職は登録はいつでも申請できる。が、これは武偵の卵である学生となると少し話は変わる。
武偵を目指す学生は当然、登録後に自分の武器を持つことが許される。しかし、その登録は4月に一括して登録し大体1年程の期間、つまり3月の末くらいに登録をし直すまでは取り消すことが出来ない。事前に登録解除を要請しないといけない規則になっているため大体半年前に申請し年度末にいなくなる。つまり武偵をやめることが出来ないのだ。3月になるまでは。
これは理由としては単純でそうホイホイと取り消しや登録を認めたら混乱が起きるという事に加え、武装職を辞める際に報復などの理由から武器の使用許可を維持したままにするわけにはいかないという真っ当な事情もある。武装免許と武装職業はワンセットで扱われるため、4月は殉職を除いて足を洗うか踏み入れる武装職の交代劇が起こる月なのである。
そういう季節だが、そうとは思えない具合に目の前の買いあさったスイーツをかき込む様に食っていた。
「やっぱ、甘いものは格別だな!」
『・・・・・・ギン。食うのを辞めろとは言わないが転出するための書類を片付けてからにしてくれ』
「チィッ!」
今日は散々ストレスが溜まるようなことがあったせいか態度の悪いギンだが、一応いう事は聞くつもりのようで書き込み終えた書類を適当な引き出しの中に入れてから、またスイーツのやけ食いを再開する。
「で、本当に辞めんの?武偵」
『ああ、俺はもう辞める。守るために命をかけて戦った兄さんが死んで、世間がそのすべてを兄さんにすべてに押し付けたあの時からさんざん悩んで決意したことだ。もう俺は兄さんのように”誰かを救うために”善意で戦えない』
「お前がそれで良いならそれでいいけどよ~。オレは暴れる場所がなくなるのは困るんだけど?」
『・・・・・・すまん』
「別にいいけど。太るかもな」
『やけ食いか。でも武偵校にいることでのストレスはなくなるからそういうのは無くなるんじゃないか?』
「だといいがね。そう適応できればいいが」
『不安になるようなこと言うんじゃないよ』
「ん~?いや単純に”ピンポーン”んあ?チャイムがなったな。おい、変わるぞ」
ああ。
「ん。ったく、誰だよこんな時に」
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン
「うるせぇ!?誰だ連打してんの!?」
「遅い!あたしが鳴らしたら5秒以内に出なさい!」
「神崎!?」
『なにこの偉そうなクソガキ?〇す?〇す?〇そうぜ?』
落ち着け。というかヤバい事を口走るんじゃねーよ。ただでさえ危険思想なんだからお前。
「アリアでいいわ」
とか言いつつ勝手に部屋の中に自宅のように侵入する神崎・・・・・・アリアを見過ごしてしまった。
『なに侵入許してんだよ』
いや、あっけに取られて。それよりこれどうしよう?
『トランプ柄のトランクねえ。粗大ゴミかな?』
捨てるな。取りあえず邪魔だから玄関に置いとくか。
やけに重いトランクを運んだ後。食い散らかしてあるゴミが積まれた机の前で不機嫌になってるアリアを見て、ため息を吐く。
「何の用だ?」
「それよりこれ片付けなさいよ!ゴミが散らばってるじゃない!」
『うぜぇぇぇぇ!?なあ、こいつ殺そうぜ?』
気持ちはわからなくもないが落ち着けギン。
「こっちは食い終わったところなんだよ」
適当に言いつつ、さっさと片付ける。といってもゴミをゴミ箱に捨てて軽くテーブルを拭いたぐらいだが。
「それで何の用だ?」
「ここ一人部屋なの?」
「話聞けよ」『やっぱブチ殺そうぜ』
「あんた一人なら都合がいいわ」
そう言いながらアリアは俺の部屋の一番奥、ベランダに出るための窓の所まで歩いて行き、夕焼けが映える景色を背景に振り向き、長いツインテールが優雅に曲線を描き、
「————キンジ。あんた、あたしのドレイになりなさい!」
・・・・・・あり得んだろこいつ。
『こいつ死ねばいいのにな。むしろ殺す』
ギンが半分くらいキレてるな。
「ほら!さっさと飲み物くらいだしなさいよ!無礼な奴ね!」
「いきなり人の部屋に来てドレイになれとか言うような奴に無礼とか言われるとは思わなかった」
「あんたはあたしの事なんだと思ってるのよ!?」
『占有屋』
ヤクザの手下扱いして上げるな。やってることにてるけどさ。
「知らない人かな?」
「あんたあたしの名前読んでたわよね?」
「名前以外は外見ぐらいしか知らないからな。お前とは結局のところ他人だろ?」
『多少噂話は知ってるけどな』
「確かにそうね。でも主人のことぐらい調べときなさい!」
「いや主従関係が当然の事のように言うなよ」
『こいつさっさと追い出そうぜ』
そうした方がこの状況は改善されそうな気はするけど追い出せる気がしない。
『腰抜け』
うるさい。
「あんたは私のドレイよ!」
ギン。ちょっと頼みがある。
『え?やだ』
聞く前に断るな!
『どうせこいつを言いくるめろとかそんなとこだろ?自分でやれ』
お前は俺達がこんな奴のドレイになってもいいのか?
『どうせ、お前が誑かして最終的に良いように使えるようになると思ってる』
お前と違って俺にはそんなこと出来ねえよ!?
「あんたさっきから頭抑えてるけど大丈夫なの?」
「大丈夫じゃないな・・・・・・」
「ちょっと!?ホントに気分悪そうだけど本当に大丈夫なの!?」
『もう攻略し始めてるよこいつ』
気のせいだろ。
「あー。大丈夫だから一人にしてくれ。しばらくしたら治るから」
『そういやそろそろ手入れの時間だったな。拗ねてんのかあれ』
「本当でしょうね?」
「明日にでもその件含めて話すからマジで帰ってくれ。相手する暇ねえし」
「あんた本当に大丈夫なの!?顔色酷いわよ!?」
『うん。だからさっさと帰れ』
「あー、一族の秘密で他人に見せれねえんだ。だからマジで帰れ」
「う。そう言われると弱いわね」
『メアドでも渡して帰らせろ』
そうだな。そろそろヤバいしそれで帰らせるか
「これは俺のメアドだ。これで勘弁してくれ」
その後もかなり鬱陶しかったが明日に付き合う約束を押し付けられつつも神崎を追い出すことに成功した。
「帰ったか・・・・・・」
『一息ついてるとこ悪いけど拗ねてるからさっさと世話してやれ』
懐にしまっていた短刀を取り出し手入れを始める。
手入れを始めてから嘘のように頭痛が引き、手入れが終わるころには頭痛どころか身体が軽くなってる始末。拗ねた”これ”の機嫌が直ったのを感じて苦笑する。
『思ったんだけどこれ女なのか?』
「なんでそう思うんだ?」
『勘』
「・・・・・・こいつ拗ねるからあんまり否定できないなあ」
妖刀”鬼炎”
鬼の骨で作られたこの刀はたまたま依頼で前の持ち主を逮捕したときに巡り巡って俺の手元にやってきたのだが、持ち主を呪い殺すとか言われて押し付けられたんだが一切そういうこともなく。切れ味が良すぎる上に扱いにくいがギンが気に入ってることもあり、ギン専用の武器みたいになっている。
『いいじゃん。お前も使うんだし』
そうだけどさ。そうじゃ無いんだよ。
この後、幼なじみという事になってる星伽白雪が恐山に修行に行くらしいので晩御飯を作ってもらうのではなくお弁当(重箱)を奢って貰ったりしたが関係ない情報なので省略する。
原作とのズレが顕著になってきましたw
どうでもいいけど自覚がないだけで呪われてます
ちなみに次回は息抜き回です