イナズマイレブンGOスカイハイ   作:吟遊詩人ルナ

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第2話 円堂監督の想い

雷門中サッカー部監督・円堂守は、サッカー棟のミーティングルームの椅子に座って、ひとり思索にふけっていた。今朝方、雷門中に届けられた一通の手紙を、ずっと頭の中で反芻していた。

【勅令 雷門中学校御中

この度、貴校に世界教育特殊開発機関から、以下のサッカー部員を

『世界教育特殊開発機関日本少年サッカー大使』の任命とともに、ウィスルフレー国王立桜城中学校に在学のもと、ウィスルフレー国の長期滞在を命令する。

 

『世界教育特殊開発機関日本少年サッカー大使』任命者

1年生

松風 天馬 西園 信助 剣城 京介 狩屋 マサキ 影山 輝 空野 葵

2年生

神童 拓人 霧野 蘭丸 倉間 典人 (敬称略)】

 

天馬たちは、この命令をどう思うだろうか。天馬と剣城と神童はグランドセレスタ・ギャラクシーから帰ってきてまだ3カ月も経っていない。今は久しぶりに雷門中のメンバーとのサッカーを楽しみたい時期だろう。その中で、また雷門中の仲間と別れる時がきてしまった。しかも今回はいつ戻ってこれるかわからないのだ。

おそらく、天馬はためらうだろうな。円堂はそう踏んでいた。天馬はいつでも、キャプテンとしてサッカー部を引っ張って来た。雷門に入学した時からサッカーに対する情熱は人一倍強かった。フィフスセクターによって腐敗の道を進んでいたサッカーの立て直しに一役買い、人類の未来を救い、挙句、アースイレブン代表として地球の危機に立ち向かった。そこにはいつも一緒に戦った仲間がいた。アースイレブンでは黒岩の作戦で離れ離れになってはいたが、宇宙大会が終わった今、再び絆を深め合おうとしている。その中での、再会があるかわからない別れ…なんたる運命の悪戯よ。

しかし、と円堂は思った。天馬に考えて欲しいことがあった。

 

「円堂監督!少しいいですか?」

背後から声がし、不意に我に返った。

「ああ、どうしたんだ、天馬?」

振り返ると、サッカー部のメンバーが全員集まっていた。

「監督は、WESCAの命令を聞きましたか」

「ああ。雷門中に届いた実際の勅令の手紙を見た」

「「「!」」」

「どうやら本当に向こうに送るつもりらしいな」

「監督…オレたちはどうするのが正解なんでしょうか。フィフスセクターの時みたいに反抗できるかはまだわからないし…でも、オレたちどうすればいいのか決められなくて…監督はどう思いますか?」

やはり。そうくると思った。だから円堂は返事を用意していた。

 

「…天馬。お前は何がしたい」

「えっ?」

天馬はキョトンとした。

「お前は、お前自身としては、どう思ってる。お前が心から望んでいることはなんだ」

「オレは…」

自分が本当に望んでいること。それは、サッカーをすることだ。雷門中のみんなとサッカーをしたいこともあるが、雷門中だけには限定しない。アースイレブンの時は仲間と離れてしまったけど、多くのサッカーを愛する人に囲まれてサッカーができた。心からサッカーを楽しみたい。それが、天馬が望むことだった。今までも、これからも。

「オレは…サッカーがしたいです。雷門中のみんなともしたいですけど…一番やりたいことは、たくさんのサッカーを愛する人とサッカーすることです。多くの人と一緒に、サッカーがやりたいんです」

天馬は緊張しながらも、堂々と答えた。

なんとも天馬らしい答え。円堂は微笑んだ。

「…それなら、お前のその思いに正直になって、真剣に考えてみろ。魂を込めて出した答えは、絶対に間違いなんかじゃない。お前が心から望むことがそれなら、どうすればそれを叶えられるのか。それを真剣に考えてれば、必ず最高の答えが出る」

円堂はそういうと

「…みんなも、考えてみろ。自分は本当は何がしたいのか。それを真剣に考えた上で…どうするかは自分たちで決めろ」

全員に話しかけた。

「今日はゆっくり休みながら考えろ。今後どうするのか。それが今お前たちが一番しなきゃならないことだ」

「「「はいッ!!」」」

 

 

何もせずにいるのはあまりに味気ないと、サッカー部は少しランニングをした。ランニングの後、天馬はもう一度全員にミーティングルームに集まってもらった。今後のことを話し合うためだ。

円堂は用事があると言って、職員室に入っていった。

「天馬はどう思ってるんだ?」

神童が天馬に尋ねた。

「あの後考えたんですけど、オレ、転校するのもアリかなって思えてきたんです」

みんな、驚いたように息を呑んだ。

「さっきも円堂監督に言ったんですけど、オレ、サッカーがしたいんです。グランドセレスタ・ギャラクシーが終わって、また雷門中のみんなで一緒にサッカーしたいのはもちろんなんですけど…オレ、今までとは違った世界を見てみるのもいいんじゃないかなって思いました。アースイレブンとして宇宙に行ってきて、オレ、宇宙には、オレたちの想像もつかないようなたくさんのサッカーのあり方があるってわかったんです。今度は今までに見たことのない世界に行けるんです。行ってみる価値はあるんじゃないでしょうか」

「だけど…それなら、雷門中のサッカーはどうなるんだ。残るのは確か…」

「錦センパイと、浜野センパイと、速水センパイと…三国センパイと天城センパイと車田センパイですね」

「ということは…外部からは少なくとも5人入ってくるというわけか」

「ご、5人も雷門中以外から入ってくるんですか…俺たち何かされたらたまりませんよ…」

速水がふるえ声でつぶやいた。

「大丈夫です。確かに6人しかプレーヤーは残ってませんけど…センパイ方は今まで一緒に雷門サッカーを貫いてきてくださったんです。ホーリーロードの時も、最初はいろいろあったけど、みんなで優勝できたじゃないですか。だから…センパイ方が残ってくれるなら大丈夫です!雷門中のサッカーは無くなったりしません!」

天馬は力強く言った。

「そーそー!ちゅーか、もしなんかあったらフィフスセクターの時みたいに、天馬たちがWESCAってやつをやっつけちゃえばいいんだって!グランドセレスタ・ギャラクシーも優勝できた天馬たちだし、そんくらいできるっしょ!」

浜野海士が続けた。

「浜野…簡単にいくかどうかわからないぞ。なんせ今度は世界レベルだし…WESCAが扱ってるのはサッカーじゃなくて教育界全般なんだから、対等に話ができるかもわからんぞ」

倉間が慎重に言った。

「大丈夫大丈夫!オレたちここまできたんだからさ、もうなんでもできるんじゃね?時には向こう見ずに突っ切ることも必要っしょ!」

「はあ…どうやったらそんな楽観主義になれるのか教えて欲しいですよ」

浜野の緊張感のなさに、速水はため息をついた。

「…俺も天馬の意見に賛成です」

「剣城!」

みんなの驚きを尻目に、剣城は続けた。

「今は、俺たちがWESCAに対して持っている情報が少なすぎます。俺たちがWESCAの本部に行けば、もっと細かいことがわかるかもしれません。それによっては、また戻る方法も見つかる可能性もあります。それに…フィフスセクターのシードだった身としては、あまり無計画に抵抗しない方が賢明だと思います。はじめは様子を見て、いざとなれば浜野センパイの言うように、俺たちの実力で切り抜ければいいんじゃないでしょうか」

「…」

しばし、沈黙が続いた。元フィフスセクター所属の剣城の意見は、他の何よりも説得力があるように思えたのだ。

「そうだな…ただもがくだけでも仕方ない。ここは腹を決めて、指示にしたがってみよう。まずは、何か行動を起こさなくては何も始まらないからな」

「神童センパイ!」

「ま、なんでもいいからまず行動…か。いいんじゃないのか?俺もこの話に乗るぜ」

「霧野センパイ!」

「雷門サッカー部のブレイン二人が賛成か。こりゃ、乗った方がうまくいきそうだな」

「倉間センパイも…ありがとうございます!」

天馬は感激のあまり立ち上がった。

「ここまでくれば、もう決まりだね!」

「うん!」

「せっかくまた一緒にサッカーができると思ったのに…また離れることになっちまったな」

「センパイ…またきっと会えますよ」

「天馬!もし向こうで雷門サッカーを汚すようなことしたら許さんぜよ!」

「大丈夫ですよ!センパイこそ、必ず雷門サッカーを守り切ってくださいね!」

 

いつの間にか外は日が暮れて、夜が訪れようとしていた。みんなはそれぞれの帰路につきながら、残された時間について話し合っていた。

天馬と信助と葵の3人も、そのうちだった。

「また、みんなと離れちゃうね」

「しかも今度はいつ戻ってこれるかわからないし…」

「大丈夫かな…あたしたちだけで移るんだよね?」

先の見えない話に、不安が増してくる。

「でも…やると決めたんだ。いざとなったらオレがみんなを守る。宇宙大会を勝ち抜けたオレたちなんだ。きっと大丈夫!」

自分の不安を吹き飛ばすように、天馬が言った。

「そうだよね、悩んでても仕方ないよね!」

「こうなったら、なるようにしないと!」

天馬の明るい声に励まされたのか、信助と葵も同調した。

空にはいつの間にか、一番星が輝き始めていた。

それを眺めながら、天馬は新しい冒険に想いを馳せた。

 

 

 




読んでくださった方ありがとうございました!!!!!
展開が早いですね…下手で本当にごめんなさい。
次回もよろしくお願いします!!!!!
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