イナズマイレブンGOスカイハイ   作:吟遊詩人ルナ

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第3話 上陸!ウィスルフレー国!!

_____あなたが川に落としたのは、金のサッカーボールですか?

それとも、銀のサッカーボールですか?

いや、オレが落としたのは普通のサッカーボールです。

_____正直者ですね。そんなあなたには金と銀のサッカーボールをあげましょう。

うわあい!ありがとうございま…

「天馬!そろそろ着陸するよ!」

葵の声で、天馬の意識は一気に現実に引き戻された。

小さい頃は沖縄にいたこともあって、天馬は飛行機には慣れっこだった。だが、今回は精神的な疲労も大きかったのだろう、いつの間にか深い眠りに落ちていた。

「もうここまできたんだ…」

天馬は新しい生活に期待を寄せる反面、大きな不安も抱いていた。天馬の脳裏に、日本で空港を出発する前の円堂の言葉がよぎった。

 

「天馬。お前は今まで雷門のキャプテンとしてみんなを引っ張ってきた。グランドセレスタ・ギャラクシーでみんなと離れた時も、お前の心は雷門中にあった。せっかく雷門中のみんなとサッカーができるようになったのに、また離れるのは辛いことだろう」

「はい…とても楽しみなんですけど、正直、向こうでやっていけるか不安もあります。雷門中のサッカーが恋しいこともありますし」

「そうか。そうだよな。だがな、天馬。遠い距離を隔てているからこそ深まる絆もある。そばにいなくなっただけで消える絆。それは本物の絆か?お前が本物の絆をみんなと築けているなら、それはちょっとの間遠くにいっただけじゃ絶対になくなったりしない。辛い時だからこそ、ポジティブに考えるんだ。これはみんなとの絆を試すチャンスなんだってな」

「みんなとの絆を試すチャンス…」

「ああ。仲間を信じる思いは、どんなに遠い距離を隔てても絶対に届く。サッカーを通して、お前らは固い絆で結ばれてる。それを、ズドドーンと感じてこい」

「はいっ!」

「向こうでも、サッカー楽しんでこいよ!」

「はいっ!ありがとうございました!!」

 

「(円堂監督も言ってたんだ。辛い時だからこそポジティブに考える!センパイたちだって、きっとオレたちを信じてくれている。オレは雷門中に残ったセンパイたちを信じる。だから今は、思いっきりサッカー楽しむんだ!)」

天馬はひとり決意を新たに固めると、空港に続くゲートに向かった。

 

 

天馬たちが降り立ったのは、ウィスルフレー国の北西の端にある空港・アダルベルト空港だった。近未来的なデザインが施された搭乗ゲートには、多くの乗客や見送りの人間で賑わっている。そこには日本人に限らず様々な国籍の人がおり、まさにサラダボウルのようだった。

「確か、WESCAがガイドさんを手配してくれているはずだけど…」

「ガ、ガイドさんを!?」

「どれだけ制度いいんだって…」

葵のつぶやきに、天馬と信助が驚きの声を漏らした。

ふと横を見ると、剣城が何やら分厚い本を読んでいる。

「剣城、何見てるの?」

「ウィスルフレー国のガイドマップだ。ガイドさんがいるとはいえ、少しは見ていた方がいいだろう」

「剣城さっすが〜」

「オレにも見せてもらっていい?」

「ああ。ほら」

差し出されたガイドマップを見ると、ウィスルフレー国の全体図のページが開かれていた。

「どれどれ…」

天馬と信助は地図を読んだ。

ウィスルフレー国は太平洋の中心よりも少し北西のところに位置する島国だ。全体としては大きな4つの島が、Uの字を描くように並んでいる。4つの島は左から順にレッドランド、ブルーランド、イエローランド、ホワイトランドと呼ばれている。今天馬たちがいるアダルベルト空港はレッドランドの北端にあった。天馬たちはこれからガイドと落ち合い、フェリーに乗って、転校先の桜城中学校があるイエローランドに行く予定だった。

「えーっと、レッドランドは首都のウスルラがあるこの4つの島の中でも一番都会で、WESCAの研究は勉強方法一筋。ブルーランドは社会制度が充実していて、様々な視点からの教育を研究。イエローランドはスポーツが盛んだけど、人口が少し少なめ。で、ホワイトランドは…古き良き文化の恒久の保存を追求、か」

と、天馬がガイドマップを読んでいると、

「あれ、お前らもWESCAの命令か?」

聞き慣れた声がした。雷門中のみんなは振り返った。

そこには男がひとり立っていた。

紫色の髪をショートカットにし、長い前髪をかきあげながら、こちらに近づいてくる。

神童が驚いたような声を出した。

「南沢さん!?どうしてここに!?」

その男は、天馬たちがホーリーロードで戦った元雷門中サッカー部員の、南沢篤志だった。

「俺はWESCAの命令さ。せっかく月山国光のみんなとうまくやっていけるかってとこだったんだがな」

彼はホーリーロードの最中に雷門中を抜け、月山国光中に転校していたのだ。

「南沢さんまでWESCAの命令なんて…結構広範囲の中学校に命令が渡ってるんですね」

「ああ。俺が聞いた話だと新雲学園にも命令が出たそうだ」

「新雲学園に!?」

天馬が真っ先に反応した。新雲学園には天馬の親友のひとり、雨宮太陽が在学していた。彼も天馬がホーリーロードで戦った相手であり、時空最強イレブンとして、ともに人類の未来を守った仲間でもあった。

「ま、俺はあくまで聞いただけだがな」

南沢が小さく肩をすくめる。

「で、南沢さんはどこの中学校なんですか?」

倉間が尋ねた。

「え?ああ…確か、桜城中学校ってとこだけど」

この言葉に、倉間の目が大きく光った。

「ええっ!?南沢さんもですか!?」

「南沢さんも?ていうことは、お前ら…」

「俺たちも桜城中学校なんです!」

「本当か!?じゃ、これから…」

「また、先輩後輩としてサッカーできますね!」

倉間が南沢に笑いかけた。普段は素直にならない倉間の笑顔に、天馬は少し驚いた。しかし、すぐに思い出した。

「(倉間センパイ…凄く南沢センパイに憧れてたもんな)」

倉間にとって、南沢とは目標だった。ホーリーロードで南沢が天馬たちの革命についていけずに雷門中サッカー部を退部した時、あまりの衝撃に、倉間が天馬につかみかかりそうになったことがあった。また、一緒にサッカーができて、きっと倉間は喜んでいるに違いない。倉間の笑顔から、天馬はそう思った。

「世界教育特殊開発機構日本少年サッカー大使の皆様!お待たせいたしました!」

南沢との再会を喜んでいると、ガイドと思われる女性がやってきた。天馬たちと同じくらいの背丈で、とても若く、少女と言っていい見た目だった。本当に成人しているのだろうか、と天馬は思った。

「今回、皆様を桜城中学校まで案内します、咲坂(さきさか)ミズキです!よろしくお願いします!」

「「「お願いします!」」」

一同も挨拶を返す。

「30分ほど船に乗ることになりますが、お手洗いは大丈夫ですか?それでは、フェリー乗り場までご案内しますね!こちらです!」

観光会社のエンブレムが刺繍された黄色い旗を目印に、天馬たちはフェリー乗り場に向かった。

 

 

「「いえーーーーい!!」」

フェリーの甲板で快い潮風を全身に受けながら、天馬と信助が雄叫びを上げた。

空は雲ひとつない青空で、海が遥か彼方で空とひとつにつながっているのがはっきりと見える。こんな綺麗な水平線、秋ネエやサスケにも見せたかったな。天馬はそう思った。

「フェリー結構揺れてますけど、船酔いとか大丈夫ですか?」

咲坂が天馬たちに声をかけた。

「大丈夫ですよ!こんな綺麗な海と空見てたら、船酔いなんて吹っ飛びます!」

天馬が屈託のない笑顔で答えた。咲坂も穏やかな笑顔を見せた。

「羨ましいです。実は私、観光ガイドなのに船苦手で…」

「え、そうなんですか?」

「はい…実は乗る前に酔い止め飲みました。それも結構」

「咲坂さんこそ気をつけてくださいね」

「あはは、ありがとうございます」

面白い人だな、と天馬は思った。咲坂は天馬の知っている、ただ仕事を淡々とこなすガイドではなかった。観光の話でもない、なんでもない会話の端々に、咲坂の「観光ガイド」という仕事に対する思い入れの深さが感じられた。

「咲坂さんは、どうして観光ガイドになろうと思ったんですか?」

今度は、天馬が逆に質問してみた。すると、咲坂の目が大きく開いて、きらきら輝き始めた。

「母親が観光ガイドだったんです。家にいない日もあったんですけど、帰ってきた日はとても楽しそうな顔をしてたんです。よく、母は旅先での思い出話をしてくれました。それで、そんなに面白いならやってみたいなって思って…ちょっとした体験のつもりでウィスルフレーの観光ガイドのアルバイトに応募したら、思ったよりうまくいって…今は勉強しながら、この仕事で一人暮らししてます」

「勉強しながらって…大変なんじゃないですか?」

「大変な時もあります。でも、義務教育なので学費はかからないし、生活費だけならなんとかできます」

「…義務教育…?」

「あっ…」

そこで、咲坂は恥じらいの表情を見せた。

「えっ、義務教育ってどういうことですか」

咲坂はバツの悪そうな顔で答えた。

「あ、あの…実は…私、まだ中学3年生なんです」

「「えええ〜!!??」」

驚いた。どうりで成人しているように見えないわけだ。

「中学生がバイトできるんですか!?」

「ええ。WESCAの作った法律で、ウィスルフレーでは中学校からアルバイトができるんです。義務教育の人は親の同意書がいるんですけど」

「観光ガイドがしたくて、ウィスルフレーにきて、一人暮らししているんですか?」

「はい。そのうち、もっと大きな会社に入ろうと思ってます」

咲坂は恥ずかしそうに、しかし、決然とした顔で言った。

天馬は感動した。自分とほとんど変わらない年齢の少女が、自分の好きなもので生活を立てているなんて。

「あっ、なんか島が見えてきたよ!」

信助が叫んだ。

「さっき通り過ぎたのが、ブルーランドです。それで、今目の前に見えているのが…皆さんの島、イエローランドですね」

「この島が…イエローランド…」

天馬は息を呑んだ。目の前に、自分の新しい世界が広がっている。オレはここで、新しい仲間とともに、新しい生活を始めるんだ。

「皆様、間も無く下船です!お忘れものにご注意くださいね!」

ガイドの制服の帽子を被り直し、再び黄色い旗を掲げた咲坂が、船室にいる者たちを呼びに行った。天馬と信助も、デッキに置いていた手荷物を取り、下船口へと向かった。船はもう、動きを止めていた。

2人は他のみんなと合流し、重々しく上がった船のゲートを、追いついてきた咲坂とともに降りた。

島に足を下ろしたとたん、咲坂が天馬に笑いかけた。

 

「ようこそ、イエローランドへ」

 




読んでくださった方ありがとうございました!!!!
3話現在、サッカー要素がゼロでございます(汗)
次回こそはちゃんとサッカーも入れます!(多分)
あと、最後の方がぐちゃぐちゃになってしまいました(涙)
本当にすみませんm(__)m
次回もよろしくお願いします!!!!!!!!
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