イナズマイレブンGOスカイハイ   作:吟遊詩人ルナ

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第6話 桜城中学校、始動!!

________むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。ある日のこと、おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。

おばあさんが川でごしごしと洗濯物を洗っていると、

山の方から大きなサッカーボールが

どんぶらこ、どんぶらこと流れてきて_________

 

「天馬!早く起きてよお!」

耳元で、信助の何やら騒ぐ声が聞こえた。

「うーん…信助…うるさいよ…もう少し…寝させて…」

「天馬!今何時だと思ってんの!しっかりしてって!」

信助の隣には、東風谷もいるようだ。

「あと…10分だけだからあ…」

天馬はそう唸り、寝返りをうった。

「ああもうっ!早くしないと遅刻しちゃうよ!!」

信助の声が苛立ちを帯びてくる。

「うーん…何にぃ…?」

その天馬の問いに、信助と東風谷が同時に答えた。

 

「「授業!!!」」

 

「授業……?

…………………

…………………!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ああああああ〜っ!!!!

今日から学校なの、忘れてたあ〜〜っ!!!!!」

天馬は飛び起きた。

 

 

「はあ、はあ、はあ、はあ…ごめん!みんな!!」

大急ぎで着替えと朝食を済ませ、荷物を取ってきた天馬が、一階に駆け下りてきた。よほど急いだのだろう、息があがっている。

「もーうっ!!何回起こしたと思ってんの!?全然起きなかったから焦ったよぉ〜!!」

信助が憤慨して言った。

「もし剣城くんが『念のため約束の時間の30分前には起こしに行け』って言ってくれなかったらと思うと、ヒヤヒヤするよ…」

東風谷が呆れたように言った。

「ええ〜、剣城、そんなこと言ってたの?」

天馬の抗議に、

「宇宙大会に行った時にそうした方がいいって嫌になるほど思い知らされたからな」

剣城が冷静な返答を返した。天馬はうなだれることしかできなかった。

「まあまあ、そのおかげで時間的にも充分間に合うようになったし、結果オーライよ!天馬も来たし、出発しよっ!」

葵が明るい笑顔で促した。一行は揃って校舎に続く道を歩き始めた。

 

「制服違うからかな、みんな、なんか雰囲気違うね」

寮を出て少し経った時、天馬が葵に話しかけた。

「そうだね。ブレザー着てる天馬って想像できなかったかも」

葵が笑いながら答えた。

桜城中学校の制服は、天馬にとって全く新鮮なデザインだった。黒を基調とした色のジャケットとズボン。白いカッターシャツの上には黒地に赤のチェックのネクタイがあり、エンブレムが縫い付けられてある。葵は、同じ色のブレザーに、裾に白線が一本入ったスカートを穿いている。胸元に、男子のネクタイと同じ色の大きなリボンが付いていた。

「赤いシャツとマントじゃない剣城って、なんか変なの…」

信助のつぶやきに、

「ええ、剣城くんって、雷門にいた時制服着てなかったの!?」

東風谷が反応した。

「うん。剣城って、雷門中にきたばっかりの時は、結構怖かったんだよね〜。なんか不良みたいでさ、いつも赤いシャツにマントだったんだよ」

「…信助、今日の特訓覚悟しておけ」

剣城が低い声で脅すと、信助は口をつぐんだ。

そうこうしているうちに、一行は校舎の門の前にたどり着いた。初めてここに来た時に見た、バロック風の豪奢な校門が開いていた。厳しい丸柱が、厳かに一行を見下ろしている。門をくぐり、白い石の道を少し進むと、門と同じくバロック風の装飾がされた建物が見えてきた。桜城中学校の校舎だ。

昨日校長先生に言われた通り、天馬たちはまず、職員室に移動した。

「転校生の松風です。担当の先生をお願いします」と天馬が言うと、教諭が2人出てきた。1人は、昨日校長室まで案内してくれた犬飼先生。もう1人は、天馬たちがまだ見たことのない、30代ぐらいの男性の教諭だった。一見整った顔だが、どこか無愛想で、目は気怠げそうだった。

「「「おはようございます!」」」

先生方に挨拶をする。

「おはようございます。早速ですが、2組の人は私に、3組の人はこちらの河田先生について行ってください」

犬飼先生が、隣の男性教諭を手で示した。

「3組の担任の河田邦雪(かわた くにゆき)です。よろしくお願いします」

河田先生と呼ばれた教諭が、無愛想に挨拶をした。

「それでは、教室まで案内します。2組の人はこちらへ」

天馬は、影山と狩屋と太陽とは、そこで別れなくてはならなかった。天馬たちは3組、影山たちは2組だった。

「授業が終わってからグラウンドのバスケのゴール前に集合ね〜」

「また後で〜!」

影山たちが出て行ったあと、天馬たちは河田先生に続いて、3組の教室に向かった。

「どうしよう、なんか緊張してきた…」

廊下を歩く間、信助が天馬に話しかけた。

「大丈夫!オレたちもいるし、きっとみんなも仲良くしてくれるよ!なんとかなるさ!」

天馬が信助を励ますように言った。

 

 

WESCAの本部の学校ともなると、転校生などはそう珍しいものではないらしく、天馬たち4人が転入してきたと言っても、3組のみんなは特に驚いた様子は見せなかった。

「どこがいいかな…うーん…じゃあ、松風くんは東風谷くんの隣で、剣城くんが松風くんの隣。空野さんは荻元(おぎもと)さんの隣で、西園くんは…空野さんの隣で」

先生がそう言うと、指定された席に近い生徒たちが歓声を上げた。

天馬は隣の東風谷に話しかけた。

「改めて、クラスメートとしてよろしくね」

「もちろん!こちらこそよろしく!」

2人は拳を交わした。

葵が緊張した顔で椅子に座った。葵の隣の席の、山吹色の髪をショートカットにした少女が葵に話しかけた。

「空野葵さん、だよね?これからよろしくね」

「ありがとう!こちらこそよろしく。荻元さん、だっけ。下の名前はなんていうの?」

「れもん。荻元れもん」

「れもんちゃんっていうの!?かわいい!」

「ふふ、ありがとう。葵ちゃんもかわいいよ」

葵もクラスメートとうまく話せている。天馬はホッとした。

「せっかくだから、みんな自己紹介しようか。1時間目、学活だったし。荻元さん、学級委員長だよね?あとはよろしく」

河田先生はそれだけ言うと、椅子に座り込んだ。荻元が前に出てきた途端に、クラスメートが静かになった。葵は驚いた。この()、もしかして、このクラスの権力者みたいな人なのかな。そういえば、荻元は顔立ちも整っているし、堂々とした振る舞いをしている。荻元は手早く順番を決め、端の生徒から自己紹介をさせた。

自己紹介が終わると、河田先生が立ち上がった。

「特にやることないので、今から自習にします。静かにやること。それから、転校生が来て話したいのは分かるけど、次の授業に遅れないように。以上」

先生はそっけなく言うと、さっさと教室を出て行った。天馬はなんとなく、河田先生が好きになれなかった。

途端に、教室がまた騒がしくなった。中にはわざわざ天馬たちの机までやってくる人もいた。

「グランドセレスタ・ギャラクシーってどんな感じだったの?」

「部活の時間に化身見に行っていい?」

「後でサッカー教えて!」

「うう…えーっと…」

天馬は困惑した。答えても答えても、また次の質問が出てくる。

しばらくそんな問答を続けていると、チャイムが鳴った。時間割を確認すると、次の授業は数学だった。天馬は休み時間の間だけ頑張ろう、と思っていた。そんな矢先、教室の入り口に犬飼先生がやってきた。

「今日の3組の数学ですが、牛岡(うしおか)先生が諸事情により遅刻したので、今日は自習にしようと思います」

「え…ええええええ〜〜!!??」

 

 

「天馬!どうしたんだ?遅刻するなんてお前らしくないじゃないか」

放課後、集合場所のバスケのゴール前にきた天馬は、神童から声をかけられた。

「すみません神童センパイ…クラスメートの質問攻めに遭ってました…」

天馬は疲れ切った顔で答えた。後に続く信助と剣城も、疲労で顔を曇らせている。

「はは、まあ天馬たちはグランドセレスタ・ギャラクシーの優勝者だし、当然っちゃあ当然だな」

南沢が納得したように頷く。

「全く、質問なんてまともに受けるからだ…早くアップに移れ」

「ハイッ!」

 

「徹!もっとボールをよく見るんだ!」

「はいっ!」

「相手の体が動く方向を考えて!」

「わかった!」

「スライディングは躊躇わず思い切って行くんだ!」

「了解!」

天馬は東風谷のディフェンスの練習に付き合っていた。東風谷は飲み込みが早く、基礎はもうほとんどできるようになっていた。ただ、必殺技はまだ使えていなかった。中堅以上の学校に勝つのに、必殺技は不可欠だ。

「うん!基本はいい感じ!後は思い切って攻めれば、必殺技もできるようになると思うよ!」

「あり…がと…」

東風谷はもはや限界だった。今までこんなにハードな特訓はしたことがなかったのだ。

「あれ、あそこにいるのは神原かな?」

天馬はゴールの向こうで1人で壁にボールを蹴っている神原を見つけた。その背中はうつむき、暗い雰囲気が漂っている。

「神原〜!こっちに来て一緒に練習しよう!」

天馬は叫んだ。神原は何も答えなかった。

神原、何か悩んでるのかな。天馬は神原の元に走って行った。

「神原!1人でボール蹴ってても楽しくないでしょ?一緒に練習しよう!」

すると、神原は俯いていた顔を上げた。

「神原!コートまで一緒に行こう?」

 

「…天馬はいいよね」

 

「えっ?」

天馬は、神原がなんといったのか理解できなかった。

「…ううん、なんでもない。心配させてごめんね、天馬。行こうか」

「神原…?」

天馬は不思議そうに神原を見つめた。しかし、ガラス玉のような瞳からは、何もわからなかった。

天馬は少し動揺しながら、ゴールに向かって行った。

 

「…キミなんかにわかってたまるか」

 

神原はこっそりと、独りごちた。

 

 

その夜、8時。倉間はベッドに寝そべり、携帯電話を睨んでいた。雷門中に残った浜野と速水と、イナリンクで会話していたのだ。

浜野によると、雷門中の新キャプテンは錦龍馬になったそうだ。転校生は、白恋中の雪村豹牙や幻影学園の真帆路正などを含め、6人が入ってきたらしい。

 

倉間:雪村が入ってきたか。そっちもいいチームになりそうだな

浜野:そーそー!他の人も有名な人多くてさ、もうサイコーなんだって!

速水:みんな俺たちのサッカーを理解してくれて、楽しくサッカーできてますよ

浜野:ちゅーか、そっちのチームに南沢さんいるって、もはやずりーって!絶対強いだろ、お前の学校!

倉間:こっちはまだ未知数の人もいるがな

 

倉間は安堵した。転校した時は雷門中のサッカーが失われるのが怖かったが、どうやらそうでもなさそうだ。それに、純粋に嬉しかった。多くの人が、雷門中のサッカーがなくならないように戦ってくれている気がした。

そう考えていると、浜野からメッセージが来た。

 

浜野:ちゅーか、そっちのチーム、大半は雷門中なんでしょ?お前ら、転校した意味なくね?

速水:確かに。南沢さんと雨宮くんもいるんでしょう?知ってる人たちばかりじゃないですか

 

倉間ははっとした。言われてみればその通りだ。

 

倉間:先生は研究のためとは言っていたが

浜野:でもさ、研究のためだからって、なんでみんながみんなを桜城にいかせんの?それこそ、研究のためなら別々にした方がいいじゃん

速水:ですよね…そうじゃないと、転校した雷門中全員が桜城のやり方に染まってしまいますよ

倉間:だよな…俺にはよくわからん

 

倉間は考え込んだ。確かに、浜野がいうように、本当に自分たちを教育の研究の対象とするなら、全員を1つの学校に転校させるなんてことはしないだろう。

それに、倉間にはもう1つ気になることがあった。なぜ、南沢と太陽も桜城に転校させたのだろう。元雷門中の南沢はともかく、太陽がなぜ?

 

まさか…自分たちが知らされたのとは違う、なにか別の目的があるのだろうか?

 

___悩んだところで仕方ない。今俺にできるのは、サッカーの練習をすることだけだ。今はそれに集中しよう。

頭に引っかかることを感じながら、倉間は再び画面に向き合った。

 




読んでくださった方ありがとうございました!!!!
次回もよろしくお願いします!!!!!!!!
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