遊戯王5D'sタッグフォース 満足の意志を継ぐ者 作:ゾネサー
ルドガーとのデュエルに勝利した2人、だがルドガーはまだ倒れていなかった。
「負けたか…だが所詮私は時間稼ぎにすぎぬ。日没になれば冥界の王が復活する!お前らをここから帰すわけにはいかぬ!」
「何だと!?」
ルドガーは自分に埋め込んでいた起爆装置を起動し橋を墜落させる。足場を無くした2人は旧モーメントに落下していった。
「なっ…!?」
「うわあああ!」
旧モーメントの中に落ちた2人、そこには無数の亡霊がいた。彼らは2人を囲い、襲ってきた。
「な、なんだ!?」
「これは…そうか地縛神の生贄のために集められたサテライトの人々の魂!」
魂のみの亡霊は実体を求め2人の動きを封じる。
「くっ…離せ!」
「このままでは…!」
その時2人の前に光に包まれた人影が近づき、亡霊を退けさせた。
「な、なんだ…?」
「あなたは…?…!まさか父さん!?」
「え!?」
ゼロ・リバースによって命を絶たれた不動博士がモーメントを通して遊星に語りかけてきた。
「遊星、お前はまだここに来るべきではない。…お前には辛い運命を背負わせてしまった。だがお前なら友と共に運命を変えることができると信じているぞ」
「待ってくれ父さん!」
遊星の思いとは裏腹にだんだん距離が開いていき、気づくと2人はモーメントの気流に乗って地上に戻ってきていた。
「ここは…俺たち助かったのか?」
「ああ…そうらしい。父さんは俺にダークシグナーとの戦いの運命を変えられるといった。俺は友との絆を信じてこの戦いを終わらせてみせる」
「遊星…ああ!お前なら絶対出来るさ」
地上にいた龍亞や龍可、幸子やクロウや牛尾と合流に成功する。すると遠くに鬼柳が消えた時と同じような残滓がジャックが向かった方向から見えた。
「どうやらジャックも勝ったみたいだな!」
「ああ…残るダークシグナーはあと1人!アキのデュエルが終われば冥界の王を封印できる。だが日没まであまり時間はない、アキの元に向かうぞ!」
龍亞と龍可と幸子は牛尾の車に、クロウと遊星とコナミは自らのDホイールでアキとダークシグナーとの決戦の場に向かう。目的地は…廃墟となった遊園地。
遊園地に到着した7人はそれぞれ別れて遊園地を探索する。牛尾はアキを車で送るためについていった治安維持局の御影さんを探しに、その他の6人はアキを探す。
「アキって奴のことあまり知らないんだけどどんな感じのやつだ?」
「そうだな…髪や瞳が赤く、来ている服も赤を基調としたものだから見ればわかるだろう」
「あー、マーサハウスで見かけた気がするな。あいつもシグナーなのか…」
「俺はあっちを探すぜ。2人ともあっちは頼む!」
コナミが遊星にアキの特徴を教えてもらっている間にクロウは龍亞と龍可と幸子を連れて2人とは逆側の方を探しに行った。
「よし、俺たちも探しに…」
「…待ってくれコナミ。お前に聞いておいて欲しいことがある」
「なんだ?」
「アキはサイコデュエリストといってデュエルのダメージやカードをデュエルディスクを使うことで実体化することが出来るんだ」
「…!ダークシグナーみたいな事が出来るってことか?」
「いや…ダークシグナーとはまた違う。元からそういった特異な能力を持っているデュエリストがいるらしい。アキは同じサイコデュエリストのディヴァインという者に騙され一時期アルカディアムーブメントという組織に所属していた」
「アルカディアムーブメント?」
「ああ、サイコパワーを使い悪事を働く組織だ。今回アキが戦うダークシグナーは過去にアキによって弟を殺された…と言っている」
「え…本当なのか?」
「分からない。だが俺にとってアキは仲間だ、あいつがそのことで悩み苦しんでいるなら解放してやりたい」
「そうか…分かった。俺に出来ることなら何でも協力するぜ!」
「助かる」
「危ない!」
「 「 !? 」 」
とっさに2人は大きく跳躍し回避行動をとる。すると先ほどまで2人がいた場所が爆発していた。2人が振り返ると注意を促してくれた長身の男がいた。
「あ、危ねえ!」
「ありがとう…おかげで助かった。君は?」
「治安維持局の者です。ゴドウィン長官直々の命令によりシグナーの皆さんの助けにきました」
「気持ちは嬉しいが…ここは危険だ」
「承知の上です。なんとしてもアキさんにはダークシグナーに勝ってもらわなくてはなりません」
「…分かった」
すると長身の男が一つの建物に向かって指をさす。
「今あちらから悲鳴のようなものが!」
「本当か!」
3人は建物に入っていく。するとそこの地面にあった金網の下の水路に1人の女性が浮かんでいた。
「あなたは…御影さん!」
「牛尾が探してた奴か!すぐに助けねえと…」
2人は金網をなんとか素手で外すことに成功する。だがそのことに集中していたため背後から近づいてくる殺気に気づくことができなかった。
「…馬鹿め!」
「なっ!?」
先ほどの長身の男が緑色に発光している剣を振りかざしコナミを水に叩き落とした。
「コナミ!?一体何を…!お前はディヴァイン!?」
「今さら気づいても遅い!食らえ、ファイヤー・ボール!」
「かはっ…!?」
コナミが落ちたことに気を取られた分反応が遅れ、遊星もそこに落ちてしまう。
「ははは!こんな単純な手に引っかかるとはな。貴様らにアキは渡さん!そこで大人しくしているがいい」
金網を嵌めなおしそこを去っていくディヴァイン、遊星達はなんとか御影を支えながら助けを待つ他なかった。
その後かなりの時間が経過した後、幸運にも牛尾に見つけてもらいなんとか脱出に成功した。だがあまりにも痛いタイムロスだった。
「早くアキを見つけないと…!」
遊園地を走り回ってなんとかアキを見つけた遊星達、だがその様子は釈変していた。まるで黒薔薇の魔女と呼ばれていた時のように無闇にサイコパワーを振るっている。
「アキ…!?一体どうしたんだ!」
「遊星、あそこだ!あの上の建物を見ろ!」
「ディヴァイン…!そうか、あいつが!」
2人は急いで階段を駆け上り、扉を突き破ってディヴァインの部屋に突入する。
「おや…あそこから抜け出してきたか。なかなかしぶとい奴らだ」
「ディヴァイン…お前がアキをあんな目に!アキを解放しろ!」
「断る。アキは私の
「この…外道め!」
「最高の褒め言葉だよ。さあ…もう1度眠っていて貰おうか、ファイヤー・ボール!」
ディヴァインはデュエルディスクにファイヤー・ボールのカードをセットすると2人に向かって無数の火の玉を飛ばしてくる。室内で狭いということもあり2人はかろうじてかわすので精一杯だ。
「アキはアルカディアムーブメントには絶対必要な人材だ…。お前らにみすみす奪われるわけには行かないんだよ。アキのように優秀な子は貴重だからね。くく、ミスティも馬鹿なやつだ…奴の弟が死んだのはアキのせいではない、あいつ自身が優秀ではなかった。ただ、それだけだというのに!」
「!…ということはトビーを殺したのは!」
遊星はデュエルディスクについている1つのボタンを押すとディヴァインに問いかける。
「トビー…そんな名前だったな。私はあの程度の作品のことなど一々覚えていられなくてね。思わず実験中に死んでしまったことまで忘れていたよ」
「この野郎!」
「おっと、ファイヤー・ボール!」
「うわっ!」
コナミは怒りのあまりディヴァインに飛びかかるもかわされた挙句、背後からファイヤー・ボールを食らってしまい危うく外のベランダから落ちそうになってしまう。なんとかベランダの淵を掴み落ちるのを免れている。
「そのまま突き落としてやろう…。サイコ・ソード!」
ディヴァインが緑色に発光する剣を実体化させ、コナミが掴んでいる手に向かって振りかざす。だがその前に遊星がディヴァインに語りかけた。
「かかったなディヴァイン!俺のデュエルディスクは手作りでね!マルチデュエル用の音声ネットワークをオンにしておいた。今の会話ミスティに聞こえているぞ!」
「なんだと!?」
ディヴァインがミスティの方を見ると鬼神のごとく怒っているのが分かった。
「ディヴァイン…!トビーを殺したのはあなただったのね。絶対に許さない!」
「ははは!私を責めるのは筋違いだ。無能だった貴様の弟が悪いのだよ!」
「あなたに情けをかける余地はないわ!やりなさい地縛神
巨大なトカゲの形をした地縛神がディヴァインに近づき、その長い舌でディヴァインを包む。
「なっ…!?まさか…や、やめろ!」
そのまま地縛神はディヴァインを飲み込んでしまった。
「く…食っちまいやがった」
その後ミスティはトビーを殺したのがアキだと勘違いしてしまったことを謝り、トビーの仇を討ったことで戦う理由もなくなったということでサレンダーを試みたが、冥界の王に乗っ取られ強制的にデュエルを継続させられてしまう。アキはミスティを地縛神から解放するため自らのシグナーとしてのドラゴン、ブラック・ローズ・ドラゴンの効果で地縛神を破壊し勝利を収める。だが敗者であるミスティはそのまま消えてしまった。さらに悪いことにアキがミスティを倒す頃には既に日は落ちてしまっていた…。
総勢7人が遊園地から出たその時、サテライトに封印されていた冥界の王が復活してしまった。地縛神よりも強大な体を動かしシティに向かって歩いていく。
「いけない…!あれをシティに向かわせちゃダメ…!」
精霊から悪い予感を読み取った龍可が体を震わせる。その時痣が光り輝いたかと思うと赤き龍が現れそこにいた皆を乗せてシティに向かっていった。
「赤き竜…!?俺たちをどこに連れて行く気だ?」
「恐らく俺たちがすべき事がまだ残っているのだろう」
「へっ…こうなりゃ最後まで付き合ってやるぜ!」
遊星、ジャック、クロウが意気込んでいると不意に龍亜があることに気づく。
「…あれ?コナミは?」
「本当だ…コナミがいないわ」
「何ですって!?」
「そういえば…!牛尾捜査官もいませんわ!」
彼らは赤き龍に乗っていなかった。果たしてどこに行ったのだろうか?
「おいコナミよぉ…。俺になんか用があんのか?」
「大アリだぜ。俺に教えて欲しいんだ、アルカディアムーブメントがどんなことやってる組織なのか」
「は?なんでお前にそんなことを」
「いいから」
「まあ…いいけどよ。アルカディアムーブメントってのはサイコパワーを使った兵士を育てて戦争に利用して、サイコデュエリストが世の中を動かす組織を作ろうっていうとんでもねえ組織だ」
「ざっくり言うと世界征服ってわけか。なるほどな。おっと、ついたぜ」
「ここは…十六夜がミスティと戦ってた場所じゃねえか。なんでまた戻ってきたんだ?」
「…!説明してる時間はねえ、隠れてろ!」
「お、おいちょっと…」
牛尾を隠すコナミ、その目線の先には1人の人物がいた。
「わ、私は…助かったのか?そうか…ミスティが倒されたことで地縛神から解放されたのか!良くやったぞアキ…やはり君は最高だ!」
そう、先ほど地縛神に飲み込まれたディヴァイン。だが地縛神が消滅すればその生贄になった人々が蘇るのは鬼柳の時に分かっている。つまりミスティの操る地縛神が倒されたことでディヴァインの魂も蘇ってしまったのだ。
「おい」
「…!ファイヤー・ボール!」
「ワンパターンだぜ!」
とっさにデュエルディスクにファイヤー・ボールをセットし発射するディヴァイン。だが予想していたコナミはバック宙で火の玉を回避する。
「今度はこっちの番だ!」
コナミがディヴァインのデュエルディスクをめがけて何かを投げつけた。
「なに…!?なんだこれは!」
「デュエルアンカーだ。知らないか?なら教えてやるぜ!そいつはデュエルの決着がつくまでは外せねえ!そして負けた方のデュエルディスクは…ドカン、だ!」
「何だと…?ふん、貴様とデュエルなどする理由もない。こんなもの…サイコ・ソード!」
デュエルディスクにサイコ・ソードをセットし実体化させる。それでデュエルアンカーを切ろうとするディヴァインだったが…。
「馬鹿な…。切れないだと!?」
「へっ…サテライトを制覇したチームサティスファクション愛用のデュエルアンカーなめんなよ!デュエル以外でそいつは外せねえ!」
「くっ…一刻も早くアキを探さねばならぬというのに!いいだろう!相手をしてやる、私のサイコデュエルでな!」
「 「 デュエル! 」 」
遊星達が冥界の王を消滅させるためのラストデュエルに挑む頃、コナミはディヴァインとのデュエルを始めていた…。
ちなみにデュエルアンカーはデュエルディスクに繋がっているのでデュエルディスクを外せば一応逃げられます。ただ、おじさん含めサイコデュエリストは小説内で遊星さんが言った通りデュエルディスクがないとサイコパワーが使えないのであまり賢い行動ではないですね。