遊戯王5D'sタッグフォース 満足の意志を継ぐ者   作:ゾネサー

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まだまだ続くよ日常回。


スピィーディーにミーとティーを

アキとのデュエルから数日後、無事アキがDホイールのライセンスを獲得したことを聞いたコナミ。彼は今ある一室で話をしていた。

 

「それでさー。アキの対戦相手が牛尾だったらしいんだよ」

 

「はあ」

 

「切り札のブラック・ローズ・ドラゴンがやられちまったけどそこから立て直して勝ったらしいぜ」

 

「そうなのですか」

 

「ちゃんと聞いてるか幸子?」

 

「あの…わたくし書類作業をしているのですが…」

 

そこは海野財閥本社にある幸子の事務室。コナミは幸子のところに押しかけていた。

 

「というかそもそもどうやってここに?入ろうとすればガードマンが止めるはず…」

 

幸子は一度作業の手を止め、コーヒーメーカーからコーヒーを作り休憩に入った。

 

「え?サテライトでの活動の時にもらった仮社員証見せたら行けたけど?」

 

「回収し忘れてましたわ!返しなさい!」

 

コナミが出した仮社員証を素早く没収した。

 

「あ!ちょっと!それがあればここでお茶とお菓子食い放題なのに!」

 

「なに悪用してますの!」

 

幸子は呆れ顔をコナミに向けながら仮社員証をしまう。後でシュレッダーにでもかけようかと思っているようだ。とりあえずソファに座ってコナミと向き合った。

 

「はあ…それで?」

 

「え?」

 

「何か用があって来たのでしょう!?」

 

「あ、ああ…忘れてた」

 

「殴ってもいいですわね庶民?」

 

「待て!話せば分かる!」

 

席を立って拳を握り締める幸子を慌てて止め、話を続けた。

 

「実はWRGPに機皇帝っていうシンクロキラーを使うデュエリストが出るかもしれないんだ」

 

「シンクロキラー?」

 

「ああ。相手のシンクロモンスターを装備して攻撃力を吸収しちまうとんでもねえ奴だ」

 

「そんなモンスターが…」

 

「それで俺はライディング限定だけど融合召喚を身につけたんだ。融合モンスターなら吸収されねえからな」

 

コナミはライディングデュエルで融合の効果を発揮するsp(スピードスペル)ースピード・フュージョンを幸子に見せる。

 

「融合召喚を…。なるほど、確かに悪い手ではないでしょうけど…何故ライディング限定?」

 

「いや…融合ってレアカードだから持ってないんだよ」

 

「ああ…そうでしたわね。それに対してspはsc(スピードカウンター)によって条件が指定されるため融合のように強力なカードもその分価値が下がって手に入りやすく、ましてやシンクロが主流のライディングデュエルではなおさらですからね。…それで?WRGPはライディングデュエル、スタンディングで融合が出来なくても問題ないのでは?」

 

「いや、問題があるのはWRGPの方なんだ」

 

「と言いますと?」

 

「そもそもWRGPに出るには最低3人のメンバーが必要だ」

 

「そりゃそうでしょう。WRGPは3人のDホイーラーがリレー形式でフィールドを受け継いで戦うルールなのですから」

 

「だけどよく考えたらまだメンバーが俺1人なんだ…」

 

「………」

 

「………」

 

2人の間に走る静寂。幸子の視線が痛いほどコナミに突き刺さる。

 

「…庶民」

 

「はい」

 

「馬鹿ですの?」

 

「酷い!」

 

大げさに泣き崩れるふりをするコナミ。

 

「そもそもダークシグナーと戦っていた時に一緒にいた方達と出るのではありませんの?」

 

「それが聞いてくれよ幸子!遊星達はもう遊星、ジャック、クロウで組んでてさあ!しかもベンチウォーマーにアキまでいるんだぜ!」

 

「あの成績優秀なアキさんをベンチウォーマーにおける余裕があり、しかもチャンピオンの不動遊星と元キングのジャック・アトラス…なるほど。庶民が入る余地は一切ありませんわね」

 

「そこまで言うか!?」

 

「庶民の考えは大体分かりましたわ。大方わたくしをメンバーとして引き入れたいといったところでしょう。わたくしのように強いメンバーがいれば安心ですからね」

 

「よく分かったな!というわけで一緒にやろうぜ!」

 

幸子に手を差し出すコナミ。

 

「お断りしますわ」

 

「ええ!即答!?」

 

悲しくも一瞬で手を弾かれてしまった。

 

「この前も言ったでしょう。わたくしはWRGP関係の仕事があると。そんな忙しい環境の中、残念ながらWRGPに無理に出る理由もありませんわ」

 

「えーと…ほら!WRGPでお前が活躍すれば海野財閥にとっても良いイメージがつくだろ!」

 

「む…。まあ確かにそうかもしれませんが…」

 

「頼むよ!もうお前だけが頼りなんだよ〜!」

 

「いや…わたくしを加えても2人しかいないじゃないですか,」

 

「そこは何とかするからさ!な!」

 

「な!と言われましても…そもそもわたくしにはもう1つ解決しなくてはならない問題がですね…」

 

「その問題が解決すれば大丈夫なのか!」

 

「口が滑りましたわ…」

 

「俺に話してみろって!何か力になれるかもしれないぜ?」

 

「はあ…。分かりましたわ。実は…」

 

ハイトマンの暴走から数日後、幸子の父親から1通の連絡が入ってきた。その内容は許婚(いいなずけ)に関しての話。要約すると政略結婚を幸子にしろとの話だった。急な話に幸子は反対するも相手は海野財閥より大きなデュエル企業で断るに断れず今に至っていた。

 

「結婚って…お前まだそんな年じゃないだろ?」

 

「わたくしは今年で16歳。一応条件を満たしているのです。だからこそ今年に入ってこういった話が来たとも言えますが…」

 

「そうか…あ!そうだ!なら俺が彼氏のふりをしてやるよ、サテライトでも似たようなことしたことあるんだぜ」

 

「そんな学生間の恋愛事情みたいに簡単にいく問題じゃありませんの。こちらの方がデュエル企業として小さい以上、断るだけで海野財閥に大打撃ですわ」

 

「そうなのか…」

 

頭を抱え込む2人。そんな中コナミが思いついたと言わんばかりに手を叩く。

 

「…何ですの?」

 

期待すらしていない目線を向ける幸子を気にせず、コナミは提案をする。

 

「海野財閥はその企業よりデュエル企業として小さいんだよな?」

 

「さっきも言いましたわ」

 

「ならさ…お前がその許婚にデュエルで勝てば海野財閥の方がデュエルで強いってなるから結婚断っても大丈夫じゃないか?」

 

「………」

 

2人の間に再び走る静寂。コナミが慌てて取り消そうとする。

 

「あはは…じょ、冗談だって。そんな簡単にはいかな…」

 

「それですわ!」

 

「…え?」

 

コナミの発言を遮って幸子が席を立ちどこかに連絡するとデュエルディスクをつけて、コナミを連れて相手側の本社の前まで来た。

 

「…何で俺まで?デュエルするのは幸子だろ?」

 

「相手側の要求がタッグデュエルだったからですわ」

 

「え?なんでまた?」

 

「庶民、社交デュエルはご存じでして?」

 

「なんだそりゃ?」

 

「簡単に言えばダンスのステップを踏みながら行われるデュエルですわ。トップスでは社交デュエルが人気ですの」

 

「へぇー。ダンスしながらデュエル…?」

 

「そしてダンスということはパートナーが必要なのは言わずもがな。パートナーが必要なデュエル…すなわちタッグデュエル。トップスで一般的にデュエルといえばタッグデュエルを指すことの方が多いのですよ」

 

「…そ、そうなのか。でも俺でいいのか?社員でもないのに」

 

「これをシュレッダーにかけるのはまた今度になりそうね」

 

そう言って幸子は仮社員証をコナミに投げ返した。

 

「さあ行きますわよ!」

 

そう言って入り口に入っていく2人。するとすぐそこに迎えが来ていた。

 

「ヘイ!そこのプリティハニー!ユーが海野幸子だね?」

 

「そうですわ…。あなたが田中康彦(やすひこ)さん。わたくしの許婚ですわね?」

 

そこにいたのは黒髪でフランクな格好をした軟派な男性と緑髪で軽装の女性。

 

「ユーみたいなプリティな子とデュエルできるなんてミーはとってもハッピーだよ!そしてデュエルの後はスピィーディーにミーとティーしましょう」

 

「残念ですが…わたくしはこのデュエル負ける気はありませんわ。それは果たせそうにないですわね」

 

「ミーはユーみたいなストロングな子はタイプだよ!」

 

「よく言うね…。会った子にはみんなにタイプって言ってるのに」

 

隣にいる女性が小声で呟いた。

 

「ん?あんたは?」

 

「私は田中奈津代(なつよ)、あいつの親戚だよ。あんたと同じくタッグデュエルのパートナーとして呼ばれたのさ。旅行から帰ってきたばかりで疲れてるんだけどね」

 

(ま…本当は海野財閥に私の旅行資金を提供してもらえないかと思ってあいつについてきたんだけどね…)

 

「そうなのか…。お前も大変だな」

 

「庶民…。『も』とはどういう意味ですか?」

 

「聞き間違いだろ。それより集まったんだから早速デュエルしようぜ!」

 

殺気を感じたコナミはデュエルを促してその場をやり過ごそうとする。

 

「オーケー!ゴージャスなデュエルコートを取ってあるんだ。そこでやろう!」

 

彼の案内で通常の倍くらいの大きさはあるデュエルコートに連れて行かれた。そのコートは所々金で装飾してあり彼の企業の大きさが伺える。

 

「さあ始めようか!」

 

「本当の本気で行くよ!」

 

「行くぜ幸子!」

 

「言われるまでもありませんわ!」

 

コナミと幸子、康彦と奈津代が向かい合ってデュエルディスクを構えた。

 

「 「 デュエル! 」 」

 




康彦と奈津代は記憶の限りでは特に繋がりはなかったと思いますがこの小説内では親戚ということになってます。
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