遊戯王5D'sタッグフォース 満足の意志を継ぐ者   作:ゾネサー

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不死鳥は墓地より舞い戻る

「 「 デュエル! 」 」

 

タッグフォースルールで許婚との婚約をかけたデュエルが開始される。このデュエルに敗北すれば幸子は政略結婚によって望まない相手との結婚を余儀なくされるであろう。そんなデュエルの先攻をとったのはその婚約予定の許婚、康彦だった。

 

「ミーのターンからだね、ドロー!ミーのお気に入りのかわい子ちゃんを紹介するよ。異次元の女戦士ちゃんを召喚だ!」

 

包帯代わりに布を巻いた左腕に剣を持った金髪の女戦士が現れた。

 

異次元の女戦士 攻撃力1500

 

「あれは…厄介なレアモンスターですわね」

 

「知ってるのか?」

 

「ええ。あのモンスターが戦闘を行った時、任意で自身と戦闘を行った相手モンスターを除外することが出来る優秀なモンスターですわ」

 

「攻撃力で押すだけじゃダメってことか」

 

「ザッツライト!ミーの女戦士ちゃんの魅力を理解してくれて嬉しいよ。ミーはカードを1枚セットしてターンエンドだよ!」

 

康彦&奈津代 LP4000

 

フィールド 『異次元の女戦士』(攻撃表示)

 

セット1

 

手札4(康彦) 手札5(奈津代)

 

次のターンプレイヤーのランプがついたのはコナミ。

 

「残念だ。僕としてはせっかくだからそっちのプリティガールに攻撃されたかったな」

 

「悪かったな。俺のターン、ドロー!800のライフポイントを払って魔の試着部屋を発動だ!デッキの上から4枚のカードを巡り、その中にあるレベル3以下の通常モンスターを特殊召喚するぜ!1枚目。魔法カード、予想GUY!2枚目。レベル3通常モンスター、メカニカルスネイル!3枚目。トラップカード、ヘイト・クレバス!4枚目。レベル4効果モンスター、UFOタートル!違ったカードはデッキに戻してシャッフルし、メカニカルスネイルを特殊召喚!」

 

現れたのは機械へと改造されてしまったカタツムリ。しかしスピードは普通のカタツムリとほとんど変わっていない。

 

コナミ&幸子 LP4000→3200

 

メカニカルスネイル 攻撃力800

 

「う…1体でしたか」

 

「残念だったね。それじゃあミーのモンスターは倒せないよ」

 

「いや…そうでもないぜ。俺は手札からチューナーモンスター、ジェネクス・コントローラーを召喚だ!」

 

頭の左右にアンテナをつけたロボットが現れ、隣にいる機械のカタツムリを変形させていく。

 

ジェネクス・コントローラー 攻撃力1400

 

「レベル3のメカニカルスネイルにレベル3のジェネクス・コントローラーをチューニング!3つのエレメントを司るものよ、欲を抑えその力を正しき方向へと修正せよ!シンクロ召喚!発進せよ、A・ジェネクス・トライアーム!」

 

現れたのは人型のロボット。左腕のコードが左手についている装備に繋がっており中枢コアにジェネクス・コントローラーが装填されるとコードから発信された信号によって紫色のランプが点灯した。

 

A・ジェネクス・トライアーム 攻撃力2400

 

「おおー、ユーもやるね。1ターン目からシンクロしてくるなんて。でも強力モンスターでも異次元の女戦士ちゃんの効果の前にはイチコロなんだなー」

 

「そうはいかないぜ。トライアームは3つの武器を使い分けて攻撃できるんだ…そしてどの武器を使うかはシンクロ素材にしたチューナー以外の属性で決定する!メカニカルスネイルは闇属性、闇属性が素材になった時に使うことが出来るのは手札を1枚捨てることで相手フィールドの光属性モンスターを破壊し、さらにカードを1枚ドローできる効果だ!」

 

「なんだって!?」

 

メカニカルスネイルの左手から出てきた闇が光属性の異次元の女戦士を包み込み、そのまま消滅させてしまった。

 

「ミーの異次元の女戦士ちゃんになんてことを…!」

 

「悪いな。幸子のために負けてやれないんだよ!バトル、トライアームでダイレクトアタック!」

 

トライアームから出た闇が今度は康彦を包みこもうとする。

 

「ミーのお気に入りモンスターを破壊する空気の読めないモンスターには消えてもらうよ!トラップ発動、次元幽閉!攻撃してきたモンスターを除外するよ!」

 

「やべっ…!?」

 

トライフォースの体が次元の裂け目に飲まれていき、体が完全に吸い込まれると裂け目は消えて無くなってしまった。

 

「こ、こら庶民!場にモンスターがいなくなりましたわよ!」

 

「わ、悪い!俺はカードを2枚伏せてターンエンド!」

 

コナミ&幸子 LP3200

 

フィールド 無し

 

セット2

 

手札2(コナミ) 手札5(幸子)

 

「なっちゃん!あとは任せたよ!」

 

「言われなくても!私のターン!」

 

(デュエル企業の大きさに任せて婚約を成立させようとしているのですからろくな男ではないと思っていましたが…見れば分かるとおり女たらしですわね)

 

「行くよ、私はネフティスの導き手を召喚!さらに手札のジェスター・コンフィは手札から特殊召喚することが出来る!」

 

炎のようにオレンジ色の衣装に身を包んだ女性と、ピエロのようなモンスターが場に並ぶ。

 

ネフティスの導き手 攻撃力600

ジェスター・コンフィ 攻撃力0

 

「攻撃力はそれほど高くはない…ですが」

 

「当然そんな単純な手じゃないよ!導き手の効果発動、導き手とジェスター・コンフィをリリースすることでデッキからネフティスの鳳凰神を特殊召喚させてもらおうか!」

 

導き手が舞を踊ることで翼が燃えたまま飛んでいる鳳凰を呼び出し、供物を捧げることでフィールドに舞い降りさせた。

 

ネフティスの鳳凰神 攻撃力2400

 

「う…。いきなり攻撃力2400のモンスターを呼びやがったか!」

 

「さあ覚悟してもらおうか。ネフティスの鳳凰神で赤帽子の彼にダイレクトアタック!」

 

鳳凰がその翼をはためかせ、コナミに向かって急降下してくる。その姿はまさに火の鳥だ。

 

「まともに食らってたまるか!トラップ発動、ダメージ・ダイエット!このターン俺たちが受けるダメージは半分になる!」

 

「だけどダメージは避けられない!」

 

「くっ…」

 

コナミ&幸子 LP3200→2000

 

「カードを1枚伏せて終わりだよ。さあ、かかってきな!」

 

康彦&奈津代 LP4000

 

フィールド 『ネフティスの鳳凰神』(攻撃表示)

 

セット1

 

手札4(康彦) 手札3(奈津代)

 

「悪い幸子…。不利な状況で渡しちまった」

 

「大丈夫ですわ。この程度、乗り越えてみせましょう、わたくしのターン!わたくしはチューナーモンスター、深海のディーヴァを召喚します。このモンスターの効果でデッキからレベル3以下の海竜族モンスター、氷結界の輸送部隊を特殊召喚しますわ!」

 

半透明の羽衣に身を包んだ女性が清らかな声で歌い出すとその歌声につられて輸送部隊が寄り道をしてくる。

 

深海のディーヴァ 攻撃力200

氷結界の輸送部隊 攻撃力500

 

「ユーもシンクロかい?でも合計レベルは3、大したのは呼べそうにないね?」

 

「勘違いしては困りますわ。わたくしはフィールド魔法、忘却の都 レミューリアを発動!」

 

海の底に沈没した海底神殿が何千年もの時を経て地表に出現した。

 

「さらにレミューリアの効果を発動いたしますわ。わたくしの場の水属性モンスターの数だけわたくしの場の水属性モンスターのレベルを上げます!よってレベルは2ずつ上昇!」

 

「これでレベルは3と4…よし、やっちゃえ幸子!」

 

「当然!わたくしはレベル3となった氷結界の輸送部隊にレベル4となった深海のディーヴァをチューニング!氷の槍を身に宿す龍よ、その凍える吐息で幾千の敵を凍らせよ!シンクロ召喚!全てを貫け、氷結界の龍 グングニール!」

 

海底神殿の一部を凍らせ万物を凍てつかせるドラゴンが天より舞い降りてきた。

 

氷結界の龍 グングニール 攻撃力2500→2700

 

「攻撃力が上がった?」

 

「レミューリアの効果でわたくしたちの場の水属性モンスターは攻撃力が200上がりますのよ」

 

「その攻撃力でネフティスの鳳凰神を破壊する気かい?」

 

「いえ、わたくしは万全を尽くして挑ませてもらいますわ。グングニールの効果発動、わたくしの手札を2枚墓地へ送ることであなたの場のネフティスの鳳凰神と伏せカードを破壊します!」

 

「おお、味方になると頼もしい効果だぜ!」

 

グングニールが呼び出した2つの氷の槍が火の鳥を貫こうとする。

 

「ならその前に使わせてもらうよ!トラップ発動、デストラクト・ポーション。ネフティスの鳳凰神を破壊してその分ライフを回復する!」

 

「自分で自分のモンスターを破壊…?」

 

奈津代の発動したトラップによって鳳凰は消えてしまい、氷の槍も行き先を失ってしまう。

 

康彦&奈津代 LP4000→6400

 

「…ですがフィールドは空きました!グングニールでダイレクトアタック!」

 

グングニールが息を吐くと、それは猛吹雪となって奈津代を襲った。

 

「うう…見てるだけでも寒いねえ」

 

康彦&奈津代 LP6400→3700

 

「よし…盛り返しましたわ。わたくしはカードを1枚伏せてターンエンド!」

 

(今わたくしが伏せたのはミラーフォース。相手が攻撃してきたら相手の攻撃表示モンスターを全部破壊する超強力カードですわ…これでグングニールの攻撃力を超えられても問題はありませんわね)

 

コナミ&幸子 LP2000

 

フィールド 『氷結界の龍 グングニール 』(攻撃表示)

 

セット2 『忘却の都 レミューリア』

 

手札2(コナミ) 手札0(幸子)

 

「さあ行くよ、ミーのターンだ!」

 

康彦のドローとともにグングニールのものではない咆哮がどこからか聞こえてくる。

 

「な、なんですの!?」

 

「ネフティスの鳳凰神の効果発動!このモンスターは効果で破壊された次のターンのスタンバイフェイズに舞い戻るのさ!」

 

「マジかよ!」

 

不死鳥のごとく墓地より炎を見にまとった鳥が飛翔する。

 

ネフティスの鳳凰神 攻撃力2400

 

「さらにこの効果で特殊召喚された時フィールドの魔法・罠カードを一掃するよ!」

 

「な…!マズイですわ!」

 

「そうはさせねえ!トラップ発動、偽物のわな!幸子の伏せているトラップカードをこのカードを身代わりにして破壊から守る!」

 

「…!だけどフィールド魔法は破壊させてもらうよ!」

 

鳳凰より飛んできた火の玉がフィールドを焼き尽くした。

 

氷結界の龍 グングニール 攻撃力2700→2500

 

「これで伏せカードは守りましたわ!」

 

「ノンノン!甘いねガール!ミーは魔導戦士ブレイカーを召喚だよ。召喚した時このモンスターには魔力カウンターが1つ乗る。さらにこの魔力カウンターを使うことで効果を発動、君のその伏せカードを破壊する!マナ・ブレイク!」

 

フィールドに現れた魔術師が剣を振るうとその衝撃波で幸子の伏せていたカードが破壊されてしまう。

 

魔導戦士ブレイカー 攻撃力1600

 

「うっ…ミラーフォースが!」

 

「だけどグングニールの攻撃力は2500。お前たちのモンスターじゃ超えられねえ!」

 

「超えられないね。だけど消えてもらうことはできるよ。ミーは墓地の光属性モンスター、異次元の女戦士と闇属性モンスター、ジェスター・コンフィを除外することでカオス・ソーサラーを特殊召喚!」

 

闇と光の球体を片手に1つずつ持っている異様な魔術師がフィールドに現れた。

 

カオス・ソーサラー 攻撃力2300

 

「さらにカオス・ソーサラーの効果発動!このモンスターのアタックを放棄することでグングニールを除外させてもらうよ!」.

 

「な…。しまったですわ!」

 

カオス・ソーサラーの持つ光の球体に触れてしまったグングニールはどこかへと飛ばされてしまった。

 

「これでフィニッシュ!ネフティスの鳳凰神でユーにダイレクトアタック!これでミーたちはハッピーなライフを送れるよ!」

 

「う…」

 

幸子が何か防ぐ手はないか確認するも伏せカードもなく、手札もない。この攻撃を防ぐ手は…幸子にはなかった。

 

「諦めんな幸子!俺は墓地のクリアクリボーを除外することで効果発動!幸子はカードを1枚ドローし、そいつがモンスターなら特殊召喚する!そしてそのモンスターに攻撃が誘動されるぜ!」

 

「シット!僕たちのハッピーライフを邪魔する気かい!」

 

「庶民…!?…ふっ、このわたくしが諦めているとでも思って?必ずやモンスターを引き当ててご覧にいれましょう。…ドロー!」

 

幸子が引いたカードのフレームは…茶色。即ちモンスターカードだった。

 

「〜っ!わたくしは黄泉ガエルを守備表示で特殊召喚!」

 

小さなカエルが鳳凰の前に降り立つ。だがその大きさの違いはそのまま力の違いでもあった。

 

黄泉ガエル 守備力100

 

「アンビリーバボー!モンスターを引いただって…!?」

 

鳳凰の攻撃がカエルをたやすく粉砕する。だが幸子達にダメージはなかった。

 

「おのれ…赤帽子め。まあいい、すぐにユーのライフは0になる。ブレイカーでダイレクトアタック!」

 

「ひゃっ…!…まだライフは残っていますわ!」

 

コナミ&幸子 LP2000→400

 

「これがミーの切り札…永続魔法、波動キャノン発動だ!次のターンのミーたちのスタンバイフェイズを通過することでこのカードはユーたちに1000のダメージを与えるカードへと変わるのさ」

 

「あのカードが発射される前に決めないとダメなのか…!」

 

「出来るもんならやってみるといいさ。どうせ無駄だけどね。これでミーは今度こそ素敵なレディを嫁に迎えることができるのさ!」

 

「…今度こそ?」

 

「こいつこの前振られたばかりなんだよ。だからちょっと強引な手であんたを嫁にしようとしてるわけだ。許してやってくれ」

 

「なっちゃん!そのことはシークレットと言ったじゃないか!」

 

「いいじゃないか別に。減るもんじゃないだろ。それより早くターンエンドしなよ」

 

「ちっ…ターンエンド!」

 

康彦&奈津代 LP3700

 

フィールド 『ネフティスの鳳凰神』(攻撃表示) 『カオス・ソーサラー』(攻撃表示) 『魔導戦士ブレイカー』(攻撃表示)

 

セット0 『波動キャノン』

 

手札2(康彦) 手札3(奈津代)

 

「庶民…後は任せましたわ」

 

「任されたぜ!俺のターン!」

 

ドローとともにフィールドに出来た水溜りからカエルが出てきた。

 

「墓地の黄泉ガエルはわたくしたちのフィールドに魔法・罠がない時、スタンバイフェイズに特殊召喚出来ますわ!」

 

黄泉ガエル 守備力100

 

「ナイスだぜ幸子。俺は黄泉ガエルをリリースして、ブローバック・ドラゴンをアドバンス召喚だ!」

 

口の中に銃口があるロボットがフィールドに現れる。

 

ブローバック・ドラゴン 攻撃力2300

 

「その程度のモンスターで何をするんだい?」

 

「こうするのさ!カオス・ソーサラーを対象にブローバック・ドラゴンの効果を発動!3つのコイントスのうち2つ以上が表ならカオス・ソーサラーは破壊される!」

 

フィールドに舞う3つのコイン。3枚とも地面に落ちてその面をプレイヤーに見せた。

 

「裏、表、表!成功だ!」

 

「ディステニーすらもユーたちに加勢するというのか…!?」

 

ブローバック・ドラゴンの銃口からカオス・ソーサラーに向けて銃弾が放たれた。

 

「くっ…だけどアタックはネフティスの鳳凰神に及ばない。ユーにミーたちのライフを0にすることは出来ないのさ!」

 

「ふっ…甘いですわね」

 

「何だって?」

 

「庶民を甘く見過ぎですわ。仮にもこのわたくしに1度勝利した身、この程度の逆境を乗り越えるのは必然です!」

 

「幸子…。ああ、勿論だ!俺はアイアンコールを発動。このカードは俺のフィールドに機械族モンスターがいる時、墓地のレベル4以下の機械族を特殊召喚することができる…来てくれ、ジェネクス・コントローラー!」

 

フィールドに空いた穴からクレーンゲームのようにアームに掴まれたジェネクス・コントローラーが引っ張り出されてきた。

 

ジェネクス・コントローラー 攻撃力1400

 

「このフィールドは…やっておしまいなさい庶民!」

 

「おう!俺はレベル6のブローバック・ドラゴンにレベル3のジェネクス・コントローラーをチューニング!闇のエレメントを司る者よ、欲を制御し力を希望に変えろ!シンクロ召喚!汽笛を鳴らせ、レアル・ジェネクス・クロキシアン!」

 

ブローバック・ドラゴンがジェネクス・コントローラーの電波で蒸気機関車へと変形していく。溢れる蒸気を止めるためにジェネクス・コントローラーが中枢コアへ装填され、制御をおこなった。

 

レアル・ジェネクス・クロキシアン 攻撃力2500

 

「ちっ…アタックを超えてきたか。だがその程度じゃ…」

 

「クロキシアンの効果発動!このカードがシンクロ召喚に成功した時…相手フィールドの1番レベルが高いモンスターのコントロールを得るぜ!」

 

「な…!?」

 

クロキシアンの蒸気によって鳳凰がまとっていた火が消え、蒸気機関車の上に鳳凰は降り立った。

 

「なっちゃんのモンスターすらミーのエネミーになるというのか…!」

 

「さあ行くぜバトル!ネフティスの鳳凰神でブレイカーに攻撃だ!」

 

鳳凰はその翼を鋭く動かしブレイカーを剣ごと弾き飛ばした。

 

康彦&奈津代 LP3700→2900

 

「ぐっ…だが!たとえクロキシアンのダイレクトアタックが決まったとしてもミーのライフは0にならない!」

 

「うっ…」

 

「所詮ユーのパワーじゃここまで!やはりそちらのビューティフルなレディにふさわしいのはこのミーなのさ!」

 

「…笑わせますわ。見た目だけでこのわたくしを判断するなどというのは愚考ですわよ」

 

幸子は長い青髪をかき分け、呆れた目で康彦を見つめる。

 

「怒らせちゃったかい?それなら謝るよ。だけどこれからユーはミーが守っていくのさ、フィアンセとしてね!」

 

「庶民、わたくしがこんなナンパな男に守られるような女だと思いますか?」

 

「…いや、思わねえな」

 

「なら攻撃しなさい、それで全てが決まりますわ」

 

「…分かった。俺はクロキシアンでダイレクトアタック!」

 

「最後の悪あがきか、なかなかキュートだね」

 

蒸気機関車が康彦へと続く線路を走り出す。その際に出る蒸気が蒸気機関車の近くだけではなくフィールド全体すら覆い尽くした。そして蒸気機関車が康彦をはねのける。

 

「ぐうっ…!だがこれでユーはミーのもの…え?」

 

康彦&奈津代 LP2900→0

 

「な、何故だ!ミーたちのライフが0になるはずはない!」

 

「あら、そこの蒸気機関車に分け与えた力が強すぎてあなたからは見えなかったみたいですね。…このカードが」

 

蒸気が晴れ、康彦の視界も良好になる。彼の目に入ってきたのは…1枚のトラップカード。

 

「ば、馬鹿な!セットカードはなかったはずだ!」

 

「そうですわね。ですがわたくしはこのカードを墓地から発動したのですわ」

 

「セメタリーからトラップだって!?」

 

「ひゅー、やるねえ」

 

「トラップカード、スキル・サクセサー。このカードは自分のターンのみ墓地から除外することで自分の場のモンスターの攻撃力を800アップ出来ますの。わたくしはこのカードの効果でクロキシアンの攻撃力を上げていたのですわ」

 

幸子からクロキシアンに与えられた力。中枢コアにいるジェネクス・コントローラーが頑張ってなんとか制御しているようだ。

 

クロキシアン 攻撃力2500→3300

 

「そ、そんな…ミーが負けるなんて…!」

 

「あなたが負けた敗因は1つ、わたくしのことを見誤ったことですわ。わたくしはあなたのような人に守られるような女ではない、そして庶民のように力の無き人には力を貸し与える。それがわたくしですわ」

 

「幸子…」

 

ソリッドヴィジョンが消えていき、勝敗は決した。

 

「ま、まだだ…。マミーに圧力をかけて貰えばここでの勝敗なんて関係は…!」

 

「いい加減にしな!」

 

「えっ…?なっちゃ…ぐはっ!?」

 

奈津代が康彦のみぞおちに軽くジャブを入れる。康彦はそのままうずくまってしまった。

 

「あんたねえ…なんで旅行中の私が呼び戻されたか分かってる?あんたの暴走を止めるためなんだよ」

 

「え…?」

 

「女性に1回振られたぐらいでだらしない…。しかもそれを引きずってよそ様に迷惑までかけて…こりゃお仕置きが必要だね」

 

「ひ、ひぃ!す、すまなかった。ミーはただ…」

 

「謝んのは私じゃないよ!」

 

「す、すまなかった。レディ、それにそっちのボーイも」

 

「俺は幸子が許すっていうなら別にいいけどな」

 

「わたくしを誰だと思っていますの。あの海野財閥の令嬢ですわよ?この程度のことを一々引きずるようならトップにはなれませんわ」

 

「なんて心広い女性なんだ…!そうだ、婚約は一旦取りやめになってしまいますがこれからミーと一緒にティーでも」

 

もだえながらも幸子に差し伸ばされた手、幸子の答えは決まっていた。

 

「お断りですわ。行きますわよ庶民」

 

「おう」

 

即答で手をはねのけた幸子はコナミと共にデュエルコートから出て行く。奈津代からさりげなく旅行資金を提供するスポンサーになってくれないかという話をされていたが、それは後日ということになった。

 

本社への帰り道、幸子はコナミに話しかける。

 

「庶民、あなたには迷惑をかけましたわね」

 

「いいってことよ」

 

「それにしても…あなたには守られてばかりですわ」

 

「ん?最後お前の助けがあったからデュエルに勝てたんだが…」

 

「その前にクリアクリボーで守られています。それにそれだけの話ではありませんわ。お父様のこともです」

 

「でもあの後サテライトに援助してくれたからな。俺こそお前に感謝してるぜ」

 

「むぅ…人の感謝は素直に受け取りなさい!それが礼儀ですわよ!」

 

「ええ!?」

 

ならコナミの感謝を素直に受け取らない幸子はどうなのかと言いたくなるがあまりの勢いにそんなことも言えなくなってしまう。

 

「それにサテライトでの活動もどちらかというとわたくしの力をどう使うかを知るためのきっかけでしたし…」

 

「ん?なんか言ったかー?」

 

「何でもありませんわ!」

 

小声で呟いたのがよく聞こえずたずねてみるも幸子は答えてくれなかった。

 

「こほん!庶民、わたくし借りを作るのは嫌いですの。これを受け取りなさい。」

 

そう言いながら差し出される2枚のカード、その1枚は融合だった。

 

「え、融合!?いいのかよ?これ確かレアカードだろ?」

 

「わたくしは融合は使えませんし構いませんわ。使わないならいらないも同然です」

 

「そうか…ありがたく使わせてもらうぜ。あともう1枚のカードは何だ…?フュージョンって書いてあるからこれも融合なのか」

 

「そうですわ。きっとあなたのデッキなら使いこなせるでしょう」

 

「そっか。サンキューな幸子!」

 

「…ふ、ふん!わたくしはいつかあなたにリベンジします。負けたままは嫌いですからね。そのあなたが大したことないと面白くありませんから、それだけですわ」

 

「リベンジか!楽しみにしてるぜ」

 

「せいぜいこのわたくしにコテンパンにやられないことね」

 

「はは…気をつけるぜ」

 

話をしている間にいつの間にか本社に戻ってきた。気づけば時間は夕方、幸子の事務室で話していた昼くらいの時間帯から時がかなり経っていた。

 

「そろそろ遅いですしあなたはとりあえず帰りなさいな」

 

「ああ。またな!」

 

そう言ってDホイールを止めてある場所に歩き出すコナミ。すると幸子が呼び止めた。

 

「あ、庶民。お待ちなさいな」

 

「ん?なんだ?」

 

コナミは足を止め幸子の方を振り向く。夕焼けに照らされているからか少し顔が赤かった。

 

「WRGPの試合がある時間帯はなんとかしてスケジュールは空けておきます。…それだけですわ。では、ごきげんよう」

 

「え?それって…」

 

コナミが呼び止めようとするも幸子は既に本社の中に走っていた。

 

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