遊戯王5D'sタッグフォース 満足の意志を継ぐ者   作:ゾネサー

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いい突っ込みだったぜ

海野財閥の協力もありDホイールのエンジンをWRGPの予選が始まる前に完成させたネオサティスファクション。彼らはWRGPで使うコースの練習走行(プラクティス)と予選の組み合わせを確認するためにWRGPの会場へと赴いていた。

 

「ここがWRGPで使うコースか。同じところをぐるぐる回る周回コースになってるんだな」

 

「ああ。確かWRGPの規約には相手チームに一周抜かされるたびに相手チームにscが一個足されるってのがあったから気をつけねえとな」

 

「しかもその時相手のscが12個だった場合逆にこちらのscが減り、0になればその時点で棄権とみなされますわ。まあそんなことは滅多にないでしょうけど」

 

ネオサティスファクションのプラクティスの開始時間までまだ時間があったので先に予選の組み合わせを確認した。

 

「む…幸子。これどうなってるんだ?チームが4つ縦と横に書いてあるんだけど」

 

「分かりませんの?WRGPは32組のチームが参加する大規模な大会。なのでまず予選では8つのブロックへと分かれて4組のチームによるリーグ戦が行われるのですわ。そして1つのブロックにつき1番勝利数の多いチームが本選に出場出来ます。勝ち残ったチームを2つのブロックに分けて今度はトーナメント方式による勝ち抜き、そしてそのブロックの勝者同士で決勝が行われるのですわ」

 

「てことはまず俺たちはこのリーグ戦を生き残らなきゃいけないわけか」

 

「そういうことになりますわね」

 

彼らはBブロックでの参加で他の3チームはチームユニコーン、チーム太陽、チームセキュリティだった。

 

「あら…チームユニコーンですか。ついてませんね」

 

「有名なチームなのか?」

 

「有名どころじゃすみませんわ。彼らはアトランティス大会での優勝の実績もありますし、今大会の優勝候補と噂されていますの。予選の1回戦の相手がこのチームとは…」

 

「へっ…いきなり強いチームと戦えるってことだろ。満足できそうじゃねえか!」

 

「やる気だなー鬼柳」

 

「今日、ニコとウエストと電話してな。応援のエールを貰っちまった。テレビにも映るみたいだし奴らに情けねえ姿は見せらねえ、必ずあいつらを満足させてやるぜ!」

 

「まあ…空回りしないことね」

 

そんな彼らの前にプラクティスを終えた1つのチームがやってくる。

 

「コナミ、それに…鬼柳!どうしてここに…」

 

「遊星!」

 

それは遊星が結成したチーム5D'sのメンバーたちだった。

 

「俺も参加することにしたんだ、このWRGPにな!」

 

「マジか!強敵が増えちまったな」

 

「ふん…そうではなくては面白くない」

 

「海野さん…あなたもメンバーなのね」

 

「そうですわ。もし当たることになったらお手柔らかにお願いします」

 

「ねー、コナミ達のチームの名前は何?」

 

龍亞が興味津々といった様子で聞いてくる。それに対して鬼柳は自信満々に答えた。

 

「俺たちはチーム『ネオサティスファクション』!俺たちのデュエルで満足させてやるぜ!」

 

「チーム…」

 

「ネオサティスファクション…」

 

アキと龍可がなんとも言えない表情になり、幸子も自分は関係ないと言わんばかりに目をそらす。

 

「なるほど、鬼柳らしいな。予選では当たらないみたいだから本選で戦うのを楽しみにしている」

 

「おう、俺も楽しみにしてるぜ。お前らとのデュエルを!」

 

ネオサティスファクションのプラクティスの時間が迫っていたため彼らとはここで別れた。

 

そして彼らはチューンアップしたDホイールのフィーリングを確かめるべく、コースを走る。

 

「いい感じだな。パワーが今までと段違いだ」

 

「それに安定感が全然違うぜ。どんだけスピードを出しても倒れる気がしねえ!」

 

「ふふ…わたくしに感謝なさい」

 

コナミや鬼柳のDホイールはジャンクパーツを組み合わせて作られたものなのでエンジンの性能もあまり良くなかったが、今回の補強によって馬力と安定感を増すことに成功していた。第一レーンを回ったものが先攻を取れる以外にもWRGPではルールによりオートパイロット機能は不採用であり、マニュアルでの走行が必要となるためこういった補強はかなり大事となってくる。

 

《チームネオサティスファクション。まもなくプラクティス終了です》

 

「だってよ。この周回でコースを降りるぜ幸子、鬼柳!」

 

「分かりましたわ」

 

「いや、次のチームだってそんな早くはこねえだろ!俺はもう1周してくるぜ!」

 

コナミ達が減速していくのに対し、鬼柳は逆にスピードを上げていってしまう。

 

「ちょ…ちょっと鬼柳!」

 

「勝手なことをしてくれますわね…」

 

(ニコ…ウエスト。俺はあいつらに生き様を見せてやるためにこのDホイールのパワーを使いこなしてみせる!)

 

どんどん加速していく鬼柳のDホイール、その先にいたのはスタート地点から出ようとしていたチームユニコーンのDホイーラー、ブレオだった。

 

「…!?や、やべえ…!」

 

「…!」

 

慌ててブレーキをかけて衝突を回避しようとするも加速したDホイールとスタートしたばかりで加速ができていないDホイールでは避けようもなく、ぶつかってしまった。そのままバランスを崩したブレオはクラッシュしてしまい、Dホイールも破損してしまう。

 

「大丈夫か、ブレオ!」

 

彼のチームメンバー、アンドレが心配して駆けつけてくる。

 

「ああ…俺は大丈夫だ。だがDホイールが…」

 

「なんてことだ…」

 

彼らの目線の先には壊れてしまったDホイール、容易には修復できないだろう。チームユニコーン最後のメンバー、ジャンも駆けつけ鬼柳を問い詰める。

 

「おい、お前!どうゆうつもりだ!」

 

「い、いや…すまねえ。わざとじゃねえんだ」

 

「信じられるかそんなもの!」

 

コナミと幸子の2人もその場に駆けつけ、場を収めようとする。

 

「ま、待ちなさい。わざとではないと言っているでしょう!」

 

幸子が鬼柳とジャンの間に割って入り、ジャンを落ち着かせようとする。

 

「どうだかな。大体今は俺たちのプラクティス時間だ。こいつが走っていたこと自体がおかしいだろ」

 

「それは…その通りですわ」

 

非の打ち所がない正論に押され幸子も押し黙ってしまう。

 

「本当にすまない…。完全に俺たちが悪い。言い訳は出来ねえ」

 

コナミも彼らの仲裁へと入っていく。

 

「ふん、アトランティス大会を制覇したあたりからそうやって俺たちを潰そうとしたチームは増えてきた。運営委員会に言ってお前らの出場を取り消してやる!」

 

「やめろジャン!」

 

興奮したジャンをアンドレが抑えた。

 

「そんなことをして予選を勝ち抜いても意味はないだろ」

 

「予選…?」

 

「あっ…!もしかしてあなた達はチームユニコーン…!」

 

「俺たちのことを知っていてくれて光栄ですよ。お嬢さん」

 

幸いにも怪我がなかったブレオがヘルメットを外して顔を見せる。

 

「俺はアンドレ。今クラッシュしたのがブレオ。で、こっちのイラついてるのがジャンだ」

 

「…ふん!」

 

「さっきは本当にすまねえ…!怪我はねえか?」

 

「ああ、大丈夫だ。いい突っ込みだっだぜ」

 

「はは…冗談がきついぜ。それとそっちのDホイールは大丈夫…じゃなさそうだな」

 

「大丈夫だ。俺たちはスポンサーもついてるしスペアならいくらでもある」

 

「さすがチームユニコーンですわね…」

 

「だが弁償もなしというのはさすがに悪いな…」

 

「そうか?なら、こうしよう。弁償の代わりに俺たちとデュエルしないか?今は俺たちのプラクティスの時間、それをどう使うかは俺たちの自由だしな」

 

「やめとけよアンドレ。こいつらとやるだけ時間の無駄だ」

 

「3人でやる時間は確かにないな…。なら俺と…ヘルメットの下に赤帽子を被っている君とでデュエルしないか?」

 

「俺?まあ…それでチャラにしてくれるっていうなら俺はいいけど…」

 

「なら決まりだ。早速始めよう」

 

破損したDホイールを片付け、2人はDホイールに乗って横並びになる。鬼柳と幸子、ジャンとブレオはそれぞれスタンドで彼らを見守っていた。

 

「これで第一段階は成功だな…。派手に転ぶのも楽じゃないぜ」

 

ブレオは背をさすりながら愚痴をこぼす。

 

「悪いなブレオ。だがおかげで奴らは警戒なしに俺たちの提案したライディングデュエルに乗ってくれた」

 

「昨日も言ったがそんなに気にする必要があるのか?あのチームは無名のチームじゃないか」

 

「確かにあのチームは無名だ。だが、俺はあのチームを侮るのは危険だと思うね」

 

遠くでコナミを見守っている鬼柳と幸子に目を向けながらジャンは語りだす。

 

「まず鬼柳京介。インフェル二ティという手札0という厳しい条件下でのみ発動出来る強力な効果で相手を追い詰める。ペースを握られればまずいことになるだろう」

 

「ああ、俺の記憶にもあるぜ。手札0なんて普通にデュエルしていれば絶望的な状況だってのにな」

 

「それに海野幸子…彼女はあのデュエルアカデミアで好成績を残している。水属性が主軸で切り札のシーラカンスからの大量展開は俺たちですら押し切られる可能性が高い」

 

「なるほど。舐めてかかったら痛い目を見ていたかもしれねえな」

 

「そしてコナミ…。こいつはデータが少ないが…」

 

「俺の記憶にあるあいつのデータではジェネクスモンスター、そして通常モンスターを巧みに使った戦術が多いが…悪く言えば統一性のないデッキを使っているな」

 

「だが統一性が無いというのは時として厄介だ。先ほどの2人に比べて対策が立てにくいことこの上ない。…だからアンドレにこのデュエルで奴の手の内をさらけ出させてもらうのさ」

 

「なるほどな」

 

「そしてアンドレはあのデッキを使う…。ふふ…もう予選に向けての真剣勝負は既に始まっているのだよ」

 

10秒のカウントダウンが過ぎた後、彼らは一斉にスタートし先攻を取りに行く。わずかだがコナミの方が先に飛び出していた。

 

「悪くないエンジンを使っているな…だが」

 

するとバランスを崩したのかアンドレのDホイールがコナミの方に寄っていく。

 

「…っと!」

 

コナミはとっさに大きく避け衝突を回避した。

 

「アンドレにはデッキを印象付けるために先攻を取るように言ってある。そしてコナミは先ほどの鬼柳の衝突が頭に入っているからその分衝突に神経質になっているはずだ」

 

「ここまではジャンの計算通りだな」

 

このロスが響きアンドレに先攻を取られてしまう。

 

「 「 デュエル! 」」

 

こうしてコナミはチームユニコーンと予選前にライディングデュエルすることになったのだった。

 

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