遊戯王5D'sタッグフォース 満足の意志を継ぐ者   作:ゾネサー

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最後の足掻き

トライフォースの放った火炎放射がディヴァインに向かっていき、既にディヴァインの至近距離まで近づいていた。

 

「ディヴァイン……」

 

「……」

 

ディヴァインは向かってくる炎を避けることなく、その身で受け止めた。

 

「これでディヴァインに1300のダメージが入った…!俺の勝ちだ!」

 

ディヴァインを包んだ炎が次第に消えていく。その中にいたディヴァインは…まだ立っていた。

 

「貴様の…勝ちだと?笑わせる。私が貴様ごときに2度も負けてなるものか!」

 

ディヴァイン LP200→1400

 

「ディヴァインのライフが…!?」

 

「そんな馬鹿な!?トライフォースの効果で確かにディヴァインにダメージを与えたはずだぜ?」

 

「そのトライフォースは今や無残な姿だがな…」

 

「何!?」

 

コナミが慌てて目を向けるとトライフォースは内部から破壊され、破損した部品が散らばっていた。

 

「私は貴様の発動した効果が及ぶ前にこのトラップカードを行使していたのだ…。トラップカード、念導力をな。このカードは私のサイキック族モンスターが戦闘によって破壊された時に発動でき、攻撃した相手モンスターを破壊し私はその攻撃力分のライフを回復する!」

 

「トライフォースの攻撃力は2500。その攻撃力分回復していたからその後の効果ダメージを受けきれたのね……」

 

「そういうことだ。貴様の攻撃は無駄に終わったな…!」

 

「無駄か…。そんなことはないぜ。今の攻撃で分かったことがあるじゃねえか」

 

「分かったことだと…?一体何のことだ?」

 

「それはお前がちゃんと足掻けるってことだ!その足掻きがあれば変えられるはずだ…社会のサイコデュエリストへの認識だってな」

 

「それは無駄だと言っただろう…。今のお前の攻撃のようにな。私は大勢のサイコデュエリストが社会によって拒絶されたのを知っている。そんな社会に私達を認めてもらうために足掻こうと無駄に決まっている」

 

「どうかな…。確かに認めてもらうのは簡単なことじゃねえ。だけど…それでも理解してくれるやつは絶対にいる」

 

コナミはディヴァインの立場を昔の自分と重ね合わせていた。サテライトは裕福なシティとは違い、食事やカードもロクに手に入らず毎日生きるのだけで精一杯だった。そんなサテライトに住む人々はシティに住む人々から差別され、セキュリティからは屑として扱われていた。

 

「俺も決めつけていたことがある。サテライトを理解してくれる人や、手を差し伸べてくれるやつなんかいねえって。だけど実際は違った。サテライトから足掻いて抜け出そうとする遊星達に勇気を分けてもらって、俺も行動を起こした。そうしたらいたんだ、俺の考えを受け止めてくれるやつがな。本当は俺が諦めていただけだったんだ…」

 

「コナミ…」

 

「…私は信じないぞ。それに今の私の憎しみや苦しみはこのサイコパワーによって力となっている。もはやこの力を受け止められるものなどいない!」

 

「なら…俺が受け止めてやるよ」

 

「何…?」

 

「俺は2枚のカードを伏せてターンエンドだ!ディヴァイン…お前の憎しみや苦しみを全て俺にぶつけて来い!」

 

コナミ LP700

 

フィールド 『蒼眼の銀龍』(守備表示)

 

セット3

 

手札0

 

「全て…ぶつけろだと?ならばお望み通り貴様を葬りさってくれる!私のターン!……!」

 

「ディヴァインの場のハイパーサイコガンナーの攻撃力は3000。コナミの場の銀龍の守備力も3000。ディヴァインはどんな手を…?」

 

「私は手札から永続魔法、フューチャー・グロウを発動する…!このカードは墓地のサイキック族モンスターを1体取り除くことで、取り除いたモンスターのレベル×200分の数値を私の場のサイキック族モンスターの攻撃力に与える!」

 

ディヴァインの場が淡い緑色の光によって満たされていく。

 

「そいつの効果でハイパーサイコガンナーを強化するつもりか…!」

 

「ただの強化ではない…!私が取り除くのはレベル11のハイパーサイコガンナー/バスターだ!」

 

無数の光の粒子がハイパーサイコガンナーに吸収されるとハイパーサイコガンナーの体が巨大化していき、力を示すように周囲の地面をサイコパワーを放出することで砕け散らせた。

 

ハイパーサイコガンナー 攻撃力3000→5200

 

「そんな…。攻撃力5200なんて…!?」

 

「全てを終わらせてやろう…!バトルだ!私はハイパーサイコガンナーで蒼眼の銀龍を攻撃する!」

 

ハイパーサイコガンナーは手に握りしめている剣に自身の持つサイコパワーを全て与え、銀龍に狙いを定めて振り下ろした。

 

「そしてハイパーサイコガンナーは貫通能力を持つ…!」

 

サイコパワーによって剣は伸びていき、コナミごと斬り裂けるほどの大きさとなる。

 

「私の力を受け止められるものなど…いない!」

 

振り下ろされた剣が風を裂きながら、銀龍とコナミに向かって振り下ろされていく。銀龍はコナミを守ろうと翼を羽ばたかせ、剣に向かっていった。

 

「いいや…受け止めてみせる!トラップ発動、仁王立ち!」

 

銀龍の翼が白銀の輝きを増し、翼はまるでハイパーサイコガンナーを包み込むように広げられた。

 

「これは…!?」

 

「仁王立ちの効果で銀龍の守備力はこのターンの終わりまで倍になる…!」

 

蒼眼の銀龍 守備力3000→6000

 

輝きは胴体にも広がっていき、白銀のヴェールはハイパーサイコガンナーから振り下ろされた剣を優しく受け止めた。

 

「くっ…。だが、仁王立ちによって守備力が上がるのはこのターンまで。このターンが終われば守備力は0となる!お前に私を受け止められはしない!」

 

「何度だって言ってやる!恐れず諦めなければどんな困難が立ち塞がってもいつかは分かりあえる!こいつでお前の目を覚まさせてやるぜ…トラップ発動、クロスカウンター!俺の守備モンスターの守備力が攻撃モンスターの攻撃力より高い場合、この戦闘で相手に与える戦闘ダメージは2倍になる!」

 

「なん…だと…!?」

 

ハイパーサイコガンナーを受け止めていた銀龍の翼がさらに巨大化していく。そしてその翼は…ディヴァインを包み込んだ。

 

ディヴァイン LP1400→0

 

「何故だ…?何故私は貴様に勝つことが出来ない!?私はこれほどの力を持っているというのに…!」

 

「それは…力の使い方を知らねえからだ」

 

「何?」

 

「俺の考えを受け止めてくれたやつもそうだった。間違った力の使い方しか知らなかった。だけど本当の使い方を知った今のあいつは強いぜ…俺達がアーククレイドルを止めると信じて待ってくれてるんだ」

 

「私が本当の力の使い方を知らない…?だから私が弱いだと?そんなはずは…!」

 

「いいえ、ディヴァイン。コナミの言う通りよ」

 

ディヴァインがデュエルに敗れたことでアキを縛っていた鎖は解け、アキはディヴァインのもとへ近づいていく。

 

「あなたが来る前のデュエルで私はサイコパワーの本当の使い方に気付くことが出来たの…」

 

「聞くまでもない!サイコパワーは破壊の力だ!」

 

ディヴァインの否定にアキは静かに首を振り、そしてこう告げた。

 

「サイコパワーは…癒しの力よ」

 

「何だと…?馬鹿な!君もよく知っているだろう!この力は人を傷つける力だと!」

 

「いいえ、他人を傷つけていたのはサイコパワーでは無いわ!憎しみや苦しみ…そんな負の感情がサイコパワーに伝わって破壊の力となっていたのよ。サイコパワーを破壊の力にしていたのは…他でもない私達の他人を否定する気持ちだったの」

 

「そんな…そんなことを私に信じろというのか!…ぐっ!?」

 

「ディヴァイン!?」

 

コナミの胸元に張り付いていた物体が外れたのと同時に、ディヴァインに最後の毒が注入されてしまう。

 

「…どちらにせよ私は終わりだ。もう…どうでもよいか」

 

「そんな…!諦めないでディヴァイン!」

 

崩れ落ちるディヴァインをとっさにアキは支える。その手から伝わったディヴァインの体温はまるで氷のように冷たかった。

 

「諦めなければ分かりあえる…だったか。そんなことはないということを私の身を持って証明してやろう…!」

 

「そんなことはない!何か…何か…助かる方法があるはずよ!」

 

アキはとっさに周りを見渡す。しかし、そこはアーククレイドルの一室。彼ら3人と倒れているシェリーとクロウ以外には何もなかった。

 

「諦めろ…アキ」

 

「嫌よ!私は諦めないわ!」

 

「何故だ…?」

 

「私は…まだあなたのことを受け止めていない!あなたが受け止めてくれたように私もあなたの気持ちを受け止めていないわ!だから私は…絶対に諦めない!」

 

「そうだ!諦めるなアキ!このカードを受け取れ!」

 

彼らの会話を聞いて決心したコナミはあるカードをアキへと投げ渡した。

 

「このカードは…!?」

 

「やれ…アキ!」

 

コナミの言葉の意味を理解したアキは自身のサイコパワーを解放し、そのカードをサイコパワーを介して発動させた。

 

「モウヤンのカレー…発動!」

 

アキの発動したモウヤンのカレーから不思議な光が発され、ディヴァインを包み込んでいく。その光は暖かく…そして優しかった。

 

「な…に…?」

 

次第に毒によって衰弱化していたディヴァインの体が治癒されていき、そして光が消える頃にはディヴァインの体は完治していた。

 

「まさか…サイコパワーは本当に癒しの力だとでもいうのか…?」

 

そんなディヴァインの言葉に笑みを浮かべるアキだったが急に体から力が抜け、崩れ去ってしまう。

 

「アキ!?」

 

「う……」

 

「…そうか。人を死の淵から帰還させるほどのサイコパワーを消費したのだ。しばらくはサイコパワーはおろか、動くことすらままならないだろうな」

 

「なっ…!?それじゃあ恵を…うっ!」

 

ライフこそ0にならなかったもののコナミの体にはそれなりに毒が注入されており、その影響で体が思うように動かなくなりDホイールから転げ落ちてしまう。そして制御の利かなくなったDホイールはクラッシュし、乗せていた恵がディヴァインとコナミの間に落ちてしまう。

 

「しまった!くっ…」

 

コナミは慌てて恵のもとに向かおうとするが、毒の影響で立つことが出来なかった。

 

「ふふ…サイコパワーが癒しの力だと?馬鹿馬鹿しい」

 

対してアキのサイコパワーによって体が回復したディヴァインはゆっくりと恵に近づいていく。

 

「ディヴァイン…!」

 

コナミはディヴァインが恵を恨んでいることを思い出す。何とかして体を動かそうとするが今まで蓄積したダメージも重なり、ほとんど動くことが叶わなかった。

 

「くく……」

 

その間にディヴァインが恵のもとにたどり着く。彼は手に持ったカードを恵へとかざし、そのカードをサイコパワーを通して解放した。

 

「やめ——」

 

「モウヤンのカレー…発動だ」

 

「…え?」

 

ディヴァインが手にしたカードから溢れ出た光は恵を包み込んでいった。

 

「サイコパワーが癒しの力だというのならば、破壊の力と信じて私が行なってきたのものは…実に馬鹿馬鹿しいことだった」

 

ディヴァインがサイコパワーの消費に伴い体勢を崩した時、恵からある音が聞こえてきた。

 

「この音は…モーメント。やはりこいつもイリアステルの3皇帝と同じくロボットだったというわけか」

 

「…!恵は…恵は無事なのか!?」

 

「やはり貴様がすぐにこのカードを取り出せるようにしていたのはこいつを助けるためだったか…。この調子ならばしばらくすればモーメントが安定し、正常に動くだろうな」

 

「よ…良かった…!本当に…」

 

コナミの体は毒の影響ではなく、安堵感から地面に崩れていった。

 

「でも…どうして恵を助けてくれたんだ?」

 

「…アキは言った。サイコパワーを破壊の力に変えたのは私達の他人を否定する心だと。それで気づいたのだ…私は他人に否定されるのを恐れ、先に他人を否定していたのだと」

 

「ディヴァイン…」

 

「だから私のサイコパワーは破壊の力にしかならなかった。だが、今のアキのサイコパワーは確かに破壊の力ではなかった。つまり…私は認めざるを得ないわけだ。自らの過ちをな」

 

「…でも、お前にも使えたじゃねえか。癒しのサイコパワーを。やっぱりアキの言う通りあったんだよ…お前にも他人を思いやる心がな」

 

「…そう思いたければそう思うがいい」

 

そしてコナミとディヴァインは互いにその場で動けるようになるまで体を休めた。その間クラッシュ音で目が覚めたクロウとシェリーがディヴァインに敵意を向けるもコナミに止められ、アキを支えながら遊星達のもとに向かっていった。

 

彼らが到着した時、アポリアとゾーンのデュエルの決着がついていた。結果は…ゾーンの勝利。アポリアは遊星達に何も希望を託せなかったと思ったが、遊星はアポリアのおかげでゾーンのデッキのことを知ることができ、決して無駄ではなかったと伝えた。アポリアは希望を繋いだことで報われたと感じ、遊星達にゾーンと戦うための翼を授けた。

 

「遊星…。俺があいつと決着をつけてやりたいところだが…お前に任せるぜ」

 

「鬼柳…」

 

「お前は俺がダークシグナーだった時も必死に戦い、俺のことを救ってくれた。信じてるぜ、お前ならこの街を守ってくれるって」

 

「…ああ!俺は絶対にこの街を守ってみせる!」

 

遊星は鬼柳やチーム5D'sの思いを受け取り、ゾーンとの最終決戦へと臨んだ。アポリアを倒した時械神に苦戦を強いられるも、仲間との絆を紡ぎ、結束の力で立ち向かう。そしてブルーノとの絆によってアクセルシンクロのその先、リミットオーバーアクセルシンクロにたどり着き状況を打開する。ゾーンは最後の力を振り絞り、遊星の前に立ち塞がる。しかし、集いし願いによって呼び出されたスターダスト・ドラゴンの攻撃によってついに戦いの幕が閉じた。

 

「私が今までやってきたことは…間違いだったのでしょうか」

 

ゾーンは未来を守るために自分が行ってきたものが本当に正しかったのかが分からなくなっていた。

 

「…いや、お前達の行動は俺達に警告として刻まれた。このままだといずれ訪れてしまう未来を俺達に知らせてくれた。決してそれは無駄にはならない。あとは…俺達がその希望を繋いでいく」

 

ゾーンはアーククレイドルによって街を滅ぼすという形であれ、彼なりに未来を守ろうとしてきた。そしてその行動が無駄ではなかったことを知った彼は…アーククレイドルを止めるために自身についているプラスのモーメントをアーククレイドルのマイナスのモーメントにぶつけることによって、アーククレイドルを消滅させた。

 

ゾーンとの戦いを見ていた鬼柳やシェリー、チーム5D'sは赤き竜の力によって消滅に巻き込まれるのを回避した。

 

だが…赤き竜といえども外部にいた彼らとは違って内部にいた彼らを助けることは無理だった。

 

「この揺れは…そうか。誰かがマイナスのモーメントにプラスのモーメントをぶつけたのか!まずいな…このままだとアーククレイドルごと私達も消滅に巻き込まれるぞ!」

 

「何だと!?」

 

しばらく時間が経ったことで何とか動ける程度には回復した2人は慌てて外へ出ようとした。

 

「ディヴァイン!お前はここにどうやって来たんだ?」

 

「ち…私はこの緊急テレポートをサイコパワーによって具現化することによってここまで来たのだ。だが先ほどの消費でこのカードを使うほどのサイコパワーは残っていない…」

 

「なら乗れ!このDホイールで脱出するぞ!」

 

コナミとディヴァイン、恵を乗せてDホイールは入り口に向かって走っていった。そして何とか消滅前に入り口にたどり着き、あとは上へ抜ければ脱出というところまで来た。

 

「よし…あとは飛行機能を使えばすぐだ!」

 

コナミはDホイールの飛行機能を使い、脱出を試みる。しかし…何故か浮くことはなかった。

 

「どうした!?このままだと落ちるぞ!」

 

「…あっ!しまった…この機能は試験段階だから一人までしか乗せて浮くことが出来ねえんだった…!くそっ、毒で頭が回ってなかったぜ!」

 

「だが貴様はあの女を乗せてあそこまできたはずだ!」

 

「あれは恵が未来のロボットだからか異様に軽かったんだよ…!くっ、落ちてたまるか!」

 

入り口から出たところにある通路から落ちないようにDホイールを止めようとする。しかし、すぐにでも抜け出そうとフルスロットルで走っていたためにブレーキは明らかに間に合わない。

 

「間に合わねえ…!一体どうすれば…」

 

慌てるコナミの背後から複数のプラグがDホイールに突き刺さり、内部のプログラムを変更していく。

 

「な、何だ!?」

 

そしてDホイールが通路から飛び出したその時、コナミのDホイールの後部がわずかに変形し、そこに何かが合体していた。

 

「モーメントを私の身体に直接繋げたことで出力…上昇」

 

「恵!?」

 

一瞬底へと沈みそうになったDホイールが普段より明らかに鋭くモーメントが逆噴射されることで、無事Dホイールが浮き出した。

 

「色々言う前に…優先事項があると判断」

 

「…そうだな!まずはここを脱出…うっ!」

 

ほんの一瞬、抜けきっていない毒がコナミの運転を狂わせた。その結果、消滅しつつあるアーククレイドルから落ちてきたガレキの下に入ってしまう。

 

「…!危ない!」

 

「ち…!ファイヤー・ボール!」

 

ディヴァインが放った火の玉がガレキを木っ端微塵に砕き、辛うじて衝突を回避した。

 

「ふらふらするな!今のでギリギリ残っていたサイコパワーも尽きた。これ以上はフォロー出来んぞ!」

 

「ディヴァイン…」

 

「コナミ。私がガレキの墜落地点を計算して指示を出す。その指示通りに動かないと…危ない」

 

「分かった!任せとけ!」

 

恵の的確な指示によってガレキを回避しながら、上へ上へと抜けていく。そして…彼らは消滅の前にアーククレイドルから脱出することが出来た。

 

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