遊戯王5D'sタッグフォース 満足の意志を継ぐ者 作:ゾネサー
WRGPが終わってしばらく経った頃、ネオ童実野シティの復興が終わったことで滞在する理由が無くなった鬼柳はニコやウエストのいるサティスファクションタウンへ戻ろうとしていた。
「鬼柳…行っちまうのか?」
「ああ、ウエスト達を待たせすぎちまったしな。それに俺はあいつらにサティスファクションタウンを発展させて生き様を見せるって約束したんだ。いつまでも残ってるわけにはいかねえ」
コナミと鬼柳はWRGPの間、世話になっていた弥生のホテルにあるロビーで話し合っていた。
「へえ…目的を失ったアンタがまた暴走するんじゃねえかと心配してたけど、余計な心配だったみてえだな」
「ノーマネーの姉御…」
そこに話を聞いていた弥生が割り込んできた。
「安心しな。俺はもうそんな不満足なことはしねえ」
「へっ…そうかい」
チームサティスファクションが解散した事情を知っている弥生は安心し、話題を変えた。
「そういや、テメェらはWRGPの準優勝チームなんだ。プロからお誘いの一つや二つくらい来たんじゃねーのか?」
「ああ…まあな」
「俺は断っちまったなー。どうも俺はプロは性に合わねえし」
「確かにテメェはプロって感じじゃねえな。鬼柳も断っちまったのか?」
「…いや、断ってねえ。まだどうするか決められてねえんだ」
「珍しいな。アンタはいつもこういう時はすぐ決断するじゃねえか」
「…コナミ。お前これからどうするかって決めたか?」
「いや…俺も決まってねえ」
「遊星はもう決めたらしいぜ。モーメントの代わりになる永久機関を開発するんだとよ」
「ああ…アタイもゾーンと遊星のデュエルを見てたから分かるよ。確か未来は向上心を失った人の心、ただ力を求める人の欲がモーメントに危険だと判断されて滅ぼされたんだったな。だからモーメントの代わりになる安全な永久機関を開発すれば、破滅の未来を回避できるってわけか」
父親が開発していた旧モーメントが起こしたゼロ・リバースの惨劇によって多数の犠牲を出してしまったことに責任を覚えていた遊星は父親の開発を引き継ぐ思いで、モーメントに代わる安全な永久機関を開発しようと決意していた。
「だが俺は遊星みてえに器用じゃねえからそれは手伝えねえ。パラドックスに破滅の未来を回避するって宣言したのに、俺はどうするべきか…まだ答えが出ねえんだ」
「俺もだ…」
「だけど遊星がその永久機関の開発に成功すればそれで万事解決じゃねえのか?」
「いいえ、解決ではありますが万事とはいきませんわね」
「幸子!」
ホテルに入ってきた幸子がさらに話に割り込んできた。
「確かにモーメントの代わりに安全な永久機関が開発されれば、それを通して危険に晒されることはないでしょう。しかしただ強い力のみを求めるという欲が消えるわけではありませんわ。力に溺れた人間がどのように力を振るうか…想像に難くないですわ。まるでこのホテルで力を振るっていたわたくしのように…ね」
「ああ…そういえば幸子と初めて会ったのはこのホテルだったな」
幸子は過去にこのホテルを海野財閥の権力を振るって買収しようとしていたことを思い出し、自嘲するような薄笑いを見せた。
「モーメントがその欲を危険だと判断したのはそれなりの理由があるということです。きっとその欲は別の形で未来の人々に降りかかってしまうことでしょう」
「なるほどな。だけどモーメントが世界を破滅させちまうよりはマシじゃねえか?」
「ええ…ですから不動遊星が行おうとしていることは的確だと言えますわ。しかし時として人の欲とは恐ろしいものです。どのように力を振るうのが正しいのか…それすらも判断出来なくなってしまうのですから」
「幸子…」
「ですからわたくしは決めましたわ。これからわたくしがどうすべきかを。庶民、デュエルチャリティーをご存知ですか?」
「いや、知らねえ」
「デュエルチャリティーとは、あるプロの連盟が行なっている活動ですわ。登録しているプロが得た賞金の一部を貧しい地域の人々が欲している食糧や物資に変換し、それらの地域の人々に分け与えるというものです」
幸子はデバイスを取り出すと立体映像を空中に出し、その活動を分かりやすく示した。
「…?賞金をそのまま与えるんじゃダメなのか?」
「あら、庶民なら分かるでしょう?サテライトとシティに格差があった頃、あなた達が欲しいのはお金でしたか?」
「ああ…そっか。仮に金や
「待ってくれ…幸子」
「どうしたのですか、鬼柳?」
「デュエルチャリティーはプロがやる活動。ってことはお前まさか…!?」
「勿論です。わたくしはプロになりますわ。わたくしは庶民達と共にいて力がある者は力が無い者に力を貸すべきということを学びました。なら迷う理由はありません…そのための準備もたった今済ませて来ましたわ」
「そう言えばいつも着てるデュエルアカデミアの制服じゃなくて、面接行くときみたいなスーツ着てるな。それにしばらく連絡も取れなかったし…一体今まで何してたんだ?」
「しばらく連絡を取れなかったのはプロに相応しい実力を得るために修行していたからですわ。そして今日は海野財閥の本社に寄ってきましたの。お父様に大事な用事がありましたので」
「大事な用事…?」
「ええ、お父様にデュエルで勝利して海野財閥の後継ぎを正式に断らせて貰ったのですわ」
「そっか…って、ええ!?」
コナミは驚きのあまり座っていたソファから崩れ落ちてしまった。
「へー、アンタがねえ。どういう風の吹きまわしだい?海野財閥がスポンサーについていた方がプロとしてもやっていきやすいだろうに」
「それでは意味が無いのですわ。強い力に依存したままでは…ダメなのです。己の力で為してこそ初めて意味がある。わたくしはそう思いますわ」
「そっか…」
「その様子だとあなた達はまだどうするか決めていないようですわね?」
「ああ…情けねえとは思うが答えが出ねえんだ」
「そうですか…なら庶民。わたくしとデュエルをしましょう」
「…!そうだな…デュエルはいつも俺達を導いてくれた。俺達が迷ってるなら…その答えはデュエルの中に見つけるしかねえか」
「そういうことですわ。それに…言いましたわよね。いつかあなたとの決着をつけると。プロになる前にその決着…つけさせてもらいますわ!」
「望むところだ!」
コナミは崩れ落ちていた体を持ち直し、ソファを飛び越えて幸子と対峙した。
「お前ら…ここはホテルのロビーだぞ。まあ…あの時のデュエルよりはよっぽどマシな理由でデュエルするしな。特別に許してやるか」
弥生はため息を吐くと、呆れたような表情を浮かべながらも彼らのデュエルを見守ることを決めていた。
「デュエルで…か」
鬼柳はデュエルで道を見つけようとする彼らの姿勢に思うところがあり、2人の様子をまじまじと見つめていた。
「思えば庶民に負けたのも丁度この場所。決着をつけるには丁度良いですわ」
「ああ…ここはシティに来てから俺が初めてデュエルした場所だ。ここから俺の道は変わったんだ。ここなら…俺の道を示してくれるかもしれねえな。行くぜ!」
「来なさい!」
2人はデュエルディスクを展開し、数秒の沈黙の後デュエルの開始を宣言した。
「 「 デュエル! 」 」
デュエルディスクがランダムに先攻を選ぶ。先攻のランプが点灯したのは…幸子。
「わたくしのターンからですわね。ドロー!わたくしはヒゲアンコウを召喚いたします!」
餌となる魚を誘導するための長いヒゲを持った深海魚がフィールドで跳ね出した。
ヒゲアンコウ 攻撃力1500
「確かあいつは水属性モンスターの召喚のためにリリースされる時に2体分のリリースとして扱えたはず。コナミのターンを耐えて最上級モンスターを一気に呼び出す気か…!」
「ふふ…今のわたくしはそんな隙は与えませんわ!さらにマジックカード発動!大波小波!わたくしの場のヒゲアンコウを破壊し、手札から水属性モンスターを一体呼び出しますわ!」
「なっ…まさか!」
ヒゲアンコウが突如出現した波によって包まれていくと、波によって海が形成されていく。
「現われ出でなさい!超古深海王シーラカンス!」
その海から姿を見せたのはヒレが扇の形をした巨大なシーラカンスだった。
超古深海王シーラカンス 攻撃力2800
「1ターン目からシーラカンスを!こりゃやべえぜ…」
「わたくしはシーラカンスの効果を発動しますわ!手札を1枚捨てることでデッキから可能な限り、レベル4以下の魚族モンスターを効果を無効にして特殊召喚します!来なさい、わたくしの魚達!」
シーラカンスが扇形のヒレを水面に叩きつけると4つの渦が発生し、そこから一匹ずつ魚が飛び出て来た。
竜宮の白タウナギ 攻撃力1700
光鱗のトビウオ 攻撃力1700
ハリマンボウ 攻撃力1500
素早いマンタ 攻撃力800
「いつ見ても厄介すぎる効果だぜ…!しかも竜宮の白タウナギはチューナー…!」
「当然シンクロさせていただきますわよ!わたくしはレベル2の素早いマンタにレベル4の竜宮の白タウナギをチューニング!」
竜宮の白タウナギが水のリングとなって素早いマンタを包み込み、水の粒子へと変換させていく。
「万物を凍てつかせし氷よ、その姿を虎に変え相手を支配しなさい。シンクロ召喚!吠えなさい、氷結界の虎王 ドゥローレン!」
水の粒子は虎の姿となるとその姿を凍らせていき、氷を纏った虎へと変貌していった。
氷結界の虎王 ドゥローレン 攻撃力2000
「そのモンスターは…!」
「…?庶民にこのモンスターを見せたことがありましたかしら…?まあいいですわ。わたくしはドゥローレンの効果を発動します!1ターンに1度、わたくしの場の表側のカードを好きな数だけ手札に戻すことでエンドフェイズまで戻した数×500分攻撃力を上昇させます!戻りなさい、ハリマンボウ!光鱗のトビウオ!」
ドゥローレンが雄叫びをあげると2匹の魚を押し出していた渦が勢いを増し、2匹の魚を勢いよく飛ばしてしまった。
氷結界の虎王 ドゥローレン 攻撃力2000→3000
「だけど攻撃力が上がるのはエンドフェイズまで…。なのに折角展開したモンスターを手札に?」
「…!そうか。シーラカンスによって呼び出したモンスターの効果は無効化される。だけど手札に戻せば無効化を打ち消すことが出来るってわけか!」
「そういうことですわ。それにシーラカンスはわたくしの場に空きがあるほど真価を発揮する。これで次のターンも大量展開が可能になった…というわけです。わたくしはカードを1枚伏せてターンエンド!この瞬間、ドゥローレンの攻撃力は元に戻ります。さあ、どうします…庶民?」
氷結界の虎王 ドゥローレン 攻撃力3000→2000
「くっ…これが修行の成果ってわけか」
「ふふ…これはまだ一欠片に過ぎませんわ」
幸子 LP4000
フィールド 『超古深海王シーラカンス』(攻撃表示) 『氷結界の虎王 ドゥローレン』(攻撃表示)
セット1
手札3
「俺のターン、ドロー!ここはこのカードに賭ける!ライフを800払ってマジックカード、魔の試着部屋を発動するぜ!」
コナミの場に赤いカーテンで覆われた4つの試着部屋が現れた。
コナミ LP4000→3200
「俺はデッキの上から4枚のカードをめくり、その中にいるレベル3以下の通常モンスターを呼び出すぜ!」
「わたくしと共にタッグデュエルで戦った時は1枚でしたが…今回はどうでしょうね?」
「それは引けば分かるさ!1枚目!レベル1通常モンスター、大木炭
「…!」
「2枚目!レベル3通常モンスター、ジェネクス・コントローラーだ!」
「く…やりますわね」
「3枚目!レベル2通常モンスター、ファイヤー・アイ!」
「な…まさか!」
「4枚目!……そう上手くはいかねえか。レベル4効果モンスター、UFOタートルだ」
UFOタートルが入った試着部屋は下についていたジェットエンジンによってどこかへ飛ばされていく。残った試着部屋からは3体のモンスターが試着を終え、出てきた。
大木炭18 守備力2100
ジェネクス・コントローラー 攻撃力1400
ファイヤー・アイ 攻撃力800
「3体とは運が良かったですわね。ですが、そのモンスター達ではわたくしのモンスターは倒せませんわ!」
「確かにな…だけど俺はまだこのターン、召喚をしてないぜ!俺は大木炭18をリリースしてタン・ツイスターをアドバンス召喚だ!」
舌が竜巻のように巻いたモンスターが台風のように回転しながら現れた。
タン・ツイスター 攻撃力400
「…!この状況は…」
「早速こっちも行くぜ!俺はレベル6のタン・ツイスターにレベル3のジェネクス・コントローラーをチューニング!」
ジェネクス・コントローラーが特殊な電波を飛ばすとタン・ツイスターの姿が変貌していった。
「闇のエレメントを司る者よ、欲を制御し力を希望に変えろ!シンクロ召喚!汽笛を鳴らせ、レアル・ジェネクス・クロキシアン!」
変貌したタン・ツイスターは蒸気機関車となり、ジェネクス・コントローラーはコアへと装填され、その力を制御した。
レアル・ジェネクス・クロキシアン 攻撃力2500
「クロキシアン…!」
「あの時のデュエル…こいつでシーラカンスを借りて勝利したっけな。悪いが今回も借りるぜ!クロキシアンがシンクロ召喚に成功したことで相手フィールドの一番レベルが高いモンスターのコントロールを得る!」
クロキシアンが汽笛を鳴らすと蒸気で作られた手が幸子のフィールドに向かっていった。
「幸子の場でレベルが一番高いのはレベル7のシーラカンスだ。そしてシーラカンスを奪えばコナミの場の総攻撃力は6100。対して幸子の場は2000になる!」
「ってことは…ワンターンキルが成立するじゃねえか!」
蒸気で作られた手はシーラカンスを見つけると手を広げ、掴み取ろうとした。
「ふふ…庶民、まさかわたくしとあなたの戦いがそんなあっけない幕切れで終わるとでも思って?わたくしが教えてあげますわ…そのモンスターの弱点を!」
「クロキシアンの弱点だと!?」
「トラップ発動、星蝕—レベル・クライム—!このカードは相手がシンクロモンスターを特殊召喚した時に発動出来ますわ!」
クロキシアンから9つの星が吸い取られていき、幸子の場で一つにくっついた。
「一体何を…!?」
「このカードは呼び出されたシンクロモンスターと同じレベルを持つ星蝕トークンをわたくしの場に呼び出し、呼び出されたシンクロモンスターのレベルを1にしますわ。わたくしはこの攻撃力0のトークンを攻撃表示で特殊召喚します!」
星蝕トークン 攻撃力0 レベル1→9
レアル・ジェネクス・クロキシアン レベル9→1
「これでわたくしの場で最もレベルが高いモンスターは星蝕トークンとなりました。よってあなたがコントロールを得るのは星蝕トークンですわ!」
「なっ…しまった!」
シーラカンスを掴もうとしていた手は星蝕トークンを見つけるとそちらを掴み取り、コナミの場へと連れ帰ってしまった。
「これでシーラカンスは無事。そしてあなたの場には攻撃力0のトークンが攻撃表示で無防備の状態で現れた…というわけです」
「クロキシアンにそんな弱点が…くっ、アドバンス召喚したタン・ツイスターを除外することで2枚ドローする!そしてバトルだ!クロキシアンでドゥローレンに攻撃!」
ドゥローレンに向かってレールが引かれるとクロキシアンはスピードを上げて突進していった。
幸子 LP4000→3500
「ふふ…」
「アイツ…ダメージを食らったのに余裕そうだな」
「幸子の場にいるシーラカンスはフィールドに空きがあれば手札1枚で大量展開が出来る。だからドゥローレンを失ってもそこまで痛くねえんだ…」
「シンクロモンスターを破壊したことで手札から速攻魔法、グリード・グラードを発動し2枚ドローする!…場に3枚カードを伏せてターンエンドだ!」
コナミ LP3200
フィールド 『レアル・ジェネクス・クロキシアン』(攻撃表示) 『ファイヤー・アイ』(攻撃表示) 『星蝕トークン』(攻撃表示)
セット3
手札4
「わたくしのターン、ドロー!わたくしは手札を1枚捨て、シーラカンスの能力を解放します!わたくしはこの効果でデッキから再び4体の魚族モンスターを……」
シーラカンスが扇形のヒレを水面に叩きつけようとする。
「やらせるわけにはいかねえ!トラップ発動、ゴーゴンの眼!このターン守備表示モンスターの効果は無効になる!」
「ですがシーラカンスは攻撃表示!そんなトラップなど…」
「まだだ!さらにもう1枚のトラップを発動!重力解除!このカードはフィールドの全てのモンスターの表示形式をひっくり返す!」
「なっ…!」
フィールドに吹き荒れた暴風によって全てのモンスターは体勢を崩してしまい、その拍子にメデューサの瞳を見たことで石化してしまった。
超古深海王シーラカンス 守備力2200
レアル・ジェネクス・クロキシアン 守備力2000
ファイヤー・アイ 守備力600
星蝕トークン 守備力0
シーラカンスが石化したことで水面は叩きつけられず、渦が発生することはなかった。
「カードのコンボでシーラカンスを封じましたか…!しかも星蝕トークン含め全てのモンスターを守備表示にしてダメージを回避するとは…コストとして墓地へ送ったハリマンボウの効果でクロキシアンの攻撃力が500下がりますが、意味が無くなりましたわね。わたくしはシーラカンスを攻撃表示に変更します!」
石化したシーラカンスにヒビが入り、殻を破るように中からシーラカンスが復活した。
超古深海王シーラカンス 攻撃力2800
「これでゴーゴンの眼を逃れましたが…シーラカンスの効果は1ターンに1度のみ。ですが、効果を失おうともその攻撃力は健在ですわ!さらにわたくしは先ほど手札に戻した光鱗のトビウオを召喚します!」
鱗が光に反射して眩いほど輝いているトビウオが水面から大きく跳ねた。
光鱗のトビウオ 攻撃力1700
「バトル!シーラカンスでクロキシアンへ攻撃!」
シーラカンスは海の水を巻き上げ、石化したクロキシアンへと放った。
「クロキシアンがやられちまったか…」
「まだ攻撃は終わっていませんわ!光鱗のトビウオでファイヤー・アイに攻撃!」
トビウオは水面から大きく跳ねると石化したファイヤー・アイに向かって飛び、ヒレで叩き落とした。
「くっ…!」
「これであなたの場には星蝕トークンのみ!わたくしはカードを1枚伏せてターンエンドですわ!」
幸子 LP3500
フィールド 『超古深海王シーラカンス』(攻撃表示) 『光鱗のトビウオ』(攻撃表示)
セット1
手札1
「俺のターン、ドロー!俺は星蝕トークンをリリースし、人造木人18をアドバンス召喚するぜ!」
頑丈な装甲を纏ったロボットがコナミの場に降り立った。
人造木人18 攻撃力500
「守備力2500の人造木人18を攻撃表示…ということは狙いはシンクロですわね?」
「そうだ!永続トラップ発動、蘇りし魂!墓地の通常モンスターを守備表示で特殊召喚できるぜ…戻ってこい、ジェネクス・コントローラー!」
地面に空いた穴から再びジェネクス・コントローラーが舞い戻った。
ジェネクス・コントローラー 守備力1200
「行くぜ!俺はレベル5の人造木人18にレベル3のジェネクス・コントローラーをチューニング!」
ジェネクス・コントローラーが再び電波を飛ばすと木人の姿を変えていった。
「炎のエレメントを司る者よ、燃え上がる心を制御し討ち倒れし同胞の意思を継げ!シンクロ召喚!燃え盛れ、サーマル・ジェネクス!」
木人は溶鉱炉へと姿を変え、中枢コアにジェネクス・コントローラーを装填することで熱を制御した。
サーマル・ジェネクス 攻撃力2400
「ですが攻撃力はシーラカンスの方が上。狙いは光鱗のトビウオかしら?」
「それはどうかな!サーマル・ジェネクスの効果発動!墓地の炎属性モンスターの数×200攻撃力を上げるぜ!俺の墓地には大木炭18、ファイヤー・アイ、人造木人18の3体!よって攻撃力は600アップだ!」
「…!」
3体のモンスターの魂が溶鉱炉へと入っていくと、吹き出されている炎の勢いが増していった。
サーマル・ジェネクス 攻撃力2400→3000
「これでシーラカンスの攻撃力を上回ったぜ!バトルだ!サーマル・ジェネクスでシーラカンスに攻撃!」
溶鉱炉から灼熱の炎を放ち、シーラカンスの周りにある水を全て浄化させることでシーラカンスは無力化されてしまった。
「シーラカンス…!」
幸子 LP3500→3300
「まだだ!さらにサーマル・ジェネクスは戦闘で相手モンスターを破壊した時、墓地のジェネクスモンスターの数×200のダメージを与える!俺の墓地にはジェネクス・コントローラーとクロキシアンの2体だ!」
シーラカンスに向かって放たれた炎の余熱が幸子を襲った。
「うっ…」
幸子 LP3300→2900
「どうだ幸子!シーラカンスを倒したぜ!俺は場に3枚カードを伏せてターンエンド!」
「やりますわね…庶民。しかし、わたくしがいつまでもシーラカンスばかりに頼っていると思わないことね!ここで永続トラップ、リミット・リバースを発動しますわ!墓地の攻撃力1000以下のモンスターを特殊召喚出来ます…戻りなさい、素早いマンタ!」
マンタが上昇水流に乗って海の底から帰還した。
素早いマンタ 攻撃力800
コナミ LP3200
フィールド 『サーマル・ジェネクス』(攻撃表示)
セット3 『蘇りし魂』(使用済み)
手札1
「わたくしのターン!わたくしは素早いマンタを守備表示に変更しますわ!」
「サーマル・ジェネクスを超えられねえと見て守る気か!」
「読みが甘いですわね。リミット・リバースによって復活したモンスターが守備表示になった時、リミット・リバースと共にそのモンスターは破壊されます!」
「なっ…自分で自分のモンスターを破壊した!?」
「ですがこの瞬間、素早いマンタの効果が発動しますわ!このモンスターが効果で破壊された時、デッキから2体の素早いマンタを呼び出すことができます!」
マンタが下降水流に飲み込まれたかと思うと、上昇水流に押し返され仲間と共に戻ってきた。
素早いマンタ×2 攻撃力800
「そういうコンボか…だけど俺の場には攻撃力3000のサーマル・ジェネクスがいる!こいつを倒さなきゃ俺にダメージはねえぜ!」
「なら倒させていただきましょう!わたくしは光鱗のトビウオの効果を発動しますわ!自身以外の魚族モンスターを1体リリースする毎に相手フィールドのカードを1枚破壊することが出来ます!」
「…!素早いマンタは魚族…!」
「よって1体の素早いマンタをリリースし、サーマル・ジェネクスを破壊しますわ!」
トビウオはマンタを栄養として取り込むと水面を切り裂くほどの水鉄砲を放ち、溶鉱炉の炎を浄化させた。
「これであなたの場は空きましたわ!」
「…そいつはどうかな。ここで俺は2枚のトラップを発動するぜ!」
「…!またダブルリバースですか…!」
「トラップカード、ヘイト・クレバス!そしてリボーン・パズル!まずはリボーン・パズルの効果で…!」
(あのカードは…まずいですわね。さらに逆転の一手を用意しなくては…!)
「わたくしは手札から速攻魔法、魔力の泉を発動します!相手フィールドの表側表示の魔法・罠の数だけわたくしはドローし、その後わたくしの場の表側表示の魔法・罠の数だけ手札からカードを捨てますわ!よってわたくしは3枚のカードをドローし、1枚捨てます!」
「手札を交換したか…だけどトラップの効果は止まらねえ!リボーン・パズルは俺の場のモンスターが1体のみ効果で破壊された時、そのモンスターを墓地から呼び戻すことができる!」
溶鉱炉の中に無数のパズルが集まっていき、そのパズルのピースが全て組み合わさると再び溶鉱炉の火が燃えだした。
サーマル・ジェネクス 攻撃力3000
「そしてヘイト・クレバスの効果だ!同じく俺のモンスター1体のみが効果で破壊された時、相手モンスター1体を墓地に送りその攻撃力分のダメージを与える!」
トビウオが跳ねていた水面が凍ると、その衝撃で裂け目が発生しそのまま底に落ちていってしまった。
「くっ…光鱗のトビウオを墓地に送ってきましたか」
幸子 LP2900→1200
「これで光鱗のトビウオでサーマル・ジェネクスを倒すことは出来なくなったぜ!」
「なら次の手を打って差し上げましょう!わたくしは手札から竜宮の白タウナギを召喚します!」
紅色のヒレに宝石のように輝く球体をはめ込んだ竜宮の使いが海に飛び込んだ。
竜宮の白タウナギ 攻撃力1700
「そしてレベル2の素早いマンタにレベル4の竜宮の白タウナギをチューニング!氷の檻に閉ざされし龍よ、今こそ真の力を解き放ち、勝利という栄光を支配せよ!シンクロ召喚!全てを凍てつかせなさい…氷結界の龍 ブリューナク!」
2匹の魚が同調すると海が凍っていく。すると氷のように透き通った翼と胴体を持つドラゴンが凍った海面を突き破り、海上を飛び回った。
氷結界の龍 ブリューナク 攻撃力2300
「確かそのモンスターは…!」
「ブリューナクの効果発動!手札を1枚捨てることでサーマル・ジェネクスをエクストラデッキに戻しますわ!」
幸子の手札が氷の槍に変換されていくと、弾丸の如き鋭さでサーマル・ジェネクスに突き刺さり、その力を封印した。
「サーマル・ジェネクスがあっさりやられちまった…!」
「そしてバトルですわ!ブリューナクで庶民にダイレクトアタックします!」
ブリューナクの咆哮により凍った海のカケラが無数の氷弾となってコナミを襲った。
「そうはさせねえ!トラップ発動、カウンター・ゲート!俺へのダイレクトアタックを無効にする!」
コナミの前に出現したゲートに氷弾が吸い込まれていき、氷弾がコナミに届くことはなかった。
「躱しましたか…!」
「さらにカウンター・ゲートの効果でカードを1枚ドローするぜ!引いたカードは…
氷弾が吸い込まれたのを確認し、ゲートの中から翼が漆黒に染まったプテラノドンが姿を現した。
暗黒プテラ 攻撃力1000
「モンスターを残してしまいましたか…わたくしはこれでターンエンドですわ」
幸子 LP1200
フィールド 『氷結界の龍 ブリューナク』
セット0
手札1
「俺のターン!暗黒プテラをリリースするぜ!アドバンス召喚!頼んだぜ…サイバネティック・マジシャン!」
左手に白い杖を持った魔術師が現れ、呪文を詠唱し始めた。
サイバネティック・マジシャン 攻撃力2400
「く…ブリューナクを超える上級モンスターを召喚しましたか」
「さらに俺はリリースした暗黒プテラの効果を発動するぜ。こいつは戦闘以外でフィールドから墓地に送られた時手札に戻る!そして俺は暗黒プテラをコストにサイバネティック・マジシャンの効果を使うぜ。ブリューナクの攻撃力はこのターン2000になる!」
「少しでもダメージを…ということですわね」
詠唱を終えた魔術師が杖をかざすと、ブリューナクの体をわずかに小さくさせた。
氷結界の龍 ブリューナク 攻撃力2300→2000
「バトルだ!サイバネティック・マジシャンでブリューナクに攻撃!」
サイバネティック・マジシャンが天に杖をかざすと天から雷が落ち、ブリューナクの胴体を貫いてしまった。
「くぅ…!」
幸子 LP1200→800
「これで形勢逆転だぜ!さらに俺は手札から命削りの宝札を発動!俺はこのカードの効果で3枚のカードをドローする。…場に3枚カードを伏せてターンエンドだ!」
コナミ LP3200
フィールド 『サイバネティック・マジシャン』(攻撃表示)
セット3 『蘇りし魂』(使用済み)
手札0
「やってくれましたわね…わたくしのターン! わたくしはマジックカード、貪欲な壺を発動します!墓地から5体のモンスターをデッキに戻すことでカードを2枚ドロー出来ますわ。わたくしは2体の竜宮の白タウナギと3体の素早いマンタをデッキに戻します!……ドロー!」
「……」
「…やはり最後はこのカードに頼ってしまうようですわね。ですが、わたくしはこのカードの力に驕らず、その力を使いこなして見せましょう。わたくしは永続魔法、異次元海溝を発動します。このカードにより墓地から超古深海王シーラカンスを除外!」
シーラカンスが異次元にある深海に封印されてしまう。
「あのカードは鬼柳との戦いで使用したカード…ということは」
「さらに手札からディープ・スイーパーを召喚します!」
尻尾の先に毒を仕込んだ魚が敵の気配を察知し、水面に浮上した。
ディープ・スイーパー 攻撃力1600
「…俺はここで永続トラップ、能力吸収石を発動するぜ!このカードは相手がモンスター効果を発動し終えるたびにエンドフェイズまで魔石カウンターが乗る。最大で2つまでだけどな」
「魔石カウンター…?」
「ああ。そして魔石カウンターが2つ乗っている時、フィールドにいるモンスターの効果は無力化される!」
「…!」
「ディープ・スイーパーには自身をリリースすることで魔法・罠を1枚破壊する効果がある。そして異次元海溝は破壊されれば除外したシーラカンスを帰還させることが出来る」
「シーラカンスの効果を使ったら、その後場のモンスターは無力化される。つまりシンクロモンスターに繋げられても効果は無効に出来るっつーことか」
「…なるほど。ですがその程度でわたくしは止められませんわ!ディープ・スイーパーをリリースすることで異次元海溝を破壊します!」
深海から上昇水流に押し出され、次元を突き破りシーラカンスがフィールドに再び姿を現した。
超古深海王シーラカンス 攻撃力2800
「この瞬間、能力吸収石に魔石カウンターが1つ乗るぜ!」
「さらにわたくしは手札を1枚捨て…シーラカンスの効果を発動しますわ!呼び出すモンスターは…2体の竜宮の白タウナギ、オイスターマイスター、ハリマンボウですわ!」
シーラカンスが自身の周りに4つの渦を発生させ、4匹の魚を呼び出した。
竜宮の白タウナギ×2 攻撃力1700
オイスターマイスター 攻撃力1600
ハリマンボウ 攻撃力1500
「これは…。…この瞬間、能力吸収石に2つ目の魔石カウンターが乗るぜ。これでこのターン、フィールドのモンスター効果は無効になる!」
2つの石が緑色の光を発し、フィールドを満たしていった。
「問題ありませんわ。わたくしはレベル3のオイスターマイスターにレベル4の竜宮の白タウナギを、レベル3のハリマンボウにレベル4の竜宮の白タウナギをそれぞれチューニング!」
それぞれ2匹の魚が同調していくと、交差しながら天へと昇っていった。
「氷の槍を身に宿す龍よ、その凍える吐息で幾千の敵を凍らせよ!シンクロ召喚!全てを貫け、氷結界の龍 グングニール!」
氷で体全体が覆われたドラゴンが2体、シーラカンスの隣にゆっくりと降り立った。
氷結界の龍 グングニール×2 攻撃力2500
「シーラカンスに2体のグングニール…」
「あなたと初めてデュエルした時もこの状況になりましたわね。ですが、わたくしはあの時とは違いますわ!墓地からオイスターマイスターとハリマンボウのモンスター効果を発動します!」
「モンスター効果だと!?能力吸収石の効果で…あっ!」
「能力吸収石が防げるのはあくまでフィールドでのモンスター効果のみ!墓地からならばそのトラップの範囲外ですわ!ハリマンボウの効果でサイバネティック・マジシャンの攻撃力を500下げます!」
ハリマンボウが体に生えたトゲをサイバネティック・マジシャンに放つと、サイバネティック・マジシャンは衰弱していった。
サイバネティック・マジシャン 攻撃力2400→1900
「さらにオイスターマイスターが戦闘以外でフィールドから墓地に送られたことで場にオイスタートークンを特殊召喚します!」
オイスタートークン 守備力0
「これで能力吸収石の効果が切れたらシーラカンスのもう一つの効果で対象に取る効果を無効に出来るってわけか…!」
「そういうことです。もっとも…次のターンがあればの話ですわ!バトル!シーラカンスでサイバネティック・マジシャンに攻撃!」
シーラカンスが渦の竜巻を作り出すと、螺旋状の回転をさせながらサイバネティック・マジシャンに放った。
「ぐっ…!」
コナミ LP3200→2300
「そしてわたくしはグングニールで庶民に…!」
幸子がグングニールに攻撃命令を下そうとした瞬間、2体のグングニールはどこかへ飛び去ってしまった。
「なっ…」
「…トラップ発動、自由解放!」
「ここでそのカードですか…!」
「自由解放はバトルで俺のモンスターが破壊された時、フィールドの2体のモンスターをデッキに戻す!俺はこの効果で2体のグングニールをエクストラデッキに戻していた!」
「く…わたくしとしたことが同じ轍を踏んでしまうとは。ですが、わたくしの勝利に変わりはありませんわ!ターンを終了します!」
「この瞬間能力吸収石に乗っていた魔石カウンターは無くなり、モンスター効果が無効にされなくなるぜ」
幸子 LP800
フィールド 『超古深海王シーラカンス』(攻撃表示) 『オイスタートークン』(守備表示)
セット0
手札0
「俺のターン、ドロー!俺は手札からマジックカード、マジック・プランターを発動するぜ。場の永続トラップ、蘇りし魂を墓地に送ることで2枚ドローする!……!」
2枚のカードをドローしたコナミの表情が見る見るうちに変わっていった。
「どうしました?」
「幸子、俺にもやっと見えてきたみたいだぜ。俺が行くべき道がな」
「そうですか…ならばデュエルで示してみなさい!わたくしはさらにそれを超えてみせますわ!」
「言われなくても見せてやるぜ!俺はギガテック・ウルフを召喚する!」
鉄屑で作られたオオカミが場に降り立ち、遠吠えをあげた。
ギガテック・ウルフ 攻撃力1200
「さらに手札からマジックカード、アイアンコールを発動するぜ!俺の場に機械族モンスターがいる時、墓地からレベル4以下の機械族を呼び戻せる!俺が戻すのは…ジェネクス・コントローラー!」
「…!」
ギガテック・ウルフの遠吠えに応じ、墓地からジェネクス・コントローラーが復活した。
ジェネクス・コントローラー 攻撃力1400
「そして俺はレベル4のギガテック・ウルフにレベル3のジェネクス・コントローラーをチューニング!」
ジェネクス・コントローラーがアンテナから特殊な電波を飛ばしギガテック・ウルフの姿を変貌させていく。
「3つのエレメントを司るものよ、炎の力を拳に宿しあらゆる敵を焼却せよ!シンクロ召喚!燃やし尽くせ
ジェネクス・コントローラーが変貌したギガテック・ウルフの胸部にあるコアに装填される。突き出した右腕にある3つの装置のうち、オレンジのものが点灯した。
A・ジェネクス・トライフォース 攻撃力2500
「ここでトライフォースですって…?ですが、その攻撃力ではシーラカンスを倒すことは出来ませんわ!」
「なら、試してみるか?バトルだ!トライフォースでシーラカンスに攻撃!」
「なっ…!」
トライフォースが右手を突き出すと火炎放射が発射され、炎の渦となってシーラカンスを包み込もうとした。
(ここで無策に突っ込んでくるはずは無いですわ。もし庶民が何か行動を起こすとしたら場に伏せられている1枚のカードのみ。炎属性をシンクロ素材としたトライフォースは戦闘で破壊した相手モンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。つまりあの伏せカードは……)
この瞬間、幸子は初めてコナミとデュエルをした時のことを思い出した。
「それに先ほどまであなたが描いていた筋書きも読めましたわ」
「な、なんだと!?」
「シンクロ・ストライクはシンクロモンスターの攻撃力をシンクロ素材となったモンスターの数×500アップさせるトラップカード。あなたはこれでトライフォースの攻撃力を上げて効果と合わせてわたくしに3500の反撃ダメージを与えようとした…こんなところでしょう」
「くっ…すごいなお前」
思い出した幸子はとっさにコナミの場の伏せカードに目を向けた。
(あの伏せカードは…もしや!?)
「…わたくしは先ほどのターン、シーラカンスのコストによって墓地へ送っていたキラー・ラブカの効果を発動しますわ!」
「…!」
海がシーラカンスを守るようにせり上がって壁になり、火炎放射を蒸発させてしまった。そして海から1匹の魚がトライフォースに飛びつき、毒を注入した。
「キラー・ラブカは墓地から除外することで魚族モンスターへの攻撃を無効にし、攻撃モンスターの攻撃力を500下げますわ!」
A・ジェネクス・トライフォース 攻撃力2500→2000
「残念でしたわね。いくらトライフォースといえども攻撃出来なければ怖くありませんわ。次のターン、再びシーラカンスの効果を使えばわたくしの勝利が確定します!」
「…いや、幸子。次のターンは…無いぜ!」
「何ですって…!あなたの場に伏せられているカードは少なくともトライフォースの攻撃力を上昇させるカードのはず!そうでなければあの場面で攻撃するはずは…」
「…信じていたのさ。幸子なら…そう読んでくれるってな。トラップ発動、反発力!このカードは攻撃表示モンスターへの攻撃が無効になった時に発動することが出来る!」
「なっ…攻撃を無効にすることで発動出来るカードですって!?」
「そうだ!そして効果で攻撃対象になったモンスターと攻撃したモンスターの攻撃力の差分のダメージを相手に与える!」
「シーラカンスの攻撃力は2800。トライフォースの攻撃力はキラー・ラブカの効果で2000…!?」
「つまりその差分、800のダメージを幸子に与える!」
トライフォースはシーラカンスに拳を振るうとシーラカンスも扇形なヒレを振るい、弾き返した。そしてその衝撃が…幸子へと向かっていった。
「まさかデュエルの勝敗すらもブラフとして使うとは…読みきれませんでしたわ」
幸子 LP800→0
この瞬間、決着はついた。
「幸子…俺は旅に出るぜ」
「旅に…?」
「ああ。俺は今のデュエルで思い出したんだ…初めてデュエルに触れた時のワクワクをな。あの時は遊星達がデュエルしてるのを見てるだけで楽しかった。だけどいつしかデュエルを戦いのために使い始めてからそんな気持ちは薄れてしまってたんだ。多分そんな人は他にもいると思う、デュエルを戦いの道具として使わなきゃいけない人達がな。俺はそんな人達にデュエルの無限の可能性と楽しさを伝え…いや、思い出して欲しいんだ」
「庶民…」
「俺は今のデュエル…めちゃくちゃ楽しかった。この前の遊星とのデュエルも楽しかったけど…何だろうな。今のデュエルは何だかデュエルを始めたばかりの時のことを思い出させてくれたからかもな。あの頃はカードさえあれば何だって出来る気がしてた…今ももちろんデュエルの可能性は無限だって思ってるけど、あの頃はそんな理屈なしに純粋に出来ると信じていたんだ。そしてその気持ちは…きっと無くしちゃいけないものだったんだろうな」
コナミはそっと幸子に手を差し出した。
「ありがとな、幸子。お前とデュエルしなきゃ俺はこの気持ちを忘れたままだったかもしれねえ」
「…こちらこそ礼を言わせて貰いますわ。わたくしも今のデュエル、とても楽しかったですから」
幸子はコナミの手を取って握手する…フリをした。
「…ですが!わたくしは負けず嫌いですのよ。あなたが旅に出ようとデュエルをしている限り、必ずどこかで会うことでしょう。そしてわたくしはあなたに何度でも挑み、そして必ずや勝利してみせます。握手はその時まで取っておきますわ」
「ははっ…幸子らしいな」
コナミは手を引っ込め、鬼柳の方に振り向いた。
「コナミ…デュエルで語り合うお前達を見て俺も一つ分かったことがある」
「それは…?」
「…お前らのデュエルを見ているとデュエルをしたい気持ちが湧いて来てどうにかなっちまいそうだった。やっぱり俺は…デュエルに取り憑かれているのかもしれねえな。俺は正直プロになってもウエスト達に生き様を見せられるのか不安だった。だけど俺にはやっぱりデュエルしかねえんだ。今のでそれがよく分かった!俺は…プロになる!」
「おお!」
「そして世界中に俺の満足を広めてやる!今の力だけじゃ満足出来なくなるくらいにな!」
「プロ…ですか。なら鬼柳とも戦う機会はありそうですわね。あなたにもわたくしは負けっぱなしですからね、プロできっちり借りを返して差し上げますわ」
「そうはいかねえな。さらに借りを増やさせてやるぜ!」
(…可能性は人の数だけある、か。本当にそうだな…遊星。俺達3人は同じチームとしてやってきたけど、たどり着いた答えは似てるようでみんなバラバラだ。だけど…それでいいんだ)
こうして彼らはそれぞれの答えを出し、別々の道を歩むことになったのだった。