聖杯くんが別世界線の人理がヤバイと言ってきた 作:クレイジー松本キヨシ
アストルフォの召喚が終わり、探索を再開した。
大橋、港跡に行ったのは良いものの、何も原因は見当たらなかった。
今は教会跡を調べているが、ここも大した結果は得られそうにない。
「あの外道神父がただで死ぬとは思えないが……」
僕は大きな十字架の前でそう呟いた。
十字架は所々欠けている。
すると、いつの間にか近くに来たアストルフォが声をかけてきた。
「ねぇーねぇー。君は本当に悠人じゃないの?」
「……えぇ、違います」
「むぅ……。本当かな〜?」
疑いの眼差しを僕に向ける。
そうなのだ。アストルフォは召喚された時、僕のことを悠人と呼んだ。
まだ信頼に値するかどうか決まってないこの状況で、僕が涼宮悠人ということがわかるのはまずい。
だから、僕はアルだとアストルフォに言っているが、この有様である。
アストルフォに直感スキルは無いはずだが……。
やっと諦めてくれたのか、アストルフォは白野君たちの元へと戻って行った。
『ライダーがそう思うのも無理がありません。私も同じ状況でしたら同じ行動をすると思います』
そうかな?でもアルトリアには直感スキルがあるじゃないか?
『いえ、直感スキルが無くてもです。容姿こそ、今は金髪、翡翠色の目、本来なら着そうにないスーツ姿ですが、何となく悠人と思ってしまうんですよ』
そういうもんなのか?
それよりも着そうにないってなんだよ。
確かにスーツなんて堅苦しい物は前まで着てなかったけどさ、案外コレ気に入ってるんだよ?
黒のスーツに黒のTシャツ、黒のスラックスに黒の革靴。
そして黒のグローブ。
うん、殺し屋みたいだね!
『はは……。一応その服装は私が第4次聖杯戦争の時に着ていた物と同じ物ですが……』
あ、そうなんだ。
『それより、ライダーに本当のことを伝えなくて良いのですか?貴方のことを知っているのに』
アストルフォってバカじゃん?
『バカ?』
うん。だって俺が悠人だって教えるとするよ?
それをアストルフォに隠せって言っても、何処かでボロを出すのは明白だよ。だって自分の真名を隠さないんだよ?
それが見え見えなんだよ。
だから、取り敢えずは僕は悠人ではなく、アルという人物だということを押し通す。
俺の直感スキルもそれが良いと言ってる。
『……確かにそうかもしれませんね』
……第5次聖杯戦争の時、傍から見ればチャランポランなコンビだなって思って見ている分には面白いけど、実際身内にいれば苦労するんだなって身に沁みる。
……やっと慎二の気持ちが分かった気がする。
『確かに、彼は大変そうでしたね』
ある意味、慎二と一緒で憎めない奴だよ。そう考えると似た者同士だね。
アストルフォはバカだけど良い奴なんだっていうのはすぐ分かる。
慎二も根は良い奴だからな。
『えぇ。でなければ、死を覚悟して私達を助けたりはしないでしょう』
……うん。
○○○
各々で探索した結果を報告し合う為に、今は全員が集まっている。
どうやら、僕が合流するまでの間に、白野君たちは怪物に遭遇したようだが、無事に倒す事ができたようだ。
「それにしても、もう完全にサーヴァントとしてやっていけるわね。ここの程度も知れたし、もう怖いものはないんじゃない?」
所長はマシュに向かってそう言うが、マシュはまだ何処か不安あり気な表情をして言った。
「それは……どうでしょうか。どんなにうまく武器を使えても、戦闘そのものは……」
「大丈夫だよ。いざとなったら僕がいるし!……弱いけど」
『ゴメン、話はあと!すぐそこから逃げるんだ!』
アストルフォがそう言った直後、ロマンが慌てるように通信を開き、そう言った。
『まだ反応が残っている!しかもこれは――』
「な――まさか、あれって!?」
ロマンの通信のおかげか、所長がその反応を発しているであろう敵を見つけた。
そして僕もそれを見た瞬間、睨んで呟いた。
「サーヴァント……」
黒い影のようなモノを纏っているサーヴァント。
杭と鎖のような武器を手にしているのがわかる。
『戦うな白野君、マシュ!君たちにはサーヴァント戦はまだ――』
「――いや、ここで仕留めた方が得策でしょう」
『なっ!?』
ロマンの警告を僕は遮ってそう言った。
『何を言っているんだアル君!こっちは確かにサーヴァントは2人いて今まではどうにかなってきたけど、サーヴァント戦となれば訳が違う!』
「逃げていたって仕方ない。こいつは追っかけてきますよ」
目の前にいるサーヴァントを見据えつつ、ロマンにそう告げる。
「それに、今はアストルフォがいる。マシュが所長たちを守ってくれるのに専念してくれれば良い」
『それは、そうだけど……』
「白野君、アストルフォ借りるよ」
僕は強引にロマンとの通信を終わらせ、白野君にそう言う。
白野君は無言で頷き、了承した。
「アストルフォ、急造コンビだが我慢してくれ」
「へへっ、大丈夫だよ!」
「とにかく、あの鎖には気をつけてくれ。恐らくあのサーヴァントは速い」
「わかったよ、悠人」
「……今はそれで良いか。僕は援護射撃をするから、気をつけて」
急造コンビで少し不安もあるけど……。
アストルフォとならあのサーヴァントは倒せるだろう。
僕は片腕を前に出し、ガンドを放った。
敵サーヴァントは横に避け、こちらに向かって距離を詰めようとする。
「アストルフォ」
「うん!」
アストルフォは僕の指示を察したのか、敵サーヴァントと僕の間に入り、敵サーヴァントに剣を振りかざす。
勿論、敵は手に持つ杭でそれを防ぐ。
敵は片手に持っている鎖でアストルフォを縛ろうとしている。
「させない」
僕はそれをガンドで撃ち落とす。
遠坂程ではないが、僕のガンドでも物理的ダメージは与えられる。
「真上に飛べ!」
「了解!」
僕の指示通り、アストルフォは上に飛び上がる。
敵はガンドの影響か、身体が痺れて動けなさそうだ。
僕はそれに畳み掛けるようにガンドを何発も撃つ。
敵は動けないので、回避ができない。それを喰らい、更に身体を動けなくさせる。
「アストルフォ!」
「任せて!」
落ちてくるアストルフォは手に持つ剣をいつの間にやら馬上槍に持ち替え、それを敵サーヴァントの脳天めがけ、着地と同時に思いっきり叩き下ろした。
すると、敵サーヴァントの膝から下が霊体化し、地面に倒れる。
『あの馬上槍……』
あぁ、"
あれには1回苦しまされたよ。師匠の慌てようはヤバかったな。
アストルフォは再度剣に持ち替え、霊核を確実に刺した。
「終わったよー!」
敵サーヴァントが消えていく中、アストルフォはこちらに向かってピースをし、笑顔を見せていた。
僕も笑顔でアストルフォに労いの言葉をかけようとするが……
『
どうやらその時間は無さそうだ。
戦闘が終わったと同時にロマンがそう通信で伝えてきた。
「撤退しましょう!とにかく此処から離れるわよ!」
流石に次はマズイと僕も考え、アストルフォと共に所長たちの後を追って撤退した。
なんと、if第5次聖杯戦争の慎二は良い奴。出来る奴ですよぉ、コイツはァ!
色々と細かいことを言うと、悠人の世界線では桜は遠坂のままだし、臓硯はただの優しいじっちゃんです。(ご都合主義……?)
間桐慎二
ライダー:アストルフォ