千棘と一条のニセコイ 作:雲仙
「-くん、私は-くんのことが好き!大好き!だから大きくなったら絶対探しに行くから!」
「まあ…うん。がんばって」
「反応が薄いよっ!ホントに大好きだからね!!本当にっ!絶対だから!!!」
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ただ楽しく生きたい。おもしろく過ごしたい。友達と笑い合いたい。高校生活を充実させたい。そんな俺の思いには少しだけ障害があった。
他の人にとっては少しだけではないだろう。
しかし俺にとってはほんの、ほんの少しだけ家の家族が
俺の名は
「燐!早く飯食えよ」
そんな事を言ってきたのは兄の楽。この大所帯の集英組の組員、全員分の飯を作るすごい奴。ただ者ではない。そんな奴だからこの家の飯事情を任せられるのだ。
俺と楽は双子ではないが同じ学年に通っている。まぁ単純に、誕生日が3月と4月でほぼ一歳差がある。
む。もうこんな時間だ。学校に行かないと遅刻するな、これは。…楽は将来は公務員になるとか言ってるので、ほっておく。まぁ、どう考えても無理だろうが。ところが最近の楽はそれを持ちネタとしている。ビミョーなセンスや…関西弁もどきはダメだな
さあ学校、学校。嫌だわー
「おはよう、燐」
「おはよう」
教室に入って一番に挨拶してくるのが、俺達兄弟の友達もとい親友?の舞子 集である。
「おはよう、燐君」
「おはよう、るりちゃん」
そして、俺に挨拶してきたのが、俺の最も親しい女性の宮本 るりちゃんだ。相変わらずのメガネである。
ガラッ。ようやく楽が来た。…アホ面を晒しながら…
「どしたん」
「オース楽…って、ぅわ!?」
「一条君!?どうしたのそのケガ!?大丈夫!?鼻血出てるよ?」
俺と集、小野寺が楽に声をかける。そう、楽が両鼻から鼻血を出しながら入ってきたのだ。…アホ面で…。
小野寺は中学の頃から楽に惚れてる超いい子ちゃんだ。今も小野寺は楽の鼻に絆創膏を貼ってあげてる。…鼻に貼ってどうするんだよ。まあ楽はとてつもなく嬉しそうだが。おっと、我がクラスの担任のキョーコちゃんが入ってきた。
「…よーし。今日は転校生を紹介するぞー。入って桐崎さん」
「はい。初めまして!アメリカから転校してきた桐崎千棘です。母が日本人で父がアメリカ人のハーフですが、日本語はこの通りバッチリなので、みなさん気さくに接してくださいね!」
「うおーー!!かわいいー!!」
まじうるせぇー。このクラスに甲高い声と猛々しい野郎の声が響き渡っている。
(あ…)
…桐崎の容姿は完璧に外人だな。なんか、頭に赤いリボンをうさぎの耳のように結んでいる。…もしかして、ちょっと痛い子?そんな疑問が浮かんできた。美人の部類には入るだろ
「あーーーーーー!!!」
いつの間にか、楽と桐崎が指を指し合って、叫んでいる。いつの間に、楽にハーフとの友好関係があったのだろう。…あいつ、友達少ないのに…
「この猿女!!」
「誰が猿女よ!!!」
・・・はっ。楽の頬に見事なストレートが決まっていた。これは桐崎のKO勝ちだな。一撃で楽の体を宙に浮かせ、壁まで殴り跳ばすとわ。猿なんて筋力ではない。間違えたな、楽め。
「…あれが膝蹴りの主?あの話マジだったんだ~」
「それな。苦し紛れの言い訳かとばかり」
「でもオレ‼あんなかわいい子の膝蹴りなら、いつでも…」
「いや、あのパワーは死ぬぞ…」
意外と楽がタフだったことを発見した。今、桐崎と楽は廊下でなんか喧嘩してる。あ、キョーコちゃんが知り合いだと思って、あの2人の席を隣同士に。…桐崎に避けられてる。ドンマイ…
「あーーーー‼?無い!!オレのペンダントが無い!!」
あいつ今日はよく叫ぶなー。てか、あれそこそこの大きさあったろ。…気付けよ
桐崎と楽は同じ飼育委員になったらしい。ラッキー。俺余計に行かないで済む理由ができたじゃん。人員が増えたからって。
━ 転校2日目 ━
楽が桐崎におせっかい妬いて惨敗。
━ 転校3日目 ━
体育の授業で改めて桐崎の身体能力を見せられた。…ぱないの…
提出物忘れてた。集は先に帰ったから今日は一人かな~。こんな微妙な時間だし。ん。あれは
「桐崎…だったよね。こんな所で何してんの」
「えっ。え……とー」
「ああ。ごめん。クラスで自己紹介してないから知らないよね。俺は燐。同じクラスに同じ名字の奴がいるから下の名前で基本みんなに呼んでもらってる」
「そう。リン君ね。覚えたわ」
「そうだよ。よろしく。で、桐崎は何してんの?あ、桐崎さんの方がいい?」
「いや、そのままでいいわよ。えっと、今はモヤシのペンダントを探してんのよ」
「モヤシ?…ああ。楽のことね」
「何よ。モヤシの知り合い?」
「そりゃあ。同じクラスだからね」
どうやら、楽の呼び名はモヤシで決定らしい。哀れなり、楽。
「楽のペンダント探してんのか…俺も手伝うわ」
「えっ!ホント…いや、悪いわよ」
「いや、訂正しなくてもいいし。それになんかクラスの奴が話掛けにくそうにしてるから、ちょっと話してみようかなって」
「っ!わ、私って話掛けづらいの?」
「ハーフってのと、楽と喧嘩してるからかなぁ。ちょっとね」
「あのモヤシ!!」
なんか楽の方に怒りがいってしまった。南無三…
「だから一緒していい?」
「いいわよ…」
「へぇ~。桐崎、クラシック好きなんだ」
「パパの影響で小さい頃から聞いてたから。自然と好きになったの」
「クラシックは聞いたこと無いからわからないわ。桐崎は何か好きな事ある?」
「ん~そうね。映画とか、あと食べるのも好きよ」
「そうなんだ。俺も食べるの好きだけど、料理よりスイーツの方が好きなんだよね。特に洋菓子が」
「スイーツって女子みたいね」
「いやいや、甘いのが好きな男子だってたくさんいると思うよ」
「それは、そうだけどね」
「そういえばさ、桐崎お昼一人だよね。俺の仲いい女子に頼んで一緒に食べる?始めは必要なら俺と友達とセットで」
「うるさいわね。一人とか言わないでよ。悲しくなるじゃない。…でも、頼んじゃっていいの?」
「うん」
「本当にいいのよね…なら、頼んでもいい?やっぱり、友達は欲しいし…」
「うん。いつがいい?」
「今週がいいわ。なるべく早い方がいいし」
「OK。あ、弁当にして貰ってね、お昼。そっちの方が話の種がある」
「わかったわ」
「、俺そろそろ時間だから帰るわ。最後に連絡先交換しない?ラインでいいから」
「いいわよ。けど、ラインはやってないから、メールアドレスね」
俺と桐崎は、俺が桐崎に携帯を渡して打ってもらう。スマホは赤外線ないからな。
「この国に来て、いやアメリカから合わせても初めて連絡先を交換したわ」
「マジか。じゃあ、俺がお友達1号ね」
「いやっ!あたしにだって友達くらい、いるんだから!あ、あと今日はありがとう。学校で同年代とこんなに話したのは初めてかもしれないわ。楽しかったわよ…」
「そ。よかったね。じゃあ、お昼の件。前日に連絡するから~。じゃね」
「またね」
~千棘side~
リンね。やっぱり良い奴もいるものね。最初に知り合ったのがモヤシでなければ!私の高校生活は鮮やかに!とりあえずは、リン君が用意してくれるお昼をものにするのよ!…帰って料理の練習しようかしら。手作りの方が話が盛り上がるわよね!きっと。そうと決まればモヤシに一言言って、帰らなくちゃ!!
~side out~
あんまし暴力的な面がなかったな。楽だけか、やはり。お昼の事、誰に頼もうかな。ここはやっぱり、るりちゃん一択だな。
To るりちゃん
桐崎さんとさ、放課後に会って少し話したんだけど、流れで女子の誰かとお昼一緒に食べる約束したからさ、協力してくんない?小野寺と2人で
そこに楽も付けて、小野寺との会話させようとしてみるから。
こんなもんかな。送信。
ピロン。早いわ…るりちゃん
From るりちゃん
いいわ。それ協力してあげる。日は明日でいいかしら?
ちゃんと連れて来なさいよ