鋼殻のレギオスに魔王降臨   作:ガジャピン

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第60話 勝者魔王

 黒霧と黒い雲のようなものがグレンダンに覆い被さっていく。エアフィルターは抜けられないらしく、エアフィルターにへばりつくような感じになっていた。

 ツェルニの方に、この怪物は来ていない。故に、ツェルニにいる者には怪物の外観を見上げる形で把握できた。

 蛇のような頭を乗せた首が次々に黒雲から生える。蛇よりも雄々しく禍禍しい頭が天に伸びていく。雲のように見えるこれは、怪物の体表であった。

 つまり、この怪物はグレンダンを丸呑みしたのだ。

 ルシフは原作知識から、この怪物の名を知っている。ドゥリンダナという名前である。

 原作では統率機関の位置を念威で正確に特定し、アルシェイラが統率機関を破壊して倒した。

 ルシフは怪物の首がどんどん増えていっているのを見ていたが、すぐ近くに圧倒的な威圧感と存在感を感じた。視線をそちらにやる。蒼銀色の毛並を持つ犬に似た獣がいた。廃貴族のグレンダンである。

 

「世界を滅ぶ瀬戸際に立たせたな、ルシフ・ディ・アシェナ。いや、根本的な原因はお前ではない」

 

 グレンダンの威圧感が更に増した。目が怒りで燃え上がっているように見える。

 

「メルニスク。この絶対絶命の危機はお前が招いた」

 

 正しくグレンダンの言う通りである。もしメルニスクがルシフに力を貸さなければ、アルシェイラを真っ向から叩き潰すなんてことはできなかった。以前のようにルシフは敗者となっていた筈だった。そういう展開だったならば、グレンダンの戦力を全く低下させずにこの怪物に立ち向かえた。

 グレンダンの陥落はすなわち、世界の終焉を意味する。世界は崩壊し、イグナシスの思惑通りになる。

 

「グレンダンがどれだけ重要かお前は知っている。知らないわけがない。にも関わらず、結果的にお前はイグナシスの味方をした」

 

 ルシフから黄金の粒子が溢れ、牡山羊の形になる。

 グレンダンの正面にメルニスクが現れた。

 

「イグナシスの味方などしておらん」

 

「ならば何故この男に力を貸した!? グレンダンを狙うこの男に! イグナシスへの憎悪を、怒りを忘れたか!?」

 

「一瞬たりとも、忘れたことはない」

 

「ならば、何故この男に力を貸した!?」

 

 メルニスクは首をめぐらせて、ルシフの方を見た。

 ルシフはいつも通りの勝ち気な表情をしていた。

 メルニスクは正面に頭を戻す。

 

「我は力として、復讐の刃として、憎悪の炎として生きてきた。だが、ルシフのおかげで、大切なものを取り戻した」

 

「……何を言っている? イグナシスを滅ぼす以外に大切なものなど何もないだろう」

 

「だから、お前は都市を汚染獣の群れに突っ込ませ続けることができる」

 

「強き者は戦いの中にしか生まれん。イグナシスを滅ぼす素質を持つ者が生まれたら、我らの勝利なのだ。勝利とはすなわちこの世界を守ることに繋がる。都市民が何人死のうと、それは必要な犠牲なのだ。弱者が死ぬは当然の定めであろう」

 

 メルニスクはグレンダンに嫌悪感のようなものを感じた。

 ルシフに出会う前だったなら、その考えに賛同していた。イグナシスを滅ぼせる強い意志を持つ存在を得るために、グレンダン同様都市を暴走させたりして都市民を追い詰めようとしただろう。

 

「グレンダン。そこで我らがヤツを滅ぼすところを見ておれ」

 

 メルニスクはグレンダンからルシフの方に身体の向きを変えた。ルシフの方に頭が向き、グレンダンの方に尻が向いている。

 メルニスクの身体が黄金の光を放ち始めた。

 メルニスクはルシフを見ている。

 

『お前の力が必要だ、廃貴族』『この先を生きる者たちのために、その力を振るえ』『お前だけは、俺の隣を歩くことを許そう』『メルニスク。ずっと同じことを繰り返す、停滞しきった世界の時を、共に動かそう』『誰もが一人で死ぬ中、俺はお前に見守られて死ぬか。それも悪くない』『お前がいてくれて、本当に良かった』『メルニスク。お前がいれば、俺はどんな相手にも負けん自信がある』

 

 それは声という名の焔だ。メルニスクの中でメラメラと燃え上がり、メルニスクの凍てついたところを溶かす焔だ。

 電子精霊として都市を守護していた時、確かに持っていた己の心。都市を滅ぼされ廃貴族となった時、消えて無くなったと思っていた己が己であるためのもの。

 

 ──ルシフ。汝は我の心を掬い上げ、我に電子精霊としての誇りを思い出させてくれた。

 

 故に、我は汝に応えよう。主従関係からではなく、心を取り戻してくれた汝への感謝の印として。

 

「ルシフよ受け取れ! 我が魂の刃を!」

 

 メルニスクの身体が更に輝きを増し、ツェルニの外縁部に黄金の光が満ち溢れる。メルニスクから光の玉が弾き出され、ルシフの眼前で形を変化させていく。

 ルシフは光に左手を伸ばし、掴んだ。光が長い棒状の形になり、光が消えていく。光が消えた後、黒色の柄をした槍のような武器が残った。

 ルシフは驚きの表情で左手に掴んでいる武器を見た。この武器を、ルシフはよく知っている。槍の穂先の根元に三日月状の刃が片方だけ付いているこの武器は、間違いなく方天画戟。三国志演義において、最強の武将呂布が使っている武器。

 ルシフは方天画戟を地面と垂直に立てた。衝撃で都市が震える。槍の長さはルシフの身長を超え、二メートルを少し超えるくらいあった。

 

 ──メルニスク。お前はなんてヤツだ。

 

 歓喜に身体が打ち震える思いで、ルシフは方天画戟の穂先をまじまじと見る。三日月状の刃が付いている穂先の部分の柄だけ、鮮やかな赤で彩られていた。赤は自身の髪や瞳にもある、自分を象徴する色だとルシフは思っている。その赤が柄に含まれている事実は、ルシフに確かなメッセージを浮かび上がらせる。

 そのメッセージとは、『この武器はお前専用の武器だ』というメッセージ。すなわち、魂を預けるのはお前だけだという、メルニスクの信頼の形として、その赤はあるのではないか。

 

 ──素晴らしく、そして美しい武器だ。

 

 ルシフは今までメルニスクに対し力としてではなく、人となんら変わらない存在として接してきた。

 友と呼んだのは、自分が行く道にメルニスクの存在は不可欠だったからであり、同時に背中を預けるような存在を無下に扱いたくなかったというルシフの心の表れである。

 

「俺にとって最高の武器だ」

 

 ルシフが呟いた。

 メルニスクがいれば、どこまででも俺は行ける。この見事な武器を持っていると、その気持ちがどんどん強くなった。

 ルシフが惚れ惚れと方天画戟を眺めていると、グレンダンの声が響いた。

 

「メルニスク、正気か。お前はこんな男のために自らの魂を削ったというのか」

 

「削ったのではない、託したのだ。我が魂とともに我が心も」

 

「物質化したエネルギーは、もう二度とお前に還元できぬのだぞ」

 

「悔いはない」

 

「腑抜けたな、メルニスク。牙を抜かれたお前はもはや廃貴族ではない」

 

「我は廃貴族ではない。メルニスクだ。至極当然なことすら忘れたか」

 

「いや、お前はメルニスクですらない。我らを裏切った電子精霊の恥だ」

 

「お前ごときがメルニスクを侮辱するのは許さん」

 

 グレンダンがルシフの方に顔を向けた。

 ルシフの周囲で剄が荒れ狂っている。

 ルシフは本気で頭にきていた。グレンダンを方天画戟で八つ裂きにしたくなるほどだった。

 

「来い、メルニスク。アレを黙らせてやろう」

 

「おう」

 

 メルニスクの身体が黄金の粒子となって、ルシフの身体に溶けていく。ルシフの剄が爆発的に増加した。

 柄を握りしめ、グレンダンに覆い被さる怪物を見据える。

 ルシフがエアフィルターすれすれまで跳躍した。

 方天画戟に剄を流し込む。通常の錬金鋼なら耐えきれず自壊する剄量を込めても、方天画戟は壊れる兆しすらみせない。いや、これは武器の形をしたメルニスクの魂なのだ。どれだけ剄を込めても、たとえメルニスクと合わせた全ての剄量を注ぎ込んだとしても、方天画戟が壊れる筈はない。メルニスクの魂の欠片が砕ける筈がない。

 ルシフはメルニスクの力も合わせて、全ての剄を方天画戟に叩き込んだ。方天画戟が剄を纏って輝く。壊れる気配はなく、壊れる気もしない。

 ルシフが勝ち気な表情を浮かべる。

 

 ──ここまでされて応えなければ、男じゃないな!

 

 全剄量を方天画戟に収束させ、横に薙ぎ払う。方天画戟から衝剄が放たれた。しかし、地上でルシフの衝剄を見ていた者は、それを衝剄と断じることはできなかった。衝剄というには、あまりにスケールが違いすぎる。

 赤みがかっていた空が、眩い光で埋め尽くされた。閃光が怪物を呑み込んでいく。衝剄の余波でツェルニはビリビリと震えていた。エアフィルターすれすれから横に放った衝剄の余波が、地上まで届いている。信じがたい事実だった。

 太く強烈な光が怪物の大部分を消滅させた。その破壊エネルギーの余波で、エアフィルターに一番近い場所にあったグレンダン王宮は無惨にも崩壊した。王宮だけでなく、中央部の建物も余波に耐えられず亀裂が生まれ、崩壊していく。

 救いだったのは、一般人が全員避難していたことと、建物しか壊れなかったところだろう。

 グレンダン王宮の地下室にいたデルボネは周囲をシェルター同様の厚い壁に守られ、瓦礫の下敷きになるようなことはなかった。

 グレンダンの武芸者にしても、瓦礫が頭上から降り注いできたが剄を使用して吹き飛ばし、死人は一人も出なかった。

 この一撃で怪物の統率機関を破壊したらしく、怪物の崩壊が始まった。まるで霧が晴れるように、怪物は赤い空に消えていった。グレンダンの頭上にあった大穴も空に溶けていく。

 ルシフは空を仰ぎ見る。巨大な白い月が浮かんでいた。

 

《おお! デュリンダナをこうも容易く打ち滅ぼすか!》

 

 ルシフの内から、メルニスクの声が響いた。歓喜の色が含まれている。

 

「俺とお前が揃えば、勝てるヤツなどどこにもおらん」

 

 ルシフの身体が落下していく。

 

「メルニスク。お前が俺に魂を預けると言うなら、俺もお前に魂を預ける。俺が間違っていると思ったら、いつでも俺を殺してくれていいぞ。お前に殺されるなら気分良く死ねそうだ」

 

《それも、汝の頼みか》

 

「頼みじゃない。俺なりの、お前の信頼に対する覚悟の形だ」

 

 いつも本気で生きているルシフらしい言葉だと、メルニスクは思った。

 要するに、メルニスクとルシフは対等の立場であり、メルニスクがルシフの下というわけではない。メルニスクの自由意志を認め、いついかなる時も受け入れると言っているのだ。裏を返せば、常にメルニスクの期待に応え続けるというルシフの意思表示でもある。

 

「なんにせよ……これからもよろしくな、相棒」

 

《相棒?》

 

「気にするな。俺がそう呼びたいだけだ」

 

 自由落下に身を任せて、ルシフは地上を見た。グレンダンの武芸者の剄が、都市上に煌々と輝いている。

 

「下を見ろよ、相棒。ここから見ると、武芸者の剄も都市に光の花が咲き誇っているようだ」

 

 ルシフの内で、メルニスクは声を殺して笑った。

 剄を光の花と例える人間など、ルシフくらいだろう。

 これだから、この男は面白い。どんな道を進むのか、興味がつきない。力を貸してほしいと願うなら、貸してやりたくなる。

 ルシフはツェルニの外縁部に着地した。方天画戟を左手で横向きに持ち、グレンダンを見据えている。

 ルシフは右手を腰に当てた。撮影終了の合図である。

 グレンダンは言葉なく、ただルシフの方に顔を向けていた。

 突如として巨大な剄の波動を感じ、ルシフがそっちの方を見る。

 アルシェイラが倒れたまま、拳を振るうように右腕を動かした。右手に凝縮された剄が青白い光線となってルシフに迫る。光線が通った後の地面は巨大な蛇が這ったような跡ができた。

 アルシェイラとて、倒れている間何もしていなかったわけではない。止血のための剄を最低限残し、残る剄は全て右手に集中させていた。ルシフと違って瞬時に集中できないため、今のタイミングになった。

 ルシフは方天画戟を一度回し、縦に切り上げる。光線は星を散らしたように霧散した。方天画戟が光線の威力に震えた。

 ルシフは痺れている左手から右手に方天画戟を持ち替え、アルシェイラのところに疾走。走る勢いのまま方天画戟を振り下ろし、アルシェイラの右腕を切り落とした。アルシェイラの右肩の付け根辺りに、方天画戟が突き刺さっている。血が噴き出し、ルシフの右頬に血が付いた。

 

「……!」

 

 アルシェイラが苦悶の表情になる。口はぐっと閉じられていた。強い意思を持って、必死に力を入れて口を閉じているのは傍から見ても明らかだった。

 方天画戟を地面から抜くと、穂先が血で染まっていた。アルシェイラの首を左手で掴み、頭より高く持ち上げる。少しだけ開いた蛇口のように、切り落とされた部分からポタポタと血が落ちて地面に吸い込まれた。

 切り落とした直後でほとんど止血が完了している。それだけの剄量と技量があると確信しているからこそ、躊躇なく四肢を切り落とせる。

 

「一つ訊くぞ。貴様を今ここで殺すべきだと思うか?」

 

 アルシェイラの目が大きく見開かれた。

 

『一つ聞いていい? あんたを今ここで殺すべきだと思う?』

 

 数ヶ月前、ルシフをボコボコにした時に言った言葉が、脳内に響く。

 アルシェイラは激痛と屈辱に顔を歪め、ルシフを睨んだ。しかし、言葉は何も出てこなかった。

 命乞いはしたくない。だが、強がって殺せと口にすれば、ルシフなら本当に殺しそうな雰囲気がある。まだ何も成し遂げていない。今ここで死ぬわけにはいかない。だからこその沈黙。

 ルシフはそんなアルシェイラの心情を正確に理解していた。

 

「どうした? 殺せと言ったら殺されそうで、何も言えないか?」

 

「……ッ!」

 

「図星か。つまらんヤツ」

 

「あの時……殺しておけばよかった」

 

 アルシェイラが悔しそうに口を開いた。

 その言葉が電流のようにルシフの全身を駆け抜け、快感に似た感情が溢れ出す。

 

「アハハハハハハ! あの日からずっとその言葉が聞きたかった!」

 

 ツェルニに来てすぐ、アルシェイラに徹底的に痛めつけられ、さらにはお情けで生かされた屈辱。生かしたことを後悔させてやると胸に強く刻み、今日まで生きてきた。

 アルシェイラの言葉を聞き、ルシフは己自身を完全に取り戻した気がした。

 

「なあ、アルモニス。お前にはこれのためなら死んでもいいと言えるものがあるか?」

 

「……?」

 

 アルシェイラはルシフの瞳を見返した。

 アルシェイラにそんなものはない。何故なら、アルシェイラは生まれた瞬間からこの世界における役目を与えられ、そのためだけに今まで生きてきたからだ。決められたレールをただ歩かされたアルシェイラに、情熱なんてものは一切ない。それが大事だと思ったこともない。

 

「俺にはある。それが俺とお前の決定的な差であり、お前より強くなれた理由だ。今のお前は俺の敵ですらない」

 

 ──コイツは本当に何を言ってるのよ?

 

 アルシェイラはルシフの言葉に困惑するばかりである。強い者は強い。弱い者は何をやっても弱い。例えば犬が強い意志と情熱を持って日々生きたとして、虎に勝てるのか。強さは運命によって決められているのだ。そこに情熱なんてものが加わったところで、微々たるものでしかない。

 それに今回ルシフが勝てたのは、自分より強くなったからではなく、リーリンを利用する卑怯な手を使ったからだ。強さでいえば、自分の方がルシフより強い。正々堂々一対一で闘っていたら自分が勝つ自信がある。

 そういうアルシェイラの思考も、ルシフはなんとなく読めた。

 

 ──救いようがないな。

 

 ルシフはため息をつき、左手に持つアルシェイラを地面に放り投げた。

 

「ぐっ……!」

 

 アルシェイラはうつ伏せで倒れ、苦悶の声が漏れた。

 アルシェイラへの興味を失ったルシフは周囲を見渡し、リーリンを探す。見つけた。レイフォンやニーナたちと一緒にいる。

 ルシフは方天画戟を右手に持ちながら、レイフォンたちの方に悠然と歩く。レイフォンたちから見たら、恐怖でしかない。無手でも圧倒的な実力を誇るルシフが、見たこともない凶悪な武器を手に近付いてくるのだ。レイフォンたちはその場から逃げるという選択肢も思い浮かばず、金縛りにあったように硬直した。

 

「リーリン・マーフェス。俺と共に来てもらおうか」

 

 その場にいる全員が驚き絶句した。

 

「なんであなたと一緒に行かないといけないのよ!?」

 

 リーリンが怒りをあらわにして言った。

 ルシフは鼻で笑う。

 

「お前の意思は関係ない。お前の存在そのものが重要なのだ」

 

 ルシフが自分の右目のまぶたを左手の人差し指でトントンと軽く叩いた。

 レイフォンたちにはその行動の意味が分からないだろう。しかし、リーリンは違った。

 

 ──もしかしてルシフは、わたしが右目を閉じているのが分かるの?

 

 リーリンはずっと右目を閉じたままだった。しかし、レイフォンたちには右目が開いて見えているようだった。ルシフがリーリンを見たら右目が閉じているのが分かるということは、ルシフはリーリンと同じ境界に立っていることになる。

 

「なんでそうなるんだ!?」

 

 衝撃から立ち直ったレイフォンが怒鳴った。

 

「グレンダンの女王が命がけで守ろうとしたからな。リーリン・マーフェスには何か秘密があると考えるのが普通だろう。もし何もなかったとしても、アルモニスに対して有効なカードになるのは間違いない。だから、連れていく」

 

「ふざけるな! 絶対にそんなことさせない!」

 

 レイフォンが簡易型複合錬金鋼(シム・アダマンダイト)を振り下ろした。ルシフが方天画戟を振り上げる。金属音とともに簡易型複合錬金鋼が弾かれた。レイフォンの両腕が頭上に跳ね上がる。

 

「レイフォンを傷付けないで!」

 

 返す刀で方天画戟を振り下ろそうとしていたルシフは、リーリンの言葉で蹴りに攻撃を切り替えた。レイフォンはがら空きの腹部を蹴られ、後ろに転がった。

 ルシフはリーリンに視線を移す。

 

「わたしが生きてないと都合が悪いんでしょ? レイフォンを傷付けたら、舌を噛み切って死ぬわ」

 

 嘘じゃないと証明するように、リーリンの唇の端から血が垂れてきた。舌を血が出るくらい強く噛んだのだろう。リーリンは痛みで涙を左目に浮かべていた。

 この行動はルシフにとって予想外だった。ここでリーリンに死なれるのは困るし、犠牲は無しでこの戦闘に勝つと決めていたから目標も達成できなくなる。

 

「聞いたか、アルセイフ。舌を噛み切って死ぬとよ。健気な女よのぉ」

 

 方天画戟をレイフォンに向けて構える。

 

「リーリン! そんなことしちゃダメだ!」

 

 簡易型複合錬金鋼をルシフに向けて構え、レイフォンはリーリンを見た。

 リーリンはレイフォンに向けてぎこちなく笑みを浮かべた。

 

「わたしの決意は変わらない。レイフォンにはあんな目にあってほしくない」

 

「アルセイフ、どうする? リーリン・マーフェスの生死を決めるのはお前自身だ」

 

「何!?」

 

 レイフォンとリーリンは驚きの表情でルシフを見た。

 

「俺の性格を知っているだろう。歯向かってくるヤツは、完膚なきまでに叩き潰さないと気が済まないんだ。お前が攻撃してくるなら、それ相応のペナルティを与えないとな」

 

「その時は本気で死ぬわよ?」

 

「できれば生かして連れていきたかったが、その場合は仕方ない。死にたかったら死ね。止めはせんよ、お前の人生の選択だ」

 

 リーリンは当てが外れて、内心これからどうしようと考えた。ルシフの力ならばリーリンを軽く殺せるのに、殺さなかった。だから自分が生きてなければルシフは都合が悪いと考え、賭けに出た。しかし、ルシフは自分の死をなんとも思わないようだ。

 なら、この状況を打破するためにはどうする? ……右目を使うか?

 見たものを眼球に変える力。ルシフといえど、眼球に変えてしまえば何もできない筈だ。しかし、眼球から元に戻すやり方が分からない以上、それは殺人と変わらない。

 リーリンの脳裏に、マイや教員五人の顔が浮かぶ。ルシフを殺せば、彼らに深い哀しみを与えることになる。その業を、自分は背負いきれるのか。

 レイフォンも自分も助かり、ルシフを殺さなくていい道。一本だけなら、ある。最初から自分の前にその道はある。

 

「……分かったわ。ルシフ……あなたについていく」

 

「リーリン!?」

 

「ごめんレイフォン。でも、多分これが一番正しい選択なのよ」

 

 リーリンがルシフに従わなくても、おそらくルシフは気を失わせて無理やり連れていくだろう。

 リーリンが連れていかれないためにはルシフを倒さなければならず、今それができる可能性があるのはリーリンの右目の力だが、リーリンはその力を人に向けて使う覚悟を決められない。となれば、被害を最小限に抑える選択が最善。その選択こそが、ルシフに従うことなのだ。ルシフに上手く誘導されて選ばされた感はあるが、これでレイフォンがルシフと闘う理由は消える。

 少なくともリーリンはそう思っている。

 だが、実際のレイフォンの思考は違う。レイフォンはリーリンの言葉を聞いても闘わないという考えは思い浮かばなかった。

 レイフォンの懸念は、ルシフを倒せるかどうかの一点だけである。ルシフを倒すためにはどうすればいいか、今必死に考えを巡らせている。そして出た結論は、今の条件ではどう足掻いても勝てないという無慈悲なものだった。

 立ち向かい負ければ、ルシフに痛めつけられる。それは恐れていない。恐れているのは、その時にリーリンが自殺する可能性だった。リーリンなら本気でやりかねない。そうすれば、レイフォンがルシフに立ち向かう理由を根本的に無くせるからだ。自分を犠牲にレイフォンを救う。リーリンなら有り得そうなことである。

 だからこそ、レイフォンはルシフに斬りかかれない。ルシフの言う通り、リーリンの命はレイフォンの手の中にあった。

 

「リーリン、ごめん」

 

 レイフォンは両手に持つ簡易型複合錬金鋼を地面に捨てた。こんなもの、ルシフの前ではなんの役にも立たない。

 ルシフは放浪バスがある方向に歩き始めた。リーリンは何度も振り返りながら、ルシフの後ろをついていく。レイフォンは両拳を握りしめた。

 何かないのか。ルシフを倒せる方法。ルシフに立ち向かえる武器は。なんでもいい。このまま何もできずに終わるのは嫌だ!

 

 

 

 教員五人がツェルニの外部ゲートから出て、ルシフのところに向かって走っている最中、アストリットの剣帯に吊るされている天剣ヴォルフシュテインに異変が起こった。

 

「なに? 天剣が光って──ッ!」

 

 アストリットの剣帯のヴォルフシュテインが光に包まれ、光球となってどこかに飛んでいった。

 教員五人は呆然とその光景を見ていた。

 

「ああーッ! ルシフさまに怒られてしまいますわ! 皆さん、早く取り戻しましょう!」

 

 アストリットが痛む身体を気合いで抑えこんで、本気で光球を追いかけた。その影響で止血していた剄の制御が甘くなり、血が戦闘衣に滲む。

 出遅れた教員四人も、アストリットの後ろについて疾走した。

 

 

 

 夢かと思った。

 光球がルシフの向かっている方向から飛んでくる。ルシフの頭上を通りすぎ、まっすぐ自分の方に迫ってくる。

 ルシフが光球を目で追い、レイフォンの方に顔を向けた。リーリンも同様だ。レイフォンは光球に手を伸ばした。不思議と自分を害するものと感じなかった。光球を掴む。手の中に、以前見慣れていたものが収まっていた。天剣ヴォルフシュテイン。お前か。捨てたお前が僕の力になるというのか。

 

「レストレーション」

 

「レイフォン、やめてぇ!」

 

 天剣を授けられた時に設定した武器と全く同じ武器がレイフォンの手に握られる。すなわち剣。構わない。天剣なら、ルシフも壊せない。天剣を奪うのが目的なのに、壊すわけがない。

 疾走する。リーリンを瞬きの間に抜き去り、ルシフに肉薄。

 

「おおおおおおおおおッ!!」

 

 斬線は正確にルシフの首すじを捉えていた。数瞬後、ルシフの首から血が噴き出す。その光景がレイフォンの脳内で描かれていた。それでも躊躇いはなく、迷いもない。

 ルシフは方天画戟を両手で掴み、ぶん回す。レイフォンの剣を上に弾き飛ばした。レイフォンの体勢が崩れる。

 

 ──やっぱり僕だけじゃ君には届かないのか。

 

 ルシフが方天画戟の三日月状の刃をレイフォンに向け、振るう。

 

 ──アルセイフ。そういえばお前には借りがあったな。

 

 マイが首を切り、マイの首を焼いて止血した際、お前はマイのために水を持ってきてくれた。なら、今その借りを返す。

 ルシフは途中で柄を半回転させ、三日月状の刃をレイフォンとは反対側にもっていった。赤い部分の柄がレイフォンの横腹にめり込み、レイフォンは横に吹き飛んだ。

 ルシフのすぐ傍の地面に剣が突き刺さる。天剣ヴォルフシュテイン。

 レイフォンはうずくまり、起き上がれないようだ。怒りの表情で睨んでいる。

 

「レイフォン!」

 

「マーフェス。お前の覚悟に免じて、少しだけ情けをかけてやった。次攻撃してきたら、アルセイフの両腕をもらう」

 

 リーリンが涙を左目に溜めて、ルシフを睨んだ。

 ルシフは意に介さず、突き刺さっている剣の柄を握って抜いた。手の中で錬金鋼に変化。天剣ヴォルフシュテインを剣帯に吊るす。

 ルシフは再び放浪バスの方に身体を向け、歩みを再開した。正面から、教員五人が走ってくる。ルシフの持つ方天画戟に驚いていたが、聞いてくるようなことはしなかった。

 アストリットが片膝をつき、天剣をルシフに差し出した。

 ルシフはそれに目もくれず、アストリットの差し出した手を掴んで立たせた。

 

「……ルシフさま?」

 

「アストリット。傷は大丈夫か?」

 

「ええ……ええ! 大丈夫です! ご心配には及びません!」

 

「そうか。これからもお前には力になってもらうからな、簡単に死ぬなよ。それから、よくやってくれた」

 

 ルシフはアストリットの手から天剣を取り、剣帯に吊るした。アストリットは幸せそうな表情でルシフを見つめている。

 その一部始終を見ていたバーティンはエリゴの陰に隠れて錬金鋼を剣帯から一つ取り復元。剣で右腕を切った。バーティンの右腕から血が(したた)り落ちる。

 

「ルシフちゃん! 私も天剣取ってきたよ! あーいたたたたた!」

 

 バーティンが右腕を押さえながら、天剣を右手に持って差し出した。

 ルシフは冷めた目でバーティンの方に視線を移す。

 

「ふむ、当然だな。お前にはおいしい役目を与えていたのだから」

 

 バーティンの右腕の傷には全く関心を示さず、ルシフはバーティンの天剣を取って剣帯に吊るした。

 

「その反応はあ゙ん゙ま゙り゙だよ゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙!!」

 

 バーティンが涙目で叫び、アストリットは勝ち誇った笑みをバーティンに向けた。

 ルシフは舌打ちし、袖を少し千切ってバーティンの右腕の傷口に巻いた。

 

「ルシフちゃん……?」

 

「うるさい。これで黙れ」

 

「うん! 黙る!」

 

 バーティンが右腕に巻かれた袖だったものを緩みきった表情で見ている。

 アストリットは舌打ちし、ルシフと教員の男三人はため息をついた。

 

「バーティン。リーリン・マーフェスの気を失わせて担げ」

 

「え!?」

 

 リーリンがルシフの言葉に驚愕した。

 バーティンは無言で頷き、一瞬でリーリンに接近。リーリンの顎をかすめるように左拳を振るって脳を揺らした。リーリンはその場に倒れそうになるが、バーティンが支えた。そのままおんぶする。

 こうすれば途中で気が変わって逃げ出すこともできない。

 これで後は放浪バスに乗り、ツェルニを去るだけである。

 ルシフの全身から黄金の粒子が溢れ、牡山羊の姿になる。

 ルシフは気にせず前に進む。ルシフの後ろでメルニスクはグレンダンを見つめていた。グレンダンもメルニスクを見つめている。言葉はない。これは決別なのだ。電子精霊たちとの。

 やがてメルニスクは振り返り、ルシフを追いかけた。ルシフに追いついたら、隣を歩く。

 

「どうした?」

 

「我が同胞たちと決別してきた」

 

「お互い嫌われものだな」

 

「望むところ」

 

「ハハハ! それでこそ、俺の相棒に相応しいな!」

 

 ルシフとメルニスクのやり取りを、教員五人は羨望と嫉妬の眼差しで見ていた。

 ルシフがこんなにも生き生きとしているところは見たことがない。自分もルシフとこういうやり取りをしたいという願望を、教員の誰もが抱いた。

 ルシフの身体に黄金の粒子が溶けていく。

 

「ルシフ!」

 

 女の声。ルシフが振り返る。ニーナが離れたところで叫んでいた。いま意識を取り戻したようだ。叫んだ後足がふらつき、ニーナは前に倒れこんだ。

 

「なんでだ! なんでこんなことをする!? リーリンを返せ!」

 

 倒れながらも頭を上げて、ニーナが言葉を続ける。

 ルシフはニーナの言葉を無視し、剣帯を外してレオナルトに渡す。その後、着ているツェルニの制服を脱いだ。ルシフの上半身は白のTシャツ一枚になる。

 言葉で言ったところで、ニーナは納得しない。ならば、行動で示す。

 ルシフは剄を化練剄で変化させた火を使用して、制服に火をつけた。

 制服に火をつけた後は、空に向かって放り投げる。両袖の部分が翼のごとく広がり、まるで火の鳥が天に向かって飛翔したように見えた。

 もうツェルニに戻らないし、ツェルニの味方でもない。そう暗に伝えたのである。

 ルシフたちはそのまま砂塵の中に消えていった。

 

 

 

 ニーナは火の鳥が飛翔するさまを唖然と見ていた。一気に燃え上がり、灰となって消える。その光景が、まるでルシフの未来を表しているように見えたからだ。

 キン、という澄んだ金属音が聞こえた。ニーナの持つ鉄鞭に何かが当たった音だ。ニーナは鉄鞭を見る。鉄鞭の近くに、十七小隊に所属している証である小さなバッジが落ちていた。おそらく燃やした制服に付けられていたものだ。

 ニーナはバッジを拾い、握りしめた。

 ニーナは周囲を見渡す。レイフォン、シャーニッド、ナルキ。しばしの逡巡。

 

「シャーニッド、すまん。わたしはルシフと一緒に行く! わたしのいない間、十七小隊を頼む!」

 

「はぁ!? なんでそうなるんだよ!」

 

「ルシフが何をするつもりなのか、確かめたい」

 

 ここでルシフについていかなければダメだという感情だけが、ニーナの中にあった。ルシフは絶対にこれから世界を揺るがすようなことを始める。それがなんなのか、理解したい。

 それに、ルシフは勝つ段取りを整えてから、闘いを挑んでくる。だからこそ、勝つ段取りをしている最中にルシフに近付き、何をするつもりか見極めなければいけない。でなければ、またルシフに主導権を握られ、なす術なくやられる。

 とにかく、ここでルシフについていかなければ、何も分からず、何もできずに自分はルシフに屈する。それだけは嫌だった。

 それにもしルシフが間違ったことをしようとしているなら、自分が正さなくてはならない。ルシフは自分の隊員なのだ。たとえルシフがそう思っていなくとも。

 ニーナはルシフが消えていった方に走った。

 

 

 

    ◆     ◆     ◆    

 

 

 

 グレンダンの武芸者は外縁部に集まり、倒れている天剣授受者やアルシェイラを病院に運んだ。

 グレンダンの武芸者の一人がグレンダンの都市を振り返る。王宮や建物が無惨に壊れていた。

 

「……ひでぇ……あんまりだぁ……」

 

 なんでこんな目に遭わなければならない。陛下や天剣授受者は全員潰され、グレンダンの象徴ともいえる天剣を全て奪われた。建物と王宮も破壊された。

 

「これが……これが人間のやることかよおおおおおおおおおお!」

 

 グレンダンの武芸者の一人が叫んだ。

 グレンダンの武芸者たちは両手両膝を地面につき、声をあげて泣いていた。

 俺たちが何をした!? こんな仕打ちをなんでされないといけない!?

 グレンダンの武芸者たちが惨状に打ちひしがれていると、六角形の念威端子が近付いてきた。

 これが敵の念威端子だと理解している。咄嗟にグレンダンの武芸者たちは身構えた。

 

『グレンダンに言っておく。今日は宣戦布告だ。近々、俺が支配する都市をグレンダンにぶつける。電子精霊を狂わせてでも、必ず』

 

 グレンダンの武芸者のどよめきが外縁部を支配する。まだ奪い足りないか。 まだ破壊したいか。

 

『その日まで、せいぜい足掻いてみせろ。次はもっと歯応えのある闘いを期待する』

 

 その言葉を最後に、六角形の念威端子は離れていった。

 絶望がグレンダンの武芸者を塗り潰す。こんなヤツと、また闘わなくてはならないのか。

 その日、グレンダンは確かに思い出した。力により蹂躙される恐怖を。

 

 

 

 

 ルシフたちは放浪バスに乗った。ディンとダルシェナは最初から放浪バスに行っていたため、すでに放浪バスにいる。教員五人だけがルシフのところに向かっていたのだ。

 放浪バスに被せていた布はとられていて、いつでも出発できる。放浪バスを遠巻きにツェルニの武芸者たちが囲んでいた。

 

「ルシフー! 行くなー!」

「頼む! ツェルニに残ってくれ!」

「ルシフくん! お願い! 行かないで!」

 

 こういった声が止むことなく浴びせ続けられている。

 ルシフは反応せず、窓から夕焼けを眺めていた。ルシフの左手には方天画戟が握られている。

 

「旦那、何か言葉を返してやらないんですかい?」

 

「すぐ再会する。俺の敵としてな。言葉など不要だろう」

 

 ルシフは囲んでいるツェルニの武芸者たちに視線を移した。

 

「願わくば……正しい選択を選んでほしいものだ」

 

 殺気すら滲ませたルシフの言葉に、放浪バスにいる誰もが背筋を凍らせた。

 ルシフの視線が、こちらに向かってくるニーナの姿を捉える。ニーナは放浪バスの出入口前まで来ると足を止め、荒く息をつく。

 

「ルシフ! わたしも一緒に連れてってくれ!」

 

 ニーナが言った。

 ルシフに視線が集まる。

 ルシフは席から立ち、出入口を開けた。

 

「いいだろう。だが、覚悟しておけ。地獄を見る覚悟をな」

 

 ニーナはごくりと唾を飲み込んだ。そして、ゆっくりと頷く。

 

「分かった」

 

 ニーナが放浪バスに乗り込み、ルシフも席に座った。

 

「マイ、念威端子をグレンダンの武芸者が集まっているところに移動させてくれ。伝えたい言葉がある」

 

「はい」

 

 放浪バスの窓から念威端子が飛んでいった。

 

「移動完了しました。ルシフさま、どうぞ」

 

 ルシフは念威端子に都市をぶつけることを言った。

 言い終えると、念威端子をズボンのポケットにいれた。念威端子が外から戻ってくる。

 

「エリゴ、出せ」

 

「了解!」

 

 放浪バスが動き出した。囲んでいた武芸者の人だかりが割れる。そこに生まれた道を進み、外部ゲートを通って汚染された大地に飛び出した。

 ルシフはずっと窓の外を見ている。

 

 ──ありがとう原作知識。そして、さらば。これから先にそんなものは必要ない。この先の物語は俺自身の手で描く。

 

 物語は新たなステージに突入する。




今回はルシフさまとメルニスクがおイチャつきになられていただけの話だったような…………き、気のせいやんな!

それはともかくとしまして、今回で第二部『天剣強奪編』及びプロローグ終了となります。プロローグで約六十万文字とか、長すぎですね。

第二部終了につきまして、またまたちょっとした小ネタを。ルシフ、マイ、メルニスクのキャラクター設定の元ネタを書きたいと思います。

ルシフは今回でお分かりになられた読者さまも多数いらっしゃるでしょうが、『スリーキングダム』の呂布をベースに同じく『スリーキングダム』の曹操やら、『ゼオライマー』の木原マサキやら、『バキ』の範馬勇次郎やら、『コードギアス』のルルーシュやら、そういった傲慢キャラをパーツのようにくっつけました。それ故に能力がとんでもないことになったのですが、傲慢さも一緒にプラスされてしまったせいで傲慢さもとんでもないことになりました。
ルシフという名前もルシファーからとったというのもありますが、呂布と響きが似てるからというのが一番の決め手だったり。

マイは『スリーキングダム』の貂蝉をベースに人間らしい醜さと心の傷をプラス。貂蝉は舞が上手いっていうところからマイって名前にしました。

メルニスクは赤兎馬的立ち位置。やっぱり呂布をベースにしたキャラなら赤兎馬がいないとね。

次回からはようやく本編に入ります。

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