真剣で私に恋しなさい!SK-大切なものはココにある-   作:夏みかん

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それでは、引き続き、どうぞ


1章ー3話 「朝の挨拶」

「武士道プランの申し子たちは全部で4人。残り三人は関係者じゃ。

まずは3-S。葉桜清楚、前へ」

 

 

「だ、大丈夫かな…緊張する」

 

 

「大丈夫だって。行ってこい」

 

 

「う、うん。よし!」

 

 

遂にこの日がやってきたのか。ますます面倒くさくなりそう…

 

今日は正式に皆に自己紹介をする日だ。

武士道プランの発表によって注目を集めていたクローンの子たち、今俺の目の前にいる人たちだ。清楚と義経はそれで緊張して硬くなっているから俺が何とか緊張をほぐしてやってる。確かに緊張はしちゃうな。

 

それに比べて弁慶は落ち着いた表情をしていた。自分の手に持っている瓶を見ていたから川神水を飲みたがっているだけかもしれないが。

 

与一は一人隅の方で、黄昏ていた。こいつは来る途中に何度も何度も逃げ出そうとしていたので俺がその度に捕まえていた。相当嫌なんだろう。自己紹介ぐらい別にいいじゃねえかと思うけど。

恐らく、こいつは何も言わないだろう。こいつの紹介は俺からしておくか…面倒くせえな

 

 

「こんにちは、初めまして、葉桜清楚です。皆とお会いできる日を楽しみにしていました。

これから、よろしくお願いします」

 

 

清楚が壇上に上がって、ふわり、と挨拶をした。すると、校庭に並ぶ生徒から野太い歓声が湧き上がる。男子どもが清楚に色めき立っているのだ。

まあ、分からなくもないが、煩いなあ。

 

 

「学長、質問がありまーす!」

 

 

お? よくも全校の前で質問なんて出来るな。確かに葉桜清楚なんていう偉人はいないから気にするか。護衛を務めている俺や、英雄にも知らされていないし。

 

 

「全校の前で大胆な奴じゃのう、言うてみい」

 

 

「是非、3サイズと彼氏の有無を…!」

 

 

あー、なんだそっちか。

確かに清楚は美人だが、よくもそんな質問、全校の前でする気になったな?

質問してたやつはなんか鞭を持った先生にしごかれてるし。

 

 

「阿保かい! …まあ3サイズは気になるが」

 

 

おいおい、この学長さん、この年で何言ってるんだか。まあ、もちろん清楚は恥じらって答えなかった。誰でも普通は答えないよな。

 

そのあと、清楚は正体が自分でも聞かされていないこと、25歳になったら教えてもらえること、それまでは学問に打ち込めと言われていること、を説明した。自分では清少納言の辺りでは、と言っているが、違うような気がする。俺の勘だが、そんな大人しそうな偉人ではないと思う。

 

 

「次は2-Sに入る四人。まずは、源義経、武蔵坊弁慶、前へ」

 

 

学長の声に俺は義経たちを見る。義経のやつ、上手く出来るかな? アイツ真面目だけど、どこか抜けてるんだよな。二人が壇上に上がるのを俺は黙って後ろから見守っている。

 

 

「こんにちは。一応、弁慶だそうです。よろしく」

 

 

弁慶が超適当に自己紹介を終えると、またもや男子どもの野太い歓声が起きた。まあ、これだけの美人だし、仕方がないだろうが、いちいちうるさくねえか?

 

 

「ごほん、ごほん」

 

 

「義経ちゃん、落ち着いて」

 

 

「義経はやればできる」

 

 

「よし。源義経だ。性別は気にしないでくれ。武士道プランにかかわる人間として

恥じない振る舞いをしていこうと思う。よろしく頼む」

 

 

おお、義経よくやったな。普段は真面目ながらもどこかおっちょこちょいなところがあったのでヘマするかと思ったが、今回しっかりと言えていて、俺は感激した。今の俺の心情は親のそれと同じだ、親の元を飛び立つひな鳥を見ているようだ。

するとまた男性共のやかましい雄叫びが聞こえてきた。川神ってバカが多いのか? 何回騒げば気が済むんだ。そして、俺の感動を邪魔するんじゃねー!

 

 

 

「やったぞ弁慶、蓮。挨拶できたぞ!」

 

 

「義経、マイクはいってる」

 

 

ああ、こいつはやっぱ駄目だったか…まあ分かっていたからいいんだけどね…

とりあえず、俺のいまの感動を返してほしい。

 

 

「女子諸君、次は武士道プラン唯一の男子と、今まで紹介したクローンたちをを護衛する男子、

それぞれ一人ずつじゃぞ。2-S、那須与一、神崎蓮、出ませい!」

 

 

「お、俺たちか。与一行くぞ」

 

 

いよいよ出番なので、俺は隅っこにいる与一に呼びかけた。が、与一は俺の声に反応したかと思うと、すぐにまた変な方向をニヒルに眺めはじめた。来いやてめえ

 

 

「お前、いいから来い!」

 

 

「ふっ、わざわざ自己紹介する必要はねえ。俺を知って、不幸になったら困るからな」

 

 

「来いよ、このボケナスが!」

 

 

動こうとしない与一に対して俺は無理やり連れていくことに決めた。皆を待たせるわけにもいかないし。俺は与一の頭をがっしりと掴んだ。そのまま持ち上げて、与一の足が地面に着くか着かないぐらいまで上げる。大丈夫、砕けはしないさ。

 

与一は何か叫んでいるが俺は無視して、そのまま壇上にまで運ぶ。

 

 

「すまん、このバカが愚図ってたもんで」

 

 

俺は軽く手をあげてお詫びを示した。壇上にすでにいる義経と清楚は与一のいまの状況に茫然としていた。全校生徒もそうだ。早く、こいつの紹介を済ませないとな。してやる分、適当で良いよな?

 

 

「俺が今持っているのが那須与一だ、弓が得意」

 

 

俺はこれ以上ないほどに簡潔に与一の紹介を済ませて、手を放した。解放された与一はその場でうずくまって頭を抱え込んでいる。もう一度、大丈夫、頭は決して砕けていない。

 

 

「そして、俺はクローンというわけではないが、今回入ることになった、神崎蓮だ。

九鬼で働いている。仕事の内容は主にこいつらクローンの護衛だ。

こいつらがなるべく迷惑かけないよう、目を見張っておく。彼女募集中!」

 

 

俺はポッケに手を突っ込んだまま、全校生徒の前で自己紹介をした。すると、義経たちの時と同じように歓声が上がった。何故だ? 俺は不思議に思い、騒いでいる奴らの顔を観察してみた。

 

 

…なるほど、女子はキャー、と黄色い歓声を上げていて興奮しているようで、男子どもはこの野郎ー、と怒号をあげていた。そうか、そんなに女子から好印象を受ける俺が許せないか、哀れな男子どもよ?

 

俺は一人、優越感に浸っていた。

 

 

「れ、蓮! その紹介の仕方は無用に敵を作っているようで、義経はハラハラする」

 

 

「ホントのこと言っただけだぜ?」

 

 

「だからって…皆、この二人は別に悪意があるわけじゃないんだ、仲良くしてほしい」

 

 

「仲良くしろだぁ!? 俺は関わらねえぞ!」

 

 

うずくまっていた与一が復活して、義経に抗議をたてた。そこまで否定するか。

マイクは入っていないが、騒いでうるさい与一は弁慶に殴られていた。まあ、仕方ないよな。

 

それっきり、与一は黙った。弁慶は力をセーブしてあげていたのか、与一は壇上の上からは吹っ飛ばなかった。

 

っと、皆も落ち着いたところで、と思っていたら皆がまたざわざわと騒ぎ始めた。何かあったのかと俺は義経たちの顔を見た。っておい!

 

 

「弁慶! 我慢できなかったのか?」

 

 

「申し訳も。しかし、一度全校生徒の前でこの姿を見せておけば好きな時に飲めるわけで」

 

 

「こ、これは皆の知っている川神水であって酒ではない」

 

 

「すみません、私はとある病気でして、こうしてときどき飲まないと体が震えてしまうんです」

 

 

「弁慶、明日の分の川神水、没収な」

 

 

「え! それだけは勘弁」

 

 

「だったら、それ以上飲むのをやめんかい!」

 

 

弁慶を言い聞かせるにはこうして脅すのが一番手っ取り早い。ったく、このアル中が。弁慶は渋々川神水を飲むのをやめた。

言っていることは分かるが、俺らは恥ずかしいぞ…特に護衛と宣言してしまった俺が。

 

 

「ごほん、皆に不快感を与えてしまって済まない。だが、皆とは仲良くしていきたい。

よろしく頼む」

 

 

義経はそう言うと頭をさげ、清楚は丁寧にお辞儀をした。うーん、やっぱり義経しっかりしたなあ。さっきのは帳消しだな。最早、兄の感情になった俺は皆にお辞儀するのを忘れていた。弁慶ですら、手を少し上げて軽く会釈しているのに。与一は無反応。まあ、変なポーズをしていないだけありがたい。

 

 

「あとは武士道プランの関係者じゃ。二人とも1-Sじゃ。入ってくるがよい」

 

 

学長の言葉が終わると同時に行儀の良さそうな人たちがそぞろに出てきた。皆がその人たちの登場にざわざわし始めた。そして、その人たちはいきなり演奏を始めた。

相変わらず、派手好きな人だ、紋は。

 

 

しかし、もう一人って誰だ? 聞いてないが…俺が思索していると、校庭に次々に現れた人たちが向かい合って肩を組み始めた。それによって小さい人一人分の歩く道が出来上がった。

 

そして、その上を優雅に歩く派手な格好をした小さい人が一人。

 

 

「我、顕現である。我の名前は九鬼紋白。紋様と呼ぶがいい! 我は飛び級することになってな。

武士道プランの受け皿になっている、川神学園に進学先を決めたのだ。

そっちの方が護衛も分散せずに済む。我は退屈を良しとせぬ。

一度きりの人生、楽しくやろうではないか」

 

 

そして、九鬼家お決まりの笑いをした。九鬼家はこの笑い方がすきだなあ。

 

だが、俺の疑問は解決されない。やはり、あと一人はどこにもいない。壇上に上がったのは紋と、紋の横に何気なくいやがる爺。そういえば、ヒュームの仕事は紋の護衛だ。

 

 

まさかとは思うが、まさか…な? 嫌な予感がする。

 

 

「ヒューム、挨拶しておけ」

 

 

「新しく1-Sに入ることになりました。ヒューム・ヘルシングです。皆さん、よろしく」

 

 

「ヒュームは紋ちゃんの護衛で特別枠として入ることになったのじゃ」

 

 

やっぱりそういう事なのか! というか、他の学生と話題が合うわけねーだろ! これから1-Sは大変だろうな、いろいろと。

俺はとにかく突っ込みまくりたかったが、今ここでそんなことをしたら俺は全校の前でヒュームの手によりきっと醜態を晒すことになってしまうので、ぐっとこらえた。はあ、何故学校に来てもなお、ヒュームに監視されるのか、俺。学校ではなるべく大人しくしていよ。

 

 

「こう見えて、私はゲームなどは好きですよ。スプライト型の機体が私のロボです」

 

 

するとどこかからか、突っ込みが入る。当たり前だ。何年前のゲームだ。

 

皆がこの爺さんの編入の事実に驚く中、一人違う反応をするものがいた。ここからじゃあよく見えないが、おそらく噂に聞く戦闘狂の武神だろう。

 

すると、目の前にいたヒュームは消えた。と思ったら、戻ってきた。

 

クラウディオさんも壇上にいつの間にか壇上に上がっていて、自分たち護衛が度々顔を出すこと、など説明していた。

やはり、この方は礼儀正しいな。

 

 

そして、皆の興奮も冷め切れぬまま、朝の全校集会を終えた。これにて今日から、俺たちの川神での日々が始まった。

 

 

何事もなければいいが、そんなことはないんだろうな絶対に。

この川神学園からは厄介事の匂いがプンプンする。

 

 

俺は更に面倒くさくなる予感を抱えながら、義経たちと校内へと向かった。

 

はあ、面倒くせえ、こいつらのお守り…




字数はこれぐらいを目安に頑張ります


それでは、また
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