「……ってんだ」
「あぁん?」
「何だってんだ! テメーさっきからごちゃごちゃ語り散らかしてよう、全部テメーの身勝手な推理に過ぎねーじゃねーかッ!何でお前なんかが真相なんて知ってるんだ!おめぇは養殖場のッ、単なる種エルフにすぎねぇだろーがよぉ! ああオイ? お前にリリアの何が分かる! 根拠のねぇ憶測だけで俺のリリアを汚すんじゃねえ!」
俺の、最後の足掻きだった。自尊心を一かけらでも守りたいが為の最後の足掻き。だがそれも、アインに軽く一蹴される。
「はっははははぁ、お前、自分が何て言ったかもう一回復唱した方がいいぜぇ? だってよ、クク、可笑しいだろ、さっきまでは『リリアのせいで人生がっ!』とか言ってたクセによォ、今度は何だ? 『俺のリリアを汚すな』だァ? ころころ変わり過ぎだろォ、オイ、レイ君よォ?」
「う、それは……」
「まァいい。そんなに知りてぇなら教えてやるよ。なんで俺が真相を知っているのかをなぁ! いいか、まずよぉ、リリアは密猟監視官だったわけだよなぁ? じゃあよぉ、お前は疑問に思わねぇのか? もう一人はどこに行ったのかってことをよぉ」
あ、と声が漏れる。そうだ、何故俺は今まで気づかなかったのだ、密猟監視官は、2人一組で行動するはずだろうに。
「そうだよ、あの時、お前らの旅を逐一監視していたもう一人の監視官がいたんだよぉ! 誰か、分るかィ?ビックリするぜぇ?」
「誰だよ……、誰なんだよっ!!」
気付けば俺は、あんなに聞くのを拒絶しようとしたアインの話に聞き入ってしまっていた。我に返り、口元を手で押さえる。
「ジミーだよォ、屠殺人ジミー」
アインは満面の笑みで監視官の名前を発表する。
「う、嘘だッ !!ジミーがそんなことするはずない!俺の監視なんてするはずがないっ」
俺は、根拠もなくただひたすら否定をする。認めたくない。
次々に、自分の知っている人物が崩れてゆく。次々に、俺の知らない人物が現れてくる。俺はそれがただひたすら怖かった。だってそうだろ? リリアは無知なエルフの少女だ。ジミーは屠殺場のおっさんだ。父さんは村を見捨てて出て行った、ただの甲斐性なしだ。
……なんで、みんな違う人になるんだよぉ、戻ってよぉ。
「クク、ショックかぁ?ジミーはよぉ、昔、帝国の騎士だったって言ってたらしいがありゃあ嘘だ。実際は密猟監視官で、屠殺場に異動になったのはつい最近のことだ。だからこの真相は、全部お前らのことをずっと監視していたジミーから聞いたんだぜぇ」
アインはうつむく俺をツンツンと、指でつつく。俺には既に、それに反応する気力などなかった。