この素晴らしい世界に妖精が!   作:妖精さん

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15話 わたし、姫騎士になります

馬車の中で爆睡した私たちは目が覚めた時にはすでにアクセルの街に到着していた。

到着してからの数日、やることがいっぱいあって冒険者になるならないなど完全に頭からすっぽ抜けてった。

 

まず初日は仮住まいとなった町の大倉庫の掃除で丸一日。

2日目は多くの商店を回り廃城の備品を売って回った。

3日目は当面の食材及び衣服などの確保で街に買い出し、そのときようやく公衆浴場の存在をシャロン達が思いだし入浴した。

4日目はスターやシャロン達がアクセルの役場に妖精の村の復興支援のための嘆願状を領主に送る手続きをしに行く一方で、昨日買い忘れたものを買うなどして時間をつぶした。

5日目はみんな疲れていたのか午後まで寝ていたため。観光と入浴で終わった。

6日目はみんなそれぞれで職探し

 

私たちはリリー姉妹に誘われてサニーとルナと私の冒険者登録をしに来た。

スターは完全に事務方にまわり冒険者になるのは断られてしまった。少し残念だが仕方がないのだろう。

スターは村長代行として日々忙しいのだ。

 

 

私たちは冒険者ギルドの扉を開いた。

すると内側は大きな酒場になっているようだ。そして、一番奥の方にギルドの受付がある。

冒険者たちは私たちの姿を見ると

「ああ、あれが・・・」「村が壊滅したらしいぞ」などの

同情の声が聞こえた。私たちの村が野菜たちの暴走で壊滅したことはアクセルの街でも有名なようだ。

その次に多かったのは

「きゃーかわいい。」「妖精さんだ~」などと

私達に黄色い声を送る女性冒険者たちだ。たしかに私たち妖精はリリー姉妹を除けばほとんど村から出ないので珍しいと言えば珍しいのだろう。

これらの反応はギルドだけでなく街の住人からもあった。だからこそ、倉庫の賃料が安めに設定してもらえたり、お店の商品をおまけしてもらえたりしたわけだが・・・

 

ここにいいる人たちの密度的に町よりも多く見える。そのためか、恥ずかしいというか・・・なにかいたたまれない感じがした。

 

私が、周囲をきょろきょろ見回していると・・・なぜか金髪の鎧を着ている女の人の隣にいる銀髪ショートのスレンダーな女の人が視界に入りどうにも気になってしまった。

 

サニー達がギルド受付に向かっている一方で私はふらふらと吸い寄せられるように銀髪の女の人の方に歩いていく。

相手の方もこちらに気が付いて「ん?」と言う表情をして屈んでくれた。

私は彼女のそばまで来たところで、特に意識していたわけではないのにこう口を開いていた。

「ェ・・・リス・・・様?」

すると、エリス様?は私の頭をそっと撫でて小さな声で

「私は今、秘密のお仕事中なのです。私がエリスなのは誰にも内緒だぞ」

と耳元で囁いた。

ボーイッシュなしゃべり方だったが頭をなでられた感触・・・まちがいなくエリス様だった。

 

急に腕をぐいと引っ張らっれる。

「ご、ごめんなさい!この子、ちょっと普段からボーっとしているから・・・。」

ルナがそう言ってエリス様?に謝っている。

わたしはアホの子じゃないよ・・・そう思って抗議の視線を送ったら逆に「ッキ」っと睨まれてしまった。

そんな様子を見ていたエリス様?は

「妖精なんて珍しいね~。冒険者になるのかい?冒険者登録が済んだらはじめての冒険にあたしが一緒に行ってあげようか?」

すると金髪の女騎士がエリス様?に

「いいのか?お前、他のパーティに入る予定だっただろう?そんな安請け合いして大丈夫なのか?」

 

「うん、パーティには今日からって言われてたけど、出発はまだ先だから大丈夫。それに、妖精の村の話を聞いたら、何か力になりたくてね。」

 

その様子掛け合いを聞いていたルナは

「え、でも…そんな…私たちのために・・・悪いです・・・」

煮え切らない態度をしていた。パーティーリーダーでもないから当然である。

 

「あら、いいんじゃないかしら盗賊職ならいろいろな補助や妨害系スキルを持ってるし初心者の補助にもってこいじゃない?ゴブリンやコボルトのいるところまで遠出するより近くで済むならそれに越したこともないしね。」

 

ルナが戻って来なかったので様子を見に来たリリーホワイトが乗り気な発言をしている。

さらにあとから来たリリーブラックやサニーも反対ではないため異論は言わなかった。

 

「じゃあ、決まりだね!お姉さんは、このダクネスを次のパーティに送り届けて来るから!!また後でここで待ち合わせってことで!!あと、あたしの名前はクリスだから覚えておいてね。特にそこの紫髪の妖精さん?」

 

そう言ってエリス様?改めクリスさんと別れた私たちは今度こそ、ギルドの受付まで移動した。

どこかに行ってしまわないようにルナが私の手をギュッと握ってはなさなかった。

 

「ルナ・・・手、強く握りすぎ・・・」

「こうでもしないと、あなた、またどこかに行ってしまうでしょ。」

 

ごめんなさい反省します

 

そんな私達を見てサニーがからかうように

「ルナったらコニファーのお母さんみたいね!」

などと言ったらルナは顔を赤くしてごょにょごにょと「だって、心配じゃない」と

言っていたのがわたしには聞こえた

 

 

 

ギルドの受付では受付嬢のお姉さんに冒険者の職業を決める水色に輝く球体状の装置に触るように言われた。私たちは順番に触っていく。

 

サニーはソードマン・ナイト・ウォリアーの適性があり、妖精のわりに打撃力が高かったこともありウォリアーを選択していた。

ルナはプリーストとウィザードの適性があった。普段から魔法に興味を持っていたルナはウィザードになることを即決した。

 

そして、わたしの番・・・そっと装置の上に手を置く。

それが強く光りだし、下部から冒険者カードが出てくる。

冒険者カードを見た受付のお姉さんは

 

「これは、えっとコニファーさんですね……体力が平均よりすこし低いですね。知力が平均よりすこし高め、打撃力は平均、俊敏性は妖精族の例にもれず高めですね。魔力が少し高くて、あれっ!?幸運のパラメーターが2本ある!?ひとつめはかなり高めでもうひとつは底辺ですね。でも、こんなことって・・・申し訳ありませんがもう一回手をかざしていただいてもよろしいですか?」

 

受付のお姉さんが困惑しながら装置に触れるように促す。

なんか、不安になる。やだなぁ。

 

もう一度手をかざし出てきた冒険者カードを受付のお姉さんが確認する

「うーん・・・やっぱり・・・・これは・・・新職業なのかしら?」

 

改めてこちらに向きなおす受付のお姉さん。

 

「コニファー様の適性ですがかなり限られています。最低ランクの冒険者とこの新職業の・・・えっとプリンセスナイトでいいのよね・・・そうプリンセスナイトになります。」

 

ギルド受付近くにいた冒険者たちが物珍し気にこちらをのぞき込んでいる。

しかし、究極の選択じゃないか・・・・最低職の冒険者と・・・あの、プリンセスナイトつまり姫騎士。どうしよう・・・ほんとうにこれどうしよう。冒険者になるのに最低職なんてありえないよ・・・でも、だからと言って姫騎士・・・どうしよう。まさか、冒険者になるのやめますとは言えない。

 

わたしがものすごく悩んでいるのを察したのか受付のお姉さんがわたしの冒険者カードを示して

「冒険者は本来適性のない人が形だけでもって意味合いでなるものですし、ここはやはり新職業のプリンセスナイトを選択しては?固有スキルにパーティの全体強化がありますので、そちらの方がいいと思いますよ?」

 

よし、わたしも覚悟を決めるよ。個人のスキルに不死身があるんだ、そうそうめったなことはないはず。

 

「わたし、プリンセスナイトになります」

 

決めたのはわたしだが本当によかったのか

 

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