この素晴らしい世界に妖精が!   作:妖精さん

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死体処理しながら話すだけ


22話 冬牛夏草討伐隊③

農場の冬牛夏草をすべて倒した私たちは(主に農業組が)念願の農場を手に入れたのだ。

 

冬牛夏草討伐時の高いテンションで、そのまま大宴会とはいかなかない。

ゲームと違い現実は農場の片付けと冬牛夏草の死体の処分、ギルドへの届け出等やることはいっぱいだ。

 

通常は討伐現場の魔物の死体の処分などは他の野生動物がやってくれるので人の手が入ることはあまりない。しかし、人の手が入らない街道や人家などでは野生動物が現れる訳がなく、ギルドが雇った労働者や清掃クエストの一貫として引き受けた冒険者たちがそういった場所の掃除をすることが標準的だ。

 

わたし達は他の妖精達に交じって牧場内外に転がる冬牛夏草の死体を焼却炉に放り込む。

まれに殺し切れていなくてピクピクしていることもある。

わたし達は手押し車を押しながら外の死体をかたづけていた。

 

「この農場が手に入ったってことは倉庫は引き払うの?」

サニーが疑問を口にする。

「いえ、スターが商売を始めてるから倉庫はそのまま使うみたいよ。」

「ねぇ、ルナ・・・私たちはどこに住むのことになるのかな?倉庫暮らしもそろそろ終わりにしたいよね。」

わたしがそう言うとルナが少し考えながら焼却炉の前で火をくべている妖精と一緒に冬牛夏草を火の中に投げ込む。

火をくべていた妖精が話しかけてきた。

「倉庫暮らししてる連中多いからね~。結構、工房とかで住み込みで働いたり、何人かで部屋借りてるやつらもいるらしいけど。案外、この農場に倉庫暮らしの子らを振り分けるのかもね~」

その妖精の言葉にサニーは

「わたしは、倉庫暮らしより農場の方に住みたいな」。

と火の方を眺める。

妖精は黙々と死体を火に放り込む。

 

焼却炉から離れながら、私は

「正直、わたしはどっちでもいいわね。倉庫は街に近いから何かと便利だけど、自然が多い農場は村を思い出すわ。」

等と言っているルナ達の横で思ったのだ・・・

 

人間だったころは理科実験のカエルの解剖ですらへっぴり腰だった自分が、生きるために必死だったとはいえ異世界のモンスター相手に積極的に切り込んで、その死体の処理すらこれと言った感慨もない。慣れちゃったんだなぁ・・・異世界に・・・

 

そういえば、異世界でNOUGYOUするとかNAISEIとかいろいろ考えてけど。

口に出したことはあったが、結局実行に移したことはなかったなぁ。

日に日に妖精としての精神てやつが強くなって人間だったころの記憶が削れていく自覚がある。両親の顔はおぼろげ、親しい友人の顔なんて全く思い浮かばない。

 

「あら、またコニファーったらボーっとしてる。こらっ」

ルナに頬を引っ張られる。

「いたいよ、ルナ。」

「もう、ボーっとしてるからよ。」

 

でも、今の生活は充実している。

 

「えへへ」

「どうしたのよ。コニファー?急に笑い出して?」

「ほんと!なになに!どうしたのよ!何かいいことでもあるの!?」

 

今の私にはルナやサニーにスター、それに他の妖精の仲間もいる。

それだけで十分幸せじゃないか。

きっと、この世界なら流れるままに生きていようとも楽しいに違いないのだ。

 

「別に・・・、なんとなく、幸せを感じただけだよ。」

「なによそれ?変な子ね?」

「やっぱり、コニファーって変わってるね!急にそんなこと言いだして!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方でスター達は

 

「なんというか。郊外に一軒家を手に入れたような気分です。村の再建の第一歩ですね。」

マロン達農業組の妖精達が建物内の掃除をしている様子を見ながらシャロンはスターに話しかける。

「そうね、ここでもう一回やり直すのよ。アクセルの街に横付けする形になるけど・・・それはそれで、便利になると思うわ。あなたも、落ち着いたら宿屋業でも再開したら?」

「そうですね、それも良いかと思います。ですが・・・今は、村の再建に尽力していきたいですね。」

「ありがとう、シャロン。」

「水臭いですね。あなたと私は、あなたがサニーさんやルナさんと知り合う前からじゃないですか。何をいまさら、ですよ。」

 

きれいな夕日を見てスターが気合を入れる。

「よーし!やるぞー!」

「その意気ですよ。スター。」

 

私達の村再建はこれからだ!これから建たりするものがたくさんある。民家の建築に、農場の施設の拡充、粉挽き用の水車か風車も必要だ。これから忙しくなりそうだ。

 

「ところで、村の名前とかはどうしようかしら?」

「まだ決めてませんでしたね。それは、また次の機会にでもしましょう。」

 

 

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