この素晴らしい世界に妖精が!   作:妖精さん

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23話 貧乏店主と新戦術

 

 

今日はみんなでサニーやルナ達と街でお買い物です。

冒険者だから、使えるアイテムとかを探すのが主になるけどね。

武器屋防具も見て回るけど私たちの体格的に合うのはまずないんだけど、そういった行為そのものが冒険者っぽくてかっこいいと言うのはサニーの談だ。

だから、実質わたしたちが買うのはアクセサリー系の装飾品やポーションとか毒消し薬とかの冒険者アイテム。

 

アクセサリーも可愛い女の子冒険者用の物もあって、普通の宝飾品店と遜色ない。装飾品はパニラちゃんが作ったのがこの辺りで一番らしいけど、他の店のも見てみたくなるのは妖精と言えども女の子なんだな。わたしたちは・・・

それにポーションとかも効果や種類によって色んな色の物があって見ていて楽しい。

まあ、消耗品は必要最低限持っているので基本ひやかし客だ。

 

 

色々なお店を見て回るうちに一軒の店を見つけた。

駆け出しが多く、存在自体が高級な魔法の道具を専門にしている魔法具の店。

『ウィズ魔法具店』、アクセルの街で美人と評判の女店主がいるお店屋さんだ。

 

わたしたちはウィズ魔法具店の扉を開く、扉の先には見たこともないような種類の薬品やよくわからない造形の置物、見ているだけで不思議な気分になるお店だ。

 

「わぁ、これなんだろう?」

サニー等はよくわからない魔法具を手に取って興味津々に見つめている。

ルナも魔法使いゆえにか、何も言わずに真剣に魔法具を眺めている。ルナいわく、王都でもお目にかかれない珍品らしい。

わたしが薬品棚をのぞいていると、店主のお姉さんが話しかけてきた。

 

「それは、生きている紐と言ってどんなにきつく縛ってもほどけてくれる紐なんですよ。」

「これは超即効性魔力強化薬と言ってですね。これを飲むと一時的に魔法攻撃力と体内魔力が急速に上がるんです。ですが、これを飲むと1週間ほど高熱と激痛にうなされるんですよね。」などなど

 

店主さんは暇なのか、わたしが商品を触るごとにいちいち説明してくれた。

そのうち、ルナとサニーも寄ってきて店主の商品解説を聞きていた。

 

「こんなにいい商品なのに、なぜか売れないんですよね?」

胸元で手を合わせて小首をかしげる。店主さん

 

一つ分かったことは、この店主、店主の肩書を持った趣味人、もしくはただの商才激低店主のどちらかと言うことだ。

でも、珍品を扱う店としては非常に興味深い。

 

「その薬品は魔法効果上昇ポーションと言って文字通り各種魔法の効能が莫大に上がるんですよ。みなさんの商会とは取引がありますから少しはお安くしますよ。」

 

わたしがその中の一つを手に取る。

 

「それは、泥沼魔法の強化薬ですね。それを使うとあたり一帯が泥沼になるんですよ。」

 

値札を見る・・・10万エリス・・・高い・・・

使い道が思いつかないわけじゃないけど・・・高い・・・

 

「あの、もしよろしければ半額でお譲りしますよ?」

おずおずと話しかけて来る店主さん

 

半額・・・5万エリスか・・・どうしようかな・・・

そんな風に迷っているとあるものが目に入った。

カウンターの上においてある白いお皿に乗っている店主さんのお昼ごはん(仮)

 

パンの耳

 

こ、これは・・・か、かわいそうだ・・・

 

サニーとルナも気が付いたようで声には出していないが「うわぁ」と言う心の声が聞こえてきそうだ。

 

奥の住居スペースにつながる扉がわずかに開いて見える。その奥にティーセットが置いてあるのが見えるのだが、茶葉が網に入って干してある。

ガラス製のティーポットに入っている紅茶もかなり薄い・・・いったい何回使いまわしているんだ!?ひ、悲惨だ・・・余りの悲惨さに涙がこぼれてきた。

 

わたしは即決で財布の中の全部のお金7万2317エリスを店主に渡して言った。

 

「こ、これでちゃんとしたご飯を食べてください!!」

 

そう言って店を飛び出した。

「ちょ!?ちょっと!!コニファー待ってー!!」

サニーが慌ててわたしのあとを追いかけて来る。

ルナは店主に挨拶をしてからわたしを追いかけてきた。

 

わたしが店から30メートルほど離れたところでサニーがわたしを捕まえて引き留めた。

「いったい!どうしたのよ!コニファー」

そのすぐ後にルナが息を切らせて追いついてきた。

「こ、コニファー・・・ぜぇぜぇ・・・あの人、泣いてたわよ。」

 

ルナの回復待ってからわたしは店で見たことと店主があまりにも哀れに思ってしまったが故の行動を話した。

 

サニーはただ「あー」と首を縦に振った。

ルナは呆れと納得が混ざったような表情で「なるほどね」と頷いていた。

 

「でも、その薬どうするの?泥沼魔法限定の強化薬なんて文字通り、お金を泥沼に捨てるようなものよ。何か考えがあるの?」

ルナは困ったような表情のままだ。

 

わたしは二人に思いついた新戦術を話す。

 

「あら、面白そうじゃない?」

「いいね!やってみよう!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここまでおいでー!!」「こっちだよ!」

 

わたしたちは新戦術を試すためにギルドでクエストを受け、少し離れた森に来た。

そして、さらに言うとわたしとサニーは今、ウルフの群れに追いかけられていた。

 

「っくっそー!思ったより足が速いわ!!追いつかれちゃう!!」

「でも、目的地まであと少し」

「わかってるよ!!」

 

わたしとサニーは低空で森を飛び回り多くのウルフを引き付けた。そして、森の中の少し開けたところに飛び出す。

 

「ルナ!今よ!!」

サニーが叫んで合図を出す。

 

「ボトムレス・スワンプ!!」

 

すると、土の足場が一気に泥沼に変わり、ウルフたちが溺れだしていく。

よし!大成功!

 

 

「やった!大成功よ!コニファー!!」

「すごい、やるじゃない!コニファー!」

 

サニーとルナも私の新戦術が成功して興奮している。

 

ウルフたちは犬かきで陸地に戻ろうとするが泥に足を取られ顔を出すだけで精一杯の様だ。

わたしたちはそんなウルフたちを剣もしくはナイフで頭部を刺して回る。

 

そんな方法でウルフたちを討伐目標5匹の依頼を余裕をもって32匹も討伐する事が出来た。レベルも大幅に上がりさらに、時間はかかったがすべてのウルフの皮を剥いで毛皮にして回収することもできた。あと肉もいくらか手土産にする事が出来た。

 

 

予想外の大成果にギルドでたむろしてた他の冒険者たちも驚いていた。

ギルドのお姉さんもびっくりしていた。

ギルドでは大方の予想でわたしたちは逃げて帰ってくると思われていたみたいだ。

そう考えるとそういった連中の鼻もあかせて、なんだか気分がいい。

 

依頼報酬(30万エリス)に毛皮(16万エリス)と肉(1000)エリスの買い取り報酬で合計45万5000エリスの大収入だ。

ちなみに毛皮は泥がついたままだったから1匹5000エリスらしい、泥が付いていなければ6000エリスで買い取ってくれるらしい、次回からは妖精の皆に頼んで洗ってもらってから買い取ってもらおう。肉は5匹分持ってきたのだけど、硬くて干し肉にしか向かないらしく味もいまいちなので1匹1000エリスなのだそうだ。正直、安いので次からは人手がない限りは置いて帰ろう。

出費に5万エリスかかったが適正価格の10万で買ってもおつりが出る大成果。

 

うん、店主さんにお礼を言わなくっちゃ!

 

わたしたちは報酬を受け取って郊外の農場に帰る前にウィズ魔法具店にっ寄っていくこととにした。

 

「半月ぶりのパンの耳以外の食事・・・!?」

 

わたしたちが見たのはそんなセリフを口にして泣きながらゆで卵とサラダを頬張った状態で顔を真っ赤にする店主さんの姿だった。

 

 

とりあえず、わたしたちはウィズ魔法具店の泥沼魔法の魔法効果上昇ポーション限定の常連客と言う立場と、店主ウィズの唯一の補給線となったのであった。

 

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