この素晴らしい世界に妖精が!   作:妖精さん

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25話 悪代官ならぬ悪徳貴族①

 

と言うわけでみんなにやさしい心のお薬を別の街にお届けすることになった私たち、商会の2頭立ての大型四輪幌馬車1台と1頭立ての二輪幌馬車2台の隊商を組むことになった。

 

目的地はここアルダープ伯爵領の隣のハラグーロ伯爵領のヤマブキの街だ。

ヤマブキの街までは片道3日、往復6日。街で滞在するから7日の日程だ。

 

道中に険しい道があるわけでもなく、凶悪なモンスターが現れるわけでもなく。

最低限の訓練をしていれば対処できるような、はぐれのゴブリンやコボルトにウルフ、あとは物を投げて来るリスとウサギが現れるだけだ。

 

わたしたちは特に問題なく、ヤマブキの街に到着した。

門では門番が身分の確認ためのチェックをしており、列ができていた。

わたしたちはその列の最後尾に並ぶ意外とチェックは簡単なものの様で10組近く並んでいたはずだが1時間ほどで門の向こう側へ通れた

スターに諸業務を任されている事務方の妖精が大きい石造りの建物の中に入っていく。

ちなみに彼女の名前はマルルと言う。

5分もすると2人の付き人をつけた商人風の身なりの良い男の4人で戻ってきた。

 

開口一番、商人風の男が口を開く

「どうもどうも、ようこそいらっしゃいました。ユグドラシル商会の皆さん。私めはハラグーロ伯爵の御用商ダイコク屋の店主ワイーロと申します。今後とも良き関係を・・・。それとこの二人は当店の番頭と材木手代です。」

営業スマイルが顔に張り付いて離れなくなってしまったかのように口元が吊り上がった笑顔を崩さないワイーロは一歩下がり、2人の番頭の背を押す。

「いや~、どうもお美しいお嬢さん方、さきほど店主ワイーロより商会にあずかりました。庶務番頭のダツーゼでございます。わてはこのダイコク屋では材木以外の諸商品の販売流通を中心に携わらせていたただいておりますので、かな~りフットワークが軽いと自負しておりまして、王都はもちろん、エリス教団教団本部、アクシズ教団のアルカンレティア、温泉街ドルネ、港町アランヤにアクセルの街と他様々な街に足を運ぶことがありますので、意外なところで顔を合わせることもありましょうよや。その際はよろしくたのんますわ~」

「自分は材木手代のウッディです。ハラグーロ伯爵領の主幹産業の材木伐採業を取り仕切らせております。」

関西弁風の言葉を息継ぎなしの早口で話し切ったダツーゼと大柄であまり喋らないウッディの2人がわたしたちに頭を下げ挨拶してきた。

そして、わたしたちの簡単な自己紹介を済ませたのを確認するとマルルがわたしたちの背を押す。

「では、このまま領主様の邸へ参りましょう。」

 

マルルはわたし達と護衛の妖精二人を連れて、ワイーロ達はさらに丁稚のボロゾとウキンの2人を連れてダイコク屋の馬車に乗って領主の邸へ向かった。

馬車の中ではワイーロとマルルが世間話に花を咲かせていた。

「ですから、わたくし材木の中をくりぬいてその中にご禁制の品を入れて王都に持ち込んだんですよ。」

「あら、そんなことをなされたのですか?勉強になりますわ。」

「いえいえ、塩の関税を抜けるためにアクシズ教の御神体塩像を作って石像として税関をすり抜けたとか?ユグドラシル商会の大店主スターサファイア様の智謀にはかないませぬよ。」

「ふふふふふふふふ。」

「くくくくくくくく。」

 

こいつらはなんで世間話として犯罪トークなんだ。

 

そんな邪悪な会話をBGMに領主の邸に到着する。

邸についた私たちは使用人に案内されてハラグーロ伯爵の執務室へ案内される。

護衛の妖精二人とダイコク屋の丁稚は別室へ案内された様だ。

執務室でも人をもてなすことが多いのであろう。重厚な高級木材で出来た執務机と同様に高級そうな革張りの椅子が置いてあったが、来客用のソファーとコーヒーテーブルが置いてあった。

 

「うむ、よく来てくれたな。まあ、座れ。」

肥満気味で脂ぎった顔のハラグーロ伯爵に促されるままソファーの右側に座るわたし達。

左側はワイーロ達、中央にハラグーロ伯爵が腰掛ける。

「伯爵様、先ごろの節はありがとうございました。商会長スターサファイアに変わりまして御礼申し上げます。」

「なーに・・・大したことではない、それよりいつものあれ。わかっているのじゃろうな。」

マルルの言葉にハラグーロが目つきを鋭くする。

「もちろんですわ。ダイコク屋さんともどもご用意させていただいておりますわ。」

「ハラグーロ様がお好きな山吹色のお菓子でございます。」

いつものことなのかマルルとワイーロが足元からお菓子の木箱を取り出し、それをハラグーロに差し出す。

「重いのう。ふはははははは!」

それを受け取ったハラグーロは2つの木箱の重みを確認しながら笑う。

「さあ、さあ、ご検めくださいな。」

「どうぞどうぞ。」

2人が木箱の箱を開けると、中にはぎっしりと金貨が詰まっていた。

「ふはははははは、これじゃ、これじゃ!わしは山吹色のお菓子が大好きなのじゃ。ときにマルルよ、粉の売れ行きはどうなのじゃ?」

「はい、ハラグーロ様の口添えもありまして王国貴族界隈ではかなり流行しておりますわ。」

「そうか、そうか!任せておけ、任せておけ!王都の貴族たちにはうまく話しておいてやろうぞ。」

マルルとハラグーロが話し終えるのを見計らってワイーロがハラグーロにひそひそ話をするように耳元に口を寄せて話し出す。声は皆に聞こえる程度の大きい。

 

「ところで、伯爵様。我々の企みを知ってか知らずか。見慣れぬ輩が我々の周りを嗅ぎまわっているとのこと。お気をつけください。」

「なあに、わしらのことが気に入らぬ頑固者共に焚き付けられたゴミ共だろう。ところで、ここの防備は大丈夫だろうな!?」

「はい、いつ、如何なる時。如何なる敵が現れようとも御身を守れますよう武器に罠、用心棒を取り揃えております。くくくく」

「ぐふふふ、さすがじゃのぅ!ふはははは!!」

「その際は当商会も力添えいたします。ゆえに例の件よろしくお願いしたします。」

「ふははははは、王国内務次官であり次期内務卿であるこの ワシに任せておけ!ふははははは!!」

「くくくくくくっ」「ふふふふふふ」

 

 

 

 

夕方、ハラグーロ伯爵邸ではわたしたちやダイコク屋の面々、ハラグーロ伯爵の家臣達で宴会が開かれた。

ルナもサニーも楽しんでいるようだ。わたしも普段飲めない高級なお酒のせいなのか少し足元がふらふらする。

 

「ちょっと、コニファーさん。よろしいでしょうか?こちらへ・・・」

そう言ってわたしの手を引くマルル。

 

 

宴会場から離れたところにある部屋。

「失礼しますわ。」

「うむ、入れ!」

扉の先にはワインと簡単なおつまみの乗ったテーブルを囲むハラグーロを中心に左の席にワイーロ、おそらく右側の席にマルルが座っていたと思われる空のクラスが置かれた席があった。

 

「おお、よう来た!よう来た!。かわゆい妖精の娘っ子じゃ。確かコニファーとか言うたか?近う寄って酒でも飲むがよい。」

そう言って酒瓶を掲げているハラグーロがいた。

 

 

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