この素晴らしい世界に妖精が!   作:妖精さん

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27話 悪代官ならぬ悪徳貴族③

 

「ハラグーロ様!!ハラグーロ様!!敵襲!!敵襲にございます!!」

 

明け方にも近い時間帯に帯回し祭り開催跡にハラグーロ伯爵の家臣が飛び込んでくる。

 

「なんじゃと!!いったい何者じゃ!!」

 

「っは!どうやら伐採場での強制労働に耐えかねた一部の平民達が旅の冒険者の少女を唆し供に乗り込んできたようです!!」

 

「ぐぬぬ、小癪な真似を!!返り討ちにしてくれるわ!!」

 

 

「なら、私達もハラグーロ様のお役に立ちましょうか?」

わたしたちを代表してルナが杖を構える。しかし、ハラグーロは手を前に出し

「いや、それには及ばん・・・・・・・ダイコク屋!!」

「はい!こちらに!」

ハラグーロはワイーロと共に不敵な笑みを浮かべながら自信たっぷりに語りだす。

「ユグドラシル商会期待のホープのお嬢さん方にわしらの力を見せつける時が来たようじゃな!」

「はい!ダツーゼ!!ユグドラシル商会のお嬢様方に語って差し上げなさい!」

ワイーロの言葉に従ってダツーゼが早口で語りだす。

 

「表向きは良質な材木が取れる以外特徴のない中堅領主とその土着商店の店主!裏では領民を木々の伐採の強制労働を強いる悪徳貴族とその腰巾着の御用商人!!しかして!!その実態は!!かつて地球の日本と言う異世界であまたの罠を仕掛け、様々な武器を使い、部下の命を惜しげもなく燃やし自爆させ、古今東西の正義漢たちを地獄に叩き落し、地上げ、役人殺し、聖職者殺し、違法登録、公文書偽造、花街騒乱罪、違法建築物の建造、大聖像の不法改造、王家の墓荒らし、住居不法侵入及び不法占拠、その他破壊活動・・・悪逆非道の限りを尽くした悪のカリスマ腹黒主水之介助兵衛とそれを陰に日向にと支えた悪徳商人の鏡たる大黒屋金治の正当なる流れをくむ7代目ハラグーロ・エロース・スケーベ様と同じく7代目ダイコクヤ・ワイーロ様だったのです!!」ババーン!!

このセリフを40秒で言い切ったダツーゼは弁天堂菊蔵の流れをくむ6代目である。

 

 

「と言うわけじゃ!!わしらの力を見ているがよいわ!!ふははははっははははは!!!」

 

 

そんなこんなで正義の味方を迎え撃つために1階のテラスに集まるわたし達。

固く閉められていたはずの門は破られ門を守っていたならず者達が地に伏せていた。

 

鎌や鍬で武装した一揆民達が内堀にかかる橋を渡ろうとした瞬間。

「今じゃ!!橋を落とせ!!」

バキバキ、ガアアシャーン!!

ものすごい轟音を立て一揆民たちが水の入った深い堀の中に無慈悲にも投げ出された。

 

「「「「ぎゃあああああ!!!」」」」

 

「ふははははっはは!!ゴミ共が!!お上に逆らうとどうなるか思い知ったか!!」

水掘りで溺れかけている一揆民をあざ笑うハラグーロにワイーロが警告する

「伯爵様!!まだです!!冒険者の小娘と先の罠を逃れた一揆民達がいます!!」

 

「ハラグーロ・エロース・スケーベ!!貴方達の悪行はこの人たちから聞いたわ!!覚悟なさい!!」

ファンタジーで言う東方風の衣装を着た14・5歳と思われる少女がこちらを睨み付けてきた。

「なんという、生意気な小娘で御座いましょうか・・・。先生!!セーゾン先生!!」

「任せておけ・・・悪いが小娘、我が剣の錆にしてくれる・・・・・・・・・ぐあっはあ!?」

ワイーロに命じられた腕の立つ剣豪と思われる細身の壮年男が剣士の少女と相対するが数秒と持たずに返り討ちにされ海老反りに頭から崩れ落ちた。

「ええい、なんと使えぬ用心棒じゃ!!くそっ、者ども!であえ!!であえ!!」

ハラグーロの合図でならず者と家臣達が取り囲む。

 

 

状況は思ったより悪いのかマルルがハラグーロを急かす。

「あの娘は、これでしばらく時間を稼げますわ!その隙に残った一揆民を片付けましょう!!」

「うむ、そうであったな!!任されよ!!」

そう言ってハラグーロが次々に罠の起動スイッチを押す。

すると、跳ね板が跳ね上がりその上にいた一揆民を跳ね飛ばし、その先にあった井戸に叩き込んだ。

屋敷への扉に手をかけようとした一揆民は玄関上に仕掛けられた撞木によって突き飛ばされ、その先にあった落とし穴に落ちていった。

他にも単純に落とし穴にはまるもの、跳ね板で内堀に落とされたもの、裏に回った者たちも裏口に続く坂道で転がってくる大岩に押しつぶされた。

「「「「「「ぎゃあああああ!!!」」」」」」

 

「よし!一揆民はあらかた片付けたぞ!!しかし、もう庭園に仕掛けた罠を使いつくしてしまった。ここは邸の中に撤退じゃ!!」

 

ハラグーロの言葉を受けわたしたちはぞろぞろと建物内へ撤退した。

 

ハラグーロはワイーロやダツーゼに忙しそうに指示を出している。

私たちは彼らの後ろでことの流れをうかがっていた。

 

ハラグーロは玄関ホールにならず者や家臣達を集結させている。

これら剣の錆もとい、雑兵たちは50人はいるだろう。

 

「せい!!観念なさい!!」

 

鍵をかけたはずの正面の大扉が真っ二つに割れて倒れる。

 

「うお!?」「な、なんだ!?」「き、来た!?」

 

雑兵たちが動揺する様子を玄関ホール2階で見下ろすハラグーロは忌々しそうに顔をゆがめる。

「おのれ!外の罠を掻い潜った程度で調子に乗りおってー!!者ども!!切れ!!切り捨てぃ!!」

 

「ぐおっ!?」「ぬおぁあ!?」「ぐぁああ!?」

 

次々とやられる雑兵たち、すでに少女剣士は階段の踊り場まで迫ってきていた。

 

「このベンテンドー・ダツーゼにお任せください!!当家先祖由来のマグナム44の餌食にしてくれましょ~う!!ボロゾ!!ウキン!!トミーガンを構えなさ~い!!撃ち~方~はじめ~!!」

 

バババババッババババ!!

 

「死ね死ね死ね死ね~!!!わたしめの銃コレクションが火を噴きますよ~!!ボロゾ!!ウキン!!あの小娘をハチの巣にしてやれ!!ふひゃひゃひゃひゃ!!」

 

バババババッババババ!!

硝煙が立ち込め何も見えなくなる。

 

「ふひっふひひひ!!これであのガキも挽肉でしょ~う!!ひゃ~はっはっはっは!!!ぬぐっ!!手に!?手に何か刺さった~!?!?うぎゃああああ!!!」「「うぎゃああああ!!!」」

 

煙の中から飛んできた棒状の暗器が手に刺さりダツーゼはのた打ち回り、階段から足を踏み外しボロゾとウキンを巻き込みながらガラガラと音を立てて落ちていった。

煙がなければ、それはそれは見事な階段落ちが見れたであろう・・・

 

だが、これは少しまずいのでは?

 

「そろそろ、私たちの出番かしら・・・」

ルナが小さくそうつぶやく。

さらにその横ではマルルが連れて来ていた護衛の妖精に耳打ちして、槍に被せていた袋を外させているところであった。

 

それを見たワイーロは取り繕うように言い放つ

「演出!!演出にございます!!盛り上がるようにピンチを演出してございます!!」

そうは言いながらも私たちは玄関ホール2階の扉の向こう側に下がっていた。

ハラグーロは「であえ!!であえ!!」と叫びなが廊下を走り抜け、それに続く。すると10人ほどのならず者たちが各部屋から飛び出して、剣客少女の行く手を阻むが数十秒で刀の錆と化した。

 

それと同時にハラグーロがロープを引っ張ると一瞬壁に小さい穴が開いたかと思うと無数の矢が放たれた。

 

一斉に放たれる矢はその場いた者をすべて巻き込み、雑兵たちをハリネズミのようにしてしまった。しかし・・・

 

「っくぅ!?」

 

ようやっと1本の矢が彼女の左腿を捉えたのだ。

それを見たハラグーロは別のロープを引く

「よし、今じゃ!」

 

すると天井が開き撞木が振り下ろされる。

 

「きゃあああああ!!っくはぁ!?・・・・・・あぐっ・・・・うぅ・・・・」

 

彼女はそれをもろに受け吹き飛ばされる、彼女の華奢な体は思いのほか遠くまで飛ばされ2階廊下を越え2階玄関ホールの柵を超え1階玄関ホールに落下した。

 

「さすがにございますわ!!ハラグーロ様!!見事、侵入者を撃退なさいましたわ!!」

ついさっきまでハラグーロが負けると思って応戦及び見捨てて逃げる準備をしていたマルルは先ほどとは打って変わって、拍手喝采し上目使いで媚びを売りまくる。

 

わたしは、その光景を見て思う。

正義は勝つとは限らない、長いものには巻かれる。

それが正しい選択なのだ。

世にはびこる闇は光を飲む込む程に深い・・・

 

悪が強いのは地球もこの世界も変わりはないのだ。

 

「ふん、私たちに逆らうからこうなるのよ・・・・・」

ハラグーロやワイーロ達が後片付けを始めている横でうつぶせに倒れている彼女を足で転がし軽く杖で突くルナ。

 

悪堕ちっぷりが半端ないです。

 

こうして、わたしたちも闇に落ちるのかな?

天照様にこの世界に送ってもらって、この世界の女神エリス様に出会って聖なる方向に行くと思ったら、全然違う方向に向かっているわたし・・・・

 

 




主人公パーティ絶賛悪堕ち中

悪徳貴族編あと少しだけ続きます
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