この素晴らしい世界に妖精が!   作:妖精さん

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29話 魔王軍来襲

ヤマブキの町からアクセルの街に戻ってからすぐのこと。

スターにわたしは呼び出された。今回は大事な話があるので一人で来るようにとのことだ。

わたしはいわれ通り一人でスターの待つ、倉庫内の仮設村長室に向かった。

そこには、スター以外にもシャロン、マルル、パニラ、マロンと言った。現妖精の村の重鎮達が全員そろっていた。

一人一人に合うときは本名に気をつかうようなことはないが一応村の重要人物であることは知っていたので、それらが全員集まった事は間違いなく訳ありなんだろう。

そう考えたら少し緊張した。

 

そんな様子に気が付いたのかスターはわたしにソファーに座るように促し、紅茶をふるまってくれた。

ただ、みんな私の周りに座るので居心地はよくない。

「コニファー、急に呼び出してごめんなさい・・・大事なお話があったのよ」

 

スターはそう言ってわたしの前に座る。

 

「な、なにかな・・・わたし、みんなに怒られるようなことはしてないよ・・・」

恐る恐るわたしがそう答えると

みんなが一瞬クスリと笑ったがすぐにまじめな表情に戻った。

「コニファー、あなたにお願いがあるの・・・。すごく大切なことなの・・・」

わたしはいったい何を言われるのかと思わず身構える

「コニファー、あなたには妖精の皇族の生き残りとして私たちの神輿になってほしいの!!確かに今まで通りの生活を続けられるかはわからないわ。でも、ちゃんと今まで通りの生活をできるように、私たちで何とかするわ!!だから、お願い!!」

スターの言葉に合わせて他のみんなも「「「「お願いします!!!」」」」と頭を下げる。

 

え!?なに!?どういう展開なの!?わたし、主人公みたい!?

「あ・・・えっと、わたしはただの妖精だよ!?急に皇族なんて言われても!?」

 

「それは、私たちには皇族という妖精族再興のための神輿が必要だからよ。そして、あなたのギルドでの冒険者の役職が関係してるの・・・」

スターはその後わたしにかなり長い説明をした。

でも、長すぎてあんまり覚えていない・・・人間だったころはもっと物覚えがよかったのに・・・

とりあえず、説明するとこうだ。

以前話したように妖精という種族の立場が社会的に弱体化している。なので、村が成立するよりも昔、魔王軍がここまで拡大する以前に栄えていた妖精の国ティルナノーグ皇国の皇族の権威を使い、村の復興ではなく国家再興としての助成を王国に求めるための布石にしたい。

本当は皇族ではないが姫騎士という前代未聞の新役職をネーミングから皇族特有の物と偽ってのことらしい。もし疑われたら、わたし特有のスキル不死身の存在を盾に押し切る予定らしい。

うそをつくことは良くないけど、みんなのための物なら仕方がないよね・・・

 

「わかったよ。わたし、やってみるね。」

 

わたしが引き受けるとみんな一様に安堵を浮かべていた。

 

わたしが引き受けたと、どこからか聞きつけたルナとサニーが乗り込んできたが、わたしも了承していると伝えたら渋々だったけど引き下がってくれた。

暫定的なお姫様になってもやることは変わらないしね。

 

ルナ達には一人で勝手に決めたことを咎められたけど、許してもらえた。

今日の晩御飯をギルドの酒場でごちそうすることで許してもらえた。

 

もっと抵抗されると思っていたが、思いのほかあっさりとしていた。

ルナ曰く「ちょっとした名義貸しみたいなもんだから・・・大丈夫そうよ。」

とのこと・・・

本当にお姫様みたいなことはしないようだ。

お城暮らしとか想像してた自分が恥ずかしい・・・

 

 

その後もしばらくは、あの嵌め技でウルフ狩りを続けていたが、ある日を境にピタリとモンスターが現れなくなった。

 

ギルドのお姉さんに聞いてみたところ、ちかくに魔王の幹部が住み着いたらしくその影響で、私たちが狩れるモンスターが激減したらしい。

 

そのため、ほとんどの冒険者は開店休業だ。

キャベツ討伐の貯えがあるものが多く、ギルド内の酒場やそれ以外の酒場などで一日中たむろしているものがほとんどだ。

一部の金が無い人たちもほとんどが街の中のどこかしらの店でアルバイトをしている。

そして、わたしたちはその中の限られた例外に位置するお金はあるけど採集クエストを受けて気分だけでも冒険者と考えた者たちだった。はぐれザコモンスターがいればいいなと言う打算もあるのだが・・・

それ以外の例外には他の街まで出稼ぎやアクセルの街のギルドに残っている高難易度クエストを受ける人たちが全くいないわけでもないがこの際は関係ないので割愛する。

 

 

わたしたちはそう言った日々をマジックグラスなどの魔法具の材料になる木の実や野草を周辺の森や草原で採集するために、ふらふらする日々が続いていた。

 

その帰り道

 

「エクスプロージョン!!」

ドカーーーン!!

知っている声とすざまじい爆発音が響く。

 

アクセルであれだけの魔法を使えるのはめぐみんさんくらいだ・・・

少し様子を見に行くとカズマさんがめぐみんさんをおぶって帰るところだった。

 

「こ、こんにちは。カズマさん、めぐみんさん。」

「こんちわー!!カズマの兄ちゃん!!」

「お二人でこんなところまで何をしに来たのですか。もしかして、採集クエストですか?」

 

わたしたちが話しかけるとカズマさんが返事をしてくれた。

「お前たちか!久しぶりだな!ちょっとこいつの付き合いでな。」

「ん?あなた達はあの時の妖精では?」

少し気怠そうにめぐみんさんも答えた。

 

「ねー、兄ちゃん?アクアやダクネスさんは?」

「あの2人か?アクアは街でバイトだ。確か最近出来たレストランだったか。ダクネスは実家に戻って修業だとさ。」

「ヘー、兄ちゃん仕事は?それとも家に帰らないの?」

「俺はキャベツの報酬があるから金には困ってないし、それに家は遠すぎて帰れないからな。」

「そっかー!わたしたちももう故郷には帰れないから、一緒だね~!」

帰る家うんぬんのところで気をつかったのかサニーが自虐ネタでフォローした。

サニーは気遣いができるいい幼女なのだ。

それは置いておいて一切影が差さないところを見ると地球への思いは完全に吹っ切れているようだ。

 

しかし、サニーがカズマさんと結構仲が良いのは意外だった。

いつの間にあそこまで仲良くなったのだろう?

わたしなんて人間の友達はまだいないのに・・・(クリスはエリス様だったので除外。)

 

「サニーとカズマさんがそんなに仲がいいなんて知らなかったわ。いつの間に?」

わたしが思っていたことをルナが声に出して聞いていた。

「それは、私も気になりますね。私のことを普段からロリだとか失礼なことを言いながら、私よりよほど幼い容姿の子とこんなに親しくして・・・カズマは、そういった容姿の子に興味がある危ない人種だったんですか?」

「もしかして、お手付き?」

めぐみんさんがカズマさんの背におぶさった状態で話に加わってきた。

そして、ルナのちょっと危ない発言に反応してカズマさんの首に力が入っている。

「おいおい!それ以上俺をディスるのはやめてくれ、俺はノーマルだ。ロリよりはスタイルのいい女性がいいに決まっている。」

 

「そりゃそうさー!わたしに手を出すなら社会的な死は確定だからね!」

「それはそうですが、そうはっきり言われると傷つくものがありますね・・・」

サニーはケラケラと笑いながら、めぐみんは不満げに反応する。

ルナは無反応、わたしは話には入れていない。最近、身内以外の誰かと会話すると声がなかなか出ない気がする。それでも、カズマさんたちの様な面識のある人ならもう少し時間を置けば会話に入れるはずだ。

 

「そういえば、あなたはキャベツでどれだけ儲けたの?あれからだいぶ経ったけど、大半の冒険者の人たちはそろそろ底が見えるころだと思うけど。そんなに倹約してるの?」

ルナが不思議そうにしているのを見て、カズマさんは少しばかり自慢げに答えた。

「112万エリス、今もまだ50万エリス近く残っている。」

 

「カズマの兄ちゃん!!すごいじゃない!!街についたらシュワシュワ奢ってよ!!」

「なら、私も頂こうかしら?果汁入りシュワシュワでいいわよ?コニファーも奢ってもらいなさいよ。」

サニーが速攻でシュワシュワをねだる。ルナもそれに便乗し、わたしにも声をかける。

ようやっと会話に参加できる。

「うん、わたしにも頂戴・・・あ、あのメロン果汁入りのがいいです。」

あれ、メロンソーダみたいで好きなんだよね・・・

そういえば、カズマさんにはまだ自分も地球出身者だって言ってないな。

近いうちに話そう・・・

 

そんなこんなでアクセルの街に戻りギルドの酒場でカズマさんに3人分のシュワシュワを奢ってもらった。

 

カズマさんとめぐみんさん、そして私たち3人はその後でアクアさんの働いているレストランで食事をした。

アクアさんは皿洗いとして雇われていたようで私たちは会うことができなかった。

 

 

ちなみにめぐみんさんの爆裂魔法の練習場とわたしたちの採集ポイントが近いため、わたしたちが採集クエストにでると帰り道はよく一緒になることが多かった。

 

後々聞いた話だがあの人たち雨だろうが関係なく毎日エクスプロージョンしていたらしい。

 

 

そして、今日も採集クエスト受けにギルドに行くと受付のお姉さんがいかにも緊急事態という感じで触れ回っていた。

「緊急!!緊急!!全冒険者の皆さんは直ちに武装し戦闘態勢で街の正門に集まってください!!」

 

わたしたちは急いで他の冒険者同様に正門に集結した。

正門ではカズマさんやダストさん等の見知った冒険者の人たちもいたので心強く感じた。

もちろん、正門に集結したのは冒険者だけじゃない。武装した警察の人や門番の皆さん、私たちのユグドラシル商会も兵士組の子たちは商会の私兵として活動しているのでスターとシャロンの指揮で加わっていた。

 

わたしたちはスターのそばに近寄る。

「あれが、魔王軍の幹部ね・・・いったいなんで、アクセルの街に来たのかしら・・・」

漆黒の甲冑を身に着けたデュラハンが首のない漆黒の馬に跨ってこちらを睥睨していた。

みんな、動揺しているようだ。

みんな、デュラハンの動向に注視する。

 

そして、デュラハンが口を開く。

 

「俺はつい先日、この近くに引っ越してきた魔王軍の幹部の者だが・・・」

ここでデュラハンが一拍おいて赤く光る目を見開いて怒りをにじませて叫んだ。

「っく・・・うぅ・・・毎日!毎日!!毎日!!!毎日!!!!お、俺の、俺の城に毎日欠かさず爆裂魔法を撃ち込んでいく、あ、ああ、頭のおかしい大馬鹿は誰っれだあああああ!!!!!それと、俺の城から備え付け品、全部持ってった奴もだよぉお!!」

 

 

 

 

思いっきり、二つとも誰のことかわかる・・・それに、後者は身に覚えもあるんだけどぉおおお!?!?!?!?!?

 

わたしたち全員、一瞬にして顔が真っ青になった。そして、スターが一言。

「やばいわ・・・」

 

 




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