この素晴らしい世界に妖精が!   作:妖精さん

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31話 女神さまぁ・・・

魔王軍幹部のデュラハンがアクセルの街を去り、死の宣告をあっさりと解呪された後。

アクセルの街はすぐにいつもの日常を取り戻した。

 

冒険者の皆さんもバイトやぐーたら生活に戻って行った。

 

カズマさんの話だが、めぐみんさんの爆裂魔法はしばらく控えるそうだ。

 

わたしたちもしばらくは外出を控え、商会の手伝いをして魔王軍の幹部が自然に去るのを待つことにしたのだが・・・

もし、またあのデュラハンが来たらあの時の様に前に出れるのだろうか?

不死身のスキルを持っていても、切られたり殴られたりしたら痛いことには変わらない。

そもそも、戦いになってわたしはどこまで戦えるのだろう・・・

ルナやサニーはわたしと一緒に戦うと言ってくれたけど・・・次も頼っていいのだろうか?

色々と考えてしまう。

周辺からモンスターが逃げ出す直前まで討伐クエストでウルフを狩り続けていたのでレベルも上がってるし、スキルも増えた。

そういえば、幻狼斬と言う剣技を覚えた。名前からしてウルフの狩りすぎだろうか?

 

ルナは商会の伝手で手に入れた魔導書を読み込むために、農場のわたし達の家で籠りっきりだ。

サニーも装備の新調と言うことで武器屋に行ってしまっている。新しい斧を買うらしい。

何もすることがないのでスターのところに行ったら・・・ものすごく忙しそうにしていて追い出されてしまった。

なので今日は珍しく、一人で街をふらふらすることに・・・

 

しかし、1人だと本当に何をすればいいのやら・・・

ウィズさんのお店は相変わらず閑古鳥が鳴いており、相変わらずの貧乏生活だ。

砂糖水で食いつないでいる人の姿なんて見ていたら涙腺が崩壊するから、行くのはやめておこう。

 

ギルドにも行ってみたが知ってる人がいなかったのですぐ帰ることにした。

それに、みんな、わたしの方を見てひそひそ話してる・・・なんか、居づらい・・・

さすがに、採集クエストも1人ではしたくない。

 

 

普段3人でいる分、急に1人になると不安と言うか人恋しくなる・・・

特に理由はないが公園の広場のベンチで座って道行く人を眺めて見ていると、いろんな人たちが通っていく。いろんな職業の人達、職人の徒弟、商家の丁稚、治安維持の警備兵、買い物をする奥様方、遊んでいる子供。いろんな種族、人間、エルフ、ドワーフ、獣人、妖精。

この街ってたくさんの人たちが住んでたんだなぁ・・・

 

そんなことを考えながらボーっとしていると

 

「あら、あなた、妖精のお姫様じゃない?こんなところで何してるのかしら?」

 

わたしが視線を向けるとアクアさんがわたしの方を見て仁王立ちしていた。

 

「何か悩みがあるのかしら?めぐみんは宿で寝てるし、カズマもダクネスも出かけてるし、暇潰しに女神のあたしが迷える子羊の悩みを聞いてあげましょう!」

 

余計なことさえ言わなければ感動的なセリフだったのにぶち壊しだ。

でも、寂しかったし、アクアさんとお話しするのも悪くない気がするし、しばらく相手をしてもらおうかな。

 

デュラハンがまた来たら戦えるのか・・・

自分が勝手に喧嘩を売ったようなものなのに、サニーやルナに頼ってもいいのか・・・

などを話すとアクアさんは

 

「なによ、あなたそんなことで悩んでたの?あの魔王軍の幹部なんて女神のあたしの手にかかれば敵じゃないわ!こっちにはめぐみんやダクネスもいるからね!それに、カズマだって色々考えてくれるしね!」

 

アクアさんは、すごく明るい表情で言う。

なんとなくだが、安心できてしまう。

エリス様とは違うがこの人も女神さまなんだろうなと何となく思ってしまう。

そう・・・言うなれば。エリス様は慈愛に満ちた月の様な安心感を、アクアさんは太陽の様に周りの人を引っ張っていくような強いものを感じる。

 

「あなたたち妖精は仲間思いの絆の強い種族じゃない。それに、仲間なんだから誰かが困っ

たらあなたはその子を助けたいと思うでしょ?」

「はい、もちろんです。」

「そうよね、あなたがそう思うようにあなたの仲間の子たちも同じことを考えるのよ。それに、他の妖精の子だって同じよ。あたしだって、ちょっと無駄遣いしてお金に困ったときにカズマが助けてくれたのよ。あたしだって・・・えーっと・・・色々カズマの役に立ってるしね!あなたは考えすぎなのよ!1人でうじうじ悩んでないで頼りなさいよ。あの子達だって、そうした方がうれしいはずよ!」

 

「そうなんですかね。」

「そう言うもんよ!久しぶりに女神の仕事をしたらのどが渇いちゃったわ。あなた、お姫さまなんでしょ?飲み物代奢ってよ。」

 

いい話だったのになー。

本当にぶち壊しだ、女神さまにもいろいろ居るのだろう。

アクアさんは私の財布の中を覗き込んで

 

「お姫様のわりにお金が少ないのね」

「皇族と言っても、国がありませんのでお金なんて冒険者をやって稼いだお金だけですよ」

 

そう答えたら、私の財布から100エリス銀貨を2枚つまんで、2歩ほど距離を開ける。

「じゃあ、御布施ってことでもらっとくわ!あ!そうだ!あなたのところプリーストがいないでしょ!?あなたたちが怪我したら、格安で治療してあげる!死者蘇生だってできるのよ!お買い得なんだからね?じゃあね!!」

 

そう言って、アクアさんは駆けて、どこかに行ってしまった。

それ以前にジュース代程度で御布施になるのかな?なにか、加護があればいいな。

本当に自由な人だ。あの人のいるパーティはいつも楽しそうだ。

わたし達のパーティも負けてないけどね。

アクアさんは本当に明るくて元気なお姉さんだ。

 

でも、そんな彼女があんな姿になるなんて・・・

 

 

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