この素晴らしい世界に妖精が!   作:妖精さん

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32話 金髪の子かわいそう(男)

 

 

 

アクアさんと別れたころには夕方近くになっていた。

ずいぶん、心のもやもやは晴れた気がする。

わたし達が仮住まいしている農場に戻ると農場の広場では長テーブルを並べて夕食の真っ最中だった。

わたし達、冒険者はたいていギルド酒場で済ませるがルナは出かけていないし、サニーは買い物を済ませたらすぐに帰ってきていたようだ。

 

ここに住んでいる子達はみんな集まっている様だ。

わいわいがやがやと楽しそうに食事をしている。

 

「今日は肉もあるよ!!」

とマロンちゃん。

「遅かったじゃない!ご飯はまだでしょ!こっちに来てみんなで食べようよ!」

サニーが元気いっぱいに声をかけてくる。

「ふふ、あなたの事だから街の広場か公園でボーっとしてたんでしょう?困った子ね。」

そう言ってわたしの事を抱き寄せるルナ。

 

仲間・・・・か・・・・

この世界に来て、彼女たちと一緒に暮らして、仲間や家族のつもりで接していたが、どこかで一歩引いていたのかもしれない。

アクアさんと話してこの世界の住人に本当の意味でなれたような気がした。

 

 

 

 

 

翌日

わたし達はスターに呼び出された。

あの大倉庫はスター達が買い取り、今ではすっかり改装されユグドラシル商会本店兼ティルナノーグ皇国亡命政府政府庁舎として機能している。

割合としては商会本店が9割、政府庁舎としては1割と言ったところだ。

 

スター達は商会本店の玄関口でシャロンとマルルを伴って待っていた。

 

「あ~!やっときたわね!待ってたのよ!あなた達、特にコニファーに見せたいものがあるのよ!」

普段に比べて興奮気味なスターがわたし達を手招きしながら迎えてくれた。

 

「早く来て、魔王軍の幹部に啖呵を切っちゃったあなたのために強力な武器を取り寄せたのよ!」

 

そこにはダイコク屋の番頭ダツーゼが、なにやら大きな布をかぶせられた何かの前に立ってお辞儀をしていた。

「お久しぶりです、皆さま方。スターサファイア様よりのご依頼でしたので急ぎお持ちしました。」

その横ではパニラちゃんが工具を片付けながら、話しかけてくる。

スター動揺に興奮気味だ。

「いやはや、こんな兵器がこの世にあったなんてね。これなら、魔王軍の幹部どころか魔王だって倒せそうだよ!」

パニラちゃんが布をはがそうとした手を慌ててスターが止める。

「ちょっと!私がみんなに見せるって言ったでしょ!」

「あー、ごめんごめん、ついうっかり。」

「もう・・・コホン」

スターが咳ばらいをしてからこちらを見てから布を引っぺがすと・・・

そこにはいろんな装置がごてごてと付いた大きな大砲が置いてあった。

「じゃーん!!これこそ、我がユグドラシル商会の保有する旧妖精王朝の魔法技術とダイコク屋の初代がこの世界に持ち込んだ超兵器との両商会の金に物言わせた融合によって生まれた究極兵器!!暗黒エネルギー変換式対消滅動力及び縮退炉搭載型大砲!!通称、新大塩砲弐式改よ!!」

「なお、補助動力に最高純度のマナタイト鉱石100個をウィズさんのお店から購入しましたー。」

超興奮気味のスターのセリフにマルルが補足を加える。

 

なんか、すごいの来たああああああああああーーーーーーー!!!!!!

 

「これは!!勝てる!!」

サニーが自信たっぷりに声を上げる。

「「・・・・・・」」

あまりのものにルナもわたしも声が出ない。

 

「妖精族はね・・・仲間を絶対に見捨てないのよ!!」

スターは親指をぐっと前に出し、かなりテンション高めに声を上げていた。

なんと言うか・・・普段冷静沈着な彼女が熱血気味にポージングしているのはかなり強烈だった。

シャロンも普段表情が硬いのにこの時ばかりは笑顔だったし、マルルも「頑張ったんだぞ」と言わんばかりだ。

シャロンも黙って頷いている。

そんな彼女たちが・・・嬉しくて、愛おしくて・・・

「みんな・・・・ありがとう!」

 

 

 

 

でもよく考えると、躱されるかもしれないので、この前魔王軍のデュラハンが現れた岩の周りなどにありったけの虎挟みを仕掛けた。

その作業が終わり、門番の人に仕掛けた場所を報告していると・・・

 

「る~る~る~る~・・・出涸らし女神が・・・運ばれてくよー

きーっとこのまま・・・売られて行ーくーよー・・・」

わたし達の横を通過していくぼろぼろの檻に入った死んだ目をしてびしょ濡れのアクアさんがドナドナをうたいながら・・・

 

わたし達も門番の皆さんもギョッとして2度見した。

「って、アクアさん!!!!」

 

 

 

 

 

わたし達は特にわたしが

門番の皆さんに説明し終えたその足でアクアさんたちを探しに追いかけた

 

 

わたしとそれを追って来たルナとサニーが、アクアさん達に追いつくと、いつの間にか帰ってきていたミツルギさんのパーティと揉めていた。

ミツルギさんの方がかなりヒートアップしている様で、なんかカズマさんと決闘する流れになってきている。

カズマさんもミツルギさんも、わたしにとっては数少ない気兼ねなく会話できる人間の友人だ。

どちらにも死んでも怪我をしても欲しくはない・・・

ここは、元地球人として間に立って仲直りさせなくてはなりませんね。

人生的にも年上(享年)+妖精歴なわたしが大人をしなくてはいけませんよね?

そう思って、優雅にゆっくりと歩いて近寄る。

 

って、終わった!?

ミツルギさん、剣の腹で頭ぶったたかれて気絶した!?

あー、これは予想外。

わたしの予想ではカズマさんが切られそうなところでダクネスあたりがガードして、そのあたりでわたしが「ちょっと待ったー」しようと思ってたんだけど・・・

ここはミツルギさんの看病でもした方がいいのかね?

あ、カズマさんのセクハラ発言にフィオさんとクレメアさんが逃げた。

 

このまま放っておくと、彼、死にはしないだろうけど風邪とかひいちゃいそうだ。

近くのベンチにでも横にしてフィオさんとクレメアさんが戻ってくるまで見守っていよう。

 

 

 

 

「う・・・ここは?」

ミツルギさんが目を覚ました。

「あ、目を覚ましたんですね。お久しぶりです・・・村からの護衛をしてもらった時ぶりですね。」

「そうだね?久しぶりだね?僕はいったい?確か檻に閉じ込められたアクア様を助けようとして、あのサトウカズマとか言うあいつにアクア様をかけて勝負をしようとした様な?」

ミツルギさんは目を覚ましたばかりで少々不明瞭な返事をする。

 

「わたし達も群衆に交じってみていましたが、ミツルギさん不意打ちで負けてましたよ。」

とルナが説明する。

「そうだ!アクア様を!あいつから取り返さないと!」

 

「み、ミツルギさん。それは違うと思いますよ・・・」

「え?」

ミツルギさんは自分の考えをわたしに否定されるとは思っていなかったようでキョトンとしている。

「アクアさんをかけて勝負するって、なんか違いますよ。アクアさんは今の生活に不満はないって言ってましたよ。それなのに、まるで賭け事の商品みたいにして・・・彼女は誰のものでもないんですよ?」

ミツルギさんは聡明な人だ。わたしの言いたいことをすぐに理解した様だ。

自分の行為を思い出してか、恥ずかしそうに頭をかいていた。

「そうだね、確かにそうだ。まだ、納得できないところもあるけど・・・。魔剣グラムを返してもらってきます。」

 

ちょうど、フィオさんとクレメアさんが戻ってきたので、ミツルギさんのことは彼女たちに任せよう。

カズマさんもミツルギさんも、悪い人ではないし後は放っておいても大丈夫だろう。

わたし達は彼女たち2人と二言三言会話してから商会によって帰ることにした。

 

 

 

 

そして、ユグドラシル商会に顔を出すと・・・

ホクホク顔のスターが

「ねぇ、聞いてよ!さっきカズマさんが立派な剣を売りに来たのよ!ミツルギさんが持ってる魔剣グラムみたいなのを!50万エリスで買い取って、王都に行く行商人に転売したら200万で売れたわ!新大塩砲弐式改を買ったから、今月大赤字だったけど!結構な額が補填出来て良かったわ!」

 

あれーん?なんか私が思ってた展開と違う・・・・

 

「そういえば、さっきミツルギさんがここに来て剣の行方を聞いて、慌てて行商人を追っていったけど。もしかして、本物だったりして?まさかねー。」

 

いや、たぶん本物です・・・

なんか、これ・・・本当に大丈夫かな・・・

ミツルギさんには悪いことをしたかもしれない。今度会った時には何かしてあげよう・・・

 

 

『緊急!緊急!全冒険者の皆さんは直ちに武装し街の正門に集まってください!特に、冒険者サトウカズマさんとその一行は大至急でお願いします!』

ギルドのお姉さんが焦った感じの放送が街中に流れた。

 

 

あの人たちは・・・本当に問題を起こすおかしな人たちだなぁ・・・

それはそうと、まさかこうも早く新大塩砲弐式改を試す時が来ようとは・・・

 

「コニファー!!みんな!!さっそく、あれを使い時が来たわ!!行くわよー!!」

「「「「「「「おー!!!!」」」」」」

 

 

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