この素晴らしい世界に妖精が!   作:妖精さん

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33話 新兵器の威力とくと味わえ

 

 

魔王軍急襲の緊急放送が流れる中。

商会の大扉が開かれ、ゴロゴロと台車に乗せられた新大塩砲改を正門まで運んでいく。

スターを中心に商会の私兵が完全武装で続く、私兵の装備も商会の規模拡大によって、以前の様な鍋の兜と中古の革鎧、鍋蓋の盾装備の農村の自警団程度の装備じゃない。現在は王都の騎士団とまではいかずとも、小中貴族の領軍程度の銅製のフル装備だ。

短期間でこの街の警備隊の装備より豪華なものになっている。

わたしは仮にも亡国の姫君として、先導しているかのように先頭を進む。左右にサニーとルナが付き添ってくれる。

内心、こんな目立つ現れ方をしたら秘密兵器が魔王の幹部にばれてしまうんじゃなかろうかと思って心配していた。

だけど、実際正門についてみたらすでに集まっていた冒険者たちがいい感じに壁役になって向こうから、わたし達が見えないようになっていた。逆を言えばわたし達からも向こうの様子は見えないのだけど、声だけは聞こえてきた。

 

 

 

 

「貴様等ぁああ!よくも!俺の城を壊したなぁああああ!」

なんか、めちゃめちゃ怒っております。

鎧に汚れがついているらしい・・・(他の冒険者)

 

「何で?もう爆裂魔法を撃ち込んでもいないのに」

前の方にいると思われるカズマさんが、驚いたように言い返す

「何を抜かすか白々しい!」

それを聞いた。デュラハンはさらに声を荒げていた。

ちなみに魔王軍の幹部の名前はベルディアと言うらしいギルドからこの前回覧が来ていた。

 

「そこの頭のおかしい紅魔の娘が毎日欠かさず通っておるわ!」

「お前かああああああ!」

ベルディアの怒り交じりの指摘にカズマさんの叫びが聞こえた。

 

状況がわからない、前に行こう・・・ちょっと失礼しますよ。

 

「城への魔法攻撃の魅力を覚えて以来、大きくて硬いモノじゃないと我慢できない体に…」

「もじもじしながら言うな!」

「大体お前魔法撃ったら動けなくなるだろうが!てことは共犯者がいるだろ!」

 

わたしがちょうど前に出たときはアクアさんがカズマさんにめちゃくちゃ怒られているところだった。

 

「お前かああああああ!」

「アイツのせいでろくなクエスト請けられないから腹いせがしたかったんだもの!それに崩れるなんて思わなかったのよ~!!」

 

アクアさん、なんてことを・・・

と、思うところだろけど城崩れたのはたぶんわたし達が原因です・・・

フォローした方がいいのかなー。などと考えていると・・・

 

 

などと考えていると、ベルディアが話し出す。

と言うか。この人、アクアさん達の話が終わるまで丁寧にもまっていたのか?

「聞け愚か者ども。この俺が真に頭にきていることは他にある。」

 

ベルディアの目の紅い光が鋭さを増す。

「仲間を庇って呪いを受けたあのクルセイダー…騎士の鏡の様なあの者の死を無駄にするなど―――」

 

「えっと、誰か死んだっけ?」

わたしは思わず口に出してしまったのが、ベルディアの怒りにさらに火をつけてしまったようだ。

 

「貴様!!自分たちの身代わりに、俺の死の宣告を受けた、あの女騎士の事を忘れたというのか!!貴様ら!!!なんて薄じょう・・・な・・・あるぇぇぇえええええええ!?」

 

「そんなぁ・・・騎士の鏡だなんて・・・」

と照れまくってダクネスさんが群衆の中から現れるのを見たベルディアは大混乱している。

 

「なになに?このデュラハンずっと私たちを待ち続けてたの?プークスクス!」

アクアさんがベルディアを指さしたうえでお腹を抑えながら笑っている。

完全に馬鹿にしているのがわかる。

現にベルディアはめちゃくちゃ怒っている。

「殺す!お前らみんな殺す!!この街の住人も含めて皆殺しだ!!!掛かれアンデットナイト達よ!!!」

ベルディアが手を振りかざすと無数のアンデットナイト達が現れる。

 

「っく、来るぞ!!」

「門を守れ!!」

「やってやる!!やってやるぞ!!」

 

冒険者たちにも動揺が走っている様だ。

「アンデッドのくせに生意気よ!ターンアンデッド!」

 

「ぎゃああああああああああああああーー!!」

アクアさんのターンアンデットを食らってゴロゴロとのたうち回っているベルディア。

 

 

「ね、ねえカズマ変よ効いてないわ!」

「いや結構効いてた様に見えたんだが。ぎゃーって言ってたし、もう1回撃ってみろよ。」

「そ、そうかしら!セイクリッド・ターンアンデッド!」

アクアさん自身は不安そうにしながらも、もう1回浄化魔法を放った。

 

「ひあああああああああああ!目が!目があああああああああ!」

 

「ど、どうしよう!私の浄化魔法がちっとも効かないの!」

「すごく効いてる気がするが」

カズマさんの言う通り絶対聞いてる気がしますね。たぶん後10回ぐらい撃てば倒せそうな気がしますよ。

このままじゃ・・・。そう思って後ろの方にいるスター達の方に戻る。

 

「ねぇ、スター。このままじゃ・・・わたしたち・・・何の活躍もしないで終わりそうなんだけど・・・」

「そうです。コニファー様の言う通りです・・・ここでベルディアを倒し報奨金を手に入れないと商会の負債が返済限度を超えます。」

わたしがそう言うと、シャロンも同様にスターを促す。

「わかってるわ!パニラ!?まだ撃てないの!!」

「待ってよ!?マナタイトも使ってるけど・・・暗黒エネルギーの充填率が上がるのが遅いのよ!!」

パニラにまだ撃てないと言われたスターは

「だ、大丈夫よ・・・あの人も仮にも魔王軍の幹部やられるわけがないわ。」

と虚勢を張る。

 

 

「エクスプロージョンッッ!!」

めぐみんさんの掛け声とともに巨大な爆発音が響き渡る。

 

 

「うおおおおおお!頭のおかしい紅魔の子がやりやがったぞー!」

「名前がおかしいだけでやる時はちゃんとやるじゃないか!」

「やったぞー!魔王軍の幹部を頭のおかしい子が倒したんだー!」

 

おいおいおいおいおいおい!?!?!?!?終わった!?終わっちゃった!?!?

 

「す、スター様!?魔王軍の幹部、死んだみたいですよ!!」

シャロンが狼狽しながらスターの肩をゆする。

「ふっ、ふへへへへ・・・終わった・・・なにもかも・・・借金が残った・・・・」

 

お祭り騒ぎになっている周りをよそに、わたし達妖精はお通夜状態。路頭に迷うことが確定したから・・・・

 

「あはは・・・充填率90%なんだけど・・・どうする?」

パニラちゃんが半笑いでスターに聞いてくる。

「撃っちゃおうか?昔、村に来た異邦人が言ってたわ・・・リア充は死ねって・・・あの時は言っている意味が分からなかったけど・・・今ならわかるわ・・・あれがリア充っていうのよ。」

そう言って、スターが新大石砲改の発射ボタンに指を近づける。

 

「いやいやいや!!待って待って!!落ち着いて!!」

「そうよ!スター!?自棄を起こさないで!!」

サニーとルナが慌ててスターを止める。

「充填率100%・・・」

パニラちゃんの半笑いのつぶやきがやけに耳に残った。

 

 

「…クハハハハ!面白い。ぬおぉ!?」

ガシャン!!

 

ベルディア!!さすがは魔王軍の幹部!!生きていたのか!!しかも、ご丁寧に昨日仕掛けた虎ばさみに引っかかってる!!

 

「みんな!ベルディア死んでない!!死んでないよ!!」

わたしの一言でみんなが活気づく。

「おお!」「さすがは魔王軍幹部!!」「生きてるぞ!!」

 

そんな、場違いな空気を放つわたしたちに冒険者たちが気が付く。

「な、なんだ!!妖精達がなんだかヤバそうなの持ち出してるぞ!!」

「マジでヤバそうだ!!道を開けろ!!巻き込まれたら、たぶん死ぬやつだ!!」

 

 

わたし達とベルディアを遮る物がなくなった。

ベルディアからもわたし達が言えるわけで・・・

「お!?おい!やめろ!!こんなの属性とか関係なく死ぬからー!!」

 

「相転移出力、最大限!」(妖精A)

「縮退圧、増大・・・!」(妖精B)

「重力崩壊臨界点、突破!」(妖精C)

「いつでも、撃てます!!姫様!!」(パニラ)

地面がガタガタ揺れて、小石が飛び跳ねている。雰囲気は超兵器の発射直前だ。

 

「待って!待ってください!!もう帰ります!!帰りますから!?」

ベルディアが思いのほかヘタレたが、とりあえず決め台詞を言っておこう。

 

わたしはベルディアの方にスモールソードを向けて言い放つ。この決め台詞を・・・

「あなたたちの存在をこの世界から抹消します。魔王軍死すべし、慈悲は・・・ない!!・・・発射!!」

 

「うぎゃあああああああああああああああああ!!!」

やった!やったよ!!魔王軍の幹部をやつけたよ!!エリス様!!見てますか!!

わたしたち!!やりましたよ!!エリス様!!頭撫でてください!!ふぉおおお!!

「くくくくくくくく!!ははははははははははは!!」

ちょっと我に帰る。あれ、なんか悪役っぽい。ちょっと軌道修正。

「やったね!!わたし、良い子だから!!魔王軍ぶっ殺した、良い子だから!!きっと、頭なでなでしてくれるよ!!やったね!!てへぺろ!!」

※ハイになりすぎて頭、おかしくなってます。

 

なぜだ!!なぜ、みんな・・・引いちゃってるの!?こんなにブリっこしてるのに?

ルナなんて

「ごめんね!!コニファー!!あなたにこんな重荷を背負わせたばっかりに!!」

などと言ってわたしに抱き着いて涙を泣かしている。どうして!?

 

「っぐ、お・・・し、死ぬかと思ったぞ・・・・」

ベルディアがなぜかボロボロの状態だが地面から這い出てきた言った。

なんで死んでないの!?死んでなきゃダメでしょおおおお!?

※重要なので2回言いますが、ハイになりすぎて頭、おかしくなってます。

 

 

「だが、まあ、この俺自ら貴様らの相手をしてやろってもよいだろう。」

「うるせぇ!おまえなんか、こわかねぇ!!やろう!!ぶっ殺してやる!!」

わたしはこの訳の分からない衝動のままにベルディアに切りかかる。

それに、何人かの冒険者たちが続く。

 

ベルディアは首を天高く放り投げる。

そして、次の瞬間・・・

なぜか、わたしの腹部を貫くベルディアの大剣。

彼は剣を掲げる形なので重力によってわたしは串刺しになる形で下の部分まで落ちていく。

「ぐっ・・・あっ・・・うぅ・・・」

また、死ぬ瞬間かな・・・頭の中がだいぶ冷めてきた。

あぁ、痛い。串刺しは痛いわ。わたしは剣を引いてベルディアの鎧の隙間の目の部分に突き刺した。

「ぐおっ!?・・・・・・最期に一矢報いたか・・・」

 

わたしの記憶はここで一度途絶える。

 

 

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