イナズマランドパーク【京黄】   作:あっさりぽん酢

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京黄と宗拓の小説です。キャラ崩壊ありますのでご注意ください。それではどうぞ


2話

色々あって俺と黄名子が向かう遊園地、イナズマランドパーク。開園したばかりだというそこは中々の注目度、人気があるらしく、ネットでの評判も良かった。ここまでの評価があると知って、俺も少しは行きたいという感情が本気で芽生え始めているのは黄名子には内緒である。

 

今日はいい天気だ、電車にも間に合い、チケットもある、井吹や他の知り合いに会う事もない、完璧・・・・と言いたいところだが、俺達にトラブルは付き纏う運命にあるのか、一つ問題が。

 

「あー・・・黄名子、キツくないか?」

 

「混んでるからキツいのは仕方ないやんね」

電車が超満員だった。

 

完全に体が密着しているので、俺は見下ろす形で黄名子を、それに対し黄名子は俺を見上げる形で答える。

 

考えてみれば、今俺達が乗っている電車は、人気急上昇中のイナズマランドパーク行きで、今日は日曜日に加え夏休みの真っ只中。これだけの条件さえ揃えば朝方の電車が混むなんてすぐに予想できたはずなのに、黄名子は遊園地に行ける嬉しさ、俺は謎の緊張感のせいで全くそのことを考えていなかった。

 

扉に押し付けられる形で立つ俺達。回りは俺達と同じ中学生、少し上の高校生くらいの人の姿が多い。恐らく俺達と同じ場所に向かう途中だろう、となると途中で空いたりもしないだろうし、参ったな・・・。

 

「なぁ・・・この体制だけでもどうにかならないか・・・この体制は色々と・・・」

 

「んー?別にうちはキツくても耐えられるから心配しなくていいやんね」

 

んー・・・まぁ、黄名子なら当たるものもないしいいか・・・

 

「今剣城すごく失礼なこと思ってる気がするんやけど気のせい?」

 

こいつやっぱり所々鋭い。

 

「そっそれよりほら!もう次だぞ、降りる準備しておけ」

 

「むー、怪しい・・・」

 

黄名子の探るような視線から逃げるように、俺は電車内に流れるニュースを見るフリをした、しようと思った。しかしそれは、首を回した俺の目の前にいる高身長の人間に邪魔され、見ることが出来なかった。

 

俺は首を戻しその人から目をそらした、その人間がしている黒色のバンダナを見ると、とある知り合いを彷彿とさせて嫌になるから。

 

最悪のパターンをふと考えたが、すぐに止めた。稲妻町から離れたこんな所にいるはずがない、誰かを連れまわしているのなら別だがな。

 

――――――――――――――――――――

 

「なぁ井吹、お前がとても良い所だから連れて行きたいと頼み込むから付いてきたんだが、何故この電車はこんなに混んでるんだ。あともっと離れろ気色悪い」

 

「気にするな神童、電車が混むなんて当たり前の事だろう。あと俺は離れる気はない」

 

井吹と二人満員電車の中、並び立つ。こいつがどうしても付いてきて欲しいと盗んだ品を数点手に持ってきたので、俺は仕方なくこうして日曜日の朝方から井吹と出かけている。ちなみに俺が盗まれたものはあと数十点くらいはある。

 

井吹と一緒というのが既に不安しかないのだが、先ほどから俺に何か仕掛けてくる様子もないし、今回は純粋にチームメンバーとの遊びを楽しんでいるだけなのか?もしそうなのだとしたら俺も警戒しながらより、仲間との外出を楽しむべきだろう。

 

「しかし良かった。お前の事だから何か変なことに巻き込まれると勝手に疑ってたんだ、すまなかったな」

 

「気にするな神童。あと謝罪なんて止めてくれ、俺の中にある善意の残りカスが痛む」

 

「よく残りカスの善意で人とコミュニケーションが取れるなお前」

 

何故俺の謝罪にこいつの残りカスの善意が痛むのかは知らないが、俺は得に気にすることなく、目的地への到着を待った。

 

暇になったので、回りの雑音に傾ける。すると何処からか、「~~~やんね」と言う台詞が聞こえ、珍しい語尾だなと思った。・・・・確か知り合いにそんな奴がいたような気がしなくもない。

 

まぁ、稲妻町からはだいぶ離れたんだ、そんな奴がこんな所にいるはずもない、誰かと遊びに来ているなら別だろうが。

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

「着いたー!やんねー!」

 

黄名子が声を上げて叫ぶ、やっと満員電車の窮屈さから開放されたのが心のストッパーまで跳ね飛ばしたのか、いつも興奮している時よりだいぶ大きな声だ。

 

「しっかし暑いな・・・電車内が蒸し暑かったせいで余計暑い・・・」

 

「まったくもー剣城はだらしないやんね!このくらいの暑さじゃまだまだ平気ようちは!」

 

「俺はお前みたいに単純じゃないからだ。お前だって体自体は疲労してるんだから、そこの店で少し休んでから行くぞ」

 

そういって俺は近くのカフェを指差す、あそこなら涼しいだろうし、ドリンクだけ頼んで少し休ませてもらおう。

 

「えー!もうすぐそこやんね!平気だから行こーよー剣城ー!」

 

黄名子が子供のように俺の服のすそを掴んでだだをこねる。早く行きたい気持ちも分からんでもないが、それで体力が尽きたら元も子も無い。

 

「いいか黄名子、楽しむのは夜まで出来るんだ。疲れてる今行って夜楽しめなくなるより、今少し休んで最後まで遊ぶほうがお前もいいだろ?」

 

「それは夜の観覧車にうちと乗りたいから?」

 

「ごふぅっ!?おっお前それ何で!?」

 

「剣城のお母さんと剣城が話してたやんね、うちと観覧車に乗るなら夜だ~っとか何とかって」

 

「あれは俺が乗りたいとか行ったわけじゃなくて母さんがだな!!いや忘れろ!いいからさっさと行くぞ!」

 

「?顔すごい真っ赤やんね剣城?つーるーぎーー?」

 

黄名子の背中を押して入店。その後俺達は30分程度の休憩を取った。

 

ー30分後ー

 

「行くぞ黄名子ー」

 

「待って剣城ー!まだサンドウィッチ残ってるー!」

 

「少し休憩するだけだってのにガッツリ食うなよ・・・」

 

黄名子が急いで食べている間に会計を済ます、口に強引に詰め込んだのか、頬を膨らませた黄名子の姿を確認して、俺は店をでた。

 

自動ドアを開き、店を出る。その直前、一人の女性とすれ違った。何故かは分からない、分からないが、俺は確かに、その人の姿を目で追っていた。水色のシャツに、純白のスカートを履いた女性だ。

 

「剣城?そんなところで立ってたら他の人に邪魔やんね」

 

と、黄名子の声で我に返った俺は、黄名子の顔を見て、再度足を動かし、店の入り口から離れる。

 

一つ分かった。あの人、誰かに似てるんだ。誰に似ているのかはよく分からないが、多分よく知る人物に。

 

だがそんな事は今は考えなくていいだろう、今やるのは、向かいの店のハンバーガ-をキラキラした目で見つめている黄名子を、遊園地の入場ゲートまで引っ張っていくことだ。

 

~~~~~~~~~~~~

 

「なぁ井吹、お前が連れてきたかったのってもしかしてここか?」

 

「あぁここだ。入場料は気にするな、チケットは俺が持ってる」

 

着いたのは、最近出来たというイナズマランドパークという遊園地だ。一瞬入場料の心配をしたが、井吹がペアチケットなるものを持っていると聞いて安心した。それだから俺を呼んだのか、ならばここは言葉に甘えよう。

 

「じゃあ行くか井吹」

 

「あぁちょっと待ってくれ神童。入る前に行きたいところがあってな」

 

と、井吹に入場しようと声をかけると、そんな事を言い出した。

 

「実はこの近くに結構いい感じの洋服店があってな、落ち着いた感じの服を扱ってるんだ。その中でお前の雰囲気にぴったりの服が合ったから買ってやりたくてな」

 

そういって井吹がその店に向かおうと歩みを進めるが、流石にそこまで奢ってもらう訳には行かない。

 

「いやそこまでしてもらわなくてもいいぞ井吹。ペアチケットだけでも十分ありがたい」

 

「頼む神童、いつも衣服を拝借している侘びだ。何枚かは煎じて切り刻んで湯に浸けて飲んでしまったりしてるから駄目になってるしな」

 

「今のお前の発言で気が変わった。ありがたく奢ってもらう」

 

井吹の後ろをついて歩くこと数分、本当に近くにあった店に入る。

 

『いらっしゃいませー』

 

店員さんのお決まりなセリフに軽く会釈し、井吹に連れられるがまま奥へ。

 

「じゃ神童は試着室で待っててくれ。俺は前見つけた奴持ってくるから」

 

「あぁ、だがやっぱりなんだか申し訳ないな」

 

「だから気にするな、ほら、またな。さっさと終らせるから服は脱いといてくれ」

 

なるほど時間短縮か。俺が入った後、試着室のカーテンを井吹が閉め、井吹は服を取りに場を離れた。その間に俺は上と下を脱ぎ、少し待った。

 

1分程度だったと思う、服を手に持った井吹がカーテンを少し開ける。

 

「ほらこれだ、きっと似合うと思う」

 

井吹が渡してきたのは、折り畳まれた水色の、首下に可愛らしいフリルのついたシャ・・・フリル・・・?

 

「なぁ・・・似合うっていうから来たんだが・・なんでこんなフリ―――――」

 

「じゃあな神童」

 

俺が確認するより早く井吹がカーテンを閉め会話をシャットアウトした。俺は何かとてつもなく嫌な予感が脳裏をよぎり、折りたたまれた服を広げた。

 

姿を見せたのは、水色の布に可愛らしいフリルとリボンのついたシャツと、白い純白のスカートだった。

 

「井吹ぃっ!?これは一体どういうことだ!?」

 

俺はもう何がなんだか分からなくなり、外にいる井吹に大声で呼びかける。

 

『何って言っただろ。神童にぴったりの服を見つけたから買ってやろうと』

 

「重要なのはそこじゃないぞ!性別を考えろ性別を!これは男が着るものじゃない!!!」

 

『大丈夫だ、間違いなく似合う』

 

「だから重要なのはそこじゃないと言ってるだろうが!!!」

 

こいつまさかこれが目的か!?俺にこれを着させる為にペアチケットまで用意したのか!?こいつ怖すぎるぞ!

 

「とにかく俺はこんなもの着ないぞ!もう帰るからな!」

 

『別にいいがお前の服は俺が持ってるから出るなら下着姿だな。しかし、なんだか他の客の姿も目立ってきたな』

 

「井吹ぃっーーー!?」

 

よく見るとさっき置いた場所に俺の服がない。完全にやられた・・・井吹と一緒にいるのに警戒を解いたせいだ・・・!

 

「これを・・・着ろというのか・・・!?俺に・・・女装しろと・・・っ!?」

 

苦悩の末、俺は悟った、もう諦めるほうが早いと。シャツとスカートの間に挟まっていたニーソックスを見て、生足を見せなくて助かったと、安心した。

 

全て装着し終わってから外に出るのに、10分くらいかかった。

 

ー10分後ー

 

「(パシャパシャパシャパシャ)まさか神童がほんとに(パシャパシャパシャパシャ)着てくれるとは思わなかった(パシャパシャパシャパシャパシャパシャ)」

 

「止めろ(パシャパシャパシャパシャ)井吹撮るんじゃない(パシャパシャパシャパシャ)これ以上俺の人生の汚点を形として残(パシャパシャパシャパシャパシャパシャ)お前さっきから何枚撮ってるんだ!?頼むから止めてくれ!」

 

カメラを構える井吹のレンズを片手で押さえ、止めさせる。

 

「似合ってるぞ神童、今すぐにお持ち帰りしたい」

 

井吹から貰ったメガネをかけ、風に揺れるスカートを手で押さえる。今俺は何か大切なものを失っているような気がしてならない。

 

「なぁ井吹、お前は本当に俺にこれを着せるためだけに来たのか・・・?それならもう済んだだろ・・・わざわざ遊園地前まで戻らなくても・・・」

 

「いいや、勿論ここにも入るぞ。神童これを見てみろ」

 

そういって井吹が、持ってきたというペアチケットを見せる。そこには・・・

 

「カップル用・・・?なぁ井吹・・・お前・・・もしかして・・・」

 

「・・・・・・神童、今日は彼女だな」

 

「うああぁあああああああぁーーーーーーーーっ!!!!!!!!!」

 

「そんなに騒いでいいのか神童。まわりに女装がバレるぞ」

 

「っ!?」

 

井吹に指摘され、叫びたい心を抑え周りを見る。幸い遊園地のすぐ近くで騒音にかき消され、俺の叫びはまわりにはバレなかったようだ。

 

今日はゆっくり出来ると・・・・思ったのに・・・!

 

こうなった以上、派手なことは出来ない・・・女装がバレないよう振る舞い、今日一日を終え、井吹に制裁を加える。これをしなければ俺の人生は終る、雷門中元キャプテンが女装趣味だなんて絶対にバレる訳にはいなかい・・・!!!

 

しかし、心身共に疲れきったこの状態で今日を生き残ることが出来るだろうか・・・いや無理だろう・・・。

 

「井吹・・・俺はそこのカフェで休む・・・今日一日が終ったらその服返せよ・・・」

 

そういって俺はカフェに向かって歩く。ここで一日中時間を潰すことは無理かも知れないが、遊園地に入るまでの時間を延ばし、こいつの彼女を演じる時間はグッと減る。いい判断だろう。

 

入れ替わりで出てきた客がこっちを見る視線を感じるが、もうこの疲れ切った状態で気にする気力もない、どうやら井吹が言うには、微塵も嬉しくはないが似合ってるらしいので、普通にしてる限りはバレないだろう。

 

『いらっしゃいませー。何名様ですか?』

 

「あ、一応ふた――――」

 

「女装客が喫茶店に入店っと・・・ツイートボタンをポ」

 

「失礼しましたぁああああああぁーーーーーっ!!!!!」

 

どうやら俺に残された道は地獄の一本道だけらしい。




最後まで読んでいただきありがとうございました。前の後書きで遊園地デート書きますとか言ってたのに2話になってもまだ入ってませんね・・・。次回こそはっ・・・次回こそは・・・!投稿のお知らせはツイッターで連絡してますので、よければどうぞ 【@ponzu_ss1026】。感想等お待ちしております
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