そして、文才を下さい
夢を見ていた
これは前世の記憶
毎日が同じ繰り返しのようなものだった
朝起きて、朝ごはんを食べて、会社に行って働いて帰る
家に着いたら晩ごはんを食べて、そして寝る
休日は剣道場に行くか、図書館で本を読むかくらい
あ、サーティ◯ンは毎日通っていた
それぐらいしかなかった
幼い頃から継続には自信があった
だから小学生から始めた剣道は社会人になっても続けていたし、読書もずっとしてきた
だけど、それだけだった
だからか、自分にしかできないことを求めた
自分の存在理由が欲しかった
私の存在理由が━━━━━
目を覚ますとそこは以前眠っていた場所だった
「あら?目が覚めたの?」
横には鎖で縛られたままのエウリュアレがいた
「こうやって縛られてるのは遺憾だけど、あなたの寝顔が見れただけ少しだけ良しとするわ」
「どれほど眠ってましたか?」
身体を起こし、軽く動いてみる
疲れはとれたようだ
「まだ30分も経ってないわ。それよりあなた」
クスクスと笑う
何かあったのだろうか
「あなたの寝顔って可愛いわね」
「女神に可愛いと言われても、あまり嬉しくないですね」
「そうね、あなたは神を……特に女神を嫌っている。だから神性に強いのね。例えばこの鎖とか」
引き千切ろうとするがびくともしない
ヘラクレスレベルの腕力がなければ無理だろう
「女神だからこんな仕打ちをしたわけではないのですが……いえ、女神であるからこのような状況に陥ったのですね」
「私を"アーク"に捧げないためでしょ?」
やはり気づいていたか
「あなたが捧げられたらこの世界は終わってしまう。これは黒髭の目的が達成しません」
「黒髭の?そういえば、あなたや黒髭は世界を破壊する側に立っているはずよね?なぜ私を使わなかったの?」
「確かに私たちは世界を消滅に導く敵。しかし、その前に私たちは海賊ですよ」
「海賊?」
「海賊は全ての財宝を奪うのでしょう?海賊なんてなったことがないので憶測なのですが」
エウリュアレは唖然としている
「つまりあなたたちは」
「黒髭の目的はこの世界の財宝を奪い尽くす。私やヘクトール、メアリー、アンはその黒髭の部下。そういう事です」
「……………ふふ。あなたって意外とお茶目なのね」
またクスクスと笑う
そんなに面白いだろうか
「ギルガメッシュ叙事詩に書かれているあなたは、賢者としてのものしかないのよ。真面目で堅物だと想像してたけど……やっぱりあなた、可愛いわ」
敵じゃなかったら気に入っていたのにと呟いている
私からしたらあまり嬉しくないのだが
やっぱり私は神が嫌い
これはもうアレルギーのようなものだ
今は抑えているが、初め会ったときなんてどう殺そうか考えていたくらいだ
神に関してだけバーサーカーになるのかもしれない
ノックもせずにバンっと扉が開く
メアリーだ
「休憩中ごめん、でも急用だから」
「彼等ですか?」
「うん」
ベッドから出る
もう休憩は終わりだ
「彼らとの最終決戦だね」
右手に持っている剣をギュッと握り直している
英霊といえど緊張しているのだろう
なら、私がここですることは
「勝って彼等の財宝を根こそぎ奪いましょう」
「うん!」
緊張をほぐし、士気を上げる事だ
「おや、眠り姫の登場だ」
「海に落としますよ、ヘクトール」
船室から出ると待ち構えていたのはヘクトールだった
「それは嫌だなあ……謝るから許してくれ」
「それでよろしい。現状は?」
「今さっき敵の船が突撃したのを避けて、並走してる。アンが砲撃を防いで、こちらからも砲撃を放ったけど敵船長が防ぎきった」
つまり砲撃で砲撃を防いだって事か?
所謂ビリヤードショット?何それすごい
「あんな曲芸初めて見たよ。砲弾が砲弾で防いだり、銃弾も銃弾で弾いたり」
マジか
お前ら凄すぎるだろ
「それで、今は平行線ってわけですね」
「うん、黒髭が今敵船長と喧嘩してて、いつ爆発するか分から━━━」
爆発した
どこがって?こちらの船が
「砲撃ではないようですね。あれは」
「アーチャーの宝具だな」
敵船長が黒髭にキレて宝具を射たせたのだろう
黒髭慌ててるし
「さて、最初の花火は彼らに撃たれてしまいましたが、こちらも大きな花火を撃ちましょう」
空に向けて杖を振るう
魔法陣が5つ生成される
「5門壊砲」
魔法陣から巨大なレーザーが放たれた
「先輩!」
マシュが必死で光線を宝具で防ぐ
宝具の展開を先に済ませて良かった
だが、威力が高すぎるため完全に防ぎきれてない
黒髭がまたドレイク船長に余計な事を言って怒らせて、アルテミスに宝具を射たせたのだ
そうなったら敵から反撃が来ると予想できる
そうしたら反撃とばかりにレーザー光線が飛んできた
「マシュ!」
「だい……じょうぶで……す。先…輩!!」
ダンッとさらに踏み込み、盾に力を込めている
こういう時、本当に俺は無力だと思う
ただ目の前の後輩に頑張れと祈るしかできない
何弱気になってるんだ
背後にまわって盾を握るマシュの手の上から握る
マシュは驚いていたが士気が上がったのか、さらに力が入っていた
「「うおおおおお!!!」」
バキバキと床が壊れ始めていく
マシュと俺が抑えているのが3門分
残りはアタランテとダヒデ、アステリオスが抑えている
足元の限界が来そうになった途端、光線は突如おさまった
見るとエンムルクの口から大量の血が吐き出されていた
ここが勝機とドレイク船長が砲撃と縄を飛ばした
砲撃は全て撃ち落とされたが縄は数本敵の船に掛かった
「さあ、最後の宴だ!」
俺もマシュと共に敵の船に乗り込んだ
敵の船には黒髭を筆頭にヘクトール、メアリー、アン、そしてエンムルクと鎖で縛られたエウリュアレがいた
「えうりゅあれをかえせ!!!」
アステリオスが特攻しそうになったが、アタランテが放った矢で止まる
「ヘクトールは久方ぶりだ。後の者は初めまして。私はアタランテ」
「敵でもちゃんと名乗る辺りしっかり者だね、アタランテ。私はアルテミス」
「自己紹介しないとだめ?だめか……いや、向こう陣営の女の子も可愛い━━痛い痛い痛いやめてやめて……はあ、オリオンだ」
「僕はダヒデ、よろしく」
「あたしはフランシス・ドレイク……海賊だ」
皆各々名乗り上げる
「私はマシュ・キリエライトです」
「俺は照月聖。カルデアの魔術師だ」
俺たちの陣営が名乗り終えると敵陣営も
「自己紹介は大切だねえ。俺は負け犬のヘクトールだ」
「僕はメアリー」
「私はアン」
「拙者黒髭ww」
「あんたは喋らないで。虫酸が走るから」
「オッフ……メアリー氏が塩対応www」
そして、全員1人に視線が集まる
「………………」
彼女は目を閉じたまま黙っている
「御姉さん、大丈夫かい?さっきも血を━━━」
「私はエンムルク。魔術の始まりです」
「あなたは本当に黒髭の仲間か?是だ。世界が滅ぶ事を良しとするのか?滅ぶなら、あなたたちの力もその程度だったということ」
《これは………》
「まさか!?」
「黒幕とは?イアソン王。倒したのか?倒した。そこで何を知った?世界を滅ぼそうとする者の正体。それを教えてもらえないか?否、それは己で見つけろ。ヒントだけ与える。フォルネウス」
《フォルネウスだって!?まさか……本当に!?》
これで確信した
彼女は俺の……マシュやロマン……多分カルデアの構成員の疑問を答えている
「真名は何か?それも己で見つけろ。いや本当は見つけている。ならなぜ分からないか?己と向き合っていないから」
「っ!!」
マシュが驚愕の顔をしている
俺も驚いている
ここまで読み取られているのか
「長らえることはできないか?是、私なら可能。だが、本心から願わなければ不可能」
《何………!》
何の話だろうか
ロマンは苦虫を噛んだ顔をしている
何か重要な事なのだろうか
「これで大まかな質問は答えましたね。では」
杖を構える
瞬間、場の空気が鋭利なものに変わる
「待って下さい!何故ここまで教えてくれたのですか?何故━━━キャッ」
魔力弾が飛んできてそれをマシュは防いだ
エンムルクを見たら"話はおしまいだ"と目で語っていた
「マシュ、闘おう。それからだ、話をするのは」
「っ……分かりました。マシュ・キリエライト、行きます!」
この世界の命運を賭けた戦いが始まった
はっきりいって限界だ
いや、限界なんてとうに通り越している
気合いで何とか現界している
どこのインドだよ
さっきの質疑返答はいつ消えるか分からないから答えれるものは答えたかった
チラッと周りを見る
私に向かってくるのは盾子のマシュ、アタランテで、黒髭にはドレイク船長
メアリー、アンにはアルテミスとダヒデで、ヘクトールにバーサーカーといった具合だ
「汝、本当にキャスターか?」
「私はキャスターですよ?」
「では、何故私の攻撃を"剣"で捌ききってる」
海水で作った剣でアタランテの短刀と矢を捌いていた
これはエルと模擬戦をしてたからだと思う
基本武器を手にし、後は詠唱しながら遠距離攻撃を放つ
これをし続けてたら、戦闘スタイルになってしまっただけだ
「私の速さに魔術なしで対応できる魔術師は初めてだ」
「凡百の魔術師と一緒にしないで欲しいです。努力の度合いがけた違いです」
「そうか」
矢を私の喉に向けて突き出す
私は軽々と避けて、右手の剣を槍に変えて突き出した
剣術槍術弓術拳術と様々な攻撃を使う
「汝、本当にキャスターか!?」
これにはアタランテも驚いたようだ
これぐらいやってないとウルクでは生きていけない
この間マシュはというと
「グッ……この!」
海から飛んでくる槍やら剣やらを対処していた
これを本当はアタランテにもやるのだが、やるまでもない
その程度の実力だったのだ…彼女らは
「どうしたのです?目を細めて」
「………いや、何でもない」
短刀を逆手に持って腕を狙う
その一撃を曲刀でいなす
「水を使った魔術………いや、海水の魔術に何か思い入れが?」
「………………何でもないと言ったはずだが?」
「ヒッポメネス」
「っ!」
動きが急に速くなった
まあ捌けない速さではないが
「私は敵の事はキチンと調べておくタイプですので。あなたの夫はポセイドンの孫ですね。何かしら海に関しての力を有しててもおかしくありません」
「わざとだな。わざと海水で剣や槍を作って戦ってるのは」
「当たり前です。剣なぞ魔力で固めたら簡単に生み出せます。他にもこのような芸当もできますよ」
右手の短剣を捨て魔力で丸いものが出来てくる
それをアタランテの横を通るように投げる
「な!?」
リンゴ
しかも黄金に輝くリンゴだった
それを目にしたアタランテは固まってしまい
「終わりです」
今までマシュに飛んでいた槍などがアタランテの背中を深々と突き刺さった
「きさ……ま」
ゴフッと血を吐き出すアタランテ
目から怒りが滲み出している
「別に卑怯ではないでしょう。相手の弱点をつくのは」
「それは……わかっている……だが」
「貴様ほどの実力者がなぜ真っ向勝負をしないのか?単に、私の身体が限界なだけです。魔術を使うのも辛いくらいに」
核も壊れてるし
確かに真っ向勝負しても負ける気はしないけど、時間がかかるし
その間に消滅されても困るし
本当にこの無駄にある魔力に感謝だよ
この魔力で擬似的に核を作り出し、何とか"世界"を騙している
まあ、後少しで魔力も尽きる
咄嗟に作ったせいで燃費の悪いものになってしまった
後数分で私は消滅する
「今私に出来ることは、仲間に負担をかけないこと。敵戦力を多く削り取ることです」
「そう………か。今回は……私の負………けだ。次は負け………な……………い」
バタリと倒れ、そのまま消滅する
弓使いだというのに何て上手い短刀捌きなのだろうか
次は不意打ち効かないな
「はあああああ!」
マシュが突っ込んで来る
「特攻はバーサーカーのするもので━━!?」
盾が"飛んできた"
マシュが盾を投げつけたのだ
これには驚き避けたものの身体の動きが鈍った
その隙を狙うかのように腹部に強烈なフックを放たれた
「カハッ」
くの字に身体が曲がり一瞬息ができなかった
マシュはここで止まったら負けると言わんばかりにラッシュする
初めは殴られっぱなしだったが、立て直してガードをする
こういう殴り合いというのは絶対に顔に攻撃を受けてはならない……エルなら食らってもほとんど変わらないけど
「調子に乗らないで下さい!」
マシュの背後に魔力弾を生成して放つ
だがそれが当たることはなかった
「ふふーん、今のすごかったでしょ!ダーリン!!」
「はいはい、そうですね」
アルテミスの放った矢が魔力弾とぶつかったのだ
アルテミスの攻撃?
メアリーとアンは?
彼女たちは壁にもたれながら肩で息をしていた
黒髭も追い込まれていた
ドレイク船長が急に別方向に銃を向けて撃った
そこにはエウリュアレがいて鎖を破壊された
そうか、彼女に神性はない
神性軍団だったから忘れてた
エウリュアレもすぐにアステリオスの方へ向かい、ヘクトールと対峙している
「ここまで……ですか」
「はい、この全額勝負…私たちの勝ちです!」
「………ヘクトールと私を押さえ込めば勝てる……ですか。確かにメアリー、アンは先の戦闘で疲労し、黒髭も単体ではそこまで強くありません。これは私たちの敗北濃厚です。しかし」
無意識に慢心していたのだろう
私たちなら余裕だと
今ごろあの慢心王が、笑い転げているだろう
なら、ここから慢心しなければよい
一撃だけなら撃てる
フワリと浮かび上がり、船を見下ろす所まで浮く
嫌な予感がしたのか、マシュが盾を拾い上げ、マスターの前で防御体制になる
「敗北するなら、最期はどでかい花火を放つまで!」
海水が私の上にどんどん集まってくる
それをずらりと球体にして並べる
「ゴホッ………さあ!かの王の一撃を味わうがよい!」
球体は剣や槍、矢等様々な武器に変わる
「
轟音が響き渡った
まさに落雷の如く
ああ……黒髭すみません
あなたの船をおもっいきりボロボロにしてしまいましたね
決して悪意はありませんよ、ええ本当に
魔力が尽き、そのまま落ちていく
少なくとも2基は倒せた
アステリオスがエウリュアレを庇い、オリオンを庇ったアルテミスがやられた
これでぐっと勝機はこちらに傾いただろう
「ああ……」
泥まみれな戦いだ
ギルは鼻で笑い、エルは驚くだろうな
「でも……たまには悪くないですね」
無表情の顔が今は緩んでると思う
気を引き締めたいが、もう力が入らない
「よっと!」
そのまま船に叩きつけると思ったが誰かに受け止められたようだ
所謂お姫様だっこである
普段なら魔力弾を顔にぶつけるが、その魔力も気力もない
「………ヘクトール?」
「頑張りすぎだよ、御姉さん」
「………………そうですね」
「…………………」
ヘクトールが驚いた顔をしている
あれだ、息を飲んだ顔
「どうしましたか?」
「御姉さん、そんな顔ができるんだなって。いつも無表情だから……不覚にもドキッとしたねえ」
「そうですか…………」
だんだん景色が霞んでいく
目の前のヘクトールもぼやけて見える
「ヘクトール……」
「なんだい?」
「……惚れるなよ?」
柄にないことを言う
正直噛みそうになった
「惚れたさ」
「なっ」
今度は私が驚いた
「本当は惚れた女の前でカッコつけたかったが、今は休んでてくれ……"エンムルク"」
気が完全に緩んだようだ
霞んだ景色が暗くなっていく
「ええ……………頼みました」
ここまでが私のウミノセイハイ戦争
ここからどうなったかは後で知ることになるだろう
この戦いで確かに感じたことがある
あの者たちと共に戦えて本当に良かったと
さて、オケアノスが終わりました
ここからどうしようかと考え中です
まあ……何とかなるさ
おまけ
服装について
第1段階
ハサン先生やジャックのような感じの灰色の外套で全身を覆っている
髪は長髪ポニーテール
この姿でオケアノスにずっといました
絶対暑いだろ
第2段階
外套を外している
服はジャンヌの鎧を外した感じ
感じであって同じではない
どんな感じ?
ご想像にお任せします