英雄王に姉がいたなら   作:mocomoco2000

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太陽の光を道標に歩いていけ
幸せって今はわかんなくたっていいんだ
何も後悔なんてなく精一杯生きて前を向け

まだ旅は始まったばかりなのだから
君はまだ歩き始めたばかりだ


Close singularity front line Ⅰ

やあ、お疲れ様

どうかな?少しお話しでもするかい?

緊張しているみたいだね……僕も緊張しているよ

こんな大一番はグガランナと対峙した時以来かな?

…………………ここまで色々あったね

そういえば、君たちとの出会いはかなり印象的だったね

彼女もいたし……………

 

 

 

 

 

「今回の特異点は紀元前。まだ神々が闊歩していた時代………メソポタミアのウルクだ」

 

ウルクと聞いて俺とマシュは顔が強ばる

ウルク……なら舞台はギルガメッシュ叙事詩になるだろう

小ギルとも出会って"また特異点で会おうね"って言われたし、何より

 

「ミス、エンムルクが生きていた時代ですね」

 

エンムルク……第3特異点で出会った原初の魔術師

彼女が生き抜いた時代である

彼女の異常さ、強さは他の特異点でも思い知った

第4特異点のロンドンの時計搭で

第5特異点で出会った影の国の女王のスカサハから

第6特異点のアトラス院で

全部言伝てだが……いや、だからこそ彼女の恐ろしさを知った

さらに彼女と同等クラスのギルガメッシュやエルキドゥ、神々までいるまさに魔境の時代だ

 

「はっきり言って今回の特異点は今までの比にならないかもしれない。でも、君たちならいける!必ず修復できる!」

 

「「はい!」」

 

「では行くよ。レイシフト先は古代メソポタミア……ウルクだ!―――――

 

 

 

 

 

「先輩!」

 

俺たちは第7特異点のバビロニアの人理修復に突入した

レイシフトした途端に空に投げ出され、着いたら見たことのない魔物に襲われ、倒したら空から女の子が落ちてきて、揉めてたら魔物に襲われ、女の子が逃げたらさらに魔物に襲われていた

 

「どうしよう……一点集中して突破できるか?」

 

「かなり厳しいです。私が囮になって先輩だけでもここから離れて下さい」

 

「ダメだ!いくらマシュが防御力に優れてもこの魔物の数は厳しすぎる!」

 

「だったら!」

 

その時急に空から雨が降ってきた

見上げると空はカラッと晴れている

だが、うっすらと魔法陣が一面にはられていた

不思議なことにこの雨は俺たちを濡らさなかった

だが雨は魔物を溶かしたり、穴だらけにしていく

 

「一騎当千の者だとしても、ああ集られたら身動きがとりづらい。さらに非戦闘員がいればさらに生存率が下がります。ならどうするか……こうなることを事前に予測して行動する。以後注意するように」

 

雨は止み、魔物は軒並み駆逐された

コツコツと杖をつきながら何者かが俺たちに近づいてくる

 

「あなたは!?」

 

忘れられるわけがない

オケアノスの特異点の時一番危険だと言われた人

全額勝負を勝利したと思ったらたったの一撃で2基のサーヴァントを倒して攻勢を逆転させた人

 

「サーヴァントエンムルク……以後お見知り置きを」

 

原初の魔術師が目の前に立っていた

 

 

 

 

 

《聖君!君の目の前にサーヴァントの反応があるのだけど!》

 

「はい!目の前にミス、エンムルクがいます」

 

《エンムルクだって!?これは良かった!これ以上にない助っ人だ!》

 

いや待て、エンムルクはこの時代の英霊……普通なら現地人、生きてないとおかしくはないか?

 

「待ってください、ミス、エンムルク……貴女はこの時代の人です。ですが何故サーヴァントとして顕現しているのですか?」

 

マシュも同じ事を考えてたようだ

 

「ああ、それはですね……この時代は私の死後の事ですから」

 

《死後……つまり天の牡牛を倒した後ということか》

 

オケアノスの戦いの後にエンムルクについて調べてみた

エンムルクはギルガメッシュ叙事詩に登場する最古の魔術師で、全ての魔術の原点であるとされていた

他にも農業や学業とかにも力を入れ、ウルクを繁栄させたとされている

彼女が書いたと言われている全知全能の書(ムンム)は持つだけで魔術に素養がなくても魔術が扱えるようになるとさえ言われている

特異点ロンドンの時計搭に全知全能の書の紙切れがあったがとても厳重に保管されていた

それほど危険なものなのだろう

エンムルクの最期は天の牡牛との決戦で大魔術を発動し消えたとされている

 

「この時代は私が消えて、ギルとエルが不死薬の探索をして帰還した1年後です。特異点として時代のずれが起きたのは今から半年前のことです」

 

「半年前………」

 

「そして、城塞都市の8割は消えてしまいました」

 

「8割も!?いったい何があったのですか?」

 

「先ほども見たでしょう。あの魔物です。あの魔物が人々を襲い、殺し、餌にしていきました。結果がこれです」

 

バッと手を広げて辺りを見渡す

この廃墟から見てとれた――

 

いきなりエンムルクの横に魔法陣が発動する

そして何かが幾度もなく降り注いだ

その攻撃は爆風をもたらし、俺を吹き飛ばした

 

「先輩!」

 

マシュが盾を投げ捨て俺を受け止める

後輩にこう軽々と持たれたり、受け止められるのってやっぱりこう……辛いな

 

「酷いじゃないですか。未来の魔術師を助けただけですのに」

 

「お前が助ける?違うだろ。油断させて呪うか、その場で殺す気だったろ」

 

俺たちの前に誰かが立つ

緑髪で全身を覆った服……オケアノスで見たエンムルクと似た服装だ

 

「両方ですよ。呪ったあと、そのままウルクに行ってもらって、ギルの御前で爆発させる予定でしたのに」

 

え?

 

「やはりお前はエンムルクではない。ムルクはそんな外道な事をしない。敵となってもムルクはきっと正々堂々と闘う。お前はエンムルクの面をした何かだ」

 

「何を言っているのですか?私はエンムルクですよ?ただ………」

 

右手にある腕輪の2つあるうちの1つが光り、腕輪は魔導書に変わる

 

「思考が少し狂っていますけどね!」

 

一瞬にして魔法陣が至るところに張り巡らされる

緑髪の青年?の横、俺の後ろ等たくさん発動した

魔法陣からは槍やら剣やら、斧が放たれた

 

「先ぱ――――――」

 

声が消えた

爆発や閃光で視界がホワイトアウトする

ここで終わってしまうのか―――――

 

「遠方の魔術師さん、悪いけど……動かないで貰えるかな?」

 

視界がだんだん元に戻る

目に写ったのは数多の剣や槍が地面に突き刺さっていた

さらに目まぐるしく光の線が飛び交っている

線と線がぶつかると線は剣や槍になり地面に突き刺さっていく

つまり、この線は武器が飛んだ軌道なのか

 

「先輩、大丈夫ですか?」

 

「俺は大丈夫……マシュは?」

 

「私も大丈夫です……ですが」

 

「動けないね」

 

まるでこの前見たスター○ォーズの宇宙船同士の闘いみたいだ

ビームが飛び交っているように見える

 

「どうした、精度が悪いぞ?兵器」

 

「…………」

 

緑髪の青年は地面に手を突き刺している

なるほど、多分土を使ってビームを放っているのだろう

 

「僕の事をムルクは1度も兵器と呼ばなかった。さらに言えば、ムルクはいつも無表情だが、たまに微笑んだりする。だから僕は彼女の笑い顔を知っている……彼女は、そんな歪んだ笑いをしない」

 

彼女を見ると確かに笑っていた

だがその笑いは酷く歪んでいた

 

「キヒッ、言わなかっただけで思ってたかもしれないぞ?」

 

「お前は何者だ?」

 

つい聞いてしまう

オケアノスで数度しか出会ってなかったが、少なくともこんな感じではなかった

 

「………なるほど、私と会ったんだね?ヒヒッ………クフフフフフ、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」

 

また爆発でホワイトアウトする

視界が戻るとエンムルクの姿が変わっていた

黒のロングコートにフードを被っている

ロングコートの裾とかに赤い線が何本も描かれていて………最初の特異点のセイバーの鎧、第5特異点で出会ったクーフーリンオルタのマントに似ていた

中は黒のカッターシャツ、黒に赤いラインが入ったズボン……全部黒だった

しかし……

 

「突っ込みたい……凄く現代人に見えるって」

 

「シッ!先輩、私も思いましたが黙っておきましょう」

 

杖を軽く振って魔弾を放つ

それをマシュと緑髪の青年が防いだ

 

「あー、やっとまともに動ける姿になれた」

 

エンムルクは首を鳴らし、腕をグルグルと回している

緑髪の青年は両手に槍を持って警戒していた

 

「本当に頭が痛い………本当に…ギルガメッシュには腹が立つ。何故私をバーサーカーで顕現させたんでしょうね?アヴェンジャーの方が魔術を楽に扱えたのに」

 

「そこには感謝してるよ。もし、アヴェンジャーで召喚されてたら、面倒だった。だって……」

 

槍を徐に投げる

エンムルクは杖でそらしたが、槍はいきなり爆発した

魔法陣で爆発の被害を避けたが、槍は緑髪の青年がどんどん生成し投擲する

爆発する槍もあれば、ただ速い槍もあった

エンムルクは苦虫を噛んだ顔で槍を捌いていく

 

「精度が悪いのは君の方だ。狂化が付与されてるから、そのせいで魔術が上手く扱えていない」

 

「チッ」

 

タンッと距離をとり、レーザービームを放つ

 

「ハアアアア!」

 

マシュが前に出てそのビームを防ぐ

 

「興醒めだ。帰る」

 

クルリと背を向けて歩いていく

 

「待ってください!何故こんなことをしたのですか!」

 

マシュが慌てて質問する

確かに、それは知りたかった

 

「は?そんなの、私の目的のためですよ。お前たちの力量を測るのと、面倒であれば消す……それだけです」

 

急に姿が消えた

 

《サーヴァントの気配が消失……まさか詠唱なしで転移魔術を使ったのか!?》

 

「それは全知全能の書があるからだろう……それより大丈夫かい?」

 

「あ、はい。大丈夫です。先輩は?」

 

「俺も……助けてくれてありがとうございます。あの、あなたは?」

 

緑髪の青年の手をとり、立ち上がる

 

「僕かい?僕はエルキドゥ」

 

「え!?」

 

マシュが驚いた声を発した

俺も驚きのあまり声が出なかった

 

「よろしくね」

 

最古の宝具が手を差し伸べ微笑んだ

 

 

 

 

 

「一言で言うと、彼はとても忙しい」

 

「はあ」

 

あの後、詳しく話をしたいと言って城塞都市ウルクに案内された

彼……彼女?………とりあえずエルキドゥ曰く、ここメソポタミアの8割は滅亡したとのこと

そこら辺は黒いエンムルクが言っていたのと同じだった

 

「僕は兵器だから闘うことしか能がなくてね……できるとすれば彼を諌めるくらい。まあそれは置いといて…あ、マーリン!ちょうど良かった」

 

《マーリン!?何でマーリンがいるんだい!?》

 

「ん?おや、君たちはカルデアの者たちだね。良かった良かった」

 

白髪長髪、いかにも魔術師!って格好の青年がフードを被った少女とともに近づいてきた

 

「おや?彼女は?」

 

エルキドゥが少女の方を見る

初対面なのかな

 

「ああ、粘土板を探してたら彼女を見つけてね。つい拾っちゃった☆」

 

「マーリン、死んで下さい」

 

(なあ、マシュ……)

 

(何でしょうか)

 

(マーリンってあんな感じなの?アーサー王伝説についてはよく分からないから)

 

(トラブルメーカーである事には間違いないと思います)

 

ため息が出てきた

何か……これから色々大変なことになりそうな予感がするから

 

「まあ、彼女の事は………アナと呼んでくれ。あ、穴じゃないよ?」

 

「僕をバカにしてる?分かるから。それで天命の粘土板は見つかったかな?」

 

「西の杉の森にはなかったよ。今からその報告をしに行こうかと思って」

 

天命の粘土板?何だろう、それは

 

「そうか……。で、君の言っていたカルデアの者たちってのは」

 

「そうだよ。彼らはこの問題のエキスパート、専門家だよ。いるのといないのは大違いなほどの戦力だ」

 

「良かった。君に、明らかに遠方から来た感じの者を見つけたらすぐ保護してねって言われたときは、また面倒ごとかなと思ってたのだけど……今回はまともな内容だったんだね」

 

「ははは、僕はいつもまともな事を言ってるよ?」

 

「それで?ギルは今大丈夫?」

 

華麗にスルーするエルキドゥ

マーリンも慣れているみたいで、表情を変えてない

 

「いつも通り忙しそうだよ」

 

「………出直すべきかな?」

 

「いやいや、あの王様には強引にいかないとね!では、カルデアの使者よ」

 

「え、ちょ!?手!」

 

「先輩!?」

 

ドナドナドーナドーナ………マーリンに連れられて…………

 

部屋に入ると、飛び込んできたのは罵声だった

遠くからでも分かる……あれはすごく忙しそうだ

椅子から立ち上がって指を指しながらあれこれ指示しているのが……多分ギルガメッシュ王なのだろう

それを聞いて慌ただしく動いてるのが臣下だろう

 

「やあ!ギルガメッシュ王。只今!帰ってきたよ!」

 

怒鳴り付けながら色々指示していた王様がピタリと止まった

臣下たちも動きを止め、こちらを見る

 

「次だ!バシュムの遺体はどうした?何?腐敗していたから棄てただと?阿保!今すぐ戦線に魔物の遺体で状態の良いものをティアマト神研究所に運べと指示しろ。あそこには暇を持て囃してるバカどもがいるんだ。せっせと働かせよ!」

 

まるでマーリンなんかいなかったかのように仕事に戻る

 

「ちょっと、酷いじゃないか。せっかく良いものを持ってきたのに」

 

それを聞いて作業を止める王様

王様の隣にいた女性が近づいてきた

 

「おかえりなさい、マーリン。王は貴方の帰還を心から喜んでおります」

 

明らかに喜んでないよね?と目で訴える王様

 

「それで?天命の粘土板は見つけたのですか?」

 

「いやあ、西の杉の森にはないようだ。本当に覚えてないのかい?ギルガメッシュ王」

 

「本当に役に立ちませんね、貴方は」

 

「ははは、ストレートに言われたら流石のマーリンさんも傷つくよ?」

 

「お戯れを……彼らは?」

 

彼女は俺たちを見た

自己紹介のために前に出ようとしたらマーリンに杖で制された

 

「おお!そうだった。彼らが僕が言っていた遠方からの魔術師さ!」

 

「いらん。不要だ」

 

「え?」

 

王様との初めての会話は拒絶でした。

え?いやいやいやいや

 

「ちょっとギル、どうしてだい?」

 

後から入ってきたエルキドゥも聞こえてたみたいで理由を聞いた

 

「不要だからだ。我たちの時代は我たちで守る。それ以上もないしそれ以下もない」

 

「でも」

 

「でももあるか。エルキドゥ、お前の顔から察するに"あの"エンムルクに出会ったのだろう?」

 

「え?ああ」

 

「出会ったときコイツらもいたのだろ?それで?"あの"エンムルクに一死報いたか?」

 

「それは………」

 

「話にならん。"あの"エンムルクに攻撃すら当てれないなら出直してこい。さらに言えば貴様たちは今の状況を知らなすぎる。ましな顔になってから来い。シドゥリ、後は任せた。エルキドゥもコイツらと共にいたいならそうすればいい。その前にエルキドゥ、少し話がある」

 

言うだけ言ってギルガメッシュ王は仕事に戻った

 

「あの!俺たちは」

 

目一杯声を出して彼に声をかける

だが

 

「出ていけ」

 

返ってきたのはやはり拒絶だった

 

 

 

 

 

「まさか本当に追い出されるなんて」

 

あの後、話をしようと試みたが完全に無視された

シドゥリと呼ばれた人にとりあえず出ようと言われ、ジグラットを後にした

 

《そうだね……話を聞かないって思ってたがここまでとは》

 

「そういえば、声だけ聞こえるけどどこから話してるのだい?」

 

キョロキョロと周りを見るエルキドゥ

これを説明するのは7回目だな

 

《ああ、これは失礼。遠方から、支援魔術で彼らをモニタリングしつつ、サポートしているんだ。私はロマニ・アーキマン。皆はDrロマンと呼んでいる。よろしく》

 

「これは丁寧に。僕はエルキドゥ、よろしくね」

 

《ああ、これだよ。これが普通の挨拶だよ!》

 

喜ぶロマンは置いといて

 

「これからどうしよ……」

 

「ちょっと僕は用事があるから少し席を外すよ」

 

「あ、エルキドゥさん。ありがとうございました」

 

お辞儀をする俺を見てエルキドゥは微笑み

 

「またすぐに会えるから」

 

と言って立ち去った

さてとこれから本当にどうしようかと考えてたら

 

「貴殿方には仕事をしてもらいます」

 

ギルガメッシュ王の隣にいた女性が近づいてきた

 

「貴女は」

 

「挨拶をしてませんでしたね。私は祭祀長シドゥリ。以後よろしくお願いします」

 

丁寧な礼をする祭祀長

俺たちも慌ててお辞儀をする

それを見たシドゥリは微笑んだ

 

「えと、それで私たちは何の仕事をするのですか?魔物の討伐ですか?」

 

「そういった仕事は兵士がいますので。そうですね……この街で困ってる方々のお手伝いをしてもらいます」

 

「手伝い?」

 

「ええ。仕事は私が後日持ってきますので」

 

「ちょっと待ってください、俺たちは人理修復をするためにき―――」

 

シドゥリが俺の口を人差し指でおさえる

 

「闘う前にまずは仲間を増やしましょう。信用と信頼を勝ち取らなければ話ができないでしょ?それに王はこう言いました。知らなすぎると。今、ウルクがどうなっているのか、この世界に何が起きてるのかをちゃんと知ってからでも遅くないでしょ?」

 

軽くウィンクする

それを見たマシュが慌てて割って入り込んできた

 

「わわ分かりました。それで、私たちはこれからどこに向かえば良いのですか?」

 

「着いてきて下さい」

 

クルリと向きを変えて歩き始める

俺たちも彼女に着いていった

 

 

 

 

 

「とりあえずここを拠点としてお使い下さい。元々酒場でしたが、雨風は凌げますし部屋の広さは十分かと」

 

「見てください!レイシフトしてたった1日でこんな広い家の家主ですよ!カルデア大使館ですよ!先輩!」

 

「夢はプール付きの白いスイートホームだった」

 

用意されたのはとても広い家だった

しかも文句なしの霊脈も通ってるときた

 

「ほお、それは僕と同じだね。僕もスイートホームが夢だったよ。でも今は50軒もあるから有り難みがなくなって………」

 

《って、なんでマーリンもいるんだよ》

 

ホントだ

当たり前のようにマーリンが着いてきていた

さらに後ろからアナも来ていた

 

「ジグラットにも部屋があるんだけど、こっちの方が面し……城っていうのはちょーっとキャメロットを連想してしまってね。なのでこっちに避難したってわけさ。よーし、拠点として使えるかチェックしよう」

 

そう言って2階に上がっていった

 

「マーリンが何か面倒な事をしないか監視してきます」

 

アナも2階に上がっていった

 

《じゃあ、マシュ。そこに召喚サークルを作ってくれ。そうしたら物資も送れるし、通信も少しは楽になるから》

 

「はい。このテーブルを使って………サークルを作ります!」

 

マシュのサークル作りを見ながらダヴィンチちゃんの講座を聞いてたら、トントンと肩を叩かれた

 

(お話し中ごめん、ちょっと来てくれるかな?)

 

(エルキドゥさん?)

 

マシュがサークル作成に集中していて声をかけ辛かったので、そのままエルキドゥについていく

 

(何かあったのですか?)

 

「……………」

 

エルキドゥは無言で歩いていく

何か良くないことが起こったのだろうか

 

 

 

 

 

「ギルガメッシュ王!?」

 

連れてこられたのはカルデア大使館の隣にある小屋

そこに入るといたのはギルガメッシュ王と大きな石板だった

 

「静かにしろ」

 

「は、はい」

 

「ギル、言われた通り貼ったよ」

 

「よし……………」

 

ギルガメッシュ王はぶつぶつと何か呟き始めた

すると足下に魔法陣が発生し、部屋全体に広がる

呟き終えると魔法陣は青白く光っていった

 

「これは………」

 

「認知阻害の魔術などをかけた。悪いがここからの話は他言無用だ。それが遠見の魔術師であっても」

 

色々驚いているが一番驚いたのは

 

「ギルガメッシュ王は魔術師だったのですか!?」

 

ギルガメッシュ王は呆れた顔をした後、鼻で笑った

 

「我は魔術師なんかじゃない。真似事をしてるだけだ」

 

「何故?」

 

「ギルはこの国を本気で守るためにキャスター……だったっけ?その真似事をしてるんだよ。彼は本来アーチャーの適性のはずだけど、それを封印してまで守ってるんだ」

 

「その話は後だ。今はこの石板が先だ」

 

ギルガメッシュ王の目線先を見る

そこには高さ2mを越える石板があった

絵が刻まれており、一部が欠けて剥がれていたり、見辛くなっている

 

「さて、この絵が貴様が来たのと同時刻に現れた。この意味が分かるか?」

 

「い、いえ……分かりません」

 

ギルガメッシュはため息をついた後、軽く頭に手をやり

 

「正直者は好かれやすいが、今の発言はバカにしか感じなかったぞ」

 

と呟いた

 

「素直なのは良いことだと思うけどね」

 

「……話を戻すぞ。この石板は多分……いや、絶対にエンムルクが送りつけたものだ」

 

「エンムルクが!?」

 

「エンムルクの魔力が感じられたからね。後、確か彫刻だったかな?昔、練習とか言って粘土板にナイフで絵を彫ってたんだ。その絵とこの絵が似ている」

 

エルキドゥは嬉しそうな声で語る

しかし、それでは辻褄が合わない

彼女は自身の宝具で死んだはずだ

なのに、何故彼女が彫った作品があるんだ?

 

「不思議だと思ったか?簡単な話だ。あいつは生きている」

 

生きている?彼女が!?

 

「あいつは宝具によって死んだとされている……だが、それが嘘だったら?我はあいつが死んだとは思えない。現にこの石板があるからな」

 

「つまり神をも屠る大地の怒り(エヌマ・エリシュ)は、一撃必殺の宝具ではないと」

 

曰く神をも屠る大地の怒りは一撃で多くのものを屠る大魔術だとされていた

あまりに強大ゆえ、術者も巻き込まれると死んでしまうと言われている

だが

 

「僕たちが予想するに、あの魔術は転移魔術だと思うんだ」

 

「転移魔術………」

 

「彼女が得意とした魔術は置換魔術、転移魔術、幻惑魔術だったからね」

 

転移魔術と幻惑魔術はそれなりに高位の魔術だった気がするが

 

「置換魔術って、基礎魔術を得意としてたのですね」

 

「…………君の思う置換魔術とレベルが違うと思うけど………話を戻すよ。この絵から察するに、この角の生えた大きな女性が黒幕だと思う。女神だろうね。現に三女神同盟なんてものも存在してるから………その件も後で詳しく話すよ。で、この女神の少し下に描かれているこれは……欠けていて足しか分からないけど、黒幕か、共犯者と捉えて良いと思う。それで、さらに下に描かれている顔が口になってる魔物は……」

 

「この魔物は今壁に向けて飛び込んでくる魔物を指してるのか、それともさらに新種の魔物なのか分からないが……」

 

「この絵から魔物は人を殺している。ほっておいてはいけない存在ってわけだ」

 

「……………」

 

この絵は多分、未来を見て描かれたのだろう

エンムルククラスの魔術師は千里眼で未来や過去を見通すと言われている

彼女は未来を見て、この未来を通らせないために送ったメッセージなのだろう

しかし

 

「ギルガメッシュ王、何故俺にこの絵を見せたのですか?俺たちの事を不要と言っていたのに」

 

「……………」

 

ギロリと睨まれる

…………正直怖い

マシュを置いていったことを少し後悔したほどに

でも

 

「エンムルクが俺たちに見てほしいと思っているからですか」

 

「……………」

 

少し目を見開き、腕を組む

数秒したのち、指を鳴らして魔法陣を消した

 

「ではな、天文台のマスターよ。貴様の足掻く姿で我を楽しませるがよい」

 

ギルガメッシュ王はそのまま立ち去った

答えは分からないままとなったけど、的外れな答えではなかったということは分かった

 

「さて、僕も戻るよ。あ、これを君に」

 

エルキドゥが立方体の粘土を渡してきた

 

「これは?」

 

「これは僕にも分からないんだ。この石板の近くに落ちていて、エンムルクの魔力が込められている事は分かるんだけど………ギルが君に渡せと言ったから渡したのだけど、何か分かったら教えてね」

 

「あ、はい。分かりました」

 

エルキドゥはじゃあねと手を振って立ち去った

 

「……………」

 

手にある立方体を眺める

試しに自分の魔力を流し込むが特に何も起こらなかった

 

「………戻るか」

 

俺はカルデア大使館に向けて足を運ぶのだった




お久しぶりです
いや、本当にすみませんでした
どんだけ更新してないんだよって思いますよね?
すみませんでした





エンムルクオルタの服装について

Xオルタの最終と似ている
以上
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