此処まで読んでくださった方々に感謝感激です!
そろそろヒロイン候補を決めようと思います!
次回の投稿でヒロインを決めますので、意見のある方は活動報告にぜひお書きください!
では本編をどうぞ
戦闘が始まってはや3日が過ぎた。各勢力はお互いの戦力を削り合いながらも戦いをやめず、戦い続けた。その光景はまるで自分たち以外の勢力を全て根絶やしにするまでやめないと言った、狂気的なものに変貌しようとしていた。
現在悪魔の陣営は72柱の4分の1を失い、数多くの兵隊達も失っている。天使陣営も少なくはない被害を被っていた。
熾天使も死傷者が数名、天使も少なくない数が死傷者となっている。
堕天使陣営は幹部クラスは被害が少ないが、その分尖兵である下級、中級堕天使に被害が偏っている。上級堕天使は数十名の死亡者、怪我人が出ている。
たった10日でこれだけの被害が出ているのだ。このまま続ければ、少なくとも一つの種族が滅びかねない。最悪、三大勢力全てが消えることになるだろう。しかし、どの勢力も自ら停戦することは絶対にしない。いや、できないと言ったほうがいいだろう。停戦をするにあたって自ら停戦を申し込むものには大きく分けて二つのパターンがある。一つは戦争中に状況が優勢な者からもたらされる停戦、この場合は勝ちの決まった戦でこれ以上無駄に兵力を損なわないための処置だ。もう一つのパターンは状況が劣勢な陣営から提案されるいわゆる逃げの一手だ。この場合は停戦をするにあたって相手側に有利な条件で停戦されることが多く、劣勢な陣営は多額の賠償金や領土の献上などを強いられることが多い。
以上のことから三代勢力はどこも自ら停戦を申し入れることはない。なぜなら現在の状況はどの陣営も似通ったものだ。それ故に停戦を申し込んだとしても無事に停戦協定が結ばれることはまずない。なぜならどの陣営も自分たちが他の勢力に負けているとかけらも思っていないからだ。その事を考慮した上で行われる停戦協定はトップ同士での話し合いは成立せず、その場が戦場になることは必然だ。それ故にどの勢力も停戦をするなど、少したりとも考えていない。考えているのはどうすれば自分たちが相手を滅ぼすことができるか。ただそれだけだ。
そんな状況の中、三つ巴の戦争は今日も始まろうとしていた。
「中盤のレヴィアタンの軍勢の損害率は?」
「損害率は3割、負傷者を入れれば4、5割といったところでしょう」
「前線のベルゼブブは?」
「こちらは負傷者を入れて4割ほどだ。このままでは戦線維持は難しい。後方の部隊を幾つか回して欲しい」
悪魔陣営では現状報告のため残っている三人の魔王が集まり、会議をしている最中であった。互いに戦況報告を行っているが、その報告はなかなか痛ましいものばかりだった。戦争だから仕方がないと言えば仕方がないのかもしれ合いが、その言葉で割り切れるほど魔王たちは同胞たちを安く見ていない。何しろ日に数百を超える悪魔達が死んでいるのだ。それも憎き天使や堕天使に殺されているのだ。そう考えればなおさら魔王たちは胸の奥から怒りが込み上げてくる。
「被害状況が酷すぎる!もう少し被害を抑えることはできないのか!」
「無理を言わないでいただきたい!これ以上どうしろと言うのだ!」
「落ち着いてください!ルシファーもベルゼブブも!」
頭に血が上ったルシファーとベルゼブブをレヴィアタンが諫めるが、それも大して意味をなさない。むしろ、二人の矛先がレヴィアタン一人に向かう。
「そう言う貴様は何か打開策があるのか!」
「落ち着けと言うのだから考えはあるのだろうな!」
魔王レヴィアタンは内心『なんでそうなるの!』と怒鳴りたい気分だったが、ここで自分が怒鳴っても事態は変わらない。むしろ頭に血が上り、短絡的な考えになってしまうと思い、深呼吸をし、頭を冷やす。
「いいですか、我々トップが慌ただしくなれば、下の者にも動揺が広がります。そうならないためにも!我々は常に堂々としていなければなりません。それはお二方にもわかりますね?」
魔王レヴィアタンの言葉に二人はハッとする。そして溜息を吐き、冷静になる。
「すまんな、少々焦っていたようだ」
「こちらに落ち度があるな、すまなかった」
「いえ、私の部隊は余り被害が大きくなかったので少し冷静に慣れていただけです。お気になさらないでください」
そう、中盤のレヴィアタンの部隊には虎の子であるイースレイがいる。イースレイの働きは目覚ましいものであり、既に天使、堕天使陣営に多大なる被害を一人で出していた。今までは殺さないように手心を加え、神経をすり減らしていた分の力をすべて魔力に回すことによって、普段とはケタはずれな威力を齎していた。それにイースレイ一人が大半の敵を殺しきることで、イースレイの率いる部隊は他の部隊に比べて、被害状況は驚くほどない。被害状況と言えば、運悪く敵の流れ弾を受けた負傷兵ぐらいだ。そのイースレイの働きのおかげで、未だ魔王レヴィアタンは戦争で一度も戦闘を行っていなかった。イースレイの働きに魔王レヴィアタンは驚いていたが、それと同時にこれほどの働きぶりを見せてくれるイースレイにこれほど頼もしい者は居ないと思っていた。だからこそ、魔王レヴィアタンはイースレイに一時の休息が必要と感じていた。魔力の回復も勿論だが、体力にも限界があると踏んでいた。イースレイは戦争が始まってから中央部隊と前線を縦横無尽に駆け回り、悪魔陣営を支えていた。その疲労具合は想像も絶するだろう。なにより、殺すと言う行為を強いられているイースレイの精神的疲労はだれにもわからないだろう。
「お二方に頼みがあるのですがよろしいですか?」
「何だ?」
「一時、イースレイを後方の本陣に移動させ、休息をとらせたいのですかが―――――――」
魔王レヴィアタンの言葉は最後まで言い終えることなく、一蹴させられる。
「「却下だ!」」
「なっ!?」
まさか彼女も自身の言葉を言い終えるまでもなく、一蹴させられるとは思ってもいなかった。
「ど、どうしてですか!?」
魔王レヴィアタンも一蹴させられるほどの理由でもあるのかと言わんばかりにくかかる。それに対して、魔王ルシファーと魔王ベルゼブブは真剣な表情で答える。
「現在の前線は誠に不本意ながら奴によって支えられている。今奴が抜ければ戦線維持は難しい。他の悪魔達も奮戦はしているが、イースレイ程の戦闘力はない。それ故に奴を前線から遠ざけるわけにはいかんのだ」
魔王レヴィアタンも魔王ベルゼブブの言い分は理解している。だが、余りにもイースレイは働き過ぎている。このまま戦い続ければ何時か魔力の枯渇、体力の疲労によって致命的な傷を負うかもしれないことを魔王レヴィアタンは危惧していた。
「ですが、イースレイは流石に動き過ぎです!これ以上の連戦は彼にとってもよくありません!いつかその無理がたたり、命を落としかねません!」
「そうは言うが、他の悪魔とて連戦が続いている者もいる。それにもかかわらず、イースレイのみ特別視しては他の者に示しがつかんぞ?そこはどう考えている?」
彼女とてそれを言われれば痛いところがあるが、他の悪魔とイースレイでは戦闘時間、並びに戦場までの移動時間があまりにも多すぎると彼女は思っている。前線の左翼が崩れれば左翼に、右翼が崩れれば右翼に、中央の後詰めが必要であれば中央に、前線を突破し、中央部隊が攻撃を受ければ中央部隊の援護に、およそ、中央部隊の魔王レヴィアタンの配属とは思えない程にイースレイは戦場を奔走していた。時にはグレイフィアに部下の指揮系統を完全に任せ、自身は敵軍の中央にたった一人で突撃したこともあった。もはやワンマンアーミーと言っても過言ではない程に一人で戦うことが多くなっていた。
「とにかく、イースレイが前線を離れることはこのベルゼブブが許さん!たとえ傷を負ったとしても、フェニックスの涙さえあれば死ぬことはない。レヴィアタン、お前の言い分はわかるがこれは戦争だ。ちょっとした綻びで多くの悪魔達が死ぬことになる。それがわからぬお前ではないだろう?」
魔王ベルゼブブの言葉は痛いほど魔王レヴィアタンはわかっている。だが、イースレイの日に日に多くなっていく傷を見ていると、やるせない気持ちになってくるのだ。自分は一切傷を負わず、指揮を執っているのみであり、イースレイはその指示に従い戦場で戦う。彼女は初めて自分の魔王という物が邪魔だと感じた。もしも、自分が魔王ではなく、一介の大王や大公などの生まれだったら自分もイースレイと共に戦ことができるのに、魔王と言う称号が自身をここまで拘束するものだと、彼女は初めて知った。
「異論はないようだな、レヴィアタン。では、今後は我が後方部隊のいくつか前線に回し、戦線を維持、または敵の殲滅を行う。中央のレヴィアタンはそれを援護、ベルゼブブは今まで通り指揮を執れ。異論がなければ今回はこれで解散とする。各々悪魔の未来の為に尽くされよ」
その言葉を最後に魔王ルシファーは後方の自陣へと戻って行った。魔王ベルゼブブも自身の率いる前線に戻っていき、残ったのは悔しそうな表情を浮かべる魔王レヴィアタンだけだった。
こうして三人の魔王の会議は終わり、夜が明け、再び戦争が始まった。
そしてこの時は魔王たちは考えてもいなかった。戦争を終結させる存在がすぐ近くに来ていたことを。