白銀の王   作:うたまる♪

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ヒロインは決定しました!


発表はするかしないかちょっと迷っています。
発表した方が読者の皆様的にうれしいですかね?
個人的にはヒロインが誰かわからないまま、進んでいくのもありだと思うんですけど……


皆様の意見をお聞かせください。


神殺し

 イースレイは戦争が再び始まる前にグレイフィアを連れ、ある場所で寝転んでいた。その表情は心なしか普段よりも緊張が帯びていた。

 そんなイースレイの表情を見たグレイフィアはイースレイでもこんな表情をする時があるんだなっと思った。

 

 

「ねえ、グレイフィア」

 

 

 意を決したようにイースレイが口を開く。グレイフィアは未だ聞いたことがないイースレイの緊張した声に真剣な表情になる。

 

 

「どうかしましたか?」

 

 

 グレイフィアは普段通り従者らしく毅然とした態度で返事を返す。

 

 

 イースレイは寝転がった態勢から身体を起こし、グレイフィアに向き直る。

 

 

「グレイフィア、君に話しておかないといけないことがある」

 

 

 イースレイは覚悟を決めたかのように言葉を紡ぐ。

 

 

「実は―――――――――――――――――――――」

 

 

 イースレイは言葉を言い終えると、さわさわと一陣の風が吹きぬける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 再び戦争の火蓋が切って落とされた。天使、堕天使陣営はこれ以上の被害を防ぐためか、多くの幹部クラスの実力者を前線に投入する。中にはその勢力のトップを務める者も参戦しているほどだ。それだけに各勢力の人材が疲弊していることが見て取れる。だが、トップ自らが戦線に立つことによって、その勢力は俄然勢いづき他勢力はその進行に歯止めが利かなくなっていた。

 そんな状況にしびれを切らしたのは悪魔陣営だった。悪魔陣営は今まで指揮を執っていた魔王ベルゼブブ自らが出陣し、戦線に本格的に加わる。だが、それは最悪の結果に繋がった。

 

 

 魔王ベルゼブブは天使勢力のトップ、聖書の神との交戦により、あえなくその命を落とすこととなった。トップの一人を失い指揮系統が崩れた悪魔陣営に追い打ちをかけるように天使たちが襲い掛かる。

 この場合、悪魔陣営が犯した重要なミスは何かというと、聖書の神を相手に魔王ベルゼブブをたった一人で戦線に送り出してしまったことだった。

 よくよく考えてみれば当たり前の事なのだが、なぜ悪魔勢力はトップが四人もいるのだろうか?それは一重に魔王一人一人の力不足による原因があったからだ。戦争が始まる遥か昔に悪魔勢力は誰がトップを務めるかで大きく揉めていた時期があった。そんな時に思い付いたのが魔王を複数人で勤め、悪魔勢力を支えていくと言う考えだった。現四大魔王は相性の良し悪しもあるが、戦闘能力だけを言えば全員どんぐりの背比べのようなものだった。故に彼らは互いに足りない力を補うためにこの制度を受け入れ魔王になることを受け入れたのだ。それにもかかわらず、魔王ベルゼブブは自分達よりも格上であろう聖書の神に単独で挑んだのだ。ただでさえ、光による攻撃が弱点であるにもかかわらず、単独で聖書の神に挑むのは自殺行為としか言いようがない。魔王アスモデウスは聖書の神の直属の部下であるミカエル、ウリエル、ラファエルの三人によって殺されたのだ。多対一と言う事を考慮したとしても、その三人より、聖書の神が弱いはずもない。何せ彼らを生んだのは聖書の神なのだから。

 

 

 そんな混沌とした事態に陥った戦線を立て直すべく、派遣された部隊がいた。勿論、イースレイが率いる部隊だ。魔王ルシファーはすぐさま戦線を立て直すべく、被害の少ないイースレイの部隊に戦線の立て直しを命じたのだ。確かにイースレイの部隊は被害が少ないが、それはイースレイ一人の馬鹿気た戦闘能力によってもたらされた結果に過ぎない。イースレイの部隊全員が百戦錬磨なわけではなく、イースレイの一人無双によって被害を最小限にとどめているだけなのだ。

 更に加えるとしたら魔王ルシファーは愚かとしか言いようがない。先程単体で聖書の神に挑んだ魔王ベルゼブブの戦死を聞いても尚、単独で聖書の神と戦闘を行わせようとする指示を出すなど、愚者としか言いようがない。魔王ルシファーはどこか意固地になっており、正常な判断が下せなくなっているのは一目瞭然だ。

しかし、魔王からの命令となればイースレイも逆らうわけにはいかず、戦線を立て直すために前線に向かう。

 イースレイも流石に神が相手になると、他の天使たちの相手をしている余裕はない。そうなれば今までイースレイ一人に支えてもらっていた部隊は甚大な被害を受けることになるだろう。今までイースレイに頼りっきりだった彼らに勢いづいた天使の相手は難しいだろう。イースレイも解決手段を模索するが、妙案が浮かんでこない。一つだけ神を一瞬で倒すことができる魔法があるが、それは自身が最も使うことを禁じている魔法だ。それを使えば天使陣営は一瞬で瓦解するだろうが、それだけは使えない。

 

 

 イースレイが葛藤している間にイースレイ達は前線に辿り着いた。現状は酷く旗色が悪かった。魔王を失ったことにより、浮足立った兵士たちが次々と光の槍の餌食となっていく。その惨状はもはや地獄絵図だった。イースレイは浮足立った兵士たちを助けるために天使たちの軍勢に突貫する。

 

 

 イースレイは両手に二振りの氷の魔剣を造りだし、次々と天使たちを切り捨てていく。イースレイは軍勢の中に突貫した為、現在は周囲が天使だらけだった。イースレイに百を超える光の槍が放たれるが、イースレイは天体魔法流星(ミーティア)を使い巧みに避け、流星となり、縦横無尽に天使たちの軍勢の中を駆け回る。流星となったイースレイを捉えることができる天使はおらず、天使たちの白き翼は自身の真っ赤な血によって、次々と赤く染めあがっていく。

 

 

 しかし、そんなイースレイに光を圧縮した高密度な光の槍が襲い掛かる。イースレイは剣を交差させ、光の槍を防ごうとするが、戦場によって培われた自身の危機察知能力が警鐘を鳴らす。イースレイはとっさに半身をずらし、回避行動に移る。だが、そんなイースレイの行動を嘲笑うかのように高密度な光の槍は掠ってもいないイースレイの皮膚を焼く。イースレイは痛みを堪えながら光の槍が投擲された方角から間合いを取り、光の槍の持ち主を睨め付ける。

 

 

「中々反応速度も速いようだ。流石はミカエルに傷を与えた悪魔ですね」

 

 

 そこにいたのは神々しく輝く翼を纏った聖書の神だった。

 

 

「聖書の神、ヤハウェか………」

 

 

 イースレイは自信に気休め程度に光で焼けた皮膚を凍らせ応急処置をとる。イースレイ自身もヤハウェと遭遇することは計算していた。だが、イースレイに誤算があるとすればヤハウェの力量が想像を超えていたという事だろう。まさか、イースレイも掠ってもいないのに光によるダメージを受けるとは思ってもいなかった。ミカエルを一蹴できる実力を持つイースレイでも、ヤハウェの相手はこの状態(・・・・)では荷が重すぎる。精々腕の一本を使い物にならなくするのが限界だろう。現在、イースレイは滅悪魔法を使って戦っており、普段よりも光の攻撃に敏感になっていた。そのせいもあって光によるダメージを受けたのだが、イースレイは今そこまで頭が回っていなかった。

 なぜなら、イースレイは神に対しての対抗策をもう一つ用意していたからだ。その準備の為に脳内では凄まじい速度で情報処理が行われていた。イースレイは自分の身体の中に封じ込めている術式を大急ぎで解凍している。この奥の手は神を相手取るのに最も適した魔法だ。実験結果もすでに出ている。だが、問題なのはそれを使う前にこちらが殺されるかもしれないという事だ。ヤハウェはイースレイの流星(ミーティア)に難なく対応することができ、一撃で悪魔を容易に消滅させることができる攻撃を容赦なく使ってくる。

 

 

 術式の解凍まで約一分

 

 

 それまでイースレイはヤハウェの猛攻をどうにかして防ぎ切らなければいけない。

 

 

 イースレイは先手必勝と言わんばかりに槍騎兵(ランス)を放ちヤハウェの視界を奪う。ヤハウェはイースレイの先手に慌てることなく、槍騎兵(ランス)と同等の数の光の槍を掃射する。しかも、その光の槍は槍騎兵(ランス)をすべて破壊し、イースレイに襲い掛かる。イースレイは兵法の初歩と言われる先手を取ったにも拘らず、それをたやすく打破してくるヤハウェに舌を巻きながら攻撃を続ける。イースレイは遠距離戦が駄目なら接近戦で時間を稼ごうと氷聖剣(コールドエクスカリバー)で斬りかかる。まずは上段からの袈裟斬りを行うが、ヤハウェは最小限の動きで避ける。だが、これで終わりではない。イースレイは袈裟斬りによって移動した重心を利用し、そこから横薙ぎの回転斬りへ繋げる。ヤハウェは光の剣を展開し、この一撃を防ぐ。イースレイは防がれることを気にすることなくヤハウェに連撃を畳みかける。だが、それも長くは持たない。

 

 

「参ったな、こりゃ………」

 

 

 イースレイの氷聖剣(コールドエクスカリバー)はヤハウェとの剣戟によってボロボロに刃毀れしていた。氷聖剣(コールドエクスカリバー)は決して温い技ではない。むしろ、イースレイの氷の造形魔法をいともたやすく光の熱によって気化させ、刃毀れを起こさせるヤハウェの実力が窺える。

 

 

 まだたった20秒しかたっていないじゃないか…………

 

 

 イースレイはこの一分がこの時だけ永久のように長く感じる。まるで時の流れに逆らうかのように進みが遅くなっている様にすら感じる。

 

 

「アイスメイク氷雪砲(アイスキャノン)!」

 

 

 イースレイは大砲を造形し、ヤハウェに向かって発射する。氷の弾丸はうねりを上げながらヤハウェに迫る。しかし、ヤハウェはそれを二刀の光の剣で上空にに打ち上げる。この一撃も勿論並大抵の威力ではない。仮にミカエルにこの攻撃を放てば、致命傷にはならなかったとしても手痛い傷を負わせる自信があるほどにだ。それをたやすく防ぐヤハウェはバケモノか何かだろうか?

 

 

 しかし、本命はこの後だった。

 

 

「氷魔零ノ太刀—————枝垂れ桜―――――!」

 

 

 イースレイの本命は氷雪砲(アイスキャノン)を囮にしたこの一撃が本命だ。一度の抜刀で無数の斬撃を放つ氷魔零ノ太刀の進化版枝垂れ桜。この一撃は魔王でさえ葬る威力を持つ。

 

 

 しかし、ヤハウェは二刀の光の剣でその攻撃を防ぐ。一度に放たれる無数の斬撃をたやすく受け止めるヤハウェはやはり神に相応しい力をもっている。だが、そんなヤハウェの顔にかすり傷がつけられる。

 

 

「なるほど、一度に放たれる無数の斬撃、凄まじい技量です。敵ながら感服いたします。それ故にあなたが悪魔であることが残念でならない」

 

 

「神様からお世辞をもらえるとは私もまだまだ捨てたものじゃないようだ。しかし、種族が違う事がそんなに問題になるものかい?」

 

 

 イースレイはヤハウェの称賛を受けながら、ヤハウェの言葉に切り返す。イースレイとしては少しでも会話を続け時間稼ぎをしたいと言う気持ちがあるのだろう。

 

 

「確かに悪魔の中にはあなたの様に他種族と交流を持つ、もの好きな方もいるでしょう。しかし、それはあくまで一部。悪魔が害悪であることに変わりはありません」

 

 

 ヤハウェの言葉は前半こそこちらの意を汲んだかのように見えるが、後半の言葉が本音だろう。確かに天使にとって悪魔は害悪かもしれない。だが、イースレイはそう言った先入観による決めつけは絶対にしたくないことだ。ヤハウェの言い分も事実が含まれているだろう。悪魔の中には他種族にとって害悪となる存在もいるのは間違いない。だが、それが全ての悪魔に当てはまることだとは思ってほしくはなかった。

 

 

 イースレイは歯を食いしばりながら言葉を振り絞る。

 

 

「わかりあうことは……できないのか?」

 

 

 イースレイの縋りつくような弱弱しい言葉にヤハウェは冷酷に言葉を返す。

 

 

「ここまで来たらもう他の者も止まりませんよ。どちらかが滅ぶまで」

 

 

 ヤハウェの言葉を聞き、イースレイも決意を固める。

 

 

「この……わからずやが!」

 

 

―――――神を滅ぼす決意を

 

 

「解凍完了、術式解放、形態変更」

 

 

 イースレイは体内で封印している滅神魔法を使用する。その瞬間、イースレイの身体に急激な負荷がかかる。普段使わない慣れていない魔法を使った為にイースレイの魔力が急激に減っていく。それに伴いイースレイは此処まで使用を控えていた第二魔法源(セカンドオリジン)を解放する。この瞬間、ヤハウェは初めて戦場で悪寒に襲われる。

 

 

「滅神魔法、私はこれを使い貴方を倒す!」

 

 

 イースレイの魔力とヤハウェの光がぶつかり合い再び戦闘が始まった。

 

 




何か書いてみたらヤハウェさんがボスキャラみたいになっちゃった。
滅神魔法で倒せるかな?
何か不安になってきた…………


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