白銀の王   作:うたまる♪

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今回は戦闘は一切なしです。

ではどうぞ。


会議

 三大勢力が争っていた戦場から少し離れた平地に彼らは集まっていた。

 

 

 天界側からは聖書の神ヤハウェ、熾天使ミカエル

 

 

 堕天使側からは堕天使総督アザゼル、副総督シェムハザ

 

 

 悪魔側からは魔王ルシファー、魔王レヴィアタン、共同戦線のきっかけを作ったイースレイ

 

 

 合計7名の人物がその場に集結していた。それ以外の者は各陣営で待機となっていた。その大きな理由は今までいがみ合っていた者たちが、その場に集まり再び戦闘を始めることを危惧しての事だ。最もこの場に集まっている者達は一癖も二癖もある癖もあるプライドが高い者の集まりだ。この場で再び戦争が始まってもおかしくはない。そのストッパーとして、各勢力はイースレイの会議の参加を要請したのだ。イースレイは堕天使総督との個人的な関係を持ち、聖書の神ヤハウェはイースレイを個人的に悪魔の中では信頼できる部類だという事もあり、参加を求められたのだ。なにより、イースレイが戦争や争い事を嫌っていることはどの勢力でも周知の事実となっていた。それ故にストッパーとしてイースレイの参加が余儀なくされたのだ。

 

 

 その会議もおよそ会議をするとは思えない程、ピリピリとした殺伐とした雰囲気を醸し出していた。何せ、今までいがみ合い、争っていた勢力のトップ同士が集まっているのだ。今までの事を忘れ、仲良くしろと言う方が難しいだろう。そのせいもあってこの会議の進行はイースレイが行うことになった。

 

 

「それでは会議を始めさせてもらいます。この会議の主な議題としては二天龍に対しての対策、それに伴って各勢力の共同戦線を行う事の内容を話し合いたいと思います。まずは各勢力のトップであるあなた方の意見を聞かせていただきたいと思います」

 

 

 イースレイの言葉を皮切りに会議が始まった。

 

 

「我々天界の総意は一時休戦し、不本意ですが貴方方と協力し、二天龍の撃退、または討伐を行いたいと思います。それに伴って貴方方の勢力の被害状況をお教え願いたいのですがよろしいでしょうか?」

 

 

 ヤハウェの言葉に悪魔側、堕天使側のトップが反応する。それもそうだ、この共同戦線が終了した瞬間、戦争が再び勃発してもおかしくはないのだ。それにも拘らず、ヤハウェは勢力の被害状況を教えろと言っているのだ。この問いに答えるという事は組織の弱みを晒すことになる。それはどの勢力にとっても面白くない内容だ。

 

 

「ヤハウェ、貴様どさくさにまぎれ我々の現状を把握するつもりか?」

 

 

「いえ、そのような気は一切ないのですが、そう思わせてしまったのなら申し訳ありません。ですが、共同戦線を行うにあたって、互いの戦力は正確に把握しなければありません」

 

 

 魔王ルシファーの言葉にできる限り、棘の無いように答えるヤハウェ。ヤハウェのいう事は最もだが、それは互いを信用している相手にできる事であって、悪魔側からしたら魔王を二人も殺した天界側を信用することなど到底できないことだ。それは堕天使側にも言えることだ。

 

 

「そのような口車に我々が乗るとでも思いか?」

 

 

「ま、流石にあんたの言葉でもそれは話しづらい内容だ。ここにいる連中は癖のある奴が揃ってるんだぞ。第一、その情報が本当かも定かじゃねぇ。その話はこの話し合いに亀裂を入れるだけだと思うぜ」

 

 

 ヤハウェの言葉に魔王レヴィアタンも堕天使総督アザゼルも批判的な意見を述べる。確かにこの内容は今まで争ってきたトップ同士には難しい内容だろう。一つ間違えば、この場での会議も全て抱水に帰す内容だ。それどころか、今ここで戦争が始まる可能性が高い。

 

 

「では我々は此処で誓いましょう。我々天界は共同戦線が終了したとしても、貴方方の勢力に攻撃を行う事はしません。勿論、こちらに被害を出すと言うのならその誓いは破棄させていただきますが」

 

 

 この言葉にはミカエルも含む、この場にいる全ての人物に驚きを与えた。ヤハウェのこの発言は自分たちからは戦争をもう行わないと言っているに等しいからだ。その発言に魔王ルシファーは喰ってかかる。

 

 

「ふざけるなよヤハウェ!我らが盟友、ベルゼブブ、アスモデウスを殺しておいて、もう戦わないだと?戯言も大概にしてもらおうか!どうしても戦争を終結させたいと言うのなら貴様の首をよこせ!そうでもせねば、奴らが浮かばれん!」

 

 

「なっ!?神の首をよこせとは無礼にもほどがあります!神よ奴を滅する許可を!」

 

 

「貴様程度に我が首が取れるものか!」

 

 

 魔王ルシファーとミカエルが臨戦態勢に入る。それと同時にこの場にいる人物達に緊張が走る。共同戦線はやはり成立しないのかと思われた瞬間

 

 

 ゾッ!

 

 

 その場の気温が急激に下がり、周囲が凍結していく。それと同時に魔王ルシファーとミカエルの足を氷が覆い身動きを封じる。

 

 

「両者とも落ち着いてくれます?」

 

 

 イースレイノ冷めた声に二名がぞっとする。もしここで暴れようとするなら容赦なく排除する。そう言った意志が込められた冷徹な声だった。これにはミカエルのみならず、魔王ルシファーすらも恐怖する。魔王ルシファーもまさか、自身の配下であり、魔王である自分にイースレイから此処まで威圧されるとは思ってもいなかった。それ故に魔王ルシファーは純粋に恐怖を感じたのだ。

 

 

「き、貴様、誰に指図していると思っている!私は――――――――」

 

 

「魔王であろうと神であろうと関係ない。この会議はそのような話をするために設けられていない。これ以上場を乱すような発言は慎んでいただけるか?」

 

 

 イースレイの殺気交じりの言葉に萎縮する魔王ルシファー。

 この時、この場にいた者達は理解した。この会議を成立させ、取り仕切っているのは魔王でもなく、神でもない。ましてや堕天使総督でもない。目の前で進行を務めているイースレイ唯一人に支配されていることを実感させられた。

 

 

「——————りょ、了解した」

 

 

 魔王ルシファーは釈然としない気持ちを抑え、その場に座りなおす。残ったのはこの場に似合わない静寂だけだった。

 

 

「では、改めて確認していきたいと思います。各勢力の被害状況を答え、今後の対策を考える。それで問題ありませんか?」

 

 

 イースレイの言葉に各勢力のトップは静かに頷き了承の意を示す。それに満足したイースレイは笑顔で話を進めていく。

 

 

「では、最初に悪魔勢力から報告を願います」

 

 

「はい、現在我々の被害状況は全体の5割近くが戦闘不能に陥っています。幸い、最上級悪魔である者の多くは生き残っており、少数精鋭の部隊を編成行うのならば問題はありません」

 

 

 魔王ルシファーに変わって、魔王レヴィアタンが答える。

 

 

「俺ら堕天使も下級、中級は致命的被害を受けているが、それ以外の上級より上の実力者共は致命的被害はない。こっちも少数精鋭で編成するなら問題ねぇ。ま、二天龍相手に、下級、中級の奴等が相手しても邪魔になるか、無駄死にするだけだと思うが」

 

 

 堕天使総督アザゼルが組織の現状を報告する。

 

 

「我々天界も似通った状況です。熾天使に死傷者はあまり出ていませんが、それでも被害は少なくはありません。我が子の多くの命が消えました。被害状況だけを言うなら6割と言ったところでしょう」

 

 

 ヤハウェが悲痛な表情を浮かべ、報告を行う。

 

 

「報告ありがとうございます。以上の事から私は各勢力の精鋭を集め、勢力の被害を抑えつつ、二天龍の撃退、または討伐を行いと思いますが、皆さんの意見を聞きたい。個人的な意見を述べさせてもらうなら堕天使総督の言う通り、下級、中級の者では二天龍の相手は不可能でしょう。無駄に死なせるだけだと思います。さらに言うなら上級の者でも相手にならない可能性が高い。なので上級の中でも上位に位置する者たちを集めていただけるとこちらも戦いやすい」

 

 

 イースレイの意見は最もだと頷く。実際、魔王や疲弊した聖書の神、堕天使総督でも荷が重い相手だろう。それよりも力不足な者達が相手をするなら選りすぐりな者達を集めなければ足手まといにしかならないだろう。

 

 

「わかりました。此方も特に腕の立つ者を用意しましょう」

 

 

「俺らも幹部共を総動員させて、戦力用意する。それに加えて、上級の中で最上級に近い力を持つ奴を選出してやる」

 

 

「私達も最上級悪魔をはじめ、それに追随する悪魔、それと我々が加わります。ですが、それでも二天龍相手には不足感が否めないのですが……それはどう考えていますかイースレイ?」

 

 

 魔王レヴィアタンの疑問にイースレイが答える。

 

 

「二天龍の片割れ、その一体を私が受け持ちましょう」

 

 

 その言葉に二度目の驚愕がこの場に広がる。当然だ。二天龍の一体をイースレイ一人で抑えると言っているのだ。端から見たら無謀以外何でもない。それ以前に抑えきれるかすら疑問だ。

 

 

「それは無茶です!いくらイースレイでもそれは無謀です!」

 

 

 イースレイの言葉に魔王レヴィアタンが猛反対する。当然と言えば当然だ。イースレイの実力を知っている彼女らからしてもそれは無謀以外なんでもない。だが、忘れてはいけない。イースレイは悪魔の中でも特に特異な存在であるという事を。何百と言う魔法を一人で生み出した異質な悪魔だという事を。

 

 

「ご安心を、レヴィアタン様。私にも策があります。それに足止めをするだけなら問題ありません。私が足止めをしている間に皆さんがもう一体を倒し、その後、こちらを助けていただけたら問題ありません」

 

 

 イースレイの言葉は一見に理にかなっているように見えるが、そうでない。この作戦はイースレイが一人で足止めできることが前提の話だ。確かに二天龍を分断することができれば、こちらの勝率は格段に上がるだろう。だが、それは足止めができたらの話だ。

 

 

「最悪、私の命を犠牲にしてでも二天龍の片割れは止めて見せます。どうかご決断していただきたい」

 

 

 沈黙がこの場を支配する。確かに二天龍を纏めて相手するのは難しいだろう。この場にいる者達はイースレイがどれほど規格外かこの戦争を通して理解している。おそよ、1人で行わないであろう戦いを幾度も生き延び成功させてきたのだ。それだけに奇妙な信頼がイースレイにあった。

 各勢力のトップは決断する。

 

 

 

「わかりました。イースレイ、貴方を信じましょう」

 

 

 魔王レヴィアタンは今まで自身の指示に従い闘い続けてくれたイースレイを信じ了承する。

 

 

「私は反対です。少なくとも手練れを数人彼に付けるべきです」

 

 

 ヤハウェは難色を示しながら自身の意見を述べる。それもそうだろう。普通の感性を持つ者ならそれが普通だ。そこで堕天使総督アザゼルが代案を出す。

 

 

「ならこいつの所の状況をこっちに逐一報告できるように誰か見張りを付ければいいんじゃねぇか?それに報告だけなら戦闘に参加しない奴でもできる」

 

 

「しかたありません。それで妥協しましょう」

 

 

 これで話がまとまり、二天龍を分断し、イースレイが片割れの足止め、その状況を逐一報告し、状況に応じて此方から援軍を出す。三大勢力の連合軍がその間にもう片方を倒す。それで話がついた。

 

 

 そして二天龍との戦いが幕を開ける。

 

 

 

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