作者の勝手な都合で申し訳ありません。
赤龍帝ドライグとイースレイが戦っている時
もう一つの戦いがここに在った。
「攻撃は一点集中して行え!」
「怪我をした者は一旦下がれ!」
「反射に気を付けろ!攻撃がそのまま返ってくるぞ!」
飛び交う怒号の中、三大勢力は今まで争っていたことを忘れ、目の前の敵を倒すために一心不乱に力を合わせ、目の前の敵と戦う。だが、現状は彼らの予想よりも厳しい戦いを強いられていた。聖書の神ヤハウェは数日の間に光力は回復こそしたものの全快には程遠く、せいぜい5~7割ほどしか力が使えない。魔王二人も奮戦するが、白龍皇の特性である半減によって、その攻撃は鱗を破壊するまでに届かない。堕天使総督であるアザゼルは部下たちに細かな指示を出しながら自身も光の槍の雨を降らす。それでも白龍皇アルビオンから発せられるオーラは微塵も衰えることなく、連合軍に猛威を振るい続ける。
「最大魔力固定、固定魔力圧縮、
サーゼクス・グレモリーは自身の持つ滅びの魔力で巨大な球体を作成、そこから高密度に球体を圧縮していく。これこそ、滅びの魔力を持つ、サーゼクスが自身の特性を生かす為に生み出した技、
『これは流石にまずい』
白龍皇アルビオンはサーゼクスから放たれようとしている滅びの魔力を察知し、すぐさま攻撃を行おうとするが
「「アイスメイク」」
それを妨げようとする二人の悪魔がいた。
「「
氷で造形されたドラゴンと 地面から大量に突き出る氷が間欠泉の様に噴きだしアルビオンの動きを止める。
『小癪な真似を!』
『Divide』
アルビオンは拘束されたと同時に攻撃を半減し、身にまとわりつく氷結を破壊する。その間2,3秒ほどしかたっていない。だが、その2,3秒の時間があればサーゼクスには十分だった。
「もらった!」
サーゼクスの一撃がアルビオンの鱗を消滅させ、そのまま肉も消滅させアルビオンを貫く。アルビオンの胴には小さな空洞ができ、そこからどろどろと血が流れだす。
『くっ、我が鱗を貫くか……取るにたりない奴等を思っていたがそうでもないか………いいだろう、白龍皇アルビオン、貴様らを我が敵と認識し、消滅させる』
ブワッっといやなオーラが戦場を駆け抜ける。白龍皇アルビオンの雰囲気が変わった。それは戦場に立つ精鋭たちには一目でわかった。今までのアルビオンは戦ってはいたが、それは自身に群がるハエを追い払うような敵とも認めぬ眼をしていた。だが、今のアルビオンの眼はそうではない。目の前に立つ連合軍を自身の排除すべき障害と認識し、本気で相手をしようと言わんばかりに龍のオーラをその身に迸らせる。そのオーラは今まで発せられていたオーラとは比較できないほどの量まで高まっていた。
『では、手始めにこの一撃受けよ』
アルビオンは大きく息を吸い込みブレスを吐く準備にとりかかる。
「結界を展開しろぉぉぉ!」
堕天使総督アザゼルの悲鳴に聞こえるような叫びに魔王、ヤハウェ、アザゼルが急ピッチで結界を展開する。しかし、急ぎで造った結界、そして慣れない魔王、神、堕天使総督との共同で作成した結界。不安要素はあるが、それでも、各勢力のトップが作りし結界。その広大な結界の防御力は並の威力では破壊することはできないだろう。だが、目の前の相手は二天龍が一体白龍皇アルビオン、並の部類に入る実力ではない。
『Half Dimension!』
アルビオンの力によって次元が歪み結界の強度も薄く、広さは狭くなっていく。今まで連合軍の全てを覆っていた結界から軍の半数の者が弾き出される。
「しまっ――――――――」
魔王ルシファーが言い終える前に白龍皇の白きブレスが放たれる。魔王ルシファー、聖書の神ヤハウェ、堕天使総督アザゼル達は持てる力を振り絞り結界の展開に力を注ぎ込む。
「くっ!踏ん張りなさいアザゼル!貴方は口だけですか!」
「うっせぇ、クソババア!こっちは一杯一杯なんだよ!」
「なっ!誰がババアですか!アザゼル、貴方を先に断罪しますよ!」
「貴様ら口を動かす前に力を入れろ!貴様ら後ろから刺すぞ!」
ヤハウェがアザゼルに鼓舞?をするが、アザゼルは半ばやけになりながら言い返し、魔王ルシファーがブチ切れる。何ともシュールな絵面がそこにあった。
パリン!
アルビオンのブレスを防ぎ切ると同時に結界が崩れ去る。結界内にいた者達は無事無傷で凌ぎ切ることができた。だが、結界外にいた者達は唯では済まないだろう。
「?!」
煙が晴れ結界外にいた者達の状況を確認しようとすると、そこには驚く光景が目に入る。結界外にいた悪魔、堕天使、天使の多くは大なり小なり怪我こそしてはいるが、その傷は致命的ではなく、軽症の傷ばかりだ。その理由はすぐにわかった。結界を半減させられた時から一人いなかったのだ。その一人は結界から外に放り出された仲間たちを守るために、その身を結界から投げ出し、単独で結界を造りだし、連合軍の被害を最小限にとどめたのだ。
「レヴィアタン!」
魔王ルシファーの悲痛な声が上がる。彼女の身体にはいたる所に傷が刻まれ、身体の一部が欠損し、魔王の中で一際美しいと言われていた14枚の翼は無残にも千切れ、焼け爛れていた。一人で二天龍の一撃を受け止めた代償と言ってもいいだろう。むしろこれだけの被害で済んでよかったと言ってもいいだろう。もし、彼らの相手が赤龍帝ドライグだったらレヴィアタンは跡形もなく消滅し、魔王、聖書の神、堕天使総督も唯では済まなかっただろう。
「る…………ふぁー……あと……のみ……」
魔王レヴィアタンは掠れた声でそれだけ言い残すと力なく地面に倒れる。その瞳に涙を流しながらなじみある紫色の空を見上げる。
「いー…す…い……かて……おね……い……」
その言葉を最後に魔王レヴィアタンはその生涯に幕を下ろした。
「レヴィアタン!………この毒龍がぁぁぁぁぁぁ!」
魔王ルシファーは怒りながら数十数百の巨大な魔力弾アルビオンに向かって砲撃する。しかし、ルシファーの怒りの一撃はアルビオンに吸収され、その一撃は無に帰す。そして、強烈な怒気がその場を包み込む。
『貴様……今、毒と言ったな?』
アルビオンの殺意と怒りが交わった強烈なオーラに身動きを封じられる魔王ルシファー。その時、魔王ルシファーは理解した。自分は龍の逆鱗に触れてしまったのだと。そして、龍の怒りを買った者がどうなるか、それがわからない程、魔王ルシファーも無知ではない。
『もはや塵すらも残さん!龍の怒り、その身に受けよ!』
アルビオンは半減し、吸い取った連合軍の力を全てこの一撃に込め目の前の敵を消し飛ばさんとする。
『永久の消滅!』
アルビオンが勢いよくその剛腕を振り下ろすと魔王ルシファーは文字通りその場から消滅した。
永久の消滅、アルビオンの半減の力をフル活用した一撃。一瞬のうちに数十回以上の半減を行い身体、魂ごと半減し、最終的にはその存在ごと消し去るアルビオンが滅多に使う事のない凶悪な一撃だ。それだけにアルビオンの怒り具合が分かると言う物。だが、アルビオンの怒りは魔王ルシファーを消すだけでは収まらなかった。
『収まらん!収まらんぞ!奴1人消した程度では私の怒りが収まらん!』
そう言うとアルビオンはその巨体を駆使してその場を暴れ回る。残った魔王二人までも失った悪魔達はそのことに呆然し、対応が遅れる。アルビオンの剛腕、鋭爪、尻尾に巻き込まれ血まみれていく。
「アイスメイク
カテレアは巨大な氷の檻を上空から落とし、アルビオンの動きを封じ込める。
「サーゼクス、アジュカ、ファルビウム!今のうちに仲間の戦列を整えて!長くは持たない!」
「わかった!カテレアも無理はするんじゃないぞ!」
カテレアはサーゼクスに無理をするなと言われたがそれは無理だと言うものだ。目の前で自身の母が殺されたのだ。魔王としての責務を果たす為、自らの命をなげうって仲間の為に結界を張った母。最後まで魔王として誇りある行動をとった母がカテレアは誇らしかった。そして、その母を殺した白龍皇アルビオンに一矢報いたい。自身の意地ともいえる感情に従いカテレアは氷の檻に力を注ぎ続ける。しかし、カテレアの氷の檻はアルビオンの力により罅割れていく。
「くっ、私の力じゃ足止めもできないっていうの?!」
自身の力不足に嘆くカテレア。そんな彼女を援護するかのようにセラフォルーが魔力を練りだす。それと同時にカテレアの檻が粉砕される。
「アイスメイク タイタンフィート!」
上空から巨人の大足がアルビオンを踏み抜く。
『悪魔ごときが私の邪魔をするなぁぁぁ!』
アルビオンの怒りの咆哮が戦場に鳴り響く。セラフォルーを援護するように天使、堕天使たちが数百を超える光の槍をアルビオンに降らせる。その狙いはサーゼクスによって撃ち抜かれ肉が露わになっている胴に集中される。
『ご、がぁぁぁぁぁぁ!』
鱗が破壊され肉が露わになっている部分に攻撃を集中され、断末魔のような叫びをあげるアルビオン。その痛みから逃れようとその巨体を暴れさせ巨人の大足を破壊する。
『小娘が!貴様らから殺してやる!』
アルビオンはその剛腕を薙ぎ払いセラフォルーを弾き飛ばす。
「ふっ………?!」
セラフォルーはその一撃をもろに受け、地面に叩き落とされる。勢いよく叩きつけられ肺から無理やり息が吐きだされ、酸欠に陥る。
『潰れろ』
アルビオンの無慈悲な言葉と共にその場で一回転し、勢いよくしならせた尻尾を叩きつけようとする。
「セラフォルー!」
セラフォルーはぼんやりとする視界に写す、自身を潰さんと迫りくる尻尾を他人事のように見つめる。
ああ、私は死ぬんだ……
そんな運命を自分が簡単に享受しよとしていることに少し驚く。
どうせ死ぬなら……あの時に――――――――
そしてセラフォルーは巨大な龍の脚に踏みつけられ死んだ
物語を少し改変させていただきました。