作者の勝手な都合で申し訳ありません。
イースレイは赤龍帝ドライグと一進一退の攻防を繰り広げていた。イースレイの戦法はいたって単純明快。ドライグに張り付きヒット&アウェイの高速戦闘。ドライグのような巨体な身体を持つドラゴンはどうしても目が届きにくいところや攻撃しにくい場所がある。イースレイはドライグに一撃入れると同時に的確に迅速に次のポイントに移動し、再び一撃を叩き込む。そうすることによって、イースレイはドライグに攻撃の的を絞らせず、徐々にドライグにダメージを蓄積させていく。
ドライグはその戦法に翻弄され、まともに攻撃を行うことができなかった。ドライグも馬鹿ではない。イースレイが自身に張り付くと言うのなら周囲を吹き飛ばすほどの攻撃を全方向へ行い、張り付けないようにすればいい。ドライグは極限まで倍加を行い、周囲の地形を変形させるほどの一撃を全方向に放つ。全方向という事もあり、威力は普段の攻撃よりも数段下がるが、それでもこの一撃を受けるだけでイースレイは瀕死の重傷を負うことになることは間違いなかった。だが、それは受ければの話だ。
イースレイはドライグの全方向へ放つ一撃を寸でのところで回避する。勿論、普通に避けようとしたら間に合わないだろう。イースレイはドライグが全方向に攻撃を放とうとした瞬間、
イースレイは所謂膠着状態に陥っていた。
「想像以上に強い!」
『いいぞ!まさか、アルビオン以外にもこの俺を満足させるような奴がいるとはな!』
イースレイは苦虫を潰したような表情をしながら苦言を漏らす。何度も言うが、イースレイは一杯一杯なのだ。イースレイの魔力量が群を抜いているとはいえ、滅龍魔法に加え、ドラゴンフォースの継続。更に
「このままじゃ、ジリ貧になるな」
イースレイは既に悟っていた。この闘い、このままでは自身の魔力切れと言う末路によって幕を下ろすことになるという事を。絶え間なく降り注ぐ攻撃を避けながらイースレイは苦悩する。
ドライグに不意打ちはもう通用しない。イースレイの行っている攻撃は全て単発でお世辞にもドライグに対して決定的な傷を負わせるまでにもいかない。滅龍奥義を使うことができるなら話は別かもしれないが、使うには多大なる集中力と少しばかりの時間が必要となる。ドライグの腕を斬り落とした時はイースレイが初めて
そこでイースレイは考えた。どうすれば自身も死ぬことなく、ドライグを倒すことができるのか。
方法は一つだけある。だが、理論だけだ。実践したことは一度もない。何故なら理論的には可能だが、それに対するリスクがあまりにもでかすぎる。それ故に今まで実践することなく、理論だけでそれを完成させる事はしなかった。しかし、それ以外この状況を打破する術がないのも事実だ。
『どうした!動きに雑念が見えるぞ!戦いの最中考え事とは邪推だ!』
ドライグは右腕を振り下ろし、イースレイの回避先に攻撃を仕掛ける。ドライグも唯攻撃を受けていただけではない。イースレイの行動パターンを分析し、イースレイの戦闘の癖を見抜いたのだ。
イースレイはしまったっと思うがまだ予想の範囲内だ。イースレイもいつかこのパターンが読まれることを読んでいた。イースレイは急制動をかけ、重心を無理やりずらし、パレルロールするかのように腕をすり抜ける。ここでイースレイは一つミスを犯した。本来なら犯すことのない致命的なミスを。現在の状況を打破するために思考錯誤していたため見逃していた現在の状況を。
『かかったな!』
ドライグは狙い通りと言わんばかりにそこから巨体を生かしたタックルを仕掛ける。イースレイはそんな見え見えの攻撃が当たるはずがないと思うが、それは背後に断崖がなければの話だ。その存在にイースレイは気づいていない。
イースレイは後方に避けようとした時にドンとぶつかる。その時、背中に伝わるごつごつとした感触で理解した。背後は断崖で覆われていることを。普段ならミスすることのない相手の仕掛けた誘い込みにまんまと引っ掛かってしまったことを。
イースレイの中で警鐘が鳴り響く。刹那の瞬間に解決法をいくつも考えるが、この場を切り抜ける妙案が思いつかない。そう思考している間にイースレイに強烈な衝撃が襲い掛かった。
イースレイはすさまじい衝撃と鈍痛に襲われ意識が朦朧とする中、片手での造形魔法を使用し、背後に存在する断崖に
結果、その行動がイースレイを救った。
ドライグはイースレイを弾き飛ばし、そのまま断崖に叩きつける。ドライグは自身の巨体と断崖を使いイースレイを潰そうとするが、そこでドライグも予想だにしないことが起きる。
イースレイが放った魔法によって断崖の一部に人が一人入れるくらいの穴ができ、その中にイースレイがすっぽり収まったのだ。
ドライグは予定を変更し、断崖事イースレイを吹き飛ばす。
ドライグの体当たりが断崖と衝突し、激しい爆発音が鳴り響く。イースレイはなすすべもなく、爆発に巻き込まれ宙に舞う。強烈な衝撃に再び意識を覚醒させるイースレイ。イースレイは脳内で演算を行い、
「ぐぅ………ゴホッ、ゴホッ!」
内臓破裂、肋骨の半分が折れ、そのうちの一本が肺に突き刺さっている。さらに左腕からは骨がはみ出ている。どこからどう見ても重症だ。息をすることだけでも身体中に激痛が走るはずだ。いや、普通ならは死んでいるほどの重傷だ。
「ハハハ……流石二天龍、ゴホッ……たった一撃でこれか……」
イースレイは亜空間から少し大きめの瓶を取り出す。ちゃぽちゃぽと揺れる液体はフェニックスの涙だ。戦闘が始まる前にグレイフィアからせめてこれだけでもと言われ渡された物だ。イースレイは瓶の蓋を開け自身にフェニックスの涙を全身に浴びる。すると、身体の傷がたちまち消え、外傷はすべて消えていく。
「グレイフィアには感謝しないとね……これがなかったら死んでいた」
イースレイは重たい体に鞭を打ちその場から立ち上がる。だが、状況は変わらない。身体の傷が治ろうとも魔力と精神的疲労は癒えない。むしろ、魔力は枯渇しかかっていると言ってもいい。それをイースレイに理解させるかのように身に纏っていた眩い光も消失する。
「ドラゴンフォースを維持する魔力も無くなったか………」
これでイースレイは戦う手段を失った。これではドライグの足止めもできない。
イースレイが天を仰ぎ、溜息を吐く中、イースレイに近づく気配が一つ。無論、ドライグではない。もし、ドライグが接近しているのならイースレイは
それは
「イースレイ様!」
アザゼルがイースレイの状況を把握するために配置していた連絡係の仲間だ。
「緊急事態です!」
連絡係の彼は慌てふためきながらイースレイに助けを求める。
「現在白龍皇と戦闘をしている部隊の大半が死亡!このままでは全滅しかねません!」
連絡係の仲間の言葉を聞き、呆然とするイースレイ。まさか、イースレイも白龍皇を倒すどころか逆にやられているなど夢にも考えていなかった。
「赤龍帝との戦闘を中断し、急ぎ救援をお願いします!」
この時、イースレイの脳内では自身の大切な人たちが次々と白龍皇によって殺されていくイメージが鮮明に浮かび上がった。その中には最愛の妹である、セラフォルーも含まれている。
その瞬間、イースレイの中の覚悟が固まった。
「体内術式構成………第一、第二魔法源連結………体内術式全開放………再構築開始………洞調律良好……再構築完了………」
イースレイはまるで何かにとりつかれたかのようにブツブツと言葉を続けていく。それに呼応するかのようにイースレイの魔力絶対量が増加していく。
「全行程終了………
イースレイからかつてないほど異質でされど儚げな魔力が溢れ出し、その場を包み込む。
「この世界に流れる全てのモノよ。今まで歩んだその道を戻し、異なる未知を歩み給え。ラストエイジス!」
この瞬間、次元が歪み空間が悲鳴を上げる。
そして、イースレイは自身の命を対価に時を戻した。
オリジナル設定
第一、第二魔法源を持ち、それを十全に扱う物が使う事の出来る最終手段。
第一、第二魔法源をつなぐことにより本来存在するはずのない第三魔法源を疑似的に生み出す。
その魔力は儚くも力強い呪われた力。
一時的に
その代償は■■■