白銀の王   作:うたまる♪

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今回の話は3話構成で行きたいと思います。


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今後もよろしくお願いします。


初めての眷属1/3

 イースレイは非常に困っていた。

 

 

 毎日溜まっていく仕事もとい残業。最上級悪魔に昇任してから仕事の量は増える一方だった。最近頻度が多くなってきた天使、堕天使との小規模な戦闘、それによる後始末、戦闘への介入、上層部との会議、それに加え元々の仕事。イースレイにも限度があった。元々イースレイは仕事は期限が迫るギリギリまで取り掛からないタイプなので、その仕事が溜まりに溜まって休む暇が一切ないのだ。それに加え、頻繁に起きるようになった天使、堕天使と戦闘にも参戦しなければいけない。仕事疲れによる力加減のミスにより、多くの命を奪ってしまった罪悪感。色々なことが重なり日に日にやつれていくイースレイに見かねた両親は知り合いの悪魔を眷属にどうかと薦めてきたのだ。普段のイースレイならそんなものは必要ないと言えただろうが、イースレイのやつれた姿を痛々しいと感じた両親は粘り強くイースレイに進め続けた。両親の根気強い説得により

 

 

「わかったよ。ならお試しとして一週間体験と言う形でいいかい?その働きを見て正式に眷属にしていいか決める、其れなら問題ないだろう?」

 

 

 両親はイースレイの譲歩に渋々納得し、一週間のお試し期間を設けることになった。

 

 

 そして両親が紹介した知り合いの悪魔というのは

 

 

番外の悪魔(エキストラ・デーモン)ルキフグス家のグレイフィア・ルキフグスと申します。よろしくお願いします。イースレイ様」

 

 

「ああ、短くなるか長い付き合いになるかはわからないけどよろしく頼むよ。ルキフグスさん」

 

 

 冥界で最もルシファーに近いとされている番外の悪魔(エキストラ・デーモン)ルキフグス家出身のグレイフィア・ルキフグストだった。

 

 

「イースレイ様、ルキフグスではなく、グレイフィアとお呼びください。私は仮とはいえ貴方の眷属なのです」

 

 

「なら私もイースレイ様と呼ぶのはやめてほしいな……そういう風に呼ばれるのは好きじゃない」

 

 

「それは承認しかねます。私はイースレイ様の従者です。従者が主に敬称を付けるの至極当然なこと。どうかご理解ください」

 

 

「いやだ」

 

 

 イースレイの即答にグレイフィアは硬直する。流石のグレイフィアもあれほど丁寧にやんわりと言ったにもかかわらず間髪入れず即答してくるとは思ってもいなかったのだ。

 イースレイは訳が分からなそうなグレイフィアの為に書類に目を通しながら理由を話す。

 

 

「私は特に主従関係を重視していない。そんな形だけの関係はいざという時に役に立たないからね………というかそんな息苦しい呼び方をされるのがいやだ」

 

 

 グレイフィアはイースレイが断った理由を最後まで聞き思った事は『いや、完全に自分勝手な我儘だろ』と言う感想だった。確かに形だけの関係はいざという時に役に立たない。それにはグレイフィアも納得できる。だが、その言葉は全てその後に付け足した私情を無理やりにでも押し通すための詭弁だという事に愕然とする。普通、悪魔と言うのはプライドや、地位を重視している者が多い。そんな悪魔の常識を一切気にすることなく、むしろ邪魔だと言わんばかりのイースレイの言葉にグレイフィアは困った表情をする。グレイフィアはイースレイのようなタイプの悪魔と今まであったことがない故に対応に困る。

 

 

「それができないなら私の眷属になることはやめておきなさい。例え優秀だったとしても私と考えが合わないのならここに居ても息苦しいだけだ。お互いの為にもならない」

 

 

 イースレイの言葉に一瞬ムッとするグレイフィア。グレイフィアもここまで言われて黙っていることができるほど大人ではない。いや、まだまだ若いから大人でもないが。 それにグレイフィアもルキフグス家の看板を背負っているのだ。そんな彼女がイースレイの眷属(仮の眷属)に一日も持たなかったなど、ルキフグス家の恥だ。

 グレイフィアは目の前の未知なる相手に意を決して口を開く。

 

 

「わかりました、イースレイ。これでいいでしょうか?」

 

 

「ああ、そうしてくれると助かるよグレイフィアさん」

 

 

 グレイフィアの対応に満足そうにするイースレイ。その表情にグレイフィアはよくわからない方だ、と思いながら仕事を始めようと指示を待つ。

 

 

「それじゃあ、さっそく仕事を頼もうか。そこにある書類を纏めてくれ」

 

 

 グレイフィアはイースレイに言われた通り書類を纏めようとするが、その書類を見て固まる。

 

 

「すみません……失礼ですが一つお聞きしても?」

 

 

「どうしたんだい?」

 

 

 グレイフィアからの質問を聞きながら片手間に書類を片付けるイースレイ。そんなイースレイにグレイフィアは聞きたくて仕方がなかった。

 

 

「何故この書類がまだここ(・・)にあるんですか?」

 

 

 グレイフィアが手に取った書類は何でもないどこにでもありそうな報告書のようなものだった。ただしそれが提出期限が後日の物でなければ。

 

 

「何か可笑しい事でもあるかい?」

 

 

 それを見ても一切動じないイースレイに呆気にとられるグレイフィア。しかし、すぐにハッとした表情を浮かべイースレイを問い詰める。

 

 

「可笑しいことだらけです!なぜここにある書類は全て後日までの物ばかりなのですか?!」

 

 

 グレイフィアは柄にもなく大きな声を上げ、非難の声を上げる。それはそうだ。初めての仕事が期限が後日までの書類を片付ける事なのだ。グレイフィアじゃなくても怒りたくなる。

 そんなグレイフィアを見て頭をかしげるイースレイ。

 

 

「そっちは明日までだから急いでやらなくても大丈夫だろ?」

 

 

「何を言って――――――――――」

 

 

 次の瞬間、グレイフィアは絶句する。それにわけがあった。何故ならイースレイが今纏めている書類は今日提出しなければいけない書類だったのだから。

 

 

「まあ、時間が足りなかったら私も手伝おう。だから君が無理をすることはない」

 

 

 そう言いながらイースレイは次々と書類を纏めていく。

 

 

 グレイフィアは言葉通り空いた口が塞がらなかった。それでも我に返り仕事に取り掛かる。この時、グレイフィアは言われたことを思い出した。

 

 

『グレイフィアさん、息子は色々と独特な感性を持っている。君も理解しがたいことがあるだろうが、そこは理解してやってくれ』

 

 

 シトリー卿………理解してやってくれとは言われましてもこれは理解しかねます。

 

 

 グレイフィアはこの時理解した。主、イースレイ・シトリーと付き合っていくにはある程度の理解できない行動は我慢しなければいけないという事に。

 

 

 そのことに頭を悩ませながらグレイフィアは仕事に取り掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 後日、グレイフィアの仕事はイースレイが手伝う事によって終了した。

 

 

 勿論、イースレイは昨日の仕事は半日で終わらせた。その時のイースレイの仕事の回転速度にも驚き、手伝ってもらったにもかかわらずどこか釈然としないグレイフィアであった。

 

 

 

 

 

 




眷属入り(仮)したグレイフィアさんでした。


イースレイの自由さに頭を悩ませるグレイフィア。彼女は無事正式な眷属になることはできるのか?!


勝手ながら3話構成に変更させていただきました。作者の勝手な変更によりご迷惑をおかけしました。


次回にご期待ください。
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