ジムリーダー タケシ
ニビシティジムリーダーで岩タイプのエキスパート。優秀なブリーダーでもあり、現在はポケモンドクターの勉強をしている。
多数の弟と妹を持ち、家事を完璧に熟すカリスマ主夫の才覚もあり。『ベストウィッシュ』での降板までサトシ達の旅を支えた実績は大きい。
今までの手持ち
イワーク
イシツブテ
クロバット
フォレトス
ヌマクロー
ルンパッパ
ウソッキー
グレックル
ラッキー
P2ラボ 地下研究室
P2ラボはプラズマ団が研究を行っていた施設である。その研究テーマは『究極のポケモン』を生み出すこと。しかし、その研究はプラズマ団の王であるNに否定され、凍結された。
「それで今度は『究極のトレーナー』ね」
「ブルジョワ伯爵がスポンサーだから資金ならあるさ」
P2ラボには地下研究室があり、大掛かりな設備を用いた研究はこちらで行う。研究員2人は巨大なカプセルを目前に話をする。カプセルは人間くらいのサイズで、中に緑色の液体が満たされている。周辺に取り付けられた機器が巨大さの原因だ。
「で、サンプルはこれなのか?」
「なんでも、N様の伴侶に相応しいトレーナーとして制作される予定でな。誰の髪かはハッキリわからん」
研究員の1人がサンプルをトレーに乗せて眺める。黒髪の束だ。誰のものかは不明となっている。
「色からしてトウコやベルじゃなさそうだな。ましてやN様本人はありえん」
「チェレンかと思ったが、あのガキからこれだけサンプルを収集する方法が思い付かん。床屋に潜入したとして、あいつはこんなに髪が長くない」
研究員はサンプルについてあれこれ議論をした。ただ、ブルジョワ伯爵が持って来ただけなので詳しくはわからないのだ。
「ジムリーダーか? でもカミツレは元々金髪だし……。イッシュ以外のジムリーダーか四天王だろう」
「髪の状態は悪いな。わざと伸ばしていたのではなく、切る機会がなくて伸ばしていた可能性はある。大穴でシロガネ山にいるレッドかもしれん」
研究員の議論は白熱する。そこでふと、話題にある人物の名前が上がる。最近、プラズマ団に協力を申し出た科学者だ。
「なあ、アクロマさんにはこの研究教えたのか?」
「ああ。あいつなら確実に成果を上げるだろうが、これは俺の手柄にしたいからな」
研究員は機械に向かい、操作を始める。この研究員の功名心が後に悲劇を産むとは、誰も予想できなかったという。
ヒウンシティ ポケモンセンター
倒れたアッシュを救うため、シンジとハツネはポケモンセンターに駆け込んだ。ポケモンセンターにはバトルの流れ弾で負傷したトレーナーの為に医療施設がある。
「まさか、お前に会うとはな」
「久しぶりだなー、シンジ」
そこでシンジは懐かしい顔と再会した。サトシと旅をしたタケシだ。以前、所持していたヒコザルの件で話をしたことがあった。
2人は施設のロビーで、机を挟んで再び話をすることになった。シンジはタケシと話すことなど無かったか、どうしても気になることがあったので聞くことにした。
「何故お前がここにいる?」
「あれからいろいろあってな、ポケモンドクターになることにしたんだ」
白衣を着て仕事をするタケシを見た時、シンジは度肝を抜かれた。彼がここまで心底驚いたのは兄、レイジの引退宣言以来だという。それくらい、再会は予想外だった。
「そして、なんでこのセンターはこんなボロボロなんだ? ポケモンは休ませられるんだろうな?」
「俺がここに来たこととそれは関係があるんだ。お前がポケモンを心配するなんて、変わったな」
「勘違いするな。勝つには休息してコンディションを整える必要があるだけだ」
シンジが疑問を持ったのは、ポケモンセンターの状態。中は無事だが、外装がボロボロでガラスも割れている。これはどうしたことか。
「それに、倒れてる子供を運んでくれるなんて……」
「知るか。とにかく状況を説明しろ」
タケシの言葉を遮り、シンジは情報を求めた。これ以上話すと、自分の根底が崩れそうな気がしたからだ。勝利の為に全てを切り離した彼に残ったほんの僅かな親切心を気取られたくなかった。
「リベレート団は知ってるか?」
「あいつらか。どうせロクなことじゃなさそうだ」
「あいつらがポケモンの解放を謡ってポケモンセンターの破壊をしてるんだ。ジムリーダーのアーティさんが留守にしてる隙に、ゲートを封鎖したんだ」
シンジはタケシの言葉で、アッシュをポケモンセンターに運んだ時のことを思い出す。確かに、何故かゲートにリベレート団がいた。腹いせに蹴散らしたので地味に覚えていた。
「ああ、邪魔だから潰した。スカイアローブリッジは通行可能だ」
「アーティさんがスケッチに出掛けたのは4番道路だ。バルジーナを書くためにね。そちら側の封鎖は厳重だ。おかげでポケモン図鑑の部品を初めとした物資も来られない」
「なん……だと?」
シンジに電流走る。壊れたポケモン図鑑を直すパーツを得られないのだ。トレーナーの身分証明書にもなる図鑑は重要だが、ポケモンの能力がわからないのはシンジにとってそれ以上の痛手だ。タケシは恐らく、シンジの図鑑が故障したのを知り、素直でない彼が町の解放に協力する足掛かりを作ったのだ。
これならヒウンシティを救うのも『図鑑のため』と言い訳になる。
「で、アッシュはどうなんだ?」
「疲れてるだけだよ。栄養失調のせいで身体が弱いからね。その上、幼い時からあまり食べさせて貰ってないんだろ? 少食気味で十分な栄養が取れないんだ」
シンジは一応、アッシュを心配していた。面倒見に関しては兄譲りか。タケシは頭で思いつつ、シンジが兄と比べられるのを嫌がるので黙ってることにした。
「そうだ。海流の関係でマナフィに関わる遺跡がイッシュに接近するらしいな。ジンダイさんが調査に来るって言ってたぞ」
タケシはシンジが再戦を望むジンダイの情報を流す。
「それがどうした? 図鑑が無ければポケモンが育たん」
だがシンジはそれだけ言って立ち上がる。タケシにはシンジがアッシュを気にする理由がわからないが、彼の心境が変化してるのには気付いていた。
アッシュは現在、医療施設のベッドで点滴を受けながら眠っている。絶対安静の状態であり、ポケモンすら病室に入れない状態だ。アッシュのポケモン達は、ポケモンセンターの前でたむろしていた。
ポカブのマインとレパルダスのマチルダがトレーナーの心配をしてると信じ、シンジは彼女達を横切る。
「でさー、アリスはヒウンアイスを食べたい欲望と騎士の面目を保ちたい葛藤でしばらく悶絶したんだってな」
「大変ですわねー、騎士は」
全然トレーナーの心配をしていない2匹の声は、シンジに届かなかった。
シンジは徒歩で4番道路側のゲートへ向かう。噴水の広場を抜け、リベレート団が制圧するゲートを望む。とりあえず彼は、ポケモン図鑑を修理したいのでここを解放する必要がある。そうしないと、パーツが入荷されない。
「どけ、お前ら。ポケモン図鑑が直せん」
「あぁん?」
シンジの一声に、リベレート団達が振り向く。面倒なので、話して退かせるならそうしたかった。
「俺達リベレート団に向かって何言って……」
「ドタイトス、じしん」
どいてくれなかったので、シンジはドタイトスにじしんを撃たせる。リベレート団の大半は倒せた。相手がポケモンを出すことなく、バトルは終わった。
「逃げろ! こいつにゃ勝てん!」
リベレート団はすごすご退散した。これでアーティも帰って来れるし、図鑑の部品も入荷できる。ゲートを潜り、予想通りの人物が姿を現した。
「あー、戦う。そんな選択肢もあったねー」
「ぬるいな」
アーティだった。さしものジムリーダーといえ、数が多いと突破出来ないだろう。元々アーティを追い出す計画なら、虫タイプに強いポケモンをメインに用意していた可能性がある。相性と数の不利故、力押しはできない。
「さて、アッシュは大丈夫か?」
シンジは急いでポケモンセンターへ戻る。ハツネは言うまでもなく、タケシも元ジムリーダーといえシンジは頼りにしてなかった。
案の定、シンジの留守を狙ってリベレート団と黒服の集団がポケモンセンターを包囲していた。
「やれやれ。面倒なことになったな」
シンジはまたも相手がポケモンを出す前に叩き潰す気だった。ボールからエレキブルを出し、相手の様子を見る。
「なんて奴だ!」
「気をつけろ! 元ジムリーダーだ!」
しかし、既に集団はグレックル1匹に壊滅状態だった。アッシュやハツネのポケモン達が援護し、次々に相手のポケモンを倒す。
「ダブルバトルで見たな、あのグレックル」
シンジはグレックルに見覚えがあった。ヨスガシティのダブルバトル大会で、シンジと戦ったタケシが繰り出したグレックルだ。ドタイトスの下を潜って相手の攻撃を避けるなど、なかなかの活躍を見せた。
「退却だ! プラーズマー!」
「あいつら、プラズマ団か」
黒服の台詞で、シンジは彼らがプラズマ団であると気付く。プラズマ団が退却し、残されたリベレート団は見捨てられる形になる。
「ま、待てよ! ポケモンセンターを潰してポケモンバトルが出来なくする計画はどうなる?」
信奉していたプラズマ団に見捨てられ、烏合の衆なリベレート団は混乱する。ポケモンセンターの入口にタケシとハツネが立っていた。シンジもそこにこっそり加わる。
「ポケモンセンターはただの施設じゃないのよ!」
「これが無いと俺もどうしようもないからな」
ハツネの言葉にシンジが同意する。セキエイ本部がポケモンリーグを金持ちの道楽にしない為にポケモンセンターを作った。一般家庭に生まれたシンジは、ポケモンセンターが無かったらリーグに出場どころか旅立ちも叶わなかっただろう。普通ならドタイトスの餌代で破産だ。
「これが無いと勝つ意味の無いポケモンリーグになるな」
「野生のポケモンを救うにも、ポケモンセンターは必要なんだぞ!」
タケシがリベレート団にいきり立つ。ハツネも後に続く。
「そんなポケモンセンターを壊そうなんて!」
「お前ら人間じゃねぇ!」
タケシの叫びにリベレート団は後退した。シンジはそこまで言うかと呆れていた。
「あらあら、何をしてるの?」
「また変な奴が来たぞ?」
そこに、スーツを着た女性が現れる。黒髪を伸ばし、どこと無く見覚えのある顔立ちだ。リベレート団のバッチを付けており、周りとの風格の違いから幹部級と見られる。シンジはふと、その女性の正体が思い当たる。
「さては、お前がアッシュの母親だな?」
「アッシュ? 誰のことを言ってるの? まさか、あのガキか……?」
アッシュの名前こそ認識してないが、どうやら正解らしい。恐らく、アッシュの名前は親代わりだったポケモンが付けたのだろう。とすると、アッシュに戸籍があるか怪しくなってくる。アララギ博士はどうやってアッシュをトレーナー登録したのだろうか。
「考えたくはないな」
「私はシラコ。リベレート団の幹部よ。ポケモンの解放にはポケモンセンターの破壊が欠かせないの」
センターの破壊を目論むシラコにタケシは情報を与えてみる。シンジの予測が正しく、シラコがアッシュの母親だとしたら攻撃を思い止まるかもしれない。
「あなたの息子が今センターで治療を受けてるんだ!」
「それなら好都合! N様と同じくポケモンと喋れるとか言い出すガキはここで消す!」
「お前人間じゃねぇ!」
しかし、シラコは止まらない。ボールからヒヒダルマを出す。
彼女は本気で息子が療養してるポケモンセンターを破壊するつもりなのか。アッシュは現在、動けない状況にある。この状態でポケモンセンターが破壊されれば彼の命は無い。
「とんでもねぇカスだ!」
「早く潰さないといけませんわね」
アッシュの手持ちであるマインとマチルダが臨戦体制に入る。ヒヒダルマ1匹なら負けはしない。
「邪魔されても嫌なの。スワンナ!」
しかし、シラコはスワンナを大量に呼び出して妨害を謀る。数で押し切るつもりだ。
「さらに、これで完璧!」
「いつの間にアッシュを! 息子を人質にするっての?」
オマケにいつの間にかアッシュを連れ出して人質にしている。入口で下っ端が戦ってるうちに連れ出したのだろう。アッシュは眠っていて抵抗しない。
「エルトさんかアリスさんもいれば……」
ハツネは現状の不利を悟る。実力で勝っているが、数で負けて人質まで取られてしまった。エルトは買い物、アリスは薬物商人を警察に引き渡していていない。
「どうする……?」
「ふむ、ならこうしますわ」
マチルダはシラコの表情を見て、あることを思い付く。突然、マチルダがシラコに向かって走る。グレックルも同じことを考えていたようで、一緒に飛び出した。
「何っ!」
「そうか、人質を取ってるからすっかり安心して隙ができたんだ!」
シラコは人質がいるおかげで、ポケモンが攻撃しないと安心しきっていた。しかし、そこに隙が生まれてしまった。マチルダとグレックルはそれを見逃さず、タケシもそれに気付いた。
「いただきですの!」
「待てぐげっ!」
グレックルがシラコにどくづきしてアッシュを解放し、マチルダがアッシュを取り戻して退却する。
「今だ、シンジ!」
「エレキブル、かみなりだ!」
「おヒゲ、サイコカッター! シッポ、スピードスター!」
「オーバーヒート!」
タケシの合図でシンジが雷をエレキブルに撃たせる。ハツネのポケモン、マインも攻撃を加えた。雷でスワンナが全滅、全ての攻撃が交わり、シラコが吹き飛ばされた。
「これでヒウンシティの平和は守られたね」
「ジムリーダー仕事しろ」
そこにようやくアーティが合流する。ジムリーダーが帰ってきた時には全てが終わっていた。水平線の向こうから日が上る。長い夜が明けようとしていた。
「奴がアッシュの親か。なるほど、リベレート団を壊滅させる必要がある」
「お前なんでアッシュと一緒に?」
「知るか。俺なりのケジメだ」
タケシの問い掛けにもシンジはぶっきらぼうに返す。以前の彼からは、誰かの為に行動する姿をタケシは想像できなかった。今のシンジは素直でないながら、アッシュの為に動いている。
「バッチを早く集め過ぎてリーグ本戦まで暇なんだ」
「素直じゃないな」
シンジは初めて会った時より成長していた。ポケモンリーグの後、ジンダイに挑戦したのか、どこを旅したのかはわからないが、それだけは確かだった。
原作プレイバック タケシ
言わずと知れたニビジムリーダー。ポケモン最初のジムリーダーでもある。初めは上半身裸のガタイがいい男として描かれたが、アニメの影響か年を経るごとに好青年の様なデザインになっていく。
アニメでは硬派なキャラとして登場、しかし仲間になった途端にナンパ癖が発覚。各地の美女をラインナップしたノートも所有する。ナンパの制裁役はカスミが担当。アドバンスジェネレーションではカスミ降板に伴い制裁役が安定しなかったが、後に彼女の影響を受けたマサトが着任。DPではグレックルが担当。
このナンパ癖は弟達も最近まで知らなかった。よく似ているジョーイさんとジュンサーさんを見分ける目の持ち主で、たまに偽物を暴いたり活躍する特技である。タイプは年上、しかしながら悪女に反応しないなど節操はある模様。
灰色の疾風オリキャラ組でナンパされる可能性のあるのは現在ヴァイオラのみ。アリスは14歳で年下、ハツネも確実に年下、キャサリンは悪女なので。
ポケモンワールドトーナメントでトレーナーの情報を教えてくれる黒服とは気が合うかもしれない。